福祉新聞2417(1/12)号
■自立支援法見直し
■報酬5.1%引き上げへ
■障害者負担の軽減4月以降も
障害者自立支援法施行後3年の見直しについて社会保障審議会障害者部会の報告書がまとまったことや、2009年度予算案がまとまったことを受けて、厚生労働省は12月25日に障害保健福祉関係主管課長会議を開き、今後の方針を説明した。障害福祉サービスを提供する事業者の報酬を09年4月に改定して5.1%引き上げること、利用者負担の軽減措置を09年4月以降も継続すること、臨時特例交付金による基金事業を11年度末まで延長することなどが要点だ。
障害福祉サービスの報酬は09年4月に改定し、大枠で5.1%引き上げる。厚労省は、その内訳を具体的に示していないが、基本的な考え方は説明した。方向性としては人材確保、経営基盤の安定、中山間地域への配慮、新体系への移行促進などを重視している。
例えば訪問系サービスの場合、中山間地域などの事業所が提供するサービスの報酬に配慮する。初回時や緊急時などサービス提供責任者の労力が特にかかる場合は報酬上評価する。さらに、重度訪問介護の基本報酬は利用時間の区分を細分化するとともに、行動援護の基本報酬は1日当たり5時間以上のサービスについて報酬上評価する。
中山間地域などで報酬に配慮するのは、重度障害者等包括支援、指定相談支援でも同様だ。
生活介護、施設入所支援の場合は、平均障害程度区分に基づく評価ではなく、利用者個人の障害程度区分に基づく評価とする。基本報酬体系を変更することで生じる影響に配慮するための加算も設ける。
短期入所では夜間のみ利用する場合の報酬区分を設けるほか、グループホームとケアホームでは長期間の入所・入院から地域生活に移行する際に体験利用する場合の単価を設け、自立訓練では訪問による訓練の基本報酬について2時間以上の場合を評価するための単価を設ける。
また、刑務所出所者への支援の要請の高まりから、グループホーム、ケアホーム、生活訓練(宿泊型)、施設入所支援では、出所後の利用者にかかる関係機関との連携について報酬上の評価を行うようにする。
就労支援関係では、就労移行支援体制加算を一般就労への移行・定着の実績が細かく報酬上の評価に反映されるものに見直すほか、移行支援・継続支援ともに施設外の一般事業所などで行われる訓練や就労について報酬上の評価をすることなどが盛り込まれる。
子どもに関するサービスとしては、放課後型デイサービスを重要視して、いわゆる経過的児童デイサービスの実施を引き続き可能にする。また、障害児施設では、被虐待児へのケアを充実させるため心理担当職員を配置する福祉系の入所施設を報酬上配慮することや、知的障害児が盲児施設・ろうあ児施設を利用する場合の報酬単価を設定することなどが示された。
一方、利用者負担については、08年度末までの負担軽減策を09年4月以降も継続する。さらに、軽減措置を適応する時の資産要件を撤廃し、心身扶養共済の給付金は収
入認定しないことにする。実施は09年7月。
具体的には、居宅・通所サービスの場合、08年7月に緊急措置として実施した現行の月額負担上限▽一般(所得割16万円未満)=9300円▽低所得2=3000円(通所は1500円)▽低所得1=1500円を09年度以降も継続する。これらの額になるのは預貯金などが1000万円(単身の場合は500万円)以下であることが条件だったが、この資産要件を撤廃する。
入所施設やグループホームの利用者に対して個別減免を実施する時の資産要件も撤廃し、心身扶養共済の給付金は収入認定しない。
なお、06年度に基金を造成した障害者自立支援対象臨時特例交付金事業は、今年度中に補正予算で基金を積み増しして、11年度末まで支出できるよう期間を延長する。
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