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2009年2月

2009年2月27日 (金)

■障害者自立支援法: 負担「応能」原則に――ホーム利用者に家賃補助/改正案原案■

[京都新聞(共同通信・配信記事) 20080226日・夕刊1]



自立支援法改正案のポイント
 グループホーム、ケアホームの利用者に家賃や光熱費などの住居費の一部を補助
 原則を「応益負担」から「応能負担」に
 地域への移行や地域定着のための相談支援サービスを創設
 市町村に「基幹相談支援センター」を設置
 サービス利用計画の作成対象を原則、すべての人に拡大
 発達障害を法の対象にすることを明記
 視覚障害者の外出支援として「同行援護」サービスを創設
 障害児の放課後型デイサービスを創設


 政府が今国会に提出する障害者自立支援法改正案の原案が26日、分かった。地域での自立生活を促すため、仕事などをしながら少人数で暮らすグループホームやケアホームの障害者に、家賃や光熱費などの住居費補助を新設。すべての障害福祉サービスについて自己負担を、批判のあった利用量に基づく「応益負担」から、所得に応じた「応能負担」原則に見直す。

 一部の内容を除き、改正法公布から1年半の間に施行する。与党と調整後、3月上旬にも閣議決定する方針。「障害者に負担増を強いた」と批判を受けた同法は、06年の施行から3年で一定の見直しが図られることになった。

 両ホームは利用者が日中、仕事などで外出。大勢で集団生活を送る入所施設とは異なる。利用者は全国で約4万5000人。

 これまで入所施設では低所得者に住居費の補助があったが、両ホームにはなかった。同様の補助を設けることで地域への移行を進める狙い。具体的な金額は今後詰める。

 入所施設や精神科病院から退所、退院する人を支援する「地域相談支援」サービスも創設する。

 このほか、サービス利用計画の作成や調整を行う拠点として、市町村に「基幹相談支援センター」を設置。一部の人に対象を限っている利用計画の作成を原則としてすべての人に拡大する。

 負担は完全な応能ではなく、実際の負担額は変わらない見通しだ。

 支援が手薄い自閉症などの発達障害については、自立支援法の対象とすることを明記。市町村事業のため取り組みにばらつきがある視覚障害者の外出支援は、「同行援護」として同法のサービスに位置づけ、充実させる。

 このほか学齢期の障害児のデイサービス創設なども盛り込んだ。


*
障害者自立支援法
 2006年に施行され、身体、知的、精神と障害ごとに分かれていた障害福祉サービスを一元化。地域での自立と就労支援を目的に、日中活動と住まいのサービスを分けるなどの事業や報酬も新しい体系に変更した。サービス利用を原則1割負担としたが、負担が重くなった人から批判が相次ぎ、政府は2回にわたって所得に応じた負担軽減措置を実施した。「生存権の保障を定めた憲法に違反する」との集団訴訟も起きている。


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2009年2月20日 (金)

報酬単価改訂

専門職多ければ2割加算=障害福祉サービス報酬改定案-厚労省

 厚生労働省は20日、障害福祉サービス事業所に支払う報酬について、専門職である介護福祉士の在籍割合が高いといった一定基準を満たせば20%加算するとした改定案をまとめた。福祉サービスの質の向上を促すほか、事業所に対する報酬を引き上げることでホームヘルパーら介護従事者の処遇改善につなげ、人材確保を図ることが狙い。2009年度から適用する。障害者自立支援法施行後、報酬改定は初めて。(2009/02/20-10:26)
<時事通信記事>
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009022000253


障害福祉の報酬改定し5%アップ  重度者対応、専門職に加算

 厚生労働省は20日、施設入所や就労支援など障害福祉サービスを提供する事業所へ支払う報酬について、今年4月からの改定案を発表した。重度障害者への訪問介護など地域での生活を支えるサービスや、介護福祉士といった専門職を手厚く配置した事業所に報酬を上乗せする。

 報酬改定は2006年の障害者自立支援法施行後、初めて。全体では5・1%の引き上げで、それに伴う必要財源230億円を09年度予算案に計上した。高齢者介護と同様、障害福祉の現場も人手不足にあえいでいるため、賃金アップも図る。

 自立支援法ではサービス利用が原則一割自己負担となったため、本来なら報酬アップで利用者も負担増となるが、厚労省は「軽減措置を講じており、比較的高所得の人以外は負担はほとんど増えない」としている。改定案は一般の意見を募った後、3月下旬に正式に決める。

 自立支援法では昼間と夜間のサービスを分けるなど事業や報酬を新しい体系に変更。各事業所に対し11年度末までに移行するよう定めていることから、新体系の事業に手厚く配分した。

 例えば(1)職員に占める介護福祉士の割合が30%以上(2)重度の利用者が30%以上-という2条件を満たす訪問系サービスには報酬を10%加算。効率化が難しい中山間地や小規模の事業所へも上乗せする。

2009/02/20 11:23   【共同通信】

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2009年2月15日 (日)

与党の白旗

与党が応能負担にすると言い出したのは「障害者」の闘いについに与党が白旗を揚げて降伏するということです。6500人の「障害者」が厚労省前に集まり国会に押しかけた。それも3年続けて。各地では違憲訴訟が提訴された。それらの闘いの前に与党は持たなくなってしまった。「障害者」に敵対するものとして選挙を闘わなくてはならなくなった。20%を下回る政権支持率もそれが一因だ。ついに与党が白旗を掲げた。

しかし、その言葉はそのとおりに受け取れるだろうか。与党にとっては選挙が目的であり、当面をごまかせればそれでよい、選挙後に本当のことがばれてもかまわないと言うことだからです。

応能負担に戻すと言っても、いったいどれだけの自己負担になるのかまったく不明です。4年間も「障害者」を苦しめ続けたことに対する反省の言葉はいっさいなく、今の負担上限と変わらない額を自己負担させられる可能性は大いにあります。ともかく反省の言葉もなく、謝罪もなしに応能負担だから文句を言うなとしてくる可能性は大きい。そもそも支援費で予算が足りなくなったと言い出したのですからそこの反省がなければ今の自己負担とさして変わらないという可能性のほうが大きい。政府は「応益負担と言っても上限を下げたから応能負担と変わらない」と言ってはいなかったでしょうか。

年金アップは消費税導入(税制の抜本改革)と引き換えという、労働者と「障害者」を争わせる構図があります。いくら年金がアップしても消費税で消されてしまうのでは意味がありません。それに厚生年金をもらっている場合の年金がアップされるという保障はありません。年金額は変わらず消費税のアップのみがのしかかると言う可能性は大いにあります。

戦線を立て直す意味でも与党の白旗と嘘についての研究と暴露が早急に必要です。

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2009年2月14日 (土)

■障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針■

   2009.2.12
   与党障害者自立支援に関するプロジェクトチーム

1 障害者が地域で普通に暮らすことや自立と共生の社会づくりを目標とする「障害者自立支援法」の基本理念を堅持しつつ、平成19年12月の与党「障害者自立支援に関するPT」での報告書を具体化する観点から、障害者福祉の原点に立ち返り、「障害者自立支援法」を、利用者。家族・事業者、そして国民が安心できる制度と仕組みへと、以下の通り、抜本的に見直す。
 その際、「障害者自立支援法」の知的、精神、身体障害の3障害の一元化や就労支援、地域で暮らすための選択可能なサービス体系の多様化など、長所については、必要な拡充や円滑な移行のための必要な見直しを行う。

2 今回の法改正では、介護保険法との整合性を考慮した仕組を解消し、障害者福祉の原点に立ち返り、自立支援法により障害者の自立生活に必要十分なサービスが提供されるという考え方に立って、給付のあり方を抜本的に見直す。即ち利用者負担については、能力に応じた負担とし、法第29条等の規定を見直す。その際、特別対策や緊急措置によって改善した現行の負担水準の継続や更なる改善、分かりやすい制度とする。また、サービスの利用者と提供事業者が対等の関係にある現状を維持する。

3 新体系への移行が円滑に進まない理由を解明し、新体系の移行に係る諸課題を解決するための必要な措置を講じる。また、事業所の会計処理、申請文書や報告書の提出義務の合理化・簡素化を図る。

4 利用者にとつてのメリットを考えて、サービス利用についての日払い方式は維持しつつも、地域間格差を是正し、障害福祉現場の人材確保、職員の処遇とサービスの質の向上を図るとともに、障害者の生活を支えるために必要なサービスを継続して提供できるようにするための事業者の経営の安定化を図るため、人件費部分も含めて、必要な措置を講じる。

5 新1日体系を含め、事業者の人材確保、サービスの質を維持するため、障害福祉サービス費用の額を引き上げる。

6 障害程度区分は、身体、精神、知的、発達障害などの障害特性を反映するものとなるよう、法第4条第4項の見直しを含め、抜本的に見直す。また、障害程度区分により施設の利用が制限され、施設を退所せざるを得ないことにならないよう、一人ひとりに適切な支援ができるような制度と仕組みに見直す。

7 障害のある児童が、人間として健やかに成長し、自立できるよう、児童福祉法を基本として、総合的な支援システムを構築することとし、通園事業や身近な相談支援体制、放課後型のデイサービスの充実等を図る。

8 障害者の範囲について、発達障害、高次脳機能障害が自立支援法の対象となることを明確化する。なお、難病については、医療との調整もあり、引き続き検討が必要であるが、現行施策等により支援を行うとともに、症状の重度化などの一定の状態に対して、生活支援が受けられるような仕組みを検討する。

9 社会保障制度全般との整合性を考慮し、税体系抜本見直し等の際に、障害基礎年金の引上げ(例えば、2級の金額を1級並に、1級の金額は更に引上げ)など、障害者の所得保障を確立する。その際、18歳、19歳時点の課題についても解決を目指す。

10 利用者の意思や家族の意見を尊重しつつ、民間の事業所も活用しながら、障害者が地域の様々なサービス資源を適切に組み合わせて自立した生活に役立てることができるよう、中心となる相談支援センター等の設置や身体、知的、精神それぞれの分野における相談支援専門員などの人材の育成。資質の向上を含め、地域での相談支援体制を強化する。障害児・者の家庭や環境などを加味した支給決定がなされるよう支給決定プロセスを整備するとともに、サービス利用計画策定対象者を大幅に拡大する。利用者、家族への情報提供や細やかな説明などの支援を充実させる。

11 地域生活の基盤整備については、身体障害者を対象としたグループホーム・ケアホームを創設する。また、グループホーム・ケアホーム入居者への利用する際の助成など支援を充実する。
 さらに、利用者負担を支払つた後に施設入所者の手許に残る金額について、在宅とのバランスに配慮しながら、その増額に努める。

12 地域生活支援事業について、重度の視覚障害者のための移動支援等、障害者が地域で暮らすために不可欠な事業で個別給付になじむものは自立支援給付とするほか、移動支援、コミュニケーション支援について、充実を図る。また、手話通訳等の関係する人材の育成を強化する。精神障害者についてのピアサポートや「憩いの場」活動などを充実する。

13一般就労への移行を支援するとともに、工賃倍増計画の着実な実施やハー卜購入法の成立により福祉的就労を支援する。また、福祉的就労分野での利用者負担について、工賃控除額を倍増するとともに、施策体系の在り方、事業の名称などは、関連施策との関係を含め見直す。

14 利用者負担に関し、障害福祉サービスと補装具・義肢の自己負担については合算し、一般の医療保険や自立支援医療との合算については検討するとともに、自立支援医療の負担軽減についても、検討する。併せて、精神通院医療の申請に必要な診断書を毎年から2年に1度の提出に簡素化するなど、利用者の申請手続きの軽減を図る。

15 資産要件については、その撤廃を図る。また、現在負担軽減の対象となっていない一般世帯についても、負担限度額の見直しを図る。

16 移行が困難な小規模な作業所に対し、施設経営ができるように新たな受け皿の構築など必要な措置を講ずる。

17 市町村格差を是正するため、国庫負担基準等に関し、必要な支援策を講じる。

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2009年2月13日 (金)

■障害者一律負担見直し決定 自立支援法与党PT案■

[朝日新聞 2009年2月12日21時58分]


 障害者自立支援法の見直しを検討してきた与党プロジェクトチーム(PT)は12日、見直し案を正式にまとめた。利用者負担の仕組みを「原則1割」から、「所得(支払い能力)に応じた負担」へと転換させる。今国会での法改正を目指す。ただ、利用者負担の前提とされていた障害者の「所得保障」は具体化していない。負担の見直しが図られる一方、所得保障の改善は先延ばしされたままだ。

 厚労省は、障害者のサービス利用の急増などを背景に、「制度を安定的に運営するため」として定率負担の仕組みを導入。負担することでサービス事業者との対等な関係を築けるというメリットも強調してきた。

 これに対し、障害者団体などは「障害者が日常生活を送るために必要なサービスには、負担を課すべきでない」と強く反発している。

 一方、制度導入時、利用者負担の前提とされていたはずの「所得保障」が一向に進んでいない。障害基礎年金(月額1級8万2508円、2級6万6008円)の引き上げ議論は、手つかずのままだ。

 08年の内閣府調査では、障害者の55%が主に年金で生計を立てている。また、障害者が福祉施設で得る平均工賃は月額1万6037円(07年度)。例えば身体障害者通所授産施設を利用して働いた場合の利用料は、1日あたり5、600円程度だ。働いても「自立」するには不十分な工賃しか得られないのが現状だ。

 今回の見直しで、問題が決着したわけではない。支援全体のあり方が問われている。(中村靖三郎)

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2009年2月 8日 (日)

「救う人と救われる人」

昨日アップしたイタリアの精神医療について、メールの方でもお便りが来ています。

あの記事を読む限り「救う人と救われる人」という基本構図は変わっていないように書かれていますね。「精神病者」は医療者によってすくわれるだけの存在だと。ちょうど今イタリア精紳医療改革の主導者バザリアの弟子の書いた本を読んでいるのですが、どうもそういう構図はあるようです。記事が悪いのではなく、記事は正確に書いているのではないかという感じがします。もっとも、弟子が多ければ多いほど元の主張が歪められる、弱まるということはあるでしょうから、どこまでがバザリアの責任かということはあると思います。

日本では、全国「精神病」者集団というものがあり、僕も執行委員である事務局員をしていました。その後代表の転向問題が生じて決別していますが。その当時の「病」者集団は、より重度の人の立場に立って、精神医療改革をしていこうという運動体でした。司法精神医学に対して最も激しく闘った存在でした。

僕と地元の精神科医との関係性はバザリアには想像も付かないものであることでしょう。「病者」が精神科医との運動で主導的役割を果たしているからです。もちろん精神科医の主体性もあるのですが、そこには「救う人と救われる人」という彼我の関係性はありません。こういう闘いの存在はまだまだゲリラ的であり、日本でも精神医療改革といわれるものが「救う人と救われる人」の関係性であるのは事実です。しかし、ゲリラにはゲリラの闘い方があります。最小の兵力で最大の兵力を打ち破ることはできます。

それは日本で始まった司法精神医学の破綻の現実です。ここが力関係を覆すポイントです。

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2009年2月 7日 (土)

イタリア:社会にとけ込む障害者

 精神病院を組合に、映画ヒットも後押し

 ◇「日本は100年遅れてる」

 イタリアで映画「シ、プオ・ファーレ(大丈夫、できるよ)」(08年、ジュリアーノ・マンフレドニア監督)がロングヒットしている。労組出身の意固地で気の荒い中年男が、精神障害者を率いて、タイル張りの事業で大成功するという物語だ。原案の舞台、ポルデノーネの共同作業所を訪ねた。【ポルデノーネ(イタリア北部)で藤原章生】

 映画はジャック・ニコルソン主演の75年の米作品「カッコーの巣の上で」=ことば=に敬意を払ったつくりで、閉鎖的な精神病棟からの解放を唱えた作品となっている。

 イタリアでは精神科医フランコ・バザリア=ことば=らの提唱で、78年の法施行を機に、単科精神病院が次々と閉鎖され、遅れていた南部も含め、98年末に全廃された。映画「大丈夫、できるよ」の時代背景は、その法律が施行されて3年が過ぎた81年。精神科の知識など何もない主人公の中年男がひょんなことから施設に通うようになり、そこでほとんど何もせずに放置されている精神障害者らを、その話術で次第に奮い立たせていく場面が見ものだ。

 「働けば金がもうかるぞ。君は何が得意だ。何ができる」。男の呼びかけに、おずおずと「僕にできるかな?」と患者たちが応じた時、すかさず放つセリフが、タイトルになっている。若い患者の自殺など不幸もあるが、少しずつでも前に進もうというイタリアらしい前向きな気分が作品にあふれている。

 「彼らに仕事などは無理だ」。当初、医師や行政当局に相手にされなかった事業は今、「コープ・ノンチェロ」という名の大きな協同組合になっていた。

 ベネチアから列車で北東に1時間。ポルデノーネの駅から車で10分ほどの広々とした土地に、中堅の工場といった趣の白壁の二階屋があった。雪山のすぐふもとにあり、スキー場まで30分ほどだ。

 発足直後から勤めてきた組合代表、バッリ・ボンベンさんは、映画のムードを体現したような明るい、おうような中年女性だ。「日本はどうなの?」と聞くので、「精神病院の全廃という方向になかなか進まない。健常者とそうじゃない人との間に深い境界があるという考え方がまだ強い」と答えると「100年遅れてるんじゃないの」と冗談っぽく言って笑った。

 「精神病院を組合に変えるという私たちの実験で解放されたのは患者だけじゃないんです。周囲もずいぶん変わりました。彼らが通りの清掃や草刈り、ソーラーパネル張りなどで、日々顔をさらし、町を自由に歩き回ることで、その存在が当たり前になったのです。『はっきりと線引きできる違いはない』と感じ、安心したのです」

 現在、組合員は546人で従業員は25人いる。91年の法改正で「グループ作業」が導入された。精神障害者は全体の4割弱。他に所外労働が許された受刑者や禁治産者、アルコールや麻薬中毒患者、売春からの脱却を目指す人々がいる。混合の6人ほどのチームでそれぞれ作業に当たる。

 「労働効率をみると受刑者が一番だが、精神障害の人々の中にはときどき非常に生産性の高い人がいる。平均では、サボりがちな麻薬中毒患者よりも優れている。繰り返しの作業を得意とする人、定期的に持ち場を替えるとうまくいく人とそれぞれなので、毎月の人事配置が大変。ただし、病名や病歴で分類はしない。あくまでも個人を見る。トラブルもあるが、治療は外の医師に任せてある」

 映画では、もめ事が原因で壊されバラバラになったタイルの破片と共に放置された2人の患者が幾何学模様の見事な床をつくり、評判になる。「現実にはそんな劇的な場面はなく、淡々と家具の修復や陶器づくり、清掃などをする毎日。でも、皆家にいるよりよほど楽しんでいる。ただ、居心地がいいぶん、ここを離れ一般の仕事に就く人が少ない」と組合広報のマリア・ビットリア・アウコネさんは語る。

 8年前に近郊の町スピリンベルゴの病院から移ってきたそううつ病のロザンナ・ドゥリさん(55)は自宅から組合のマイクロバスで通い、朝の4時間、陶器製造に当たる。「病院では狭い所に入れられていたけど、ここは自由で、しかも絵柄などを自由に表現できるのがいい。友達もできた。若いころから家で一人閉じこもっていたけど、ここに来たせいか、今は午後や週末、町をよく歩くようになりました」

 バザリア法の施行から30年が過ぎた。犯罪者が入所する司法精神病院には約1200人がいるが、一般の単科精神病院はイタリアの地からなくなり、こうした組合が増えている。

 模範的な「ノンチェロ」の例はまだ全土には広がっていないが、「犯罪が増えるといった不安もあったが、現在までのところ、むしろ状況は良くなっている」とボンベンさん。「収容されてきた人々に威厳が回復され、社交性がはぐくまれた。それだけを見ても、私たちの取り組みは成功したと言えるんじゃないでしょうか。世の中の寛容さを試す機会でもあるのです」

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 ■ことば

 ◇カッコーの巣の上で

 ミロス・フォアマン監督の米映画(75年)。男(ジャック・ニコルソン)が刑務所の強制労働を逃れるため、病気を装い精神病棟に入院。患者を厳しく管理する婦長に対し、他の患者と反抗した。最後は脳の手術を受けさせられ動けなくなった男を、患者仲間の大男が殺し、抱えて脱走する。米アカデミー賞で作品賞など5部門を獲得。

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 ■ことば

 ◇フランコ・バザリア

 1924~80年。ベネチア出身の精神科医。患者への拘束や暴行が横行していた精神医療を批判。イタリア北部トリエステの病院に赴任し、「狂気とは人間の一つの状態であり、まず社会が受け入れるべきだ」と精神病院の全廃を唱えた。患者が地域で暮らし自立する運動はイタリア全土に広がり、約12万床の病院が消えた。バザリア氏の名を冠した昨年の第1回バザリア学術賞に「ルポ・精神病棟」を著した元朝日新聞記者の大熊一夫氏が選ばれた。

毎日新聞 2009年2月5日 東京朝刊

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2009年2月 5日 (木)

触法障害者:更正後押し 受け入れ施設に報酬 厚労省方針

 知的障害者など障害を持つ受刑者に出所後の生活拠点を提供するため、厚生労働省は4月から、出所者を受け入れた施設に報酬を加算する方針を固めた。生活支援を得られないまま再犯に走る「累犯障害者」の発生を防ぐため、福祉施設側の出所者受け入れへの負担感を費用面で軽減する。罪を犯した触法障害者の更生に向け、法務、厚労両省が連携して司法から福祉につなぐ初の本格的な取り組みとなる。

 障害者自立支援法に基づき、グループホームやケアホーム、障害者支援施設などは、受け入れた人数や障害の程度によって報酬が国や自治体から支払われる。厚労省は報酬体系の改定で4月から「保護観察所連携加算」(仮称)を新設。触法障害者を受け入れた施設に、人数に応じて日額で報酬を上乗せする。このほか、都道府県が国からの補助金を積み立てている基金からも一定額が助成される。加算の額は3月までに決める。

 引き受け手のない受刑者は、全国101カ所の更生保護施設が出所後3カ月をめどに受け入れている。就職希望者はその間に職を探すが、高齢者や障害者の場合、仕事も住まいも見つからないケースが多い。福祉施設側も受け入れに難色を示す傾向が強いという。

 障害を抱えた出所者の社会復帰を巡っては、厚労省が09年度、各都道府県に「支援センター」を設置することが決まっている。センターは刑務所や保護観察所と連携し、出所後の孤立を防ぐため、受刑者の服役段階から引受先を探したり、福祉サービスを受ける手助けをする。支援策が整うことで、受け皿の確保が今後の大きな課題となっていた。

 法務省によると、刑務所を出た後に生活苦に陥った知的障害者が、万引きなどを繰り返すケースが目立つという。07年に刑務所に入った3万450人のうち、障害があるとされる知能指数70未満は22%の6720人。また06年の調査では、引き受け手のない満期釈放者約7200人のうち、高齢・障害のため自立困難な人は約1000人に上った。

 さらに、服役中の知的障害者410人を対象にした06年の調査でも、約7割が再犯者で、動機は生活苦が最多。公的な支援が受けやすくなる療育手帳を持っているのはわずか26人だった。【石川淳一】
 ◇再犯防止に期待、課題も

 罪を犯した知的障害者らの再犯防止に向け、司法と福祉の谷間を埋める取り組みがようやく動き始めた。刑務所などを出所した障害者を受け入れた福祉施設に対する報酬加算は、厚生労働省が「更生」を意識した初の制度導入となる。福祉の現場からは期待の声が上がっているが、課題も残されている。【坂本高志、石川淳一】

 「福祉側の『サポート力』をアップさせるきっかけになるのではないか」。九州の刑務所などから出所した障害者について、先駆的な支援を行っていることで知られる長崎県の社会福祉法人「南高愛隣会」の松友了(りょう)・東京事業本部長は歓迎する。

 同会によると、再犯を重ねる障害者は出所から間もない時期に自立に行き詰まり、福祉の網にかからないまま刑務所にUターンするケースが少なくない。「出所直後に少しの支えがあればいいが、施設側の心理的負担が大きい。これまでは『理念』で細々と受け入れるしかなかった」

 同会の田島良昭理事長が主任研究員となった厚労省研究班は06年から約3年、こうした障害者の支援の在り方を探った。その結果、更生(刑務所・保護観察所)側と、福祉側を橋渡しする支援センターを各都道府県に設置する方針が打ち出されたが、肝心の現場の受け入れ施設に対する財政支援が残されていた。

 一方で課題もある。松友氏は「利益を目的に触法障害者を抱えるようでは、施設が第二の刑務所になりかねない。障害者の地域や社会への復帰を応援するための取り組みであるべきだ」と語る。

 日本更生保護協会の清水義悳(よしのり)常務理事は「1人で生きていく力がない障害者にとって刑務所が居場所になってしまっている」と現状を指摘したうえで「彼らを孤立化させないため、社会が支える必要がある。触法障害者も一般の障害者と同じ福祉の支援を与えられるようにすべきだ」と施設側の意識改革を求めた。

 厚労省社会・援護局は「再犯防止に向けた福祉の力が試されている。都道府県の理解を得て受け皿作りを進めたい」と話している。

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2009年2月 3日 (火)

輝け憲法集会

0902011

2月1日に「輝け憲法」という集会があり参加してきました。社民党元党首の土井たかこさんの講演をメインとした集会でした。

門真三中の君が代不起立の闘いの報告があり面白いものでした。門真三中では君が代斉唱に対して教師全員とほとんどの中学生が起立せずに抗議の意思を示しました。それに対して産経新聞が反動的なキャンペーンを行い、市教委・校長による業務命令で起立を強制する中で、不起立を貫いている教育労働者からの報告でした。処分が不可避とされるなか、戦争非協力の意志を貫いておられることはすばらしい闘いだと思います。

集会には480人が集まり0902012 憲法改悪を許さないという意思をしるしました。憲法集会にはつきものの右翼の街宣車が集会場の周囲を回っており、憲法を守るというだけで肉体的激突不可避という構図がはつきりとありました。

労働組合が集会防衛隊を組織していました。

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