« 怒りネット通信 第10号 | トップページ | 怒りネット通信 第12号 »

2005年4月 4日 (月)

怒りネット通信第11号

怒りネット通信第11号
2005年4月4日発行
怒っているぞ!障害者きりすて全国ネットワ-ク
■もくじ
・「障害者自立支援法」批判              P1
・2.7~8ピ-プルファ-ストジャパン厚労省行動報告 P15
-----
4・13 障害者自立支援法を廃案へ!
障害者と議員の懇談会にあつまろう!
   12時半 第2衆議院議員会館ロビ-集合
   13時  会場(第3会議室)
   13時半 開会(~15時)
-----
障害者自立支援法は廃案あるのみ!
古賀典夫
 2月10日、「障害者自立支援法」(以下「支援法」)案が国会に上程された。それに先立って、8日には「介護保険法」の改悪案がやはり上程されている。そして、国会ではその厚生労働委員会を中心に4月1日から「介護保険法」の審議に入り、その後5月の連休明けに「支援法」の審議がおこなわれると言われている。
 どちらもすさまじい福祉切りすて法案である。介護保険法では、要支援や要介護1の人には、ヘルパーの派遣が事実上おこわれなくなり、特別養護老人ホームでは部屋代の徴収や応益負担の完全実施により利用者負担が年金額を大きく上回る事態がおこってくる。介護保険だけでは、地域では生きられない。
 厚生労働省は、この介護保険法の見直しで、障害者の介助制度を介護保険の制度として組み込むことを狙っていた。これに対して全国の障害者の反対運動が展開され、他方で、保険料の企業負担の増加に反対する財界の右からの抵抗もあって、今回の介護保険組み込みは見送られた。               
 しかし厚労省は、10月12日の社会保障審議会(以下、社保審)の障害者部会で、障害者関係法を見直すための「グランドデザイン」を発表し、税財源を使いながらも障害者福祉の制度を介護保険制度に近づけるための方針を明らかにした。すなわち障害者の介助制度をそうした方向で再編するとともに、医療制度も再編し、全体としてくまなく1割の応益負担をとっていこうとするものである。この「グランドデザイン」をもとにして作られたのが「支援法」である。
 この「グランドデザイン」には、全国の障害者や関係者の反対の声がつきつけられてきた。また社保審の障害者部会の委員からも反対や疑問の声がだされてきた。厚労省はこれらの声を無視して「支援法」をつくりあげた。そして法律も成立していないのに、都道府県や市町村(ここには東京都の23区も含む)に準備を開始させようとしている。法治国家や地方自治の建前さえかなぐり捨てるやり方だ。
 厚労省が2月17日の全国の障害保健福祉関係主幹課長会議で発表したスケジュールによると、3月、5月、6月と全国会議を実施し、5月には応益負担にかんする素案や「障害程度区分」にかんする素案を示し、都道府県や市町村に具体的な準備に入らせようとしているのだ。5月と言えば、まだ法案さえ国会を通過していないだろう。そして応益負担導入はなんと来年1月から。これにむけて「障害程度区分」を9月に確定し、10月以降それにもとづく認定作業を開始するという。精神医療の通院医療費公費負担の(事実上の)廃止にいたっては、今年10月から施行するというのだ。とんでもないスケジュ-ルである。
 法案の中身はあとで詳しくのべるが、一言でまとめると次のように言えるのではないかと思う。法案ですすめられる政策は、利用料を大幅に増やすことと保障する制度の水準を下げることによって、福祉予算を切り捨てること。そして、法案の理念も、資本主義社会が要求する能力をもつ者しか受け入れない、ということである。「支援法」成立の先に思い浮かぶのは、地域生活が成り立たなくなる障害者、外出するための金もなく施設に閉じこもらざるをえない障害者の姿である。「働いて稼げ、稼いで払え」という応益負担の導入は障害者がおかれている差別的現実と絶対に相いれない。
 今国会には、ついに尊厳死法案も提出されようとしている。この動きは「支援法」や介護保険改悪案と完全にひとつながりだ。「支援法」や介護保険改悪での妥協は、障害者や高齢者に対する尊厳死-安楽死攻撃に道をひらく。「支援法」は廃案あるのみ! 介護保険統合を阻止した障害者の団結の力で、今度は「支援法」をなんとしても廃案に追い込もう。障害者運動の原点にたちかえり力をあわせて未来をきりひらこう!    
★「支援法」の中身
 以下、「支援法」の解説を柱に法案批判をしてゆきたい。
 「グランドデザイン」を審議する社保審の障害者部会で厚労省側は「訓練をすれば、施設から出られる人もいる」と発言した。つまり、適応できる能力をもったもの以外は、施設に隔離されていても当然である、ということだ。この考え方は、「支援法」のなかに一貫している。
 この法案の「目的」を始め、「市町村等の責務」、「国民の責務」、「指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設等の設置者及び指定相談支援事業者の責務」、「市町村の地域生活支援事業」、「都道府県の地域生活支援事業」などの中に「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう」という表現がみられる。これは先ほどの厚労省側の発言と同じ趣旨であり、決してすべての障害者の地域生活を保障していこうとするものではない。そのことは、この法案が推進する具体的な政策を検討すればますます明らかになる。
●法案が想定している制度
 法案では以下に記す「介護給付」と「訓練等給付」をあわせて「障害福祉サービス」と定義している。また「障害福祉サービス」のことを「介護給付等」と表現している部分もある。
●介護給付
1。居宅介護-ホームヘルプのこと。身体介護、家事援助などの種類はここでは記されていない。
2。重度訪問介護-支援費制度における「日常生活支援」プラス「移動介護」を一体としたもののようだ。これまで日常生活支援の対象者は、全身性障害者などと規定していたが、ここでは「常時介護を要する障害者」とされており、対象者を絞り込んでくる可能性があるのではないだろうか。
3。行動援護-対象は、知的障害者と精神障害者だが、どの程度の人を対象とするのかはこの原稿を書いている段階ではまだ不明である。しかし、この4月から支援費制度の中でこの類型が実施されることになっている。
4。療養介護-病院での昼間の介助のこと。夜間については、「療養介護医療費」として、医療機関に支払うことが想定されている。この場合の療養が後に述べる「自立支援医療」に限定されるのか、一般の医療にも行われるのかは不明である。
5。生活介護-施設に入所している障害者の昼間の介助のことである。
6。児童デイサービス
7。短期入所
8。重度障害者等包括支援-グランドデザインのなかでは、医療的ケアの必要な者であることが述べられていた。一定の金額を事業者にわたし、その中で必要な介助や医療的ケアを提供するというもののようだ。どの程度の金額をつけるかは不明である。
9。共同生活介護-法案では障害の種類については触れていないが、想定しているのは精神障害者と知的障害者であり、グランドデザインではケアホームという名前で呼ばれてきた。ケアホームとは、グループホームの対象となる人よりも介助の必要な人を対象とするものとして構想されている。
10。施設入所支援
●訓練等給付
1。自立訓練
2。就労移行支援
3。就労継続支援-決して一般企業での就労の継続ではない。福祉工場のような施設を念頭においている。
4。共同生活援助-グループホームを念頭においている。ここでも対象は、知的障害者と精神障害者である。
●自立支援給付
 この内容は、上に記した「介護給付」「訓練等給付」のほかに、相談支援事業者による「サービス利用計画作成」(ケアマネージメント)、「自立支援医療」(これまでの精神障害者の通院公費、更生医療、育成医療をあわせたもの)、「療養介護医療費」、補装具などのための費用を給付することとしている。
 またこの中には、「高額障害福祉サービス費」がある。介護保険と障害者関係法との両方の制度を利用する人(65歳以上の障害者など)の場合、双方の制度からの費用徴収を求められることになり、負担が高額となるために、支給される制度である。
 またこのなかには、施設を利用している障害者のなかで、費用徴収の増加のために、生活がひっ迫してしまうような人には、一定の金額を給付する「特定障害者特別給付費」も含まれている。人件費をも含む食費・光熱水費・居住費の実費負担、日用品費、医療費を自己負担したうえで「サービス費用」の1割の自己負担を求められることになり、1級の障害基礎年金(月額8.3万円)の人の費用負担はこれまでの3.4万円から6.8万円に増加すると計算されている。そこで経過措置として、06年度から3年間は2.5万円、その後3年間は2.1万円が手元に残るように「特定障害者特別給付費」を出すというのだ。しかし、それも一定の預貯金をもっている人には支給されない。また、2万5千円でさえ生活が成り立たない、と施設利用者からは抗議の声があがっている。
 「障害福祉サービス」と補装具の費用については、その9割が税財源から支出される。そして、利用者側は原則的に1割の自己負担をおこなうとされている。9割の支出については、国が50%、都道府県が25%、残りを市町村が負担することになっている。
 これまで、地域で生活するための介助制度の予算については、国が50%以内、都道府県が25%以内の補助金をそれぞれ市町村に対して支出するとしてきた。これに対して施設については、国50%、都道府県25%の義務的負担になってきたのであり、この不公平に対して批判をあびてきた。それをあたかも解消するかのようにも思われる今度の改定だが、あとで述べるように、地域での介助制度に上限をつけ後退させることと一体に進められようとしているのである。
●地域生活支援事業
 法案では、以下のものを「地域生活支援事業」の内容としている。
1。相談に応じ、権利擁護などを行う事業 
2。手話通訳者の派遣などのコミュニケーション支援事業。要約筆記や指点字通訳なども、ここに入ると思われる。
3。日常生活用具を給付または貸与する事業
4。「移動支援事業」
5。地域活動支援センタ-ここには、通所施設が行ってきた事業、デイサービス、作業所などが含まれるようだ。
5。この他、福祉ホームなど居住の場や日常生活の便宜を提供する事業なども市町村の判断でできるとしている。
 以上のものについては、主要に市町村がおこなうこととされているが、都道府県もおこなうことができるようになっている。また、これまで更生相談所や精神保健福祉センターがおこなってきた事業を、都道府県の「地域生活支援事業」としている。
 ところで、2。~5。については、これまで行われてきた9種類ほどの事業が含まれているが、これまでそれぞれについて国と都道府県が補助金をつけてきたものである。1。については、2002年度まではそうだったが、その後一般財源化されたものだ。
 しかしこの法案では「地域生活支援事業」とひとくくりにして、国と都道府県から補助金をだす仕組みとしている。したがって、どう割りふるかは市町村の裁量ということだが、厚労省の狙いは、これらの補助金そのものの削減にあることは間違いないだろう。これによって、いかに多くの直接の国庫補助事業が減らされることか。また「地域生活支援事業」の予算規模によっては、これらの事業を大幅に縮減させられることになる。
 これまで「居宅介護」として位置付けられていた移動介助がこの中に入れられたことは、移動介助の需要が高まっているなかで、これを押さえ込み切り捨てていく狙いがあるものと思われる。
★応益負担について
●応益負担を始めとする利用料の大幅アップ
 応益負担とは、福祉の提供を必要欠くべからざるものとしてではなく、「サービス」として提供し、その利益にみあった額を払わせるという考え方である。決して保障すべきものとはしない考え方である。障害者福祉関係法にサービスという言葉が登場するのは、2000年の法改定の時からであり、それが支援費制度を規定した。
 「障害者」は、介助があって、はじめて他の市民と同様に、暮らし、移動し、会話することなどができる。その介助を受けることが利益を受けることか?!。その結果、介助の必要な「重度の障害」の人ほど、たくさんの利用料を支払わなければならなくなる。しかし、重度な人ほど就労は困難だ。
 厚労省は「契約制度になったのだから、応益負担は当然」と言う。そして、支援費制度が応能負担だったことは「激変緩和措置」だったと言う。
 グランドデザインにおいて考慮されるのは、他制度との比較であって、介護保険、健康保険などの利用者負担との比較のみが強調され、「障害者は払っていない」ということが声高に主張されている。応益負担とは生存権を否定するイデオロギーなのだ。
 法案では「障害福祉サービス」、「自立支援医療」、「補装具の給付」を受けるためには1割の自己負担が必要とされている。
 法案では、生活を考慮するとして所得に応じて支払いの限度額をさだめることにしている。しかしこの所得とは、制度を利用する障害者の所得だけではなくて、家族(生計を一にする者)の所得も計算に入れられるのである。これまで障害者福祉関係では運動の成果もあり、家族の所得が考慮される場合でも、配偶者か子どもという場合が多かったが、法案では家族全体が調べられる。次の二つの条文を見てほしい。
・「第九条、市町村等は、自立支援給付に関して必要があると認めるときは、障害者等、障害児の保護者、障害者等の配偶者、若しくは障害者等の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者、又はこれらの者であった者に対し、報告、若しくは文書その他の物件の提出、若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。」
・「第十二条、市町村等は、自立支援給付に関して必要があると認めるときは、障害者等、障害児の保護者、障害者等の配偶者又は障害者等の属する世帯の世帯主その他、その世帯に属する者の資産又は収入の状況につき、官公署に対し必要な文書の閲覧、若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関、若しくは障害者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。」
 応益負担の確実な徴収や家族全体に責任を負わせるということから、このような条文が入れられたのだろう。こうした条文は、これまで障害者関係法にはなかった。介護保険法には同種の条文があるが、それでさえ「その他その世帯に属する者」などという表現はなかった。
 日本身体障害者団体連合会(日身連)、日本障害者協議会(JD)や自民党の八代議員などは、所得計算の対象から家族をはずせば、応益負担を飲む意思表示をしている。これ自体とんでもないが、この法案ではこうした意向をさえ無視している。
 そして、所得に応じた上限、といっても取り立ての大幅増加であることには変わりはない。1月25日に発表された厚労省の資料(以下、1.25資料)によると次のようになる。
 生活保護の世帯からは利用料は徴収しない。あたりまえだが。
 「低所得1 : 市町村民税非課税世帯であって世帯主及び世帯員のいずれも各所得がゼロであり、かつ、世帯主及び世帯員のいずれも収入が80万円(障害者基礎年金2級相当)」の世帯からは徴収の上限は1万5千円。障害者基礎年金が月に6万6千円だが、そこから1万5千円までは徴収できるとしているのである。
 「低所得2 : 世帯主及び世帯員の全員が市町村民税の均等割非課税である世帯に属する者」からは2万4600円。障害者基礎年金1級の人はここに属することとされているので、月8万3千円の年金から2万4600円までは取られることになる。
 そして、1円でも課税されている人や世帯からは4万200円が徴収されるのだ。年間収入が300万円以上ある世帯はここに入る。言いかえると、それ以上いくら高額な所得を取っている人でも4万200円どまりである。低所得者ほど苦しめられることになるのだ。
 これを現在の支援費制度の利用者負担と比較してみよう。支援費制度は、措置制度の応益負担をうけついでおり、成人の障害者の場合は配偶者か子供の所得しか考慮されない。措置制度の時よりも増額されたとはいえ、居宅支援(ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ)の場合、住民税非課税の世帯では0円、住民税のなかでももっとも税額の低い均等割りのみ課税の世帯が1100円である。
 これほどの利用料増額を前にして、どうしてどこぞのお暦々は、障害者個人の所得を対象とした応益負担なら認める、という態度がとれるのだろうか?
 しかしこの支払い限度額は、「障害福祉サービス」のなかだけのことであって「自立支援医療」、補装具の負担については、これとは別に取られる。したがって支払い限度額を超えることはあるのだ。また介護保険と「障害福祉サービス」の双方を適用された障害者や同一世帯で複数の人が介助を受けるような場合に、支払いが高額となるので「高額障害福祉サービス費」が支給されることになっているが、これが上述した支払い限度額になる程度に支給されるのかどうか、法案では明らかではない。
 グループホームの関係者からは、応益負担になり利用料が増額されると、生活が破たんする人が続出するのは必至、という声が上がっている。グループホームは、家賃を支払わなければならない制度であり、家賃補助を市町村が行っていない場合には、利用者はいろいろな経費を含めて月額10万円以上支払っているところも多い。
 介護保険について、財務省は、利用料を2割や3割に引き上げることを検討すべき、としている。
 介護保険では、1割の負担でも、利用抑制となって、利用限度額の50%しか平均して使われていない。この状況が障害者にもおしつけられるのだ。そして、いったん応益負担を容認すれば、その負担率がどんどん上げられていくことは明らかだ。
●公費医療の再編
 これまでの身体障害者を対象にして、その障害の治療としておこなわれてきた更生医療、身体障害児を対象におこなわれてきた育成医療、精神障害者の通院公費制度の三つを、「自立支援医療」としてこの法案では一本化しようとしている。
 育成医療と更生医療は、これまで応能負担であった。精神障害者の通院公費制度は、これまでは5%の応益負担であったが、自治体によっては補填を行い無料にしてきた所もある。「自立支援医療」では、これらすべてを10%の応益負担にしようとしている。支払い上限の対象とする症状などについて、1.25資料では以下のように記載されている。
上述の「低所得1」の人や世帯の場合は、1月当たり2500円。
 「低所得2」の場合は5000円。
 住民税のみが課税されている場合は、5000円。
 所得税課税世帯は1万円。
 所得税額が30万円以上の場合は、「自立支援医療」の対象とはされない。
また入院の場合には、食費を新たに徴収するとしており、これはまた別に取られる。さらに法施行後3年で「一定の所得」の場合、支払い上限額を2万円まで引き上げることを検討するとしており「自立支援医療」の対象者の支払いはさらに増やされていく。
 症状によっても、対象を限定するとしている。
 精神の場合は「統合失調症、そううつ病(狭義の)、難治性」とされている。狭義の「そううつ病」とはどういうことか厚労省に質問したが、まだ決まっていない、と回答するのみであった。しかし「自立支援医療」の対象とならない人を作ろうとしていることは確かである。
 更生医療、育成医療の対象だった症状も「腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害」に限定するとしている。これまで対象とされてきたものが大部分対象とされないということだ。
 これらの症状も「重度」であり「継続」的な医療が必要と判定されない場合には、対象外とされる。そして1年ごとに症状と所得について再認定を受けなければならない。この他「高額な費用負担が継続する」場合を対象とするとしている。これら対象となる症状も「当面」としており、さらに見直しが行われることになっている。
 身体障害者の場合、自治体の事業として行われている医療費を無料にする制度(所得制限はあるが)があり、それが崩されない限り大きな打撃はないかもしれない。しかし精神障害者の場合は、そうした制度もないので、もろに影響を受けることになってしまう。対象からはずされた場合には、たとえ低所得の場合でも一挙に一般の保険医療で3割負担をしなければならない場合も出てくる。
 さらに問題なのは、医療機関の指定の問題である。精神障害者の通院公費については、これまでは指定制度はなく、選ぶことができた。このことは精神医療についてはとりわけ重要である。医師など病院関係者と信頼関係が結べるのかどうかが、その医療にとってとりわけ重要だからである。
 ところが、法案では、都道府県が指定した医療機関のなかから市町村が1ケ所を選んで指定する、としているのである。確かにそれを変更することもできるのだが、手続きや変更までの時間など、患者側の負担が大きくなることは明らかだ。
 グランドデザインの宣伝文句では、精神・知的・身体の3障害共通のシステムにする、ということが語られた。国家自身の差別により、精神障害者、知的障害者は身体障害者よりも、福祉制度等さまざまな面において不利な状況におかれてきた。とくに支援費制度の外におかれてきた精神障害者関係者の中には、福祉の充実を期待する声もあった。
 しかし、法案で示されている内容は、精神障害者の状況をますます苦しくするだけである。いわば3障害もろとも切り捨てるということなのだ。
 精神障害者の社会復帰施設においては、もうすでに食費などの実費が取られてきた。しかしそこにさらに、施設サービスに対する1割負担がのしかかるのだ。ほかに何か充実する内容については、グランドデザイン、法案のどこを読んでも出てこない。それどころかこれを機に精神障害者の多くが反発してきた手帳への写真添付や指定医の診断がなくても強制入院を開始できる制度までを導入しようとしている。
★地域での介助制度はどうなろうとしているのか
 グランドデザインで厚労省が示してきたのは、介助制度を利用する障害者を判定して「障害程度区分」を決め、この「障害程度区分」のそれぞれに対応する介助保障の「客観的基準」を作るということだった。介護保険では、市町村が認定する要介護状態区分(6段階)に対応する支給限度額が決められている。これと同じような制度をつくろうとしている。国は、この「客観的基準」の部分に対してだけ国庫負担を行う。
 この区分が障害者手帳の級とは別に決められる。障害者が制度利用を市町村に申請した場合、市町村の職員がその障害者や保護者に会いにきて調査を行う。市町村は、この調査を「指定相談支援事業者」に委託しておこなわせることもできる。
 このデータをもとに「介護給付費等の支給に関する審査会(以下「市町村審査会」という)」が審査判定をおこなう。その結果を受けて市町村が区分を認定する。
 実際の支給量も市町村が決めるが、その場合法案ではこの区分のほか、介助する者の状況、障害者や障害児の保護者の意向などを勘案して決める、とされている。しかし、国庫負担が「障害程度区分」に対応した基準にしか出ないようにするため、その基準以上の介助保障がおこなわれるのは困難となるだろう。
 また法案では、市町村はこの支給量を決定するために、「市町村審査会」や都道府県の更生相談所、精神保健福祉センター、児童相談所に意見を聞く場合があることを示している。厚労省によるとこうした相談が行われるのは、「障害程度区分」を超えるような支給が求められる場合だそうだ。障害者の側から言えば、こうした機関の意見も背景にして、市町村の意向がおしつけられることになるということだ。
 障害者の場合、これまでは、市町村が認定することは同じだが、審査会はなかった。在宅の障害者にとっては「障害程度区分」もなかった。だから市町村の職員が調査に来て、利用者の声を聞いてどれだけの保障をおこなうかを決めていた。だから介助保障の支給量を増やすためには、市町村の窓口に行って交渉して決めていた。
 法案が成立すれば、市町村の窓口で交渉しても「あなたの障害程度区分は、これこれだから、ここまでしか出せない」と言われるだろう。あるいは、審査会も県の機関もこういう結論だから従ってもらわないと、と言われてしまう恐れがあるのだ。
 「障害程度区分」は、支援費制度において、施設の利用者に適用されてきた。この場合は、3段階で判断していた。そして、重度とされる人が多いほど施設に支払われるお金が多いという仕組みを作った。
 この「障害者自立支援法」案による区分は、これから検討されるようだが、「グランドデザイン」のなかでは、当面として、介護保険の要介護認定を使うとも述べられており、介護保険に近い段階分けになるのではないか。
●なぜ介助保障が後退すると考えるのか
 これまで国の出してきた基準のどれもが介助保障をかなり低いものに押さえ込むものばかりであった。その一つが介護保険の基準である。
 前述したように、この基準は、要介護状態区分のそれぞれに対して、支給限度額が決められている。この金額をどう使うかによって保障される介助時間は増減することにはなるが、実際にはもっとも重度とされる要介護5の人でも1日4時間程度の保障にしかならない。介護保険は家族の介助を前提として、それを軽減するものとしかなっていないのだ。
 もう一つは、支援費制度施行直前の03年1月に厚労省が示した国庫補助基準(以下、補助基準)である。介助保障を1月当たり、一般の障害者25時間、視覚障害者と知的障害者が50時間、全身性障害者が125時間と規定し、それにみあった事業をおこなうための金額をも規定したものである。この基準は、2002年度までこの水準以下の介助保障しかおこなっていなかった市町村や2003年度以降、制度利用をおこなう障害者には適用されている。これもどんなに多い場合でも、1日4時間程度の介助保障しかおこなわれない。
 また、厚労省のとっている態度からも介助保障の切りすて方針をもっていることがうかがえる。全国の障害者が、この補助基準や障害者への介護保険適用の動きに対して、介助保障が大幅に後退すると主張して反対運動をおこなってきた。これに対して厚労省は、これらの基準以上に保障を充実するとはひと言も言ったことがない。
 他のことについてはグランドデザインの段階で政省令にかかわることが出てきているのだが、この地域での介助保障のことについては、どのくらいの保障をおこなうかなど一言も語っていない。強いて言えば「平均的利用者負担の例」として、在宅でホームヘルプを利用する場合として、身体障害者で月に8.4万円、知的障害者で3万円、精神障害者2.4万円、障害児3.9万円という例を示している。8.4万円の場合でも月に50時間も保障されない。介助保障を切り下げようとしている、という障害者側の批判は的を得ており、厚労省は強行突破を狙っていると考えなければならない。
                 
 補助基準については、経過措置がついていた。02年度までの国庫補助の水準がこの基準で下がってしまう市町村については、現状の水準を維持する、というものだった。したがって、大幅な介助保障の低下が避けられたところもある。
 しかし「グランドデザイン」について昨年11月26日に発表された文書のなかでは「既存の利用者と新規の利用者の公平」という言葉がでてくる。つまり「障害者自立支援法」の施行によって、経過措置を廃止することを狙っていると考えるべきである。
 こうした折に、介助保障の基準は必要である、などという人々がいる。そういう人に問いたい。貴方は、上述してきた国の示してきた基準をどう考えるのか?
●移動介護はどうなるか
 「グランドデザイン」では、当初の計画では、「移動介護」は介護給付から切り離されて、「地域生活支援事業」のなかにあるだけであった。当然にも、移動介助を切り捨てようとしている、との批判がわきおこった。こうした批判がでてきた結果と思われるが、11月26日に発表した文書から、上述した「重度訪問介護」、「行動援護」の内容が記されるようになった。はたしてこの2類型がいわゆる社会参加的介助を認めるかどうかであるが、このことはこれまでの資料には書かれていない。介護保険では認めていないが、それとあわせられる可能性は大きい。
 そして、すでに述べたように「地域生活支援事業」の移動介助は、財政上大きく制限を受けていくだろう。この法律に先立って、市町村レベルで社会参加的な移動介助を制限する動きが起こっており、警戒を要する。
★施設はどうなる
 グランドデザインでは、「さまざまな年齢や障害程度の異なる児童が混在するなど、本来の施設の機能と入所児の実態の乖離を解消するため、サービス体系を機能に着目して再編し、効果的・効率的にサービスが提供できる体系を確立する」、「既存の施設を、生活療養(医療型)・生活福祉(福祉型)、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、就労移行支援、要支援障害者雇用等の機能に応じ、事業として再編し、それぞれの事業ごとに標準的な支援プログラムを整備する」という能力主義的な再編案が出てくる。また、入所施設には障害者年金1級のもの、グループホームなどには2級のもの、と考えているようにも読める。
 このように再編することが財政的には安上がりになることは確かだろう。しかし「重度」とされる障害者の隔離性はますます強まり、そうした障害者を差別する価値観もますます強められていくだろう。グループホームに出た人も、上述したようにお金が徴収されれば、外出したくても出られなくなってしまう。
 施設での滞留者をなくしていくためにはこうした再編が必要であるという人もいるが、社会の側が受け入れなければ滞留は続く。グランドデザインを見る限り、就労政策にしても目新しいものはない。
 社会が地域が受け入れるというならば、すべての障害者を受け入れる政策こそが必要なのであって、「支援法」はそれに逆行するものとしかいえない。
★厚労省の法案施行スケジュール
 すでに述べたように、法律さえ成立していないなかで、厚労省はすべての自治体を動かして準備をさせようとしている。6月から政省令を出しはじめ、7月には「新たなサービス・事業体系の基本骨格を提示」するとしている。基本骨格なら、法案を国会に出す前に提示すべきなのだ。
 10月には「自立支援医療」について、法律を施行するとしている。それに先立つ9月には「障害程度区分」を確定し、10月からその認定に入るというのだ。そして、1月には法律の基本的な部分を実施するとしている。
 こうした厚労省の動きを止めるためには、全国の障害者が廃案を求めてとことん闘う以外にはない。法案は仕方ないが政省令に要求をもり込もう、などと言う人々がいるが、厚労省のスケジュールどおりに進むならば、要求を受け入れるゆとりさえない。また公聴会も通常法案採決の前に形式的に行われているのが実情である。
★国はすべての障害者が人間らしく当たり前に生きられる地域生活を保障せよ!
 
 そもそも90年代以降「施設から地域へ」をかかげてきたのは厚労省だ。にもかかわらず介護保険法改悪と「支援法」成立によって、確実に生きていけなくなる人が出る。応益負担導入は、障害者福祉と絶対に相いれない。この国会には、「脳死」を一般的な「人の死」とする臓器移植法の改悪案や、さっさと命を切り捨てる「尊厳死法」案までが出てくるといわれている。「支援法」-介護保険法-尊厳死法は廃案あるのみだ。
 国の公的責任の放棄を許すな! 「支援法」はあくまで廃案!
 トコトンたたかって障害者の未来をきりひらこう! 力を合わせて、たたかおう!

-----------------------------2月7日、8日 ピープルファーストジャパン 厚労省行動に参加して
らっぱ
 集合時間は17時でしたが、いろいろ遅れて18時前くらいに厚労省に到着しました。ピープルファーストジャパンはテーマソングを持っているらしく、生バンドの演奏をバックにそれぞれにマイクを回しながら、サビの部分だけ大音量で唄って、それを背景に介助者含め60人くらいがビラ撒きをしています。府中のなかまに聞いたところだと、梶原さんはすでに2回アピールをやったとの事。アピールの得意な人が少ないのか、一つ一つのアピールが短いのかは不明ですが、いきなりのハイテンションに少しのまれつつ、ビラ撒きに参加しました。当日の気温は昼間たいして低くもなかったので、夜もまあ大丈夫だろうくらいに思っていましたが、まだ2月という事もあり油断は出来ないので、とりあえず自分のぶんの防寒対策はしていました。驚いたのは、ピープルファーストの人達が石油ストーブ
の準備をしていた事で、越冬闘争などではよくある事かも知れませんが、そういうのに一度も参加した事がなかったので、ああそうか、そういう手もあるんだなあと感心する事しきりです。
 日が暮れて段々と寒さが増してきだしたころ、今度は豚汁が配られ始めます。更には「酒もあるよ」とビールと焼酎が。わたしは鍋の用意くらいはした方が良いかなあ、でも不真面目とかなんかそんな理由で怒る人が出て来たら嫌だなあと思って準備するのはナシにしてたので、ああなんだ持って来ても良かったのかモッタイナイ事をしたとよくわからない後悔をしたそばから酒を呑み始めました。どうせ寒いのも疲れるのもわかってるのなら楽しくやるに越した事はありません。その頃には人通りもめっきり減ってビラ撒きも、ひと段落しています。座り込みも人が減り、目分量で、40人くらいになっていました。途中からバンドの演奏が途絶えてしまったのが気にかかっていたので、何人かで車座になって呑んでいる時にきいたところ、交通課だかどこだかから、音がでかくて苦情が来たから止めろと云われたとの事。これまでの障害者運動にはない新基軸だと思ってみていたので残念です。
 実は酒があるとの話を聞いてから、府中でもチゲ鍋の準備をしていて、豚汁で一頻り呑んだ後、少し経ってからもう一回チゲ鍋で呑んだのでした。そのかんにもカイロは配られるわ、おにぎりは配られるわ、よく判らないけどトイレットペーパーまで配られるわで、準備の良さに舌を巻くと同時に酒の所為もあって、もう何をしに来てるのだかわからなくなったまま眠りにつきました。
 翌日は、すみません、実は初日の夜に盛り上がってしまい寝るのが遅くなって、かなり休み休みで参加したのでした。目が覚めたのが、だいたい朝7時ころ。深夜から明け方にかけて降り始めた小雨のために厚労省の正門前に設営したテントについて、また交通課とのやり取りがあったみたいです。その後、再び人が増え始めまた初日と同じくらいになりました。10時ころでしょうか。余りにも寒過ぎるので何とか厚労省の建物に入れてもらえないかと、厚労省と掛け合いが始まったようでした。あちら側は、わたしたちの、要求書を渡すための、そして自らの抗議の意思を示すための行動中に、とくかく要求書を渡せば入れてやると言って来たようです。座り込みをしながら、厚労省の他にも内閣府、首相官邸に同時に要求書を持って行くこと。そうすることで抗議をしていこうという事になっていたので要求書は渡せなかったのだと思います。結局、中に入れてもらえず寒さに震えながら続行しました。
 1時ころには首相官邸、内閣府、厚労省と、少人数で3班に分かれて公開要求書を持って行ったようです。私たち居残り組はアピール、ビラまき、楽器演奏と抗議行動をつづけました。障害者運動ではよく見かける光景ですが、身体障害の人のよく聞き取れないアピールや知的障害の人の一瞬で終わるアジテーションなど、生々しい声が霞ヶ関に響いて何となく痛快な気分にもなりました。しかし、いかんせん寒い。弁護士会館で休んではビラを撒くといった体たらくが本当のところです。弁護士会館で一服していたころ、なかまから要求書をもって行った人たちが帰って来たとの連絡が入り、早速報告を聞きに行ったのですが雨と寒さとスピーカーの具合でよく聞き取れない。わたしは、どうやら不本意な結果に終わったようだ、みたいな雰囲気を勝手に感じとっていました。しかし、後日ホームページで確認したところ、首相官邸、内閣府、厚労省とそれぞれ公開要求書を受けとる、というところまではいったようです。
 翌週の全国大行動では2,000人近くが厚労省前に結集しました。2年前の上限問題の時には考えられない程の人数です。支援費問題以降の運動ですそ野が広がったと言えるかもしれません。しかし、運動が大きくなればなるほど、目に見えた効果がすぐにあられない行動はおざなりにされ、場合によっては「ルーチン」「カンパニア」といった揶揄の対象にされやすくなっていきます。いま出来る事をやること。あらゆる局面で声を上げ続けること。そして常に創意工夫をこららすこと。とかく人数の多かった全国大行動の影に隠れてしまいそうになるピープルファーストの行動は、そういったことをわたしに再認識させてくれました。

|

« 怒りネット通信 第10号 | トップページ | 怒りネット通信 第12号 »

-怒りネット通信-」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517951/41626349

この記事へのトラックバック一覧です: 怒りネット通信第11号:

« 怒りネット通信 第10号 | トップページ | 怒りネット通信 第12号 »