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2006年12月

2006年12月22日 (金)

怒りネット通信 第24号

怒りネット通信 第24号 
2006年12月22日
■怒っているぞ!障害者きりすて全国ネットワ-ク
■もくじ
*障害者自立支援法の再審議を突破口に撤廃へ!
*10・31日比谷・大フォ-ラムに1万5千人
*12・5~5自立支援法国会審議の傍聴報告
*9・15怒りネット関西集会の報告
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●国会審議のやり直しを突破口に
障害者自立支援法の撤廃まで闘おう!
 わたしたち障害者は、昨年秋の国会の与党の暴挙を許しません! 必要な審議
さえ打ち切って採決されたこの法律が、どれほどわたしたちを苦しめてきたのか。
 法成立から1年、その怒りは、10月31日の日比谷における1万5千人の結
集で示されました。
 1割の応益負担、障害者の現実をまったく反映しない障害区分認定、介護保険
よりも低い国庫負担基準などなど、「自立支援法」のどこをとっても私たち障害
者の生活を破壊するものばかりです。
 施設を退所する人と、介助などの利用を減らす人とが大量に出てきています。
きょうされんの調査では減収のための4割の施設で職員数、賃金の削減を余儀な
くされています。
 東大和市では、社協が不採算を理由に、移動支援から撤退したため、通院でき
なくなった視覚障害者が出ています。施設では、食費を節約するため食事を抜く
人も出ています。
 衣料費、暖房費のかかる冬を迎えました。倒れる仲間も出かねません。
●与党は直ちに法律そのものの審議に応じよ! 法律そのものの審議を直ちにや
り直せ!
 与党は、激変緩和措置として補正予算を組むとしています。しかし、応益負担
を応能負担に戻すという民主党案(10月11日に提出)の審議には応じようと
していません。
 与党は、応益負担をあくまでも護持しようとしています。そして、激変緩和措
置はやがて必ず打ち切られるのです。介護保険の利用料を軽減してきた自治体の
措置も、既にほとんど打ち切られたではないですか。
 6月6日に開かれた「知的障害者福祉協会」主催の集会では、多くの自民党議
員が参加し、「いわゆる障害者自立支援法というものは、理念はしっかりしてい
るけれども、その具体的な中身においては、問題がたくさんある。ですから、具
体的にこれを一つ一つつめてですね、ご心配のないように一生懸命やりましょう」
(津島雄二自民党衆議院議員)、
「今回の新しい法律が施行され、期待はずれどころか大変な悪影響を及ぼす恐れ
があるんだ、という実態をうかがいました。これではいけないと私も率直に思い
ました」(町村信孝自民党衆議院議員)、など、問題を指摘する発言が続きまし
た。
 法律そのものに問題があるならば、何故それを国会の場で審議しようとしない
のでしょうか?
●激変緩和は、ゴマカシだ! 「自立支援法」を撤廃せよ!
 今回、12月5日参議院、6日衆議院の厚生労働委員会で「障害者自立支援法」
の実態について集中審議が行われました(参議院での審議は、当初11月16日
だったものが、前日、与党が教育基本法改悪案の委員会採決を強行し、これに抗
議して野党がすべての国会審議に応じない方針をとったため12月5日に延期と
なったものです)。
 これを皮切りに、直ちに法律そのものを変えるための審議に入るべきです。そ
れが全国の障害者と家族、関係者の思いです。
 民主党は、応益負担の凍結を主張していますが、それは新たな所得保障が行わ
れるまでと考えています。わたしたちは、応益負担と所得保障を結合させること
には反対です。所得が増えただけ、利用料として取られるだけのことです。80
年代に障害者の受け取る年金が増えた分、施設利用料が増やされたのと同じこと
です。
 昨年の国会論議でも明らかになったように、応益負担とは介助などを便益とし
て買うという考え方からきています。これは、憲法25条に規定されている国や
自治体が福祉を保障するという考え方を否定するものです。したがって、介護保
険も含めて、応益負担は撤廃する以外にありません。また、買うという契約を厳
密化させるものとして「日額払い」は出てきています。これらは皆「福祉を買う」
という契約制度が導入されたことの結果です。私たちは、今こそ「障害者の地域
で暮らす生存権を国の責任で保障しろ!」と強く求めてゆくべきだと思います。
●「脳死」を一般的な人の死の基準とする「臓器移植法」改悪に反対!
 与党の中からは「民主党案を審議するならば、同じく議員立法で出されている
『臓器移植法改正案』についても審議すべきだ」との意見が出されています。命
の切り捨てを促進する「臓器移植法」の改悪に私たちは反対します。福祉の切り
捨てを推進している人々は命の切り捨てを進めようとしているのです。
 臨時国会では「愛国心」を強制する教育基本法改悪、さらに憲法改悪のための
国民投票法案、共謀罪新設法案など改憲と戦争に向かう法案が目白押しです。し
かも、そうした悪法を強行採決という手段で通そうとしています。
 改憲を主張して登場した安部政権の閣僚は、核武装発言をおこなっています。
「北朝鮮脅威論」をあおり、制裁決議をあげ、ますます緊張をあおって、それを
主張の口実としているのです。野党までもが、これに同調していることは許しが
たいことだと思います。大量の核兵器をもち、侵略戦争を推しすすめるアメリカ
には自衛隊を派兵して同調しておきながらです。
 障害者は今、立場を超えて福祉の切り捨てへの怒りと共に、改憲と戦争への動
きに強い危機感と怒りをもっています。福祉・命の切り捨てと戦争に向かう政治
を直ちに止めさせましょう!
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■■10・31日比谷公園に全国から1万5千人が集まった!■■
 日本障害者協会、障害者の地域生活の実現を求める全国大行動実行委員会、全
日本ろうあ連盟の3団体の呼びかけで開催された「出直してよ!『障害者自立支
援法』10・31大フォ-ラム」は、日比谷野外音楽堂、公会堂、「にれの木広
場」、厚生労働省前の4つの会場にわかれて集会がおこなわれました。私たちも
手分けして参加しましたが「撤廃」を訴えるビラまきに大わらわ。そのため聞け
ていないところもあるので、2つの集会の報告をします。
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■日比谷公会堂の集会の報告
渡辺 博
 公会堂には、集会開始前から続々と参加者が入場し、集会開始時には3階席ま
でいっぱいになりました。はじめに、主催3団体を代表して全日本ろうあ連盟か
ら挨拶がありました。「コミュニケーションを有料にしていいのか? 会話は相
手が会って初めて成立するものです。ろうあ者だけの益ではありません」という
発言が印象に残りました。
 公会堂は、政党シンポジュウムがメインでした。自民党が欠席。公明党は福島
議員、民主党は園田議員、社民党は阿部議員、共産党は小池議員が参加。自民の
「逃亡」が参加者の怒りをかっていました。司会が公明党にヤジをとばさないよ
う参加者に要請していました。各政党の主張はだいたい以下のようなものです。
◆公明党-国は30兆の借金で財政危機だが、障害者予算は減ってない。拡大す
るサービスへの予算の確保を長期的にどうするのかが問題。措置制度のもとで小
さくまとまったままで日本の福祉はいいのか。ただし今日こんなに多くの人が集
まっているということを受けて何らかの対応は必要と考えている。小規模作業所
は守らなくてはならない。民主党改正案を審議しろというなら公明党が出してい
る臓器移植法改正案も審議してほしい。今後の障害者福祉という点では、義務的
経費の流れを守る。
◆民主党-自立支援法の改正案をだしているので、今国会でぜひ通したい。今後
の障害者福祉については、介護(介護保険?)は介護、障害者は障害者で、とい
うふうに考えてゆきたい。
◆共産党-民主党改正案に賛成する。まず応益負担の考え方をとめるべき。今日
1万5千人が集まったという事実のなかに自立支援法に問題があることは示され
ている。10・23に厚労省が特別国会にだした「実施状況について」という報
告が本当にそうなのか評価することを切り口に今国会で取り上げさせることはで
きるのではないか。社会保険庁の法案を与党が取り下げたので今国会では厚生労
働委員会は日程としては可能。応益負担で浮く予算は国と自治体を合わせて86
0億。国だけなら430億。予算がない訳ではない。
◆社民党-民主党改正案に賛成する。施行後の実態調査の検討が重要。今後の障
害者福祉という点ではまず応益負担の凍結だが、将来的には介護保険の方を障害
者福祉のように変えなくてはいけないと思う。就労と言っても、そうできる人の
場合でも障害者には労災も最低賃金もない。国連の権利条約締結を目指す。
 他の発言としては、主催者に入っていない育成会や日盲連所属の人からも発言
があり会場は怒りに満ちているという印象でした。
 ひとつ気になったのは、司会の共作連の藤井さんが「臓器移植法の審議の話も
でたが、両方やったらいいのでは」(ちょっと言葉は正確ではないかも知れませ
んが)という趣旨の発言をしたこと。これは危険だなと思いました。
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■10.31大フォーラム・日比谷野外音楽堂の報告
高見 元博 
 私は主に野外音楽堂に参加しましたのでその報告を書きます。公会堂や、にれ
の木広場も見に行ったので全体を通しては聞けませんでした。あとで野音の模様
をテープを聞いたところもあります。
 日比谷野外音楽堂を埋め尽くす5000人の集会でした。参加した障害者はみ
んな生き生きと自信にあふれ、こんな悪法に負けるものかという意思を表明して
いました。障害種別は様々です。それらの人たちが一致団結し、法の出直しを勝
ち取ろうという意欲に溢れていました。法の根本的見直し、私たちの言葉で言え
ば「撤廃」を要求する1万5千人でした。私たちの主張が全く障害者の感覚に合
ったものであることが分かりました。皆が言うことの中身はまったく「撤廃」と
同じことでした。私たちのまくビラもほぼ全員に受け取ってもらいました。拒否
されることのないビラ撒きというのは、ある種快感です。
◆集会発言の要旨を記します。
*主催者挨拶。「大行動実行委とJD、ろうあ連盟主催です。法の出直しを求め
て集まりました。マイナスの大きな影響が出ています。制度の組み立てに問題が
あります。長年積み上げてきた地域自立生活の基盤を根こそぎひっくり返されよ
うとしています。国は責任を放棄している。社会保障を崩壊させかねないもので
す。」
*DPI「私たち抜きに私たちのことを決めるな。悲鳴に近いことが全国でおき
ています。一から出直せということを社会に示して行こう。私たちの生活は格差
社会の象徴です。社会全体が左右される問題です。」
*JD・てんかん協会「昨年の10月31日は障害者の切実な声に応えない暴挙
でした。全国に相次ぐ心中事件。自立阻害です。障害者の生存権を保障しろとい
うのが今日の目的です。攻撃は団結を強めています。」
*大阪「大阪で14団体集まって6回の集会デモを行ないました。9・25に各
市で延べ1500人が市に迫りました。厚生労働省はは支援が進んでいるという
調査を出していますが、私たちの実態は大変です。制度を根底から変えていかな
いといけません。」
*育成会・埼玉。「働くのになぜ利用料を払うのか。親亡き後の弱者排除です。
生まれてきてよかったと思ってもらえるように努力していきたい。」
*全国腎臓病協議会「通院は生命維持なのに、十分なサービスが受けられない。
リハビリを求められても仕方ないのに法には柔軟性がない。」
*全国から17人の3分間アピール。
 「月に10万の収入から2万円の利用料のどこが公平な負担のあり方ですか。
家族に犠牲的介護を求めるものです。私は毎月5万円の負担です。誰もが安心し
て生きられる社会を作ることが行政の責任ではないのですか。」
 「参加者の多さは制度の問題性の大きさの反映です。なんでも一人でできるよ
うになることが自立か。できないことはできないと受け入れて自分らしく社会に
参加することが自立ではないのか。今トイレ、お風呂の回数を減らし、食事に制
限を加えています。」
 「掃除・洗濯に使えなくなった。普通の生活ができるようにしたいから頑張り
ます」
 「全くの無年金障害者が沢山いる。学生無年金障害者が訴訟を起こしている。」
 「道を歩くのにも金を取られる。」
 「話をすることにも金を取られる」
 「介護保険に3年後に統合と言われるが、介護心中が後を絶たず、介護難民が
増えている」
*精神障害者「精神病院は7万2千人の社会的入院含めて34万人の隔離収容大
国です。病院敷地内に退院支援施設作って退院したことにするのに一施設につき
1億円出すとい
う。許せない。心神喪失等医療観察法を作ったことも許せない」 ・・・等など
でした。
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■■12・5~6・障害者自立支援法の国会審議の傍聴報告■■
●12・5参議院厚生労働委員会の報告
高見元博
 12月5日に参議院厚生労働委員会で自立支援法の審議がおこなわれるという
ことで上京しました。現場には待ち合わせ時間に少し遅れて着きました。ちょう
ど新潟の桐沢さんたちが傍聴に入るのに出会い一緒に中に入りました。
 中に入ると自民党の中村議員が質問している最中でした。中村議員は障害認定
区分について質問しており、「抜本的見直しが必要だ」と言っていました。10
・31の1万5千人大行動は自民党をそこまで追い詰めているのです。もちろん
自民党の「見直し」とは激変緩和の1200億円補正予算のことです。4年後に
は「激変」するわけでペテン的政策というしかありません。またこの議員は、ヘ
ルパーの離職率が21.4%と高く、男性32歳で年収336万円、女性302
万円、ヘルパーで282万円と平均賃金の500万円に比べて低いと述べ、「ど
のような専門性をつけていくのか」と問うていました。
 この「専門性」というのが与党の新たな提起のようです。公明議員は「介護福
祉師の専門性。資格をどう差別化してランク付けするのか」と言っていました。
「看護師には準看護師、正看護師、看護大学などがある。介護福祉師にもこうい
うランク付けをすべき」と言いました。
 これに答えた厚生労働省の役人は「『専門介護福祉師(仮称)』を設ける方向
である」としました。また「教育内容を充実させ、新たな国家試験を設ける」と
も言っています。
 これはとんでもないことです。自薦介護人が一番障害者にとっていい介助者な
のではないですか。私のように業者の介護者を使っていても、できるだけ精神障
害者のあり方については見せてきています。現場が教育と思っています。専門試
験に受かった人が良い介護者になるとは限りません。一番の専門性のある精神科
医が多くは差別的隔離に加担してきたことを見ても、いまの厚生労働省の主導す
る「専門教育」など当てになるものではありません。障害者が教育に当たるよう
なシステムはないのですから、「専門性」という話しは危険な感じがします。
 民主党は「介護労働者の労働条件の整備」について質問していました。これは
とくに反対すべきことでもありません。労働者の労働条件と介護の内容は矛盾す
るものではありません。業者の77.1%は労働基準法に違反しているそうです。
福祉業者が金儲けという動機で動いていることを示す一つの指標と思います。
 また一次判定に信頼性がないという民主党の質問に答えて、厚生労働省は一次
認定から二次認定になるときに区分が変わる人の比率として「全体で33.2%、
身体障害者で20.0%、知的障害者で43.0%、精神障害者では52.9%」
になると答えました。
 また地域間格差があり、最高の宮城では30.0%、最低の奈良では10.9
%だそうです。
 この一次判定の信頼性のなさについては、共産党も聞きました。それに対して
厚生労働省は、「一次判定は86項目でおこなっており、知的・精神に対応する
20項目は二次判定で使っているから違いが出るのは当然」と居直りました。身
体で20%の区分変えが出ていることはどう説明がつくのでしょうか。それなら
知的・精神では一次判定そのものが必要ないと言っているのに等しいことに、気
づいていないようでした。
 また、「社会保障は最も重要な政策ではないのか」という民主党の質問に対し
て、柳沢大臣は「国民の期待はトップだ。しかし、大変な財政赤字の中で投入さ
れていることに国民は不安を感じているのだろう。持続可能で国民から信頼され
る社会保障制度が必要だ。支給と徴収のバランスが取れ、国民負担額が低いこと
が望まれる」と答えました。これは安倍政権の公約を述べたものです。安倍首相
は、自著「美しい国へ」の中で、いま高齢者年金額を年間約1%毎年引き下げて
おり、徴収額に見合った額への支給の引き下げをするから年金破綻は起きないと
書いています。これが政策と言えるのでしょうか。貧富の格差をさらに広めるも
のです。自民党は「格差社会で何が悪い」と開き直っています。社会保障解体の
狙いを隠そうともしないのです。
 共産党議員は、「試作品の車に公道を走らせるようなものだ」断じ、いつまで
にどう見直すのかと問いました。厚生労働省は「与党のほうからも意見があり、
速やかに着手したい、いつまでというのは困難だ」と答えました。
 社民党福島議員は、「自立支援法はこうなるといったはずだ。『言わんこっち
ゃない』という感じだ」「与党案は激変緩和でしかない」と問いました。柳沢大
臣は「与党の検討の結果を重く受け止めて取るべき措置を考えたい」と答えまし
た。福島議員が「与党は身の回りのことができるのが自立だと言った」と糾した
のに対して、柳沢大臣は「支持団体の施設では、少しでも身の回りのことができ
るようにと、トイレができるようにと指導していた。障害者の希望をかなえよう
とする姿勢があった。所得による自立は考えていません」と答えました。
 これでは重度障害者は地域自立生活というのは否定されています。そういうの
は自立ではないと決め付けるものです。
 福島議員は大田区の支援費制度裁判のことをあげながら、「生活できない人が
出ている。応益負担は無理だ」と断じました。柳沢大臣は、「一割負担、応益負
担といいすぎた。介護保険との横並びを考えすぎた。上限をおいており応益負担
と言えない。誤った受け止めが出ている。改善を検討している」と現実に困って
いる障害者が多数いることは無視し、「受け止めが悪いのだ」というのです。
「障害者が誤った受け止めをしている」と。しかし、実際に困っているのは障害
者です。「それは現実ではない」と言われても現実に困っていることをどうせよ
というのでしょうか。
 全体に10・31の闘いに追い詰められているのは自公政権の側です。柳沢大
臣の開き直りの背後には、障害者団体の中で自民党支持勢力が困っているという
ことが反映されています。自民党・公明党が専門資格を設けることで自薦介助者
をより使いにくくしようとしていることを許さず、「必要な人に必要な介助を」
求めて闘いましょう。
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●12・6衆議院厚生労働委員会傍聴の報告と感想
高林 成子
 12月6日の衆議院厚生労働委員会は、厚生労働関係の基本施策に関する件、特
に障害者福祉についてということで審議が行われました。午前中が6人の参考人
からの意見聴取と各党委員から参考人への質問が三時間余行われ、午後は柳沢大
臣も出席し質疑が行われました。
 参考人は、与党側から慶応大学の中島教授、世田谷区立知的障害者就労支援セ
ンターの宮武施設長、「社会福祉法人むそう」の戸枝理事長、野党側から日本障
害者協議会の藤井常務理事、DPI日本会議の尾上事務局長、障害乳幼児の療育に
応益負担を持ち込ませない会の池添事務局長でした。
 参考人の中で、障害者自立支援法に賛成の立場を明確にして意見を述べたのは、
中島教授一人でした。「障害児」の親であり、経済学の専門家の立場からという
ことで、障害者の自立とは福祉サービスの消費者として自立することを基本にす
えています。障害者が自分の生活をより豊かにするために、いかに自分の欲しい
福祉サービスを買えばよいか、賢い選択をする消費者になることが、本当の自立
した生活であり、福祉の市場化推進でその選択肢が広がるという持論を展開しま
した。
 命をつなぐための基本的な生活介助がきちんと保障されていない現状や、自己
負担が払えず理不尽な利用抑制や悲惨な無理心中などの事件が引き起こされてい
る現実をまったく無視した実に許しがたい話でした。
 二人目の宮武氏の話は、92%という突出した就職率を達成した就労支援セン
ターとしてのこれまでの取り組みとさまざまな工夫などについてで、自立支援法
については言及しませんでした。
 与党側の一人を含め、あとの4人の参考人は、自立支援法施行によって引き起
こされた、さまざまな問題について具体的なデーターや、実態等を示しながら、
障害者の地域での生活がいかに困難になったかことや、施設や事業所の経営が困
難になっていること。収入減で人員削減や職員の非正規雇用化が行われ、職員の
労働強化と労働条件の悪化から人材離れが起きており、アンケート調査で「やめ
たい」と思っている人が6割もいることが明らかにされました。福祉労働者の処
遇悪化が利用者のサービス低下をもたらしている深刻な実態が訴えられました。
 また、利用料の自己負担を理由にデイサービス等の通所をやめたり、利用抑制
がされ、介助時間を減らし、体位交換やトイレの回数を減らしたため体調を悪化
させる人が出ていることや利用料の滞納が出ているとのこと。
 法成立審議過程で、応益負担の導入は地域格差を解消するためと説明し、前大
臣は現行水準を下げないと言ったが、実際には、国の負担金に実質上限を設けた
めに、財政基盤の弱い自治体では、利用上限を設けたり、10月以降サービスを減
らしたところがある。その一方、自治体によっては独自の自己負担減免策等を実
施しているところ(そうせざるを得ない状況がある)、やりたくても出来ない自
治体など地域格差がさらに拡大しているなど、実にさまざまな問題が語られまし
た。
 「障害乳幼児の療育に応益負担を導入させない会」の池添氏は、乳幼児を持つ
親は若いため経済的に非常に負担になっていることを訴えていました。学校や保
育園は休んでも収入が減らないが、自立支援法の療育施設は日額払い方式になっ
たために経営が非常に困難になっている。障害の早期発見早期教育の重要性を強
調して、原則無料とすべきであり、措置制度に戻すよう訴えました。しかし、な
んで「障害児だけを集めて特別な療育の場に通わせなければならないのか納得が
いきません。「地域の保育所や学校に障害があろうとなかろうと一緒に」という
発想がまったくないことに、中々の熱弁なだけに聞いていてイライラしてしまい
ました。
 意見聴取のあと、各党の委員から参考人に質問がされましたが、やはり応益負
担についてが中心でした。野党委員は10・31行動に言及していました。
 私は、普段は国会審議はニュースで聞く程度ですが、6時間余を傍聴しての感
想は、あれだけ参考人が、真剣に問題や実態を訴えても、野党議員が熱弁をふる
っても、大臣以下、厚労省役人の答弁は、与党の補正予算での負担軽減策がださ
れているので、それを踏まえて今後検討していくといったあいまいな答弁に終始。
肝心なことには答えないし、意味のない同じ答弁をくり返したり、圧倒的な与党
優位を背景にした傲慢な対応が目立ち、悔しい思いと怒りでした。
 さらに、厚生労働委員会の委員は圧倒的に自民党議員が多数を占めています。
しかし、居眠りや出たり入ったりして席をはずしている委員が多く、まったく真
剣さに欠けているのが、傍聴席からは手に取るようにわかります。税金泥棒! 
もっとまじめにやれ! と叫んでやりたかったです。
 それはさておき、10.31大フォーラムの1万5千人の大結集をはじめ、これまで
の厚労省や国会前での取り組みがかなり影響を与えたことを実感しました。今の
現状は、我慢したり、やり過ごしたり出来る限度をはるかに超えて、本当に命の
切捨てが行われており、悲惨な事件が全国でひこ起こされています。
 この期に及んで、なんで「出直して」とか「見直して」なのか??? 怒りネ
ットの「障害者自立支援法を撤廃せよ!」を全国の障害者運動にどんどん広げて
いくことの重要性を改めて強く感じました。
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■■9・15 関西集会が167人の大結集で大成功■■
高見 元博
 障害者と福祉労働者は、自立支援法の撤廃を求めている事がこの日の結集のす
ごさによって明らかになりました。厚生労働省や政府はこの事実を直視すべきで
す。「撤廃とまでは言えない」と思ってきた多数の障害者にとっても、大いに力
づけ、「撤廃しかないんだ」と思うことのできる結集でした。尼崎市立小田公民
館の大ホールをびっしりと埋め尽くす167人の結集は、予想をはるかに越える
ものでした。
●障害者や福祉、医療、教育現場で働く労働者が次々発言
    
 集会では、障害者が次々と発言に立ち、<撤廃>への思いのたけを語りました。
また、福祉職場で障害者切捨てを担わされている自治体労働者、精神科診療所で
自立支援医療の実務をしている医療労働者、障害者施設で働く労働者、養護学校
で働く労働者などが発言し、障害者と共生するためにどうしたら良いかを悩みな
がら障害者と共に闘うと誓いました。障害者と連帯する労働者の、大きな流れと
なった決起が始まっていることを示しました。この集会を出発点にさらに大きな
障害者、労働者の自立支援法撤廃の運動へ拡大していきましょう。自信と確信を
持って<撤廃>と言い切ろうではありませんか。
 この日の結集には、自民党の安倍が政権につくことへの危機感も大きかったの
ではないかと思います。安倍は「戦争を始める決断ができる政治家が勇気のある
政治家」「任期中に改憲をやり遂げる」と著書で公言しています。戦争の時代に
真っ先に抹殺されるのは障害者です。また、「終末期医療をやめる事で9000
億円が節約できる」などと言っています。これは「生きる価値なき生命が存在し
ている、殺してもいい生命がある」という明らかな優生攻撃です。障害者自立支
援法は序曲に過ぎず、これから本格的な障害者抹殺攻撃が始まろうとしているの
ではないかと思います。安倍政権による憲法9条、25条の改悪に怒るあらゆる
人たちと共闘していかねばなりません。
【資料・自民総裁選(ニッケイネット06.9.4)】
(9/4)終末期医療の見直しを・安倍氏、歳出削減で
 自民党総裁選に出馬を表明している安倍晋三官房長官は4日、福岡市内で開い
た九州ブロック大会で、社会保障関係費の抑制に関連して、「終末期医療は見直
していかないといけない」と述べた。終末期の在宅医療促進などで抑制を図って
いるが歳出削減の徹底に向けて一段の見直しが必要との認識を示したものだ。た
だ、具体的な方法には触れなかった。終末期医療は高齢化の進展や医療技術の進
歩などで、医療費に占める割合が高くなる傾向にある。死亡前1カ月の終末期医
療費は総額約9000億円とされる。安倍氏は社会保障費の抑制に向けて (1)介護
予防の強化 (2)年金、医療、介護を含めた社会保障の一体的な見直しの検討―
―もあげた。
●命が危ない!人間性が奪われる!・・・・・各発言の要約
◆主催者挨拶・怒りネット関西代表住田雅清
 「みんなの不安や怒りを出し合い次の運動のエネルギーにしましょう。」
◇視覚障害者Aさん
 「7・4、2200人による大阪府庁包囲行動の結果、聴覚障害者は無料、移
動介助は非課税世帯で2000円、課税で4000円になった。本当に困ってい
るんだと声をあげていくことが大事だ。」
◇施設で働くBさん
 「入居されている人は『戦争になったら僕らは真っ先に抹殺されてしまう』と
言っている。施設から出ていろいろなものに触れたいが、一割負担が重いから、
完全に引きこもりにならざるをえない。障害者と施設労働者、すべての労働者の
力を合わせて障害者解放を勝ち取っていきたい。」
◇医療労働者Cさん
 「行政は書類の作り方からしていいかげんだ。ミスだらけで、これだけいいか
げんだと肝心の負担上限も間違えているかもしれない。一番困るのは障害者と医
療労働者だ。行政に言っても作業は外注化しているから「言っておきます」とい
った対応しかしない。毎日毎日怒りが湧いてくる。」
◆基調報告・古賀さん
 「自立支援法では生きていけない。水を飲めない人の介助は14分、食べ物を
飲み込めない人は3.1分、どこから出てきた数字かと厚労省に聞いても職員は
答えられない。
 障害者はますます隔離されていき、金だけ取られる。日額払い制(今までは月
単位で行政からのお金が出ていたものを毎日毎日何人の障害者が利用したかとい
うことで金額が決められる制度となった。そのために利用を休む人がいると出る
金額が減る)で施設に入る金が減り、職員数の削減が始まっている。その結果障
害者への虐待的なことが増えている。法が成立するまでの闘いは一つ一つが歴史
になかった画期的闘いだった。法が成立しても闘いは拡大している。10・31
には2万人を日比谷公園に集めたい。いろいろな人の怒りと結びついて闘ってい
けば勝てる。水戸事件は8年かかって勝利した。東京の障害者施設民営化も阻止
した。労働者・労働組合の闘いこそが求められている」
◇ガイドヘルパーDさん
 「親の負担を減らすためにガイドの時間を減らす人が増えている。障害児は自
分の行きたいところに行けなくなっている。障害者と私たちが一緒に普通に生活
できるようにしていきたい」
◇養護学校の介助員Eさん
 「賃下げにあったのでストライキで闘った。常南交通のハンストにも駆けつけ
た。子どもたちを追い詰めるような授業や介助が当たり前の学校です。労働者の
問題だ。障害者の問題を自分のこととしてもっと拡げていかないとあかん。」
◇作業所で働く障害者Fさん
 「作業所の障害者が就職するほど、成績がよいということで作業所への補助金
が多い。『健常者』でさえ就職が難しいのに、障害者に仕事はない。作業所では
働いてもらうお金以上の額の利用料を取られる。自立支援法は撤廃しかない。」
◇医療労働者Gさん
 「9・12高槻の集会に700人集まった。撤廃の展望はある。」
◇遠方から来られた障害者Hさん
 「国会の傍聴席から『障害者を殺す気か』と言ったら、小泉チルドレンが『ま
だ殺していないぞ』とやじり返した。今本当に殺されている。団塊の世代は闘い
のだいご味を知っている。みんなが団結して闘ったら怖いものはない。」
◇精神障害者Iさん
 「障害者に死んでしまえというような攻撃だ。労働者と障害者が団結すれば勝
利の展望はある。」
◇ヘルパーJさん
 「国家権力は15年前に小泉が厚生大臣だったころから今のことを考えていた。
7年前にヘルパーユニオンを結成した。介助時間数がどんどん減らされている。
単価が減る中で一人当たりの件数を多くせざるをえず、余計に忙しくなった。し
かし、やはり利用者が一番しんどくて、生活できない実態がある。」
◇大阪府職労働者Kさん
 「7・4大阪府庁行動は、ビラを受け取り、シュプレヒコールも聞こえていた。
組合の組織率が低くなっていて、実際に障害者福祉の関係で働く組合員は少ない。
そういう職場の人は国のやり方に怒っている。しかし、障害者と合い向かうと自
分を正当化してしまう。労働組合の第一は労働者の権利と団結を守る事にあるが、
自分のやっている仕事の事についてもきちっとものを言っていかないといけない。
かつて総評がやった障害者との共闘をもう一回やりたい。多くの仲間を組織して
いきたい。」
◇関西合同労働組合Lさん
 「問われているのは労働者、労働組合だ。虹ヶ丘学園という九州の知的障害者
授産施設で、障害者を金儲けの道具にしているということで労働組合が闘ったら
経営者が自殺し労働組合が悪者にされた。労組をつぶすための偽装廃園にした。
署名に取り組んでいます。協力お願いします。」
◇在日朝鮮人Mさん
 「国際連帯の立場から述べます。根本はなにかというと靖国神社にある。軍国
主義にいかんがためだ。北朝鮮を攻めつぶすというむちゃくちゃな話です。北朝
鮮が悪い、朝鮮人が悪いと、己が昔やった事は全部水に流してしまう。侵略を反
省していない。国際連帯が大事です。」
◇大阪市職労働者Nさん
 「仕事はケースワーカーです。毎日教えられる事は疑うのが仕事、病気と言っ
ていても働けるんじゃないか、金隠しているんじゃないかと疑う事だと。絶対に
違うと思います。当局に対して闘ったときの喜びを思い出してほしいと毎日思い
ながら、悩みながら働いています。労働組合を闘う組合としてもう一度生まれ変
わらせたい。」
◇夫が労災認定の裁判を闘っているOさん
 「夫は月100時間の残業をして過労で倒れて脊椎損傷で重度障害者になりま
した。夫のメッセージです。『「美しい国へ」という本を次期総理になる人が書
いた。教育基本法、憲法を改定し国家のために死ねる人間で国を満たしたいそう
だ。太平洋戦争のときに障害者が非国民扱いされたような同じ時代が来ている。
私のドクターは「貧乏人は死ねという時代だ」と憤っている。リハビリも9ヶ月
で打ち切られる。完治の見込みのないリハビリに金をかけるのはムダだという国
のお達しがあるからだ。『美しい国』は富んだ人間のみが享受できるようだ。共
に闘いましょう」
◆まとめ。怒りネット関西Pさん
 「怒りネット関西は精神障害者が多く、自分で組織化するのが難しい人が多い。
今日発言された労働者たちが自分のこととして集会を組織してくれた。自立支援
法は、お金持ち、「健常者」並みに働ける軽い障害者のみを支援するものだ。重
度障害者は戦争の役に立たないから殺してしまえという法律だ。おかしいことは
おかしいと言い続けないといけない。仲間をどんどん作っていって、労働者にも
闘いを担ってもらって、一緒にこの世の中で生きていく仲間だとやってほしい。
政治家は障害者が1万1千人集まっても怖くないと差別した。労働者にも集まっ
てもらって、次は5万、10万人の隊列で国会包囲デモをやりたい。障害者だけ
じゃ無理なんです。憲法を変えて戦争になって障害者とか高齢者が大切にされた
事はこれまで一度もない。餓死してミイラになって見つかった人のように、放っ
ておかれて殺される。障害者の問題でハンストするような労働者を求めています。
共に闘って下さることをお願いします。」
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・アンケートより(抜粋)・
◇発言の時間が多くとられていていろいろな話がきけてよかったです。特に津市
からこられた方の発言、宝塚のヘルパーさんの発言、府職の方、尼崎の「在日」
の方(侵略を引きついでいる)、市職の方、そして住田さんの発言がよかったで
す。
◇古賀さんの「法案が通ってしまえば、運動はポシャるの常識であったが、この
常識をうち破ろうとしているのが反対運動。障害者解放は労働組合の課題」。同
感です。
◇古賀さんの「勝てるかどうかはわからないが、闘うしかない。でも勝てるんだ
よね」という発言が印象的でした。
◇なぜ「労働者」なのでしょうか? 私はフリーランスですから労働者ではあり
ません。資本家も事業家も主婦にともに闘ってはいけないのでしょうか? 「労
働者」を強調するたび、排他的になっている気がします。ただ「市民」ではいけ
ないのでしょうか。私は個として連帯したいと思います。
◇全面改正、あるいは「自立支援法に代わる新法を求める」とした方が、「ウケ」
がいいように思ったりもします。悩ましいところですが・・・
◇スジとしては、どう考えても「撤廃」しかないでしょう。ただ、水を差すよう
ですが、撤廃させるためのシナリオはあるのでしょうか。集団で圧力をかけるの
か、選挙に勝つのか、議員を味方につけていくのか、違憲訴訟か、成功するかど
うかはともかく、戦略的に闘いたいと思います。
◇是非やる(※「撤廃」)べき。あいまいな妥協は敗北の因になると思う。
◇とにかく、やってみよう。勝つまで。

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