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2008年8月12日 (火)

障害者差別の事例収集へ

福祉新聞2398(8/11)号より。

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■障害者差別の事例収集へ

■内閣府が調査研究

■「合理的配慮」を明確に 年度内にパンフ作成

 どのようなことが障害を理由とする差別に当たるのか--。障害者権利条約の批准を控え、内閣府が調査研究に乗り出した。条約は「合理的配慮の否定も差別に含む」と規定しているが、具体的には何が合理的配慮で、何をしなければ合理的配慮を否定したことになるのか、国内で了解されていない。このため、計6000人規模のアンケート調査を行い、障害者が「してほしいこと」「してほしくないこと」の事例を集めて分析する。これを基に今年度内に事例集とパンフレットを作り、国民への啓発と広報に使う。

 内閣府によると障害を理由とする差別を防止するためには、障害者権利条約を批准する上で必要な国内法令の整備を検討するとともに、障害者差別を具体的な事例として示す啓発・広報が重要と考えたという。

 条約が「合理的配慮の否定も差別に含む」と定義して障害者差別を禁止した点は目玉だが、一方で「合理的配慮とは何か」の共通認識が国内で形成されていないという課題がある。このため、抽象的な概念のままではなく、より分かりやすく「差別に当たるおそれのある事例」によって明らかにしていく。

 その手法としては、全国の障害者から具体的な事例を集めるアンケート調査を行う。障害者が差別に当たると考え人々に「してほしくない」と望んでいること、逆に「配慮して欲しい」と望んでいることを把握しようという事業だ。

 調査研究事業は内閣府の予算で2008年度内に行うもので、実際の分析研究は日本障害フォーラム(JDF)加盟団体の代表者と学識研究者らで構成する調査委員会(座長=佐藤久夫・日本社会事業大教授)が担う。調査委員会は6月末に立ち上がっており、調査票の内容などを検討中だ。

 アンケート調査は、障害者団体の協力を得て二段構えで実施する。

 第一次調査は1000人を対象に、8月下旬から9月下旬にかけて自由記述式で尋ねる。教育、雇用など場面ごとに「差別に当たると思うのでしてほしくないこと」「配慮してほしいこと」を把握する。

 また、第1次調査の結果を下敷きにして第2次調査に臨む。第1次調査で得られた意見を整理した上で、5000人を対象に、事例ごとに差別と「思う」「思わない」といった選択式で問う。何人もの障害者が差別に当たると主張する項目なのか少数意見なのかなど、量的な重要度を見ようというねらいだ。

 最終的には、年度内に調査結果を事例集としてまとめ、公表する。また、事例集の中からエッセンスを抽出し一般向けに啓発パンフレットを作成、配布する予定だ。

 なお、障害者権利条約を批准するには、政府として条約の水準に見合うよう国内法令を整備する必要があり、既存の法制度を改正しても整合性が取れない場合は新しく法律を作って対応することもあり得る。

 ただ、政府は「できるだけ早期に条約を締結したい」と明言しているものの、障害者基本法をどう見直すのか、障害者団体などが求める障害者差別禁止法を制定するのかについては方針を示していない。

 佐藤座長は「障害当事者が差別と感じたことがイコール障害者差別とはならないが、この調査は企業や商店などが何をしてはいけないのか、どんな配慮をしたら良いのか示唆する情報を与えてくれる。障害者差別禁止法の在り方を議論する上でも重要な出発点となる」と話している。

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