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2009年3月13日 (金)

■罪を犯した知的障害者 施設職員の配置は3倍

福祉新聞3/2号

■厚労省研究班 受け入れ実態を調査

罪を犯した知的障害者を福祉施設で受け入れる際、一般の利用者の場合に比べ職員配置が3倍になっていることが、このほど厚生労働省の研究班のまとめで明らかになった。研究班は受け入れに際して必要なサービスと施設が提供できるサービスのミスマッチを解消するため、障害程度区分の調査項目の追加などを提言している。研究成果を受けて厚労省と法務省は、2009年度から障害者の再犯防止策に乗り出す。

■「程度区分に項目追加を」

 調査は厚労科学研究「罪を犯した障がい者の地域生活支援に関する研究」(06~08年度、研究代表=田島良昭・南高愛隣会理事長)が行ったものの一つ。
 研究班は07年度、知的障害者施設を運営する2350法人に、罪を犯した障害者の受け入れ実績を調査。回答した1125法人のうち157法人が過去5年間で計280人を受け入れ、?半数は障害程度区分が中度・軽度?凶悪犯罪は少ない?矯正施設から入所する場合の半数は満期出所?受け入れの障壁は本人の情報不足──といったことが判明していた。

 このほど明らかになったのは、08年7~8月にその157法人に実施した処遇実態などの調査結果で、87法人が120人について回答した。

 それによると、休日に特別な職員配置のもとで処遇されている人は約2割に過ぎないが、その場合の職員1人当たりの利用者数は、一般の利用者が4.9人なのに対し、罪を犯した障害者は1.1人。日中活動などの状況も加えると、一般利用者に比べ3.1倍の職員配置となっている。

 受け入れ後に再犯したのは120人中19人(16%)、浪費癖など問題行動があった人は26人(22%)。職員の手がかかるのは「他の利用者への暴力・暴言」「無断外出」などでこれらを未然に防ぐこと、本人の心理状態や行動特性を把握することを目的に特別な職員配置をしているという。

 また、全国の知的障害者更生相談所の8割が「発達期を過ぎた人からの療育手帳の申請があり、取り扱いに困ったことがある」とし、単身者や住所不定など判定材料の乏しい場合には3割の相談所がいわゆる「非該当」の扱いをしていることも08年7~8月の調査で分かった。

 研究班はこれらを踏まえ、障害程度区分を審査する際、「環境適応能力」「犯罪暦」に関する項目を追加すること、満期出所で再犯の可能性が高く契約になじまない人には措置制度を柔軟に利用できるよう行政の判断基準を緩和することなどを厚労省に提言した。

 療育手帳の改善点としては?身寄りのない人の場合、矯正・更生保護施設が代理人となって申請する?住所不定の人の場合、矯正・更生保護施設の所在地で申請する?取得要件を緩和する──ことを求めた。

 研究班はこの他、全国の救護施設や宮城県内の相談支援事業所における罪を犯した障害者の受け入れ実態を調査。刑務所・少年院や更生保護施設にいる知的障害児・者の実態も初めて明らかにした。

 研究成果を受け、法務省は再犯防止を目的に09年度から刑務所、厚生保護施設に社会福祉士を配置(拡充)する。厚労省は7月から全都道府県に刑務所と福祉サービスをつなぐ「地域生活定着支援センター」を設置。罪を犯した障害者を受け入れる施設に障害報酬を加算するなど、受け皿作りも進める方針だ。

 2月18日に都内で開かれた研究発表会の場で研究代表の田島理事長はこうした国の動向に触れ、「罪を犯した人の幸せを目指すことが第一の目的で、再犯防止はその結果だ」と強調。元衆議院議員で自身の受刑生活を手記にまとめた山本譲司氏は「刑務所には知的障害者がたくさんいるが、療育手帳の取得を嫌がる人もいる」と話し出所時の支援の難しさを解説した。

 犯罪学が専門の富士本哲也・中央大教授は「罪を犯した障害者への対応を考える前にやるべきことがある」とし、裁判の段階から福祉が関わる必要性を主張。先進国の知的障害者の発生率が2~3%とされる一方、厚労省が把握する日本の知的障害者は55万人(0.44%)に過ぎないことも問題視した。


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コメント

障害者施設での、人員不足を理由にした器具や簡易式の檻を使った人権侵害が、頻発する中、今回の報道。障害者が、人らしく生きるためではなく、社会防衛=支配者の安全のためなんですね!

投稿: とん吉 | 2009年3月13日 (金) 20時08分

治安目的でないとまともに相手にしてもらえない、まさにそうですね。

投稿: ゲン | 2009年3月16日 (月) 11時04分

医療福祉の労働現場のみならず、あらゆる労働現場で差別は横行しています。「居る場所がない!」「帰る処がない!」と言う障害者の言葉には、現に共生出来る社会が存在しないと云うことを現していると思います。こうした現実に対し、障害者と共生できる社会を労働者が作り上げて行くことが労働者の自己解放だと思います。

投稿: とん吉 | 2009年3月16日 (月) 12時46分

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