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2007年8月 2日 (木)

怒りネット通信 第29号

怒りネット通信 第29号 
2007年8月2日                       
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もくじ
6・27厚生労働省交渉の報告
怒っているぞ!憲法改悪自立支援法7・7集会の報告
 
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6・27厚生労働省交渉の報告
木村(新潟)
 今回は、前回の交渉とほとんど同じテーマで、前回曖昧だった点を、さらに深く追求する交渉になりました。具体的な質問事項は前号(28号)の『怒りネット通信』に載っているので参照してください。
 各地で一律の上限を定めた違法な支給決定が横行している実態に対して、厚労省に実態調査と、指導を強く求めてきたわけですが、厚労省は、「自治事務に関すること」と称して、「指導や命令はできない」、できることは「事務連絡等による周知徹底」との頑なな繰り返しに終始しました。「指導」と「周知徹底」には、厚労省なりに大きな意味の違いがあるのでしょうが、要は違法状態が改善されるように厚労省が具体的な行動を起こすこと、責任をとることだと思います。
 冒頭、4月13日に「国庫負担規準が利用者個人の上限ではない」との事務連絡を出して、再度の周知を図ったことが明らかにされました。この文書は、ある障害者団体の情報紙に掲載され、自治体との交渉の武器に使えると書かれていました。前回の交渉が4月11日であったことを考えれば、2日後の対応ということになり、私たちの交渉が一定の力を発揮したことは明らかです。今後も具体的な指摘で、厚労省がしぶしぶでも対応せざるを得ない状況を作っていきましょう。
 規準該当事業所に対する15%の減算根拠に関して、前回「経営実態調査をやっていて、それを踏まえたもの」と述べていたことは、「間違いだった、踏まえたものではなかった」という訂正がありましたが、こんなふざけた話があるでしょうか。そもそも経営実態調査自体、ありもしないデタラメに違いありません。その場しのぎの口からデマカセを許してはならないと思いました。その場しのぎという点では、「持ち帰って検討」というのも、一体何のために持ち帰り、何を検討するのかはなはだ曖昧です。追求をかわし、先送りするための方便のように聞こえました。
 介護保険と障害施策の統合は、片や「上限を決めている制度」で、他方は「上限を決めるべきではない制度」です。統合の不合理さはもちろんですが、そもそも介護保険自体がとんでもない制度だということを今後さらに明らかにしていきましょう。
 利用者が重度になればなるほど、ヘルパー研修の時間が軽くなる矛盾は、結局ヘルパーの熟練には資格が関係ないことを、国が自ら告白しているということです。介護保険の統合についての矛盾と、ヘルパー資格に関する矛盾は、厚労省の大きな弱点かもしれません。さらに追求したいところです。
 以下、交渉の概要です。(厚労省側の名前に◆ 怒りネット側に名前に◇をつけました)
 厚生労働省側からは、11名もの大勢が出席しました。障害福祉課の元木係長、保積係長、大城係長、企画課地域生活支援室の内野係長、社会援護局福祉基盤課の余語係長、職業安定局需給調整業課(介護労働対策担当)の南摩係長、精神障害保健課の川田係長と木下係長、老健局総務課の大竹係長と荻田係長、大内係長の11名。ちなみに前回4月11日にも出席していたのは元木、保積、大城、内野の4氏。

■「4月13日に通達を出した」と言うが、大田区は何も変わっていない。
◇古賀:上限をつけている自治体があるので指導して欲しいと要望して、検討するとのことだった。この約束はどうなったか。
◆保積:これまで平成18年6月26日の主幹課長会議、平成19年3月23日付け『社会援護局障害保健福祉部長通知『介護給付費等の支給決定について』において、国庫負担基準が、障害者個人個人の利用者に対する支給量の上限ではないことを市町村に対して周知してきたが、更なる周知徹底を図る趣旨から平成19年の4月13日付けで『障害者自立支援法に基づく支給決定事務にかかる留意事項について』を発出して、適切な支給量の設定に留意いただくようお願いした。
◇古賀:直接の指導を要請してきた。各自治体の支給決定基準は把握しているのか。
◆保積:市町村が定めている支給決定規準は、市町村がそれぞれの地域の実情を踏まえ独自に策定しているものなので、その内容について、市町村への個別の指導を行うことはできない。指導を行うために支給決定規準を把握する考えはない。ただ前回お話を聞いたので、4月13日付の文書で再度周知徹底をはかった。
◇鈴木:大田区では相変わらず変わっていない。1ヶ月で支給決定が出るといっていたのに3ヶ月経ってもまだ出ない。指導して欲しい。
◆保積:自治事務なので、国から大田区に対して早く支給決定しろといった指導はできない。支給決定までの期間が1ヶ月というのは確認できない。支給決定に関し不服があれば、都道府県の不服審査もある。
◇A:不服審査の仕組みはもちろん知っているし、現にやっている。しかし東京都は大田区任せで事実上棚上げにしている。4月11日の交渉以降、大田区に連絡したのか。
◆保積:大田区に対し一回連絡を取った。「標準の32時間を越える申請がある場合は、希望者本人からの聞き取り調査を行って個別の事情を勘案して支給決定をすることとしている。32時間を上限にはしていない」とのこと。
◇A:しかし今こういう現状である。それでいて厚労省が何もできないで済むと思うか。
◆保積:どういった事情で支給決定に時間がかかっているのか等含めて、国から大田区に対して事実確認をし、一週間以内に結果を連絡する。

■そもそも国庫負担規準が問題
◇古賀:各地で支給量に上限が設けられ、支給量の引き下がりが起きている。このような違法状態はそもそも国庫負担規準に問題がある。どう思うか答えて欲しい。 
◆保積:国庫負担規準には、全国どこでも支援の必要度に応じて一定にサービス利用が可能となるように障害程度区分ごとに設定している。市町村が支給した分だけ国庫負担することは、限られた国費を公平に配分する必要から適当ではない。市町村が行う支給決定は、障害者一人一人の状況を総合的に勘案することとしているので、支給量の引き下がりの事実をもって、この市町村の行った支給決定が適切か否かという判断はできないが、今後とも市町村における適切な支給量の設定が図られるように、必要に応じて周知していきたい。
■立川・福生の差別要綱は法の下の平等に反する
◇酒井:立川市と福生市の支給決定規準要項には、「平成18年4月1日時点で障害福祉サービスを利用している者に限定する」として、従来から長時間介助を利用している者と新規申請者を区別している。こういう差別適用を要綱の文面で謳っているのは問題ではないのか。
◇B:そもそも自立支援法は、全国一律の客観的な規準に基づいて同様のサービスを受けられるという趣旨でつくったはず。全国どころか同じ市内で違っている。この要綱は、法の下の平等に反する。憲法にも自立支援法自体にも違反している。
◆保積:この立川市と福生市のことについては、具体的に持ち帰って見させてもらって検討したい。どういった取り扱いになっているのかを市町村の担当者に話を聞いてみたい
◇C:何のために持ち帰り、何を検討するのか。
◆保積:全部読んで、法律に基づいたプロセスで支給決定が行われているかを確認する。

■「上限をつけるな」と明記している2002年の通達
◇A:厚労省は、ホームヘルプの上限問題で、2002(平成14)年に、『ホームヘルプ上限問題についての見解』という文書を出して、上限を付けないように指導するという通達を出している。「在宅福祉施策の推進、訪問介護(ホームヘルプサービス)事業について、サービス態勢の確保および充実として、サービス量の上限については撤廃するようこれまで関係市町村への指導をお願いしてきたところであるが、いまだ制限を設けている市町村に対しては、一般的なサービス量の制限を設けないよう引き続き指導する」と。2002年に言っている。指導しているではないか。皆知っている。
◇D:(各地の違法な上限設定について)、こういう問題が出てくるのは、とっくに分かっていたじゃないか。私たちはこういうことが出てくるのが分かっていたから、さんざん、何度もここへ来て話し合いをしてきた。あなた方は曖昧な対応しかしなかった。ちゃんと責任を取れ。責任の擦り付けをするな。
◆保積:とにかく厚生労働省としては、市町村が定めている支給決定規準は、市町村がそれぞれ支給量の設定とか、支給の要否について、地域の実情を踏まえて独自に作っているものなので、その内容について市町村への指導を行うのは困難である。
◇E:福生市は全部国からの指導を受けてやっていると言った。
◇F:2002年の通達と矛盾していても、国としては何もできないというのか。
◆保積:これまでも通知とか課長会議とか、先の事務連絡において、市町村に対して文書を発出して適切な支給量の設定が行われるように周知している。国として何もしていないということではない。

■上限について矛盾する介護保険と障害施策の統合はおかしい
◇古賀:介護保険との統合、有識者会議の言葉で言うと「普遍化」の問題について。介護保険は明確に一律の上限を作っている。厚生労働省は障害福祉の関係では、支給決定に一律の上限を作らないと述べてきた。矛盾しているのに両者の統合を進めようとするのはおかしいではないか。
◆大竹:今普遍化という話があったが、確かに有識者の方々が集まって検討していただいていた。中間報告もまとまって、普遍化という意見もあったが、一致したわけではない。色んな意見があり、今後も議論を続けていくことになっているので、必ず一緒になるという方向付けがなされているわけではない。介護保険については、支給限度額を定めていて、「横出し・上乗せ」という形で、重なる部分については介護保険から支給して重ならない上乗せ部分は障害保健福祉制度から支給するという形で今も運用している。したがって介護保険は、すべての介護サービスを介護保険から支給するという制度にはしていない。
◇古賀:やはりそこは納得ができない部分で、これは介護保険の有識者会議で障害者団体からも介護保険になったら一律に上限が付けられてしまい厳しくなるとの発言があった。これに関してはさらに障害福祉課と介護保険課の方で、どういう関係が考えられるのか、改めて見解を求めたいと思う。

■「経営実態調査に基づく算定」はウソだった。
◇古賀:前回交渉の冒頭、世田谷の規準該当事業所からの発言で、経営の困難さが明らかになった。これについて、今どう考えているか。
◆保積:障害者自立支援法施行後の現場における実態や状況については、他の団体の方からも様々な意見を伺っている。この問題については報酬自体の問題だけではなく支給量にも関わることでもあり、厚生労働省としては、今後とも市町村において適切な支給決定が行われるよう、さらに必要に応じて周知徹底を図っていきたい。新体系の報酬については昨年10月に施行されたばかりなので、すぐに見直しとはいかないが、今後、事業者の経営実態等を含めた施行状況を把握しながら、次期報酬改定において、その必要性を検討していきたい。
◇古賀:前回支援費制度から自立支援法に移る過程で経営の実態調査が行われたということだった。その調査結果を公開するよう要望したが、できないという話であった。あらためて、なぜ公開できないか聞きたい。
◆保積:前回、規準該当事業所の減算の根拠として、経営実態調査をやっていて、それを踏まえた形になっているということを申し上げたが、あの後、再度確認する中で、この減算については経営実態調査を基に算出しているものではなかったことが分かったので前回の発言を撤回する。
◇古賀:じゃあ15%カットの根拠は何か。
◆保積:15%カットは、規準該当事業所については、指定事業所と比較して、個人事業主でも事業実施が可能。ヘルパーの配置規準についても、常勤非常勤を問わず3人以上でできる、サービス提供責任者についても非常勤でも可、管理者についても非常勤でも可、など、各種の規制を受ける指定事業所と比べて、特段の規準の緩和を図っていることから、柔軟な運営ができ、所要経費を軽減できるという認識の下で、自立支援法になった時に、制度改革にあわせて指定事業所に払われる報酬の85%とした
◇G:そもそも重度訪問介護の単価設定の根拠を聞きたい
◆保積:重度訪問介護については、長時間滞在して、見守りも含めて介護を行っていくことで、大体8時間くらいで身体介護の1時間4000円を一日3回行ったものと同じくらいの単価になるように設定している。重度訪問介護は長時間を前提に設定しているので、短時間だけで見ると確かに身体介護よりは報酬が低くなっている。

■安い賃金で、ヘルパーがどんどん消えていく
◇里内:慢性的な介助者不足だ。その原因にヘルパーの給料の低さがある。僕のヘルパーは時給800円だ。それでも僕と契約している事業所は赤字だ。時給800円では一生できる仕事ではない。これではヘルパーはすぐ辞めてしまう。
◇古賀:介護報酬が低すぎることがコムスン問題の一因。介護労働者の報酬の安さとか、そこで無理している状況がある。介護の労働を今後どうするのか。
◇I:医療行為が必要な利用者に対する配慮をどう考えているか。30%、15%の減算で、事業所はすごく大変になった。(熟練した介助者でも)2級資格持っていないヘルパーは事業所として儲からないから解雇されてしまい、私にも半分しか入らなくなった。医療行為が必要な利用者に対しては、事業所がきちんと研修する必要があるが、報酬が少ないためにそれが不可能になっている。世田谷にも医療行為が必要な利用者が何人かいるが、皆本当に困っている。
◆保積:特に重度の人については、7.5%とか、15%という加算の措置を図っている
◇I:図っていても、事業所が派遣できない。
◇古賀:二つある。ひとつは、ヘルパーに医療行為ができないので、看護士が派遣されなければならないが、それも単価が低いから行く人がいない。もうひとつはヘルパーに15%などの加算を行うためには、その分講習を受けなければならないが、講習を受ける余裕もない等のことが重なって起きている構造的な事態。
◇J:報酬が低いから、結果的に必要な人に必要な介護が届かない仕組みになっている。
◆保積:報酬は10月にセットされたばかりなので、すぐに見直しというわけには行かないが、今後必要に応じて、事業所の経営実態を含めた施行状況を把握しながら、次期報酬改定で、その必要性を検討していきたい。

■重度ほど研修が軽い不合理。熟練介助者が資格とは無関係なことを告白。
◆保積:サービスの質を確保する観点から、基本的には居宅介護については、居宅介護従事者養成研修修了者としている。しかしながら、全身性障害者をはじめとする重度の障害者は、個々により介助の仕方やコミュニケーションの方法が色々あって、見守りを含む介護の時間が長時間に及ぶことを考えると、支援技術も必要とされる一方で、その方の障害に応じた、サービスを提供できる介助者が必要だということで、重度訪問介護や重度障害者等包括支援といった、重度の障害者に対するサービスについては、広く全身性障害者に対する介助者を確保するという観点から、研修時間を短くするなどの配慮をしている。
■介護福祉士が基本になれば、他の資格はまたまた減算か
◆余語:介護福祉士の養成のあり方について、今国会に「社会福祉士介護福祉士法等の一部を改正する法律案」ということで法案を提出し、審議をしていただいている。もともと介護福祉士制度は昭和63年にスタートして、ほぼ20年経っているが、大きな見直しはしてこなかった。一方で障害者や高齢者の福祉サービスは、制度の見直しや介護の方法など変わってきているので、法律を見直し、資格の取り方やその定義規定を見直しているところ。具体的には、介護福祉士の資格取得方法の一元化が改正の中身。
◆保積:法案ということもあって、今のところ介護福祉士と他の障害ヘルパー資格との間で、報酬上の違いを設けることは考えていない。報酬上の話は次期報酬改定において必要に応じて検討したい。
◇古賀:次期報酬改定はいつか
◆保積:決まっていない。

■退院支援施設は医療費削減の手段に過ぎない
◆大城:(1)退院支援施設はあくまで地域移行に向けてのプロセスと考えていて、この退院支援施設に入ったことをもって社会的入院の問題が解決されたとは考えていない。統計上施設入所者としてカウントすることはないが、自立に向けてニーズに応じた支援が必要で、地域に向けての途上にあると考えている。(2)精神科病院における精神保健福祉士業務については、精神障害者の方々の社会復帰に関する相談に応じて助言や指導、日常生活への適応のための必要な訓練なり、その他の援助を行うということである。他方退院支援施設については、自立訓練事業所、就労支援事業所ということで、入浴とか排泄・食事等に関する自立した日常生活を営むための必要な訓練なり、生活に関する相談等をさらに就労に必要な知識・能力向上のための訓練を行うところである。自立訓練事業所・就労支援事業所には作業療法士の配置はない。(3)入院している方と退院支援施設に入所している方の予算だが、入院されている方の入院費用ということであれば、17年度社会医療診療行為別調査によれば平均38万円程度。他方退院支援施設については、18万~22万円程度。(4)退院支援施設は、事業者の手上げ方式であり、国として全国で何ヵ所何人分整備するという計画はない。

■家族介助なしには成り立たない介護保険をどうする
◆大竹:家族介助なしには地域での生活は成り立たないとの指摘だが、介護保険自体高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして創設したもの。そうした中でも今後、認知症や一人暮らしの高齢者が増えるので、そうした人でも地域で暮らし続けることができるように体制を整備していくということで、地域包括ケアの体制が整備できるように、先般の改正で地域包括支援センターという総合窓口を作って、地域で高齢者を支える仕組みを作っている。
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怒っているぞ!憲法改悪・障害者自立支援法 7・7集会の報告
藤本

■主催者あいさつ(渡辺)
 私たち怒りネットは、障害者自立支援法の撤廃を掲げて国会闘争、そして昨年の10・31の1万5千人の障害者の闘いへと、本当に全力で闘い抜いて来ました。その結果一定の緩和措置を勝ち取りました。障害者が地域での生活を守るために、この障害者自立支援法は絶対に撤廃しなければなりません。
 この間、国会では憲法の改悪に向けた国民投票法、改憲手続法といった法律が強行採決されてしまいました。25条をはじめ私たちの権利を定めた憲法というものを守っていく改憲を許さない闘いをしなければなりません。本日は自立支援法から憲法改悪までという広いテ-マで飯島さんよりお話をお聞きし、今後の運動の力にしていきたいと思います。

■講師飯島さんからのお話
◆権利としての福祉の危機
 まず障害者自立支援法についてですが、これについてはもうみなさんの方がよくご存じだと思います。福祉サ-ビスを給付する時に、生活保護の水準にも満たないような年金暮らしの障害者に応益負担ということを強いるわけです。つまり、給付の量に応じた相応の自己負担をしてもらうという制度です。名前は自立支援法なんて、格好いいんだけれども、内容はとんでもなくて、障害者の自立を防止する法律です。特に印象的なのは、国が義務的負担を負うサ-ビスは、大きく介護給付と訓練等給付に分かれています。結局、障害者が介護と訓練の対象としてしか考えられていない。障害者が自立した人間と見られていないということです。どこが自立支援法なのでしょうか。
 さらに色々なサ-ビスを見てみると、障害の程度に応じた能力別の振り分け、再編成といったことが行なわれています。そして、「自立」と言うなら、自己決定というのが原則です。自分のことは自分で決めるということです。しかし、自立支援法において、サ-ビスを受ける際に自分で決められるでしょうか? 認定審査会の審査を受けて決めていくのです。介護給付などについては程度区分というものがあり、それによっては受けたいサ-ビスも受けられない状態が出てくる訳です。自己決定を尊重している制度とはとても言えないと思います。
 結局、何がねらいだったのかというと、社会福祉にかけるコスト、国の責任そういうものをできるだけ軽くしていこうという考え方でつくられています。こういった中で、戦後60年かけてコツコツコツコツ作り上げてきた「権利としての福祉」という考え方が破壊されてしまい、昔のように、障害者には恩恵を与えていけばいいんだという発想に戻ってしまっています。
◆教育基本法の改悪
 さらには教育基本法も改悪されてしまいました。以前教員をやっていたことがあり、統合教育のことを若い頃からずっとやって来ました。この教育基本法の改悪についても非常にショッキングな出来事でした。
 教育基本法というのは、憲法と同じように、国民を第2次世界大戦へ導いてしまった教育の反省から生まれた法律です。戦後60年間、時の権力も容易に手をつけることができなかった非常に志の高い法律です。ところが、このたび改悪されてしまいました。ただでさえ色々な問題を起こしている学校教育は、これからはなだれを打って崩れていく、荒廃していくだろうと考えています。
 今日の日本の教育というのは、競争主義と管理主義で成り立っています。それが今後さらに広がっていくのではないかと考えています。このように2つの法律を取り上げただけでも、こういう大きな問題があります。非常に深刻な問題です。
◆9条の真価を問い直す
 今、矢継ぎ早に色々な法律ができてきています。しかも、それらが国民生活や民主的なしくみを壊していくという方向で法律ができています。その向こうには一部のお金持ちとそれに癒着する国家権力が、好き勝手をできるような国のかたちが見えてくるような気がします。
 憲法改悪の中でも一番焦点になるのは、第9条です。9条というのは平和主義をもとにして戦争を放棄している条文ですが、戦後ずっと聖域として手がつけられなかった。しかし、一方で9条を変えたくて仕方なかった人たちがいます。戦後も虎視たんたんとその機会をうかがって来ました。ところが、いま簡単に手がつけられるようになってしまった。非常に重大で残念な社会状況が生まれていると思っています。
 特に最近はイラクへの大義なき派兵の強行。防衛庁の省への格上げ、国民投票法の成立等、改憲への伏線を着々と作り上げて来ました。この動きは残念だけれども簡単には止められないと思います。けれども諦めてはいけないと思っています。地道な活動を行なうことによってこれらの動きを止めて、2度と戦争が起こらないような社会にしていかなければならないと思います。状況としてはよくないけれども、こういう機会に日本国憲法の良さを、9条の意味を、真価を問い直し元気を出してやっていく必要があります。
◆教育と福祉
 第25条は生存権。第1項では「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をする。第2項では「国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。つまりすべての国民が権利として、文化的で健康的な最低限度の生活を営む権利を持っている。そしてその責任は国にあるという非常に高らかなことを謳っています。この趣旨に沿って戦後の日本は福祉を充実させて来た。しかし、次第におかしな方向へ進んでいくことになってしまいました。最近の例で言えば、2000年の社会福祉法の成立。契約制度という自己負担を強いていく制度が出来上がった。そして介護保険、支援費制度、今回の自立支援法で総仕上げをされてしまったのです。
 さらに障害者も介護保険に統合されていくという論議の中、もっともっと問題のあるしくみされてしまう可能性があります。
 第26条は教育のことを規定しています。普通教育というのは、戦前の反省に基づいたもので、例えば針、按摩といった技術的なものだけを習得するだけのものではなく、一般的な教育をすべての国民に受けさせるという主旨です。当然普通学校に行く法的な根拠になっている訳です。しかし、実際には分離教育がどんどん進んでいます。
 特に教育基本法と学校教育法の改悪がされてしまいました。こういった中で障害のある方を非常に特別視して、特別支援教育の中に組み込んでいこうというしくみが強くなってしまいました。分離教育がますます強まっているということで、憲法26条も危うくなっているのです。教育を選ぶ権利を有しているということは、少なくとも普通教育を受けるのか、特別支援教育を受けるのか、その選択権は本人にあります。あるいは親にあります。それが選ぶ権利がないということになって来たら問題です。
 憲法27条というのは、すべての国民に勤労の権利を保障している。すべての方を働かせるように国は努力をしなければならないのです。ところが、障害のある方は養護学校を卒業すると約半数の方々が、福祉施設に入らざるを得ない。あとは家庭に居たりと・・・ そう考えていくと就職という方は2、3割です。福祉施設に行っている方が就職していける割合は年間1%です。100人に1人しかいません。勤労の権利なんて保障されていません。それで障害のある方は三重苦にあっていると表現するのですが、25条で生存権が侵され、生活に非常な困難を抱えている。26条で分離教育を強要されている。27条で勤労の権利を剥奪されている。世の中がつくった本当の意味の「障害」により、この「三重苦」にあっています。障害者にとって「法の下の平等」は実現されているとは言えません。
 これまで、問題を抱えつつも憲法をひとつの理想として、羅針盤として、目標を立ててやって来ました。しかし、今はそういう社会状況ではなくなりました。さらには9条が改悪されようとしている。平和な社会があるから福祉が充実できるのです。戦争のあるところでは国民一人ひとりのためではなく、国家のために教育が行なわれます。戦争になると障害者、子供、女性、その他社会的少数派の人々が割りを食う社会になってしまうことを私たちは学んでいます。
 憲法25条、26条、27条の条文の主旨をきちんと支えていくには、9条で規定している平和主義がないと絶対にダメだと考えています。ですから、何はともあれ、9条の改悪は絶対に阻止するという姿勢で私は行きたいと考えています。戦争というのは言うまでもなく、人と人の殺し合いです。それを国家規模でやるわけですから、そんな社会にはしたくないと思っています。
◆自立支援法ごり押しの先には憲法改悪                    
 自立支援法は、先程から言っている通り自立を支援するものではありません。内容も嘘だらけです。国や官僚は、なぜ、こんな嘘がつけるのでしょうか。
 自立支援法は、もともとは「障害者福祉サ-ビス給付法」という名称だった。それなら内容的に問題があっても、まだ身の丈に合うかなと思います。ところが、内閣法制局が圧力をかけた結果、厚労省があの美しい法律名をつくったのです。障害者福祉のサ-ビスを一元化したと言いますが、少しも良くなっていません。介護保険のしくみを合わせやってしまっただけのことです。精神の方々は医療の負担が重くなってしまいました。一元化したから使いやすいという話ではありません。
 それから、障害者がもっと働ける社会と言っています。施設の障害者が1%しか社会に出ていけない。そこでつくったのが、就労移行支援、継続支援、それらが充実したと言っていますが、規制が非常に強い。能力で選別してある程度の能力がなければサ-ビスすら受けられない。また、地域の限られた資源を活用できるように規制緩和する。内実は、空き教室、空き店舗を使用するなど、要するに安上がりでやりなさいということです。
 「国に責任はないから、事業所の方々競争してやって下さいよ。競争に負けたらおしまいですよ、強い者が勝ち残っていくのですよ。」 こんなことではサ-ビスは充実しません。ホ-ムヘルプサ-ビスが支援費でのびてしまった。その量を調節してみんなが公平に受けられるようにするんだ言っています。しかし、ホ-ムヘルプサ-ビス自体が十分でなかったのです。また、「サ-ビスの費用をみんなで負担して支え合うしくみをつくる。」と言っています。しかし、現実は支え合うのではなく、本人が負担しろということです。嘘ばかり言って強引に通してしまった。この嘘に騙されている私たちも情けない。この調子で憲法が改悪されていったらたまらないと思っています。       
◆自国民にそっぽを向き米国にしっぽを振る?
 自立支援法が、さらに介護保険制度と合体すれば、一番大きな問題は、財政負担の問題です。保険というのは保険料と税金からなりたちます。保険料を取るだけでは済まされません。税金も取らないといけない。そうなると消費税が一番取りやすい。だから時期を微妙にずらしはしますが、結局は介護保険をつくる時には両方やって来ます。
 そうすると、たとえば利用者負担が一割、保険料一割、消費税10%・・・というようなことになり、応益負担だけでは済まされなくなります。保険料と税金をさらに納めなければならないのです。非常に厳しい状況になります。
 なぜそうするのか。「国にお金がない」といいます。そこで財源論をきちんと議論していく必要があると思います。“お金がない”なんてことはないと思います。9条との関連で言えば、やはり軍事費です。戦争に関係するお金をもっと減らして国民の命やくらしを守る方にお金を遣うことはある程度できます。
 例えば、在日米軍の駐留経費の70%、35億ドルを日本が負担しています。この日本の負担は、日本以外のアメリカの同盟国26ヵ国の負担の合計よりも多いのです。湾岸戦争の時は、115億ドル、約1兆円を多国籍軍に出しました。イラク派兵では毎日1億円のお金が遣われました。そこまでしてイラクに自衛隊を送っても、国際世論はもとより、アメリカ自体もブッシュの派兵が問題にされています。大変な赤字を抱えて問題になっています。それを今だに日本だけが支持している始末です。副島隆彦という方の本によると、アメリカはイラクで1日10億ドル日本円で1110億くらいのお金を浪費した。その半分のお金を日本が負担していることになります。2003年から2004年のイラク戦争の費用として、日本はアメリカの国債を買い、1年間で30兆円ものお金を貢いだと言
われています。自分の国の国民に対しては、年金暮らしの人たちからもあり金残らず巻き上げるのに、どうしてアメリカの言いなりになって、こんなことをしなければならないのでしょうか。
 とにかく、このまま行ったらとにかく危ないと思います。そんな動きよりも、自分たちの生活を大事にしてくれるような日本を築いていかないといけないと思います。そういった意味で障害者自立支援法もきちんと見なおしてもらい、そして憲法も改悪させないということに力を入れてやっていきたいと私は考えています。

■司会者(酒井)より
  飯島さんありがとうございました。白を黒と言い包めるような政治家や官僚がトップにいる中、それらを見抜く力を私たちがつけていかねければならないということでお話をお聴きしました。安倍首相も、さすがにここに来て美しい国というのはもう言えなくなった。あまりに嘘八百が多いという感じがしています。それでは各地からの報告、意見、質疑応答に入ります。

■各地からの意見・質疑応答
◇桐沢(新潟)
  支援法になり4月以降、新潟の場合継続されている。移動サ-ビスが、新潟の場合ヘルパ-資格がなくても取れるようになり助かっている。私のように自立生活を行なう障害者にとっては、介護者を集めるということは資格云々の問題ではない。
◇木村(新潟)
  新潟では特にこの間問題にしているのは資格問題。自立支援法になってからは、みなしの人は30%減とか色々なことが新たに決められていった。支援費の時に必要だったガイドヘルパ-がなくなった。2003年支援費制度以前は、無資格で入れた。1997年に全身性障害者支援事業が始まり、報酬が出るようになる。2003年から資格が必要になってくると報酬も段々上がって来て2003年の直前では全くの無資格で、時給1800円といった単位だった。その中で学生等も入って来る。2003年からはヘルパ-2級の資格が必要になって来る。当時はみなし資格でカバ-できていたが、それからすでに4年目、みなし資格の人はほとんどいなくなってしまっている。
  厚労省の交渉の中でも重度の障害者、重度包括支援だとか、重度訪問介護については研修時間が短くていいという。この矛盾は何だと言ったら、結局は特殊なニ-ズがあるから、広く全身性障害者に対する介助者を確保しなければならないという。つまり資格といったハ-ドルを上げておきながら、結局誰もいなくなるということに彼らも気付く一定の量を確保しなければならない。障害者の介助体制を圧迫しながら、消滅するぎりぎりのところは確保する。生かさず殺さずのところをバルブで調節するための資格要件なののではないか。
◇里内(茨城)
  私が契約しているJIL系の事業所から他人介護加算を正しく支払わなかったら、契約しないと言われた。当事者の利益を守るのが筋なのに障害者が障害者を管理する構図になってしまっている。
◇佐藤(相模原市)
  相模原市では、ちょうど1年前の8月に画期的な行動を起こして、市役所と交渉してある程度要求を飲ませました。あれから1年、相模原市独自の予算はついたのですが、1ヵ月に1回の集まりでは、益々地域では生活できないという報告がたくさん出されています。今年は障害者だけでなく、もっともっと多くの仲間に呼び掛けて大きな行動にしたいと話が盛り上がっています。何をどう要求するのか、具体化して今年の秋にでもやれればいいなとみんなで話し合っているところです。
◇松本(板橋)
  板橋の方は大体月に1回くらいのペ-スで行政との話し合いを行なっています。そこで新区長になった坂本さんが従前を確保するとした。また、新潟からも出ていたマンパワ-の問題、それについては板橋区は2つの方法を考えている。ひとつはヘルパ-になる時にかかる費用をつける。支給料を上げる。どちらかを考えている。介護保険のヘルパ-も入っているということでそういうのが出て来ました。しかし、ヘルパ-になるための助成ではなく、報酬単価を上げてほしいという要求を出している。
  自立支援法そのものが欠陥だらけで非常に困るが、それがあっても、生きていかないといけない。それを柔軟に利用するためには、向こうとパイプを切らないで話し合っています。また、区内の主だった障害者団体を集めた所で話し合っています。
◇渡辺(福生市)
  今度新しい車椅子をつくることになったのですが、補装具費は一割負担になっています。都内の区市町村のデ-タ-によれば、免除の所もあります。それで福生市と交渉したのですが、それはできないと言われました。納得できません。
◇石田(東久留米)
 社保庁の天下りをなくさせたい。資格制度をなくさせる運動をしたい。
◇鈴木(世田谷)
  世田谷区自身が基準該当事業所になっていて、受け入れが難しい個人の介助者等の受皿になっている。
◇「知的障害者」の親
  親も年を取って子供の面倒が見られなくなりつつあるという現実の中で悶々としている。知的障害者の介助者の場合、資格があっても、何の役にも立たない人がいます。資格以前に志がない人は、本人とも信頼関係をつなげない。今は介助者も少なくなりつつある。支援法のよって益々生活が輪切りにされていって、生活しているんだか、制度に合わせて生きているんだかわからなくなっている状況です。こんな法律は早く無くして生きているのが楽しいという暮らしに戻りたい。
◇大田区鈴木敬治さんの現状報告(渡辺より)
  昨年11月29日、東京地裁で鈴木さんの移動支援が、月124時間が32時間に削減そして、これを大田区の要綱によってそれを一律上限にするということについては、これは違法、不当であるという判決が出されました。
  鈴木さんは損害賠償も含めて要求していたが、それは認められなかった。しかし基本的には事実上勝利したという判決でした。それを受けて大田区と32時間削減した移動時間について直ちにもとに124時間にもどせということをずっと要求して来ている。
 ところが実はそれ以来半年たって、今だに勘案事項調査というのを受けて外出にどれだけ費やしているのかということも含めて資料を揃えて行政に出しているのですが、それ以降いまだに決定が下りていません。現在区との話し合いを続けているところです。
  6月27の厚労省交渉の際にもこういう不当な決定の引き延ばしは違法なのではないか、厚労省がきちんと指導すべきである。少なくとも事実関係について区に問い合せろと要求しました。その後7月2日に厚労省の担当者から電話がありました。大田区の障害福祉課の佐々木さんという人に対して事情を聞いた。しかし、厚生労働省としては、事実関係を確認できなかった、よって指導はできません。というひどい回答だったということです。
◇古賀
  障害者団体、障害者運動の中で国連の差別禁止条約等についての期待が高まっています。それとの関係で千葉県条例が実際の条文よりも期待を持たれています。その反面、改憲に対する闘いが弱いという感想を持っています。その辺のことで感じられていることをお話いただければと思います。
◇飯島
  今、一番大事なのは、憲法改悪を阻止すること。これまでも、国会で審議しなくて済む周辺的な法律や条例を、官僚がどんどん変えてしまっている。そして本来の憲法や教育基本法を形骸化させていく。現在の条例つくりの動きの中でも、憲法の内容を歪めていく内容が盛り込まれてしまっている。そして、いつの間にか本丸の憲法が変えられてしまうという傾向があると思う。細かいことには力を注ぎながら改憲反対をしない。条例つくりをしつつも、自立支援法はそのままという状態だという感想を持っています。
◇その他参加者から
  障害者の暮らしが保障されるためには、同時にそれを支える介助者の暮らしも保障されなければならない。現在の状況下では、障害者自身のくらしはもちろんのこと介助者のくらしも脅かされつつある。実際、参加していた介護者の中からも福祉労働に対する将来への不安の声が多く挙げられました。
◇最後に
 今後も自立支援法撤廃の闘いと憲法改悪を阻止する闘いを、多く人たちと共闘し継続していこうと参加者全員で力強く確認しました。
※今回怒りネットへのカンパアピ-ルが行なわれ、約40名の参加者より、合計11、102円のカンパが集まりました。今後の闘いに有効に使用させていただきます。

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