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2009年1月14日 (水)

ホームレスと生活保護

「年越し派遣村」との関係でホームレスの人に生活保護を支給させることが「例外的なこと」であるかのように言われている節があります。それは違うのです。ホームレスこそ最も生活保護が必要な人たちです。法的にもそれは保障されているのです。

前提的に、小泉構造改革による毎年2千億円以上の社会保障費削減を受けて、保護の現場である自治体窓口で「水際作戦」というものが行われています。北九州市で「おにぎりが食べたい」という遺書を残して餓死した人など、餓死者が何人も出たというのがこの「水際作戦」です。失業や病気で蓄えもなくなり、援助してくれる親族がいなければ誰でも生活保護を申請することができます。行政は申請があると14日以内に保護を開始するかどうかを決めて、開始するときには保護費を支払わないといけません。これは法律で決まっていることです。

保護費削減のために行政がすることは、「申請をさせない」という手段なのです。これが「水際作戦」といわれるものです。申請用紙をとにかく渡さないのです。65歳以下だとまず「働けるだろう」と、就職口とがなくとも言われます。「労働能力がある」と「働ける」はちがいます。就職口がなければいくら若くて労働能力があっても働けません。でも申請用紙をくれません。それくらいはまだましなほうで、明らかに病気で「労働能力がない」人に対してでも申請用紙を渡さないというのが北九州市のやっていたことです。

僕は申請はできて保護費を受給していた間、「統合失調症で労働能力がない」という診断書を出しているにもかかわらず「働け、働け」と言われ続けました。その後「障害年金」がでるようになって、保護費との差額が年金の方が一万円少ないだけになると、それを口実に、「自立できるだろう」と保護を廃止しようとしました。僕は今は別の理由で保護から外れていますが。

湯浅誠氏は「生活保護受給マニュアル」のなかで「申請用紙をもらえなかったら自分で用紙を作って申請してしまえ」とアドバイスしています。それほどこの「水際作戦」はひどいのです。

ホームレスの場合は、「住所、住居がないと受給できない」として申請を拒否されます。これも「申請書を渡さない水際作戦」によって行われるのです。法的には、住居がないことで申請を拒否してはならないことになっています。当然です。住居もないホームレスこそ「健康で文化的生活」とは程遠いのであり、憲法25条の保障によって生活保護を最も受けるべき人だからです。住居がないことを理由に生活保護の申請を拒否することは違憲・違法なのです。

それと、住居の保障とは別のことです。住居がないことは「健康で文化的生活」とは程遠いのですから、生活保護というなかには定まった住居を保障することが含まれています。契約に必要な敷金も生活保護費として支給されます。もちろん家賃も保証されます。だから本人・支援者のすることは指定された家賃の範囲内で住居を見つけることだけなのです。なお兵庫県の場合家賃は4万2500円ですから木造アパートの風呂付ぐらいには入れます。条件によればマンションも可能です。連帯保証人がいなければそれを代行する会社があります。

保護費の支給は14日以内というこてとですがどうしてもそれまで待てないなら貸付金というものがあるそうです。今回の「年越し派遣村」への対応では7日ぐらいで支給する方向だそうです。職権で即日支給ということも可能だと言われています。
その日から住む所がない人を対象とした短期入居施設というものもあります。ともかく当座の住むところを保障させてアパートを探し、アパートも見つかったら、働ける人はそれから職探しをすればよいのです。

今回の「年越し派遣村」を対象にして行った行政の対応は、「例外的」なことではなく、まったく当然の行政としての義務を果たしただけなのです。今までやっていたことが違法なのです。

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コメント

まったく、その通りだね。

投稿: 田中洌 | 2009年1月14日 (水) 10時15分

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