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2004年12月23日 (木)

怒りネット通信 第10号

怒りネット通信 第10号
2004年12月 日発行
■怒っているぞ!障害者きりすて全国ネットワ-ク
■もくじ 11・26障害者部会に対する抗議行動の報告
12・14障害者部会で厚労省への批判が続出!
福島智さん(障害者部会委員)の意見書
12・27(月)厚労省抗議行動に集まろう!
   9時 霞が関 クレオ(弁護士会館)1階ロビ-集合
   9時半~ 厚労省前
   10時半~12時 社会保障審議会・障害者部会
11月26日と12月14日の社会保障審議会・障害者部会に抗議行動をおこないました。
 11月26日の障害者部会は厚労省の一方的なペ-スに終わりました。しかし12月14日の部会では、多くの委員から「改革のグランドデザイン」に対する批判が噴出しました。にもかかわらず、厚労省は12月27日の障害者部会で意見をとりまとめ、強引に来年通常国会に「障害福祉サ-ビス法」を提出しようとしています。みんなの力を合わせてサ-ビス法制定を絶対に阻止しましょう!
11・26厚労省抗議行動の報告
11月26日、グランドデザイン=「障害者福祉サービス新法」を撤回せよ!
 厚労省抗議行動に各地域から結集! 酒井 弘道
 この日は、21回目の社保審「障害者部会」が開かれ、グランドデザイン=「障害福祉サービス新法」のとりまとめ審議がおこなわれるとのことで、抗議行動をおこないました。また、私たちの仲間3名が審議の傍聴もおこないました。この日の行動には新潟、茨城、千葉、埼玉、府中、町田、板橋、大田、新宿、世田谷、各地域から約60名が集結。12時きっかりに、厚労省門前でビラまき開始。新法反対!の横断幕を掲げ、次々にマイクをとり、声をふりしぼって厚労省を追及しました。
 一人一人の「障害者」に、「障害程度区分」をもうけて、全国一律の上限設定をする。そして、これまで長時間派遣を受けている「障害者」の分を切り下げ、平均化する。派遣時間に応じて、利用料を新たに徴収する。・・・こんな新法が、国会を通ってしまえば、本当に地域で生きられなくなります。生活が破壊されてしまいます。地獄です。三十数年にわたって地のにじむような思いで勝ち取り、積み上げてきた「障害者」の地域生活。それが今、一気に奪い取られ根こそぎにされようとしています。私たちはそのような危機感を持って、訴え続けました。昼休みで表に出る職員や、厚労省を訪れるたくさんの人たちがビラを受け取っていきました。
 午後3時から経済通産省で「障害者」部会が開かれるということで、みんなで移動し、出席する委員や傍聴に来た人たちにビラを手渡し、マイクで訴えました。私も傍聴で中に入った一人ですが、中の会場に届けとばかり外では大声を張り上げていたのですが、反対側の部屋の委員たちにはその声は届いてきませんでした。残念!
 しかし、中に入っていく委員の一人が、「あなたたちはなぜグランドデザインに反対するんですか」と、言いよってきたり、ビラを受け取って行く委員も多く,プレッシャーをあたえられたと思います。「障害者」の介助の仕組みの重大な変更について話し合う場に介助を受ける当事者団体が入っていないというのはどういうわけなのか。障害種別の伝統的な大組織や、親の会、そして学者グループの意見を聞くのみで、、当事者中の当事者が外されているのに、当事者主義もなにもあったものではない。
●委員はなぜ問わぬ!「このグランドデザインで地域生活が本当に可能か!」
 これまで2回の「障害者部会」を傍聴して不思議に思うのは、この新法の内容で、ホントに「障害者」が、介助を受けながら地域生活ができるのか。できるというのならその具体的根拠を示せ!と、どの委員も厚労省に迫らないことです。そんなの当たり前のことです。24時間毎日毎時間、介助を受けて地域生活を送っている「障害者」がたくさん、たくさんいるんですよ。その人たちが、この新法のもとで、どうなってしまうのか。それを議論しないで、それを問わないでなにが「障害者」の代表なものか。なにが福祉専攻学者だ。みんなわかっていて、だからこそ議論しないんです。こんな内容で、必要な介助の保障ができっこないということを。ますます、悲惨な状況に陥っていくと言うことは明白なんです。お金がない。財源がない。だから「障害者」もガマンせよ。これが、この部会の大多数の委員の共通の認識であり、議論の出発点になってしまっています。だから反対できないのです。このグランドデザイン=「障害者福祉サービス新法」は、身体、知的、精神の3障害を統合した、はじめての法律になる、と厚労省はいいます。これまで「精神障害者」を障害者施策の対象からはずしてきたことこそ問題ですが、このグランドデザインの中に組み込まれることによって「精神障害者」にとって明るい未来があるかといえば、とんでもない。今後10年で、7万人の入院患者を地域に出すといっているが何の受け皿もないところでこんなことをしたらどうなるのか。アメリカでの例をひいて、私たちの集会で当事者が語ってくれました。それに、更生医療費の公費負担も、重度の人、継続して医療の必要な人に限定して、削減すると言う。どこをとっても、切り捨てる内容しか見当たらないのがこのグランドデザインです。
●介助を受けることはサービスを受けることか!
 介助を受けることも、他の商契約と同じようにサービスを受けるということなのだからサービスに、対価としてのお金を払うのは当然だ、だから「応益負担」にする、と言います。この部会の委員の一人である福嶋さん(「視聴覚障害者」)は、指点字で、介助を受けながら議論に参加しています。彼はいいます。「必要な介助が公的に保障されてはじめて健常者と同じように社会生活が可能になる。それではじめて同じスタートラインになる。それは決して[契約関係でサービス]を受けることとは根本的に違うものだと。このような数少ない委員の良心的な声もなんら議論にならず、一蹴されてしまうのがこの部会の姿です。応益負担にすると言うなら、一方で所得保障はどうなっているのか。そのことはこのグランドデザインではなにも具体的に出てこない。雇用保障だって、遅々として進まない。それどころかみんな解雇されているではないか。そう主張する委員がいました。ホントにそうです。でも所得は所得。たとえ充分な所得があったとしても、それは生活費に回るものです。そこから介助料を支払え!というのはおかしな話です。このように、良心的な主張をする委員さえ、介助=サービス論に立ってしまっています。
 今回の部会では、厚労省の就労対策課長がわざわざ出席し、ぶ厚い資料をもとに、1時間にもわたり、厚労省の「障害者」就労施策について説明しました。さらにそれに対して何人かの委員が質問し、応答が続いたので、グランドデザインそのものについての討議は時間が押して充分にできませんでした。予定では、あと1回で、そこで取りまとめようという予定だったのが、12月の部会は、2回やることになりました。
●今回の部会で新たに、厚労省が出してきたポイント
A.【障害者介護給付】の国庫負担は全体の2/1を前提に考えている。
B.地域生活支援事業は、地方交付税などにより、使途を限定した地方への一括交付金を考えている。
C.「移動(介護)」の類型については、【障害者介護給付】からはずし【地域生活支援事業】に移したことに強い疑問の声が上がっていた。それを受けて厚労省は今回次のような案を出してきた。
 特に強い行動障害等がある「知的障害者」と、「日常生活支援」類型の長時間利用者については個別【障害者介護給付】に入れる。ただし、現行と同じく低い単価にする。
 グランドデザイン=新法撤回に向けて、年内が勝負です!
 介護保険への組み込みは、各層からの反対論が根強く、今回の介護保険制度改正では見送られる可能性が高まりましたが(まだ予断を許さない)、このグランドデザインが、障害者福祉サービス新法として、来春の通常国会で通ってしまえば、決定的です。なぜならば中身は介護保険そのものだからです。年内が勝負です。
 DPI関係も、13日から15日まで連続行動に入ります。私たちも大きな声をあげて行きましょう!
11・26行動のビラ
グランドデザイン=「障害福祉サ-ビス法」に反対しましょう!
 厚生労働省は「障害福祉サ-ビス法」を年内に策定し、本日も行われる社会保障審議会・障害者部会審議を踏まえながら、法案を来年通常国会に上程しようとしています。私たちは、この「障害福祉サ-ビス法」に絶対反対です!
 この法案は「障害者の保健福祉施策の全体像を示す」として、10月12日に公表された「改革のグランドデザイン」にもとづいて「身体障害、知的障害、精神障害の3障害を統合し、共通する福祉サ-ビスの一元化をはかる」と説明し、あたかもすばらしい将来像がだされたかのように言われています。だが、中身はとんでもないものです。
①支給費を低く押さえるための上限をつけるために、介助が必要な度合を判定する要介護認定を導入する。②障害が重く利用するサ-ビス量が多い人ほど自己負担も多くなる応益制度を導入する。③移動介助を国が予算に責任をもつ介護給付から除外する。
 以上3点を見ても、「障害福祉サ-ビス法」が成立すれば、障害者の介助制度は財源を除けば介護保険制度とまったく同じ仕組みになります。まさに「障害者版の介護保険制度」です。これは、あらゆる分野で利用者の負担を大幅アップさせ、障害者とその家族の生活にも大きな打撃を与えるものです。
 19日マスコミは、自民党が「05年の介護保険制度改革では障害者の統合を見送る方向で調整に入った」と報道しました。では介護保険統合が見送られれば「障害福祉サ-ビス法」の成立は認めていいのでしょうか。決してそんなことはありえません!「他制度との均衡」を強調する厚労省は、24時間介助の必要な重度障害者に対しても、「1日最高でも4時間」という介護保険と同様の水準しか保障するつもりがないことは明らかだからです。
●中身は介護保険への移行!
 これでは、生きてゆくことができません。まさに「障害福祉サ-ビス法」は障害者の地域自立生活に対する死の宣告そのものです。施設隔離に反対し「人間らしく生きたい」という思いから障害者が30年かけてかちとってきた地域自立生活を奪うな!「障害福祉サ-ビス法」反対!この声を今日の障害者部会にむけて大きくあげてゆきましょう!
●介護保険にも「サービス法」にも反対しましょう!
 「障害福祉サ-ビス法」が出てきた背景には、これまでにも「財源を税方式にするか保険方式にするか」という障害者福祉財源での論争がありましたが、この「結論」を棚上げにしたとしても支援費制度を介護保険制度と一緒のものとして進めようという狙いがあります。また05年の統合を見送らざるをえなくなった場合でも、介護保険の次期見直しで統合にむけて準備するという狙いもあります。(なお、介護保険部会では、保険料の企業負担分の増大には「反対」という財界の意向をはじめ、社会保障の財源は消費税の大幅値上げに求めるべきだという主張もありますが、こうした消費税の値上げにも反対していきましょう)。
 しかしそれだけではありません。最大の狙いは「介護保険統合が見送られた以上、障害福祉サ-ビス法の成立には賛成してもいいのではないか」というような油断を反対運動につくりだし、これまで介護保険統合に反対してきた障害者団体にもサ-ビス法への賛成をとりつけることにあります。実際、障害者部会では介護保険統合では賛否がわかれているものの「グランドデザイン」については評価する意見が大勢をしめています。こうした流れをくいとめ、05年の介護保険統合を断念させた反対運動の力で「障害福祉サ-ビス法」の次期通常国会上程を阻止しましょう。
●具体的中身をひとつも明らかにしない厚労省
 厚労省は、要介護認定のための「客観的基準」として障害程度区分を導入すると言いながら、詳しい中身については何ひとつ明らかにしていません。障害程度区分をはじめ具体的にどうなるのかという肝心な部分は「下位法令できめる」「法律では枠組みを決めるだけ」と言ってはばかりません。障害者部会では、こうしたやり方に異論を唱え「十分議論する時間がほしい」と言う委員に対して、厚労省は「支援費制度はすでに財政的に破綻している。制度の存立はないという危機意識をもつべき」と恫喝するあり様です。しかしこれでは詳しい内容が利用者には何も知らされないままだった支援費制度の時のくり返し、あるいは財政的裏づけでもそれ以下の事態を引き起こすことでしょう。
 「必要な人に必要なサ-ビス」をうたい、少なくとも「現状の引き下がりをおこさない」と厚労省が言明したはずの支援費制度も、施行直前になって突然、ホ-ムヘルプの国庫補助基準に「1日最高でも4時間」の上限が設定され「個々人の支給量の上限ではない」と厚労省が言ったにもかかわらず、新規申請者にはこれが適用されています。従来の利用者も経過措置で予算が確保されているにすぎず、町田市のように引き下げる自治体も出ています。今度は、すべての障害者により過酷なホームヘルプの上限を強制しようとしているのです。応益負担についても障害者部会で「障害者の所得保障の低さを考慮して応能負担を採用した支援費制度導入時とくらべ、現状は改善されていない。応益負担に変更するというなら所得保障をどう改善するのか」という委員の批判に対して厚労省は「稼得(かとく)能力の向上で考えている。ストレ-トな所得保障は考えていない」と答えています。
 障害者は「働いてかせげ」というのです。リストラで失業者があふれる現状で「働ける」障害者でも就職先がないのが現実です。働けない障害者はどうしろというのか!利用料が払えず介助がうけられない障害者には死ねというのか!これこそ障害福祉サ-ビス法の正体です。
●しかしサ-ビス法の登場は、障害者の介護保険統合反対運動が05年の統合を断念せざるをえないところに厚労省をおいつめた結果です。私たちの運動の勝利がうみだしたものに他なりません。この力で今度は「障害福祉サ-ビス法」を絶対に阻止しましょう!12・14厚労省抗議行動の報告
12月13日~15日と数百人の障害者が厚労省をとりかこみ抗議!
14日の障害者部会では委員から批判が続出!
 怒りネットは、11月26日につづき12月14日の障害者部会に対する抗議行動をおこないました。13日~15日の「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会の行動にも参加し、障害者部会も数人が傍聴しました。
 12月10日には介護保険部会で、介護保険を20歳以上に拡大する案が合意できず、来年の上程案では対象拡大策(=障害者の統合)のもりこみを断念する方針を厚労省が表明しました。こうしたなかで開かれた14日の障害者部会では厚労省から応益負担導入にあたって利用者の急激な負担の増加を軽減する対策として一定の減額措置をとるという案がだされました。しかしそれも3年間です。あくまで経過措置にすぎません。会場が庁舎の正門側だったため、抗議行動のマイクの声が、かすかながらずっーと会場のなかでも聞こえました。今回は、前回と一転して各委員から厚労省に対する批判の意見が次々とだされました。まず、視覚と聴覚の障害者である東大助教授の福島委員から意見書が提出され「生きるうえでの基本的な自由を保障するための支援に利用料を求めることは、障害者が{無実の罪}で閉じ込められたこの『透明な壁の刑務所』から開放されるための『保釈金』を支払うよう、本人や家族に求めることと同じではないか。しかも1回だけではなく、毎日でも繰り返し支払わねばならないのと同じなのではないだろうか」という批判の発言がありました。つづいて全国脊髄損傷者連合会の大浜委員も「財源がうんぬんされているが、グランドデザインは障害者介護施策の原点である『すべての障害者が安心して普通に地域生活ができる』ことに立ち返って考えるべきだ」と要望書にそって発言。さらにOECDの資料として各国の財源に占める障害者福祉予算の割合の国際比較を示し「日本0,9%、アメリカ1,5%、イギリス3,3%、ドイツ4,8%、フランス2,9%、スウェ-デン8%」で日本は最下位であること、支援費の予算がのびたのは今までがあまりにもなさすぎたからだということ暴きました。
●「具体的な内容がわからない!ちゃんと議論できる場をつくれ!」と委員が抗議
 身体障害児の施設関係者からも「障害年金2級6、6万円の人のグル-プホ-ムでの生活がどのように成り立つのか、私の実感としては全くイメ-ジがわいてこない。生活保護をとるか、施設にもどるか、いずれにしても地域生活にいくとは到底思えない」と批判がされました。また知的障害者の関係者からも「障害児については3年かけて討論すると(厚労省は)言っていたのに、今の時点で障害児の実態を知ることもなくだされてきて、その負担の大きさにショックを受けている。こんなことなら私は部会をやめなくてはいけない」と怒りの声があがりました。これに対して厚労省は「厳しいことたのんでいるが、財源問題もあり、ご理解いただきたい」と例によって判で押したような態度です。最後に大浜委員が、部会のやり方そのものをとりあげ「厚労省の説明で時間を費やし議論ができない。国会議員もサ-ビス法の内容がわかっていない。外で障害者団体がさわいでいるが、みんな具体的な内容がわからないので地域生活ができなくなるのではないかと心配している。ちゃんと議論できる場をつくってほしい」と強く要求しました。
 たしかにどの委員もグランドデザインに根本的に反対する立場ではありません。しかしそれでも今回だされた批判には、厚労省の方針と相いれない中身があります。とくに福島委員の意見は厚労省の応益負担導入の論拠を本質的に論破していました。障害者の抗議行動は障害者部会にも大きな影響をあたえています。27日の障害者部会にも抗議の声を集中しましょう!
12・14行動のビラ
「障害福祉サ-ビス法」制定を阻止しよう!
 厚生労働省は、12月14日と27日の社会保障審議会・障害者部会でグランドデザイン=「障害福祉サ-ビス法」について意見をとりまとめ、来年通常国会に上程しようとしています。サービス法案は「1日最高でも4時間」という上限をつけるための要介護認定制度や利用者に大きな自己負担を強いる応益負担の導入など、障害者の介助制度を、財源等を除けば介護保険制度とまったく同じ仕組みに変えようとするものであり、まさに「障害者版の介護保険制度」として絶対に認めることはできません。私たちは「障害福祉サ-ビス法」に反対です!
●サービス法は介護保険と同じ仕組み
 現在、障害者の介護保険統合に反対する闘いは、05年見直し=06年施行では介護保険適用対象の20歳以上への拡大(=障害者の統合)をいったんは断念せざるえないところまで政府・与党をおいつめて来ました。
 こうしたなか厚労省は、あくまで介護保険統合をねらい関係団体のきりくずしを追求するとともに、他方でたとえ統合が見送られたとしても「障害福祉サ-ビス法」の来年国会成立(2月提出か!)だけは何としても押し通したいと、そのための障害者団体の取りこみを新たに強めてきています。
 11月26日の障害者部会では厚労省は、「障害福祉サ-ビス法」の内容でいくつかの詳細と修正を示してきました。・応益負担を導入しつつも、負担額の上限を減額する対象となる「負担能力の乏しい者」という範囲を示したことに加え、非課税世帯は月2.4万円、年金2級のみなら月1.5万円を負担上限とするなどの新たな低所得者対策を導入する。・これまで身体介護、家事援助のみだったサービス法の「日常生活支援」に「一定程度以上の重度障害者」への介護付き移動介護も加え「個別給付」に入れる(重度の「知的障害者」「精神障害者」に対する「行動援護」も入れる)ことなどを新たに公表しました。
 しかし、たとえばこの移動介護は「日常生活支援」をつかう全身性障害者の場合、その枠内で使えることにはなりますが、単価が低く抑えられることは変わらず、事業体の「日常生活支援」の引きうけの少なさも一向に変わりません。また、市町村裁量の地域生活支援事業に移された「移動支援」なる移動介護を使った場合でも、それは社会福祉協議会のような市町村から委託をうけた事業体だけがやるガイドヘルプサ-ビスに移され、実体的には高単価の「身体介護付き移動」がなくなっていくことが想定されます。
 すでに大田区では今年4月から移動介護に「1日1時間」という不当な上限をつけました。サ-ビス法を認めれば、次に国が言いだすのは「公的サ-ビスの範囲には限界がある。足りない分は自助努力やボランティアで補え」というセリフに違いありません。市町村の限られた予算の中にある地域生活支援事業について障害者がそれぞれ自分に必要な事業の充実を求めれば、限られた予算をめぐって、まさに障害者同士が「パイの奪いあい」をするような関係が強制されるでしょう。こうした障害者運動の団結をぶちこわすサ-ビス法には絶対に反対しましょう!
 さらにサ-ビス法の介護給付には「重度障害者包括サ-ビス」という類型が新設されています。厚労省はこれを2ランクに分け「医療的ケアや強度行動障害で常時見守りが必要な長時間介助の者」(1類型)と「そうでない者」(2類型)に区別し「日常生活支援」を2類型にくみこもうと考えている可能性があります。
 7月、高原障害保健福祉課長は「全身性障害者がすべて長時間サ-ビスがないと生命維持が困難なのではない。生命維持が難しい場合とそうでない場合に整理させていただく」と発言しています。包括サービスの単価はギリギリまで隠し、サ-ビス法を先に成立させ外堀を埋めるのが厚労省のやり方です。
 1類が月80万円程度とも言われるなかで、2類がもっと低くなることは確実です。24時間介助を必要とする障害者はとうてい生きてゆくことができません。また応益負担に低所得者対策をとると言っても、例えばグル-プホ-ム利用の障害者は障害年金2級(月6.6万円)の人でさえ1.5万円の自己負担が求められ(通所施設の利用者はさらに昼食費1万円も)、すでに家賃と食費等で月5万~10万円の自己負担をしている中にあっては「生活が大破綻する」と当然にも怒りの声があがっています。
●福祉を削って戦争するな!赤字の責任は国が取れ!
 厚労省はふた言目には「ほかとの均衡」をあげつらいます。でもなんのことはないサ-ビスは低い方に、自己負担は高い方にあわせているだけ。それらすべてが「国は財政赤字だからしかたない」と言って正当化されています。しかしそもそも国の財政赤字は障害者の責任ではない!
 11月26日の障害者部会では、全日本手をつなぐ育成会、日本身体障害者団体連合会全国社会福祉協議会等がサ-ビス法や介護保険統合に賛成する意見書を出しています。厚労省に賛成する障害者団体の幹部の人たちも厚労省に同調して「財政赤字だからしかたがない」と言います。ではなぜ銀行救済や軍事費にはケタ違いの予算がつぎ込まれていることを批判しないのでしょうか。大企業や大銀行を優遇し軍事予算を確保するために社会保障費を削りに削って民衆に犠牲をしわ寄せしようとしているのが今の政府ではないでしょうか。来年度の防衛予算は年4.8兆円にものぼり、こうした予算で自衛隊のイラク派兵もおこなわれています。人を殺す戦争に予算を使うのではなく、人が生きるための福祉に使うべきではないのか!国は障害者が地域で生きる生存権を保障せよ!
兵器・弾丸より福祉を!障害福祉サ-ビス法反対!
力をあわせて闘おう!
12月14日の福島委員の意見書(要約)
生存と魂の自由を
 障害者福祉への応益負担導入は「保釈金」の徴収だ
◆私たちの社会は、犯罪者に罪を償わせるために刑務所において、行動の自由とコミュニケ-ションや情報アクセスの自由などを奪い、制限するという法制度をもっている。そのあり方や内実の是非はともかく、それが罪の償いになると考えられているということは、すなわち人が生きるうえでこれらの自由の制限がその人に大変な苦痛を与えると私たちが考えているからだろう。そう考えると、障害者は行動に自由やコミュニケ-ションの自由が奪われているという意味で、いわば「目に見えない透明な壁に囲まれた刑務所」に{無実の罪}で収監されている存在だとも把握できる。
 そこで、この「透明な壁」から抜け出し、解放・釈放されるためには、人的サポ-トを含めたさまざまな支援が必要だ。障害者がこの「透明な壁の刑務所」に入ったのは、無論、罪を犯したからではなく、生まれながらの運命だったり、不慮の事故だったりするわけで、いわば自然災害などと同様、個人の力や責任のレベルを超えたところで生じてしまう事態だといえる。そして、こうした個人の責任を越えた困難な状況を社会全体で支援しようとするのが、本来の福祉施策の原則なのではないだろうか。
◆なぜ障害者だけが特別なのか、という議論がある。障害者のサ-ビスも医療保険のように応益負担を導入するべきだという議論がある。私も障害者だけが特別に取り扱われるのは適切ではないという意見に賛同する。しかし、現実の法制度はそうなっていない。
 たとえば、重度障害者が働く作業所などでは最低賃金法が適用されていない。そして障害者の失業率は国民全体のそれよりもはるかに高い。こうしたことに代表されるように、障害者に対する差別的な取り扱いや仕組みは厳然と残っている。こうした現状を温存する一方で、サ-ビスの負担の部分だけ「みんな平等だ」というのは理念的な一貫性に欠けるのではないか。
◆サ-ビスの供給側が公的機関ではない場合、利潤追求のために、必要以上のサ-ビスを供給しようとする不正な動機が生じる可能性は否定できない。そうした問題を防ぐための手段として応益負担を課すという選択肢もあるだろう。しかしそれは他の方法でも対応可能なはずだし、それをまずめざすべきではないのか。
 なお「(本人所得が低い場合の)同一生計の家族」による負担という仕組みにも、賛成できない。もとより、どのような公的支援制度が導入されたとしても、家族と同居する障害者は、その障害故に有形・無形の特別な支援を家族から受けているものであり、本来そうした「家族による支援」を社会的労働として認定するのが適切であるはずだ。ところが、現在の家族への手当は「障害者特別控除」など税制面での間接的なもので、額も実質的には大きいとは言えない。そこに新たな家族の経費負担を導入すれば、障害者との同居で発生する有形・無形の特別な負担に、さらに新たな経済的負担が加算されることになり、制度利用が不適切に抑制され、結果的に障害者の自立や社会参加はますます困難になりかねない。
 これは障害者のニ-ズを社会全体で支援しようという発想ではなく「本来家族で面倒みるべきもの。それを社会が一部手伝うのだから、その見返りに家族は費用を負担せよ。それが障害者を家族に持ってしまったあなたがたの運命だ」と言っていることと同じであり、家族の連帯意識や愛情を逆手にとった財政削減の巧妙なしかけに思える。
◆応益負担導入の議論の根底には、障害者のニ-ズに充分に応えようとすればきりがないという不安が暗黙裡に存在するように思われる。しかし、果たしてそうか。
 障害者のニ-ズ、とりわけ人的支援のニ-ズには自ずから限界があり、同時に支援を求める障害者の数にも限りがあるため、一定の水準内には必ず収まる。今、利用が伸びているのは、これまでニ-ズが隠されていた、つまり本人や周囲が犠牲になっていたからであり、利用の伸びは本来望ましいことであり、やがて一定の水準で概ね固定されるはずだ。ところが、それなのに、制度利用の拡大が何か悪いことのように、とんでもなく不適切な状況でもあるかのように語られるのはおかしいのではないか。
 また、社会全体の負担の総量はこれまでと同じか、むしろ少なくなるだろう。なぜなら、これまで障害者のニ-ズは潜在していて顕在化していなかった。それは何を意味するかというと、本人が我慢していたこと、つまり、本人が自立や社会参加や就労が果たせずにいたことと同時に、家族や周囲の人、特に女性が犠牲になって支援をしていたことを意味するのではないか。

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