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2010年1月28日 (木)

怒りネット通信 第42号

怒りネット通信
2010年 1月25日発行 第42号

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もくじ
09年秋冬の運動から判ってきたこと、そして10年へ
10・30障害者自立支援法の廃止を確約させる
9・20自立支援法の撤廃を求める関西集会の報告
通信41号の古賀さんの文章を読んで

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●すべての障害者が地域で生活する保障をかちとろう!
●軍事予算を福祉にまわせ!

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09年秋冬の運動から判ってきたこと そして2010年へ
古賀 典夫

 8月30日の衆議院選挙で、自・公政権が崩壊しました。「障害者自立支援法」(以下「支援法」)に苦しめられ怒ってきたわたしたち「障害者」やその関係者にとって、これは胸のすく思いでした。しかし、民主党政権がどのような動きを行うのか、「臓器移植法」改悪をめぐる国会の動きを経験してしまったわたしたちにとって、新たな政権に対する危惧があったのも正直なところです。
 9月19日には長妻厚生労働大臣が「障害者自立支援法」の廃止を明言しました。そして、障害者自立支援法訴訟においても国側の姿勢が転換します。国側はそれまで、原告の訴えを棄却するよう求めてきましたが、9月24日の広島地裁での公判において、「自立支援法は廃止することになっており、制度も見直す方針なので、訴訟遂行について検討する時間的余裕がほしい」と主張したのでした。その後各地の裁判でも同様の対応が始まりました。

 こうした状況の中で怒りネットは、「障害者」が地域で生活することを、国を初めとする行政が保障する制度を作ることが「支援法」の真の廃止である、という立場から、わたしたちのそのための要求をまとめ突き出していく準備を行います。具体的には後で示しますが、それは、10月30日の日比谷での集会で撒いたビラでも表現しました。
 また、こうした立場から、JDの太田さんやDPIの尾上さんとも意見交換をすることができました。「障害者」の地域生活を国や自治体に保障させる制度を作ること、新自由主義・就労至上主義に反対すべきこと、介護保険制度そのものに反対すべきこと、など基本的なところで一致できたと思います。

★予算をめぐる攻防

 民主党はもともと、「障害者制度改革推進本部」を内閣府につくり、5年間かけて、関係の制度を改革する、としていました。
 10月14日、長妻大臣は、4年間かけて総合福祉法を作り「支援法」を廃止する、という方針を示しました。そして、それまでの経過措置として、10年度から非課税世帯の「障害者」の利用料を無料とする、との方針を示しました。そのために、10年度予算の要求としては、300億円を増やすように要求する、としていました。

 しかし、この時期から緊張は起こっていました。それは、生活保護の母子加算復活をめぐる厚労省と財務省のやり取りです。
 09年中の復活を予備費から支出するかどうかのやりあい、母子加算復活とバーターで就学を支援する加算を切ろうとする財務省と抵抗する厚労省。21日の段階では、28億円の予算をめぐっていったんは両省が決裂する場面も起こります。結局今年度分として60億円の予算がつき、12月から母子加算が復活されるのですが、予算関係の厳しさを示す事件でした。

 「障害者」関係の300億円の予算増額分について、実際にかなり厳しい状況がやってきます。12月に入ると、こうした状況がいろいろなニュースで入ってきます。
 「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会」(以下、「めざす会」)はこうした状況の下で、12月10日に院内集会を開き、応益負担と「支援法」を廃止する1歩として、非課税世帯の利用料をなくすことを強く要請しました。その後もこのめざす会は、与党、厚労省と12月29日まで折衝を続けてゆきます。このめざす会のがんばりに敬意を表します。
 しかし、25日に決まった政府予算案では、この予算増額は107億円しか認められませんでした。その結果、ホームヘルプや通所や住居としての施設利用の利用料は、非課税世帯で無料になり、また、補装具の1割負担も無料となるようです。食費、水光熱費は変わらないようですが。
 しかし、最も問題なのは、「自立支援医療」の1割負担はまったく変わらないということです。特に、「精神障害者」の通院医療を受けている人のなかには、この非課税世帯の人が多く、その費用負担はまったく変わらないのです。このことは絶対に許せません。
 このことから読み取るべきことは、福祉のために予算の増額を図ろうとすることが極めて困難であるということです。
 民主党は、09年3月に発表した「障がい者政策PT中間報告の中で、OECDの調査を紹介し、GDP比でみると日本の「障害者」関係予算は、「北欧諸国の約1/6、イギリスの約1/3、アメリカの約1/2」と記しています。そして、「障がい者制度改革推進法(案)」の中では、「第十八条 障がい者のための施策に関する国の予算の確保を図るため、我が国の国内総生産に対する障がい者のための施策に関する国の財政支出の比率を指標として、当該確保の目標を定めるものとする。」と記しています。
 こうした観点から、現在、政府の「障害者」関係予算が約1兆円だが、これを1.5倍にしたい、としています。(09年11月16日の「支援法」訴訟の全国訴訟団との話し合いにおける谷議員の発言など)。
 ところが、今回の予算編成では、とてもこんな予算増が実現できないのではないか、という事実が突きつけられました。もちろん、「支援法」の廃止は、「障害程度区分」認定のためのコンピューターシステムや審査会委員への支払いなど、無駄な予算を削減することもできるでしょう。また、地域の学校に通えるようにすれば、削減できる予算もあるはずです。他方、ホームヘルプなど、全国的に増やさなければならない予算もあり、やはり予算獲得の重要性はあります。
 しかし、少し角度を変えれば、無駄をきる、という民主党にしても、民衆の意思を踏みにじる無駄な予算があるのは確かです。たとえば、沖縄の人々が反対している名護新基地の建設関係の予算1553億円が予算案には入っているのです。米軍思いやり予算はこれとは別に2千億円以上計上されています。

 では、わたしたちはどのようにこの状況を突破すべきなのでしょうか。わたしは、09年8月30日に示された民衆の思いを信じ結び合うことではないか、と思うのです。
 あのとき、「障害者」が、沖縄の人々が、高齢者、貧困に苦しむ人々、農民などいろいろな立場のいろいろな地域の人々がこんな政治はだめだ、と行動したのだと思います。そうしたいろいろな人々の思いをまっすぐに推し進めると共に、お互いに励ましあい協力しあう関係を作り上げていくことだと思うのです。たとえば、沖縄に新たな基地ができることや軍事に予算が増やされるような状況になった場合には、「障害者」の未来も暗いものになってしまうことは明らかです。
 2010年は、そうした連帯と行動を作り上げながら、運動を発展させる必要があると思います。

★譲れぬわたしたちの要求

 怒りネットのこれまでの運動と討議の中で要求すべき内容をまとめると以下のようになると思います。これらは、地域で「障害者」が生活していくためには、絶対に実現していかなければならないことです。
 まだ足りない部分など多くあるとは思いますが、皆さんのご意見も是非お願いします。

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●国と自治体は、障害者が地域で生活する権利を保障せよ。その当然の一環として、どの 子も地域の学校へ通うことを保障せよ。

●介助保障について

・国と自治体は、障害者の必要な介助を保障せよ。

・現在のホームヘルプの国庫負担基準を廃止し、障害者の必要な介助に国庫からの支出を確実に行え。財政力の弱い自治体を支援せよ。

・家事、身体、移動などと介助の項目を分ける今の体制を廃止し、利用者の生活に対応した一貫した介助を行うようにせよ。

・通学、通所、通勤などの介助も保障せよ。

・入所施設や病院に入院している障害者にも、外出介助を保障せよ。

・入院中の必要な介助を認めよ。地域生活の介助を行ってきた介助者が入院中の介助も行えるようにするべきだ。

・障害者が推薦すれば、公的な資格を持たない人をもヘルパーとして認めよ。
  このような利用者推薦ヘルパーについては、行政から直接利用者もしくはヘルパーに報酬を払い込むようにすべきである。
  こうした制度がない現在において、生活保護の他人介護加算を、他法他施策優先で打ち切ることは許さない。

●支給決定手続きについて

・「障害者自立支援法」の「障害程度区分」認定制度を直ちに廃止せよ。
  利用者と自治体の職員が直接話し合って決める仕組みに戻すべきである。この話し合いには、福祉利用希望者の信頼するものを参加させること。

●医療関係

・都道府県の障害者の医療費無料制度を、精神障害者も対象として、国の制度とせよ。

・医療観察法をを撤廃せよ。

●通所関係について

・障害者の通所の場は、地域の仲間との連帯感・共同性を持って活動する場である。
  この連帯感と共同性は、人間の生存にとって不可欠なものである。それを土台として表現、創作、生産、交流を行うことである。具体的に何を行うかは、通所の場の利用者と職員など関係者が話し合いながら決めていくべきである。
 
・「障害者自立支援法」のように、労働能力により就労移行支援、「就労継続支援A」同B、生活介護などに分けることに反対する。
  地域の通所の場は、訓練の場とすることに反対。訓練や技術習得は、本人の希望に応じて、教育や雇用政策の中で行うべきである。

●利用料問題と所得保障

・介助など、生きることに不可欠な介助(移動やコミュニケーションを含む)は、利用料を無料とせよ。その上で、生存と社会的文化的に必要とされる消費を行うことのできる保障を、他の貧困者と共に要求する。

●介護保険制度の廃止と高齢者に必要な介助を

  障害者も65歳以上になれば、介護保険が優先適用となる。したがって介護保険の問題は、わたしたち障害者自身の問題である。
  高齢者が地域で必要とする介助は国と自治体が責任を持って保障せよ。

・介護保険制度は撤廃し、一般財源から必要な介助保障を行え。

・高齢者の応益負担も撤廃せよ。

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 2010年を、昨年を上回る変革の年としましょう!

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障害者自立支援法の廃止を確約させる
東京日比谷に全国から1万人
新潟  木村

 10月30日の「さよなら!障害者自立支援法 つくろう!私たちの新法を」全国大フォーラムは、東京日比谷公園を埋め尽くす1万人が参加した。
 来賓として出席した長妻厚労大臣は、自立支援法を廃止し、新しい制度を作ると確約した。政党シンポジウムでも、自立支援法に対する問題点の指摘に異論はなかったが、これに替わる制度については、方向性が語られただけで、具体的な中身やスケジュールは、今後の課題とされた。
 期待を裏切らせないようにしなければならない。
 政党シンポジウムでは、主催者側の4人の発言に続いて、民主、社民、共産の各議員が、1自立支援法の総括、2新法制定の方向性、3新法の作り方の三テーマについて、それぞれ発言した。各発言者の要旨を紹介する。

■来賓あいさつ

【長妻厚労相】政権交代が起こって、政策が変わる。私たちは、皆様に重い負担と苦しみを強い尊厳を傷つけた、この障害者自立支援法を廃止する決断をしている。これは与党 3党の合意文書の中にも盛り込まれている。今後の4年間の政権一期の中で、応能負担の新しい制度を、広く利用者の声に耳を傾けながら、創設していく。

【反貧困ネット・湯浅誠氏】生きていける国にしようと、横断的な枠組みで、活動している。昨年末の派遣村には500人が集まった。来た人の4割は何らかの疾病を抱えている。今の日本の社会は、何かトラブルがあるとそのままどん底まで落ちていってしまう「すべり台社会」だ。この流れを変えることが政権交代のポイント。優先順位を組み替え総合的な福祉施策を作る必要がある。私は内閣府の参与として、これまでと同様に活動を政府の中から作っていく。

【訴訟原告・家平氏】自立支援法が憲法の生存権・平等権に違反していることを司法の場で明らかにすべく訴訟に立ち上がった。3回の一斉提訴で原告は70人になった。人権を無視した法制度を許さない広い包囲網が自立支援法の廃止と当事者参画の新法づくりを約束させた。訴訟についても、国は話し合いに方向転換した。大きな前進ではあるが、現時点では何も変っていないので、話し合いに応じつつも、訴訟は納得がいくまで継続する。

◆自立支援法の評価・総括

【JD代表・勝又氏】自立支援法の問題点は、第1は応益負担の問題、第2に介護保険との統合を目論んだこと、第3に谷間の障害者を取り残したこと。
 新法制定に「4年以内」という話が出ているが、4年なんて待っていられない。今の法律が続くなら、それに対する手当てを早急にやっていただきたい。障害者総合福祉法ができるのであれば介護保険を飲み込むものにしてほしい。また、きちんとした予算を確保していただきたい。

【DPI日本会議事務局長・尾上氏】自立支援法は障害者の歴史を30年戻す役割を果たした。30年前、国際障害者年当時、障害の社会モデル(障害は社会の側の問題)が言われてきた。ところが自立支援法ではバリバリの医学モデル(障害は障害者個人の問題)に戻した。社会参加も一人ひとりの障害に対応したものではなく、一般就労が一番偉という「一般就労至上主義」になった。
 新法は権利条約の考え方を生かした法律であって欲しい。今度こそ谷間の障害の問題を解決してほしい。障害程度区分は廃止をして障害者本人の希望・ニードに基づいて協議・決定できる支給決定の仕組みと、家の中とか外とか関係なく切れ目のないパーソナルアシスタントという仕組みを作っていきたい。さらに差別禁止法をぜひとも一緒に作りたい。そして「私たち抜きに私たちのことを決めないでほしい」ということが、新しい法律の基本でなければならない。

【全日本ろうあ連盟副理事長・小中氏】手話は、言語である。聞こえる人の音声言語と同じ。コミュニケーション保障は権利であり、応益も応能も関係なく、無料であるべき。

【東洋英和女学院大教授・石渡氏】自立支援法は、応益負担によって「否定される命」を復活させた。また福祉人材の確保・養成に壊滅的な打撃を与えた。唯一評価できる点は逆説的に障害者団体・関係者の団結を強めた点である。
 権利条約の実現で社会を変えることができる。そのためには障害者差別禁止法を作ることが重要。障害者総合福祉法は、介護保険も変えることも視野に入れるべき。

■政党シンポジウム

【民主党・石毛えい子衆院議員】法案が出てきた時まず思ったことは2つ、1つは能力至上主義の復活。せっかく対等平等な社会作りを始めたのに、もう一回分断し支配していく法律だと思った。2つ目は所得補償がきちんとしていないのに応益負担を強いる財政至上主義はおかしい。
 社会保障の魂は社会的排除ではなく社会連帯だという哲学・理念を抜いて、制度設計したことに問題がある。

【社民党・阿部知子衆院議員】なんでウンコやシッコをするのが利益なんだ。また利用者が来た日だけを数えて事業者に報酬を払う日額払いでは、職員に給与も払えなくなるし良いサービスもできなくなる。何でもモノカネの市場原理はひどい。 

【共産党・高橋千鶴子衆院議員】自立支援法の問題点は、障害者が生きていくために不可欠な最低限の支援を、利益として利用料負担を課す憲法違反の応益負担制度である。障害が重い人ほど負担が重くなる。障害を自己責任にした。構造改革路線に基づく考え方で、障害保健福祉政策に対する国の負担を削ることが最大の狙いだった。自立支援法が実態把握もせず机上のプランで当事者の声を聞かず異例のスピードで作られたことも問題。

◆新法づくりの基本的な視点・内容

【石毛議員】民主党は総選挙の前、野党の時代に「障害者制度改革推進法案」を参議院に提出した。この法案は、内閣府に総理大臣をトップとした障害者制度改革推進本部を置き障害当事者が多数参加する制度改革推進委員会を設け、権利条約の中身を実現するもの。この推進本部を立ち上げていくのが当面の課題。障害者自立支援法は廃止し、制度の谷間のない、応能負担を基本とする障害者総合福祉法を作る。課題は多々あるが、自立支援法を総合福祉法に切り替えていく約束は、連立与党として約束する。介護保険との統合は党内確認ができていないので断言はできないが、障害者総合福祉法づくりにまずは全力を傾ける。仮に統合するならば、介護保険の方を総合福祉法に統合していく方向性を求めていく。

【阿部議員】「そよ風のように町に出よう」と日常的言葉で表現できるのが権利条約の趣旨。権利条約は日本も2006年12月13日に署名したがまだ批准していない。権利条約を推進する本部が必要。社民党はマニフェストで、介護保険との統合はしないと明言している。介護保険制度の方も見直さなければならない。

【高橋議員】憲法と障害者権利条約の趣旨に沿って、障害者が人間らしく生きる権利を国の責任で保障する法律とするべきである。自己責任論や、憲法25条に謳われている国や自治体の責任を後退させてはいけない。国や行政が責任を果たすことが重要。権利条約は合理的配慮を強調しており、傷害年金・雇用政策・教育などを条約の水準に引き上げ、障害の定義も条約に照らして見直すべき。
 また、医療福祉財政の抑制・削減の発想から生まれた介護保険との統合は認められない。今心配なのは総合福祉法を作るときの理念の問題。応益負担を止めることが単に経済的な問題ではなく、契約という関係の憲法違反が問われている。自立支援法を廃止して、障害者の総合福祉法を作ることが、介護や保育や医療の考え方も大きく変える出発点にできればいいと思う。

◆新法の作り方について

【石毛議員】「私たち抜きに私たちのことを決めるな」このことをひと時も忘れてはいけない。そのために障害者制度改革推進本部のなかに作る障害者制度改革推進委員会の半数は障害当事者と当事者に密接に関わる人で構成して制度を作っていくこと。今の障害者基本法の中央障害者政策推進協議会(中障協)とは違う。中障協の障害当事者の人達は、ただ意見を聞かれるだけで決定システムには入っていない。意見が反映できる仕組みを作っていく。そして権利条約批准にあたって障害者差別禁止法を作っていかなければならない。権利を守る仕組みが権利擁護センター。障害者差別禁止法とモニタリングシステムと、権利擁護センター。これを中央・地方に作って実態把握しながら政策を変えていく仕組みを位置づけていく。本部の立ち上げは年内に行いたい。

【阿部議員】エンジンの部分にあたる制度改革推進本部を早急に作らなければいけない。今この制度改革推進本部をどのタイミングで立ち上げられるかどうか勝負だ。介護保険の一番の問題は当事者性がないこと。 障害者運動との最大の違いだ。「自分抜きには決めないで」という当事者性を担保した障害者のための総合福祉法ができたとき、介護保険の考え方も変えていける可能性がある。

【高橋議員】差別や平等を考えたとき、当事者でなければ気づかないことがある。自立支援法では当事者の声を聞く仕組みがなかった。色んな当事者がいるから、施設や保護者の声も繰り返し聞き、制度に反映させる仕組みを作る。「私たちのことを私たち抜きに決めないで」ということが最大のカギ。日本の障害者予算が、GDP比でドイツの3分の1、スウェーデンの7分の1。これは、5兆円に上る軍事費にメスを入れ、大企業に対する行過ぎた減税を正せば充分に確保できる。320億円の政党助成金も止めるべき。

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いまこそ「障害者自立支援法」撤廃をもとめる集い
怒りネット関西事務局・YH

 自公政権が鳩山政権に代わって間もない9月20日、兵庫県西宮市勤労会館で、「いまこそ『障害者自立支援法』の撤廃をもとめる集い」を開催し、100人を超える参加をいただきました。怒りネット関西が呼びかけ、実行委による主催で、06年9月から毎年開催して、今回で4回目の集会でした。
 集会は長い講演等は無しで、参加者からの発言・報告を中心として行い、様々な立場の方から、当事者・現場の怒りや思いが寄せられました。
 以下、主な発言の要旨をまとめます。

◆へルパー:講習では「凛とした介護を」と言われた。映画を観たいとか金魚を飼いたいといったことを聞いてはいけない、ということ。ものすごくしんどい。それでもとにかく一歩踏み込んで、一緒に地域で生きていこうと頑張っているヘルパーは残っている。それと、「自分の意志を表現できなかったら、人として死なんだ」と重度の中途障害者の方が言った。絶対違う、生き切ってこそ人間の尊厳。そういう優生思想が介護の現場に重圧としてかかってる。病気の方や障害者が外に出て、人として生きうるために、ヘルパーが先頭に立って闘っていかなければならない。

◆医療労働者:補正予算の介護報酬の交付金をめぐって、労組内で議論している。利用者さんに跳ね返らないのは救いだが、今回の給付金は介護報酬に関わるものなので、医療現場で介護職にあたる職員には、支給されない。同じグループ内の介護職でも、受けれる人と受けれない人が出てくる。また、来年4月以降は、キャリアパス(人事考査)を受けなければ、この交付金を減額される。介護職を能率で計るようなシステムにしようとしている。医療・介護・福祉現場の労働者が、障害者と団結して、地域に生きる場をつくっていきたい。

◆<全国青い芝の会>の片岡さん(滋賀):脳死・臓器移植法が改悪された。本人の意思表示がなくても「脳死」者からの臓器摘出ができるようになり、また年齢も引き下げられた。<青い芝>はこの法ができる前から「生命の選別」として反対してきた。障害者は社会からいらない人間なんだ、殺してもいい、というものだから反対してきた。今、優生政策が拡大し、福祉が切り捨てられている。介護制度について、<青い芝>は、“介護に資格なんていらない”と言ってきた。人間関係のひとつとして介護に入ってもらってきた。それが、支援費制度や自立支援法になってから、介護が労働として扱われ、いろんな制約ができてしまった。パチンコに行けないとか。「自立」の概念がおかしい。“自分で稼いで自立”というもの。時代錯誤。私たちの声の通った新しい法律をつくっていこう。社会のために人間があるのではなく、人間のために社会がある。障害者も人間なんだって声をあげ、社会を変えていきたい。

◆高齢者の方:今回の選挙で、自立支援法と後期高齢者医療制度は廃止と言われたが、介護保険のことについては誰も言わなかった。介護保険も弱者切り捨ての制度。何もいいことがない。泣き寝入りすることなく、最後まで闘っていきたい。

◆事業者:自立支援法が廃止されることはいいこと。問題は、どういう制度をつくっていくか。介護にいろんな制約あるという話が出たが、要は、その人の生き方をどう守っていくのか、ということ。ヘルパーの仕事は、いろんな生き方があるなぁってことを教えてもらいながら、それを実現するために、制度がそれを保障してなかったら、制度として保障しろということを一緒にやっていかなければならない。自立支援法が廃止される今がチャンス。中身をつくっていくのは、現場にいてる私たちと当事者。闘って、一緒に生きていける社会をつくっていきたい。
           
◆怒りネットからの提起(古賀さん):自立支援法を本当に廃止にできるところまできたのは、すごい闘いの成果。と同時に、これから更に闘っていかなければならない。臓器移植法改悪などの優生政策の強まり、また不況の中で障害者だけでなく多くの人々が生きていけなくなっている。「世の中そのものの構造を変えていかないとダメなんだ」っていうことだと思う。自立支援法にかわる制度について、根本は、「障害者が地域で生きていくことを国が保障する」ということを明確にすること。また、介護保険も含めて、介護制度そのものを変えていかなければならない。考え方として、今の“就労至上主義”を変えなければならない。また小規模作業所などにみられる“地域での共同性”ということを、大事にしなければならない。自分たちがやりたいことをガーンと突き出していくような運動をしていかなければならない。それを実現する運動を、全国の多くの人たちとともにやっていこう。

 こうした発言を受けて、さらに会場からの自由討論で、様々な声が出されました。紹介はしきれませんが、みな、現場の切実な思いや訴えでした。
 全体の思いは、自立支援法を廃止に追い込んだ勝利感と、同時に新たな制度にむけて、自分たちの具体的な要求をまとめて、突きつけていかなければならない、というものでした。障害者や障害者に関わる人の思いはひとつだと思います。それを本当に大きくまとめて、障害者の声の通った制度をかちとるために、さらに頑張っていきましょう。

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通信41号の古賀さんの文章を読んで

脳死・臓器移植に反対する市民の会   守田 憲二

●渡航移植禁止の歪曲的宣伝について

 今回の「臓器移植法」改悪にあたり、A案提案者らが「WHOが渡航移植禁止の方向を打ち出す」とキャンペーンしたのは事実で、その歪曲的宣伝は非難されるべきです。しかし脳死臓器摘出・心臓死臓器摘出ともに、日本国内で行なわれてはならならないと同時に、海外でも行なわれてはならないことです。WHOの方針に、今回は渡航移植の禁止が入らないからといって、渡航移植が「このままでよい」とはならない。この点でA案に反対する国会議員は、「97年の臓器移植法を急いで変える必要はない」との受身の対応に留まったと思います。C案提案者でさえ、臓器移植を禁止する法案は考慮の対象外としていた。多様な選挙民の意向を忖度する国会議員には限界もあることが、今年の臓器移植法改悪の過程でわかった。しかし、法律を変えるには国会議員を動かさないといけない。それならば、我々はをどうしたらいいのか? 課題も浮上しました。私は、選挙民の認識を変えるしかないと思う。

●ドナー数の想定について

 7月2日の参考人質疑で日本救急医学会の有賀理事が、「脳死」臓器提供者数について「日本全国ではそれが情報としては100ぐらいであります」と語ったとのこと。この「100」の数字の根拠は、近年の1年間に発生している心停止ドナー数と思われます。「心停止」と称するものの、実際は終末期の判断や生前からの臓器摘出目的の処置を行なうために、脳死の診断をしている症例がほとんどですから、この一部分が法的脳死判定の対象になるとの理解でしょう。

●移植適応患者数の想定について

 臓器移植の適応患者数は、臓器不全患者の重症度や適応疾患を、従来より広げるだけで患者数を増やすことが可能です。最大限に水増ししようとすれば、免疫抑制剤による悪影響が見込まれる感染症患者やガン患者、そして外科手術に耐えないと見込まれる高齢患者などを除いた残りの、臓器不全患者の大多数を移植適応患者と称することができる。日本移植学会の高原副理事長による「透析患者のほぼ全員が移植適応」という趣旨の発言も、この計算でしょう。しかし、増やした移植適応患者に対して、臓器移植が最も望ましい治療法なのか、そうではなくて臓器移植以外の外科的・内科的治療法のほうが優れているのかについての検討はしていない。検討しようにも、腎臓移植では移植患者の生死が把握されているのは半数しかないため、検討の手段がない。ドナー不足との移植関係者の発言は腎臓移植については根拠なき宣伝です。
 私は腎臓移植は、段階的に廃止できると見込んでいます。透析療法に資金を投資すること、そして予防や腎不全の悪化を阻止する医療全般を発展させると、いずれは第三者を巻き込む腎臓移植が廃止できる。腎不全においては「臓器移植に頼らない医療」は、すでに存在している。それを採用するか否かは、医療経済の問題でもあるでしょう。

●ドナー不足扇動が繰り返される構造について

 現時点で長年月におよぶ透析療法により全身状態が悪化されている方、透析を苦痛に感じている方もおられます。その改善には、臓器移植しかない方もおられるでしょう。これは医療が発展し続ける以上、いつまでも発生し続ける臓器移植の推進圧力でもあるでしょう。各種の外科的・内科的治療法の発展によって年々、臓器移植なしでも長期間の生存とQOLが実現できるようになってゆく。しかし元の病気は完全には治らない、人工臓器も本来の臓器機能を完全に代替できない。だから、臓器移植以外の外科的・内科的治療法が発展したらしたで、長年月の生存は実現できるけれどもQOLや医療費の問題が生じてくる。その時点で、数字上はさらにドナー不足が拡大する。この構造は拡大再生産される一方でしょう。
 今後は、透析療法の進歩と同様のことが、人工心臓・補助人工心臓の分野でも拡大してくるでしょう。私たちは、一定程度の有効な人工臓器を実用化している時代にいる。その時代だからこそ発生する問題を認識すべきと思います。国民新党の亀井亜紀子議員が「人の物を取ってはいけません、人を殺してはいけませんこういう倫理というのは、どれだけ50年、100 年たとうとも変わらない倫理だと思うんですね。…」と発言されたとのことです。ドナー不足扇動から抜け出すには、我々は「人の物を取ってはいけません、人を殺してはいけません」を再確認するしかない。医療者には臓器ドナーが極めて少ない数しか発生しないとわかっているのだから、本当に患者を治す現実的な方法を真面目に探してもらうしかないと思います。例えば、「長年にわたり1年間に心停止「死体」ドナーが100例程度、腎臓数にして200個しか発生していない。それで、どうやって年間2万人もの腎不全患者を救おうというのですか」と、腎臓移植医に問い返してみましょう?

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・カンパのお願い

 怒りネットは、09年前半の闘いとしては、「自立支援法」改定の動きの危険性について警報を発しつつ、他方で「臓器移植法」改悪の動きを阻止するために力を注ぎました。残念ながら「移植法」の改悪は行われてしまいましたが、多くの団体との共同行動をも通じて、改めて優生政策との闘いを障害者解放運動の課題としてすえることができたと思います。
 民主党政権成立以降は、障害者が地域で生活していくことを国を初めとする行政が保障する制度を確立することこそが、「自立支援法」の真の廃止であるということを掲げて、自らの主張すべき内容を検討してきました。10月30日の集会で撒いたビラなどでこうした内容を主張してきました。そして、「日本障害者協議会」の太田さんやDPIの尾上さんとも意見交換を行いました。
 しかし09年末に、政府の予算編成という状況の中で明らかになったことは、財政難ということを持って厚生労働大臣の確約さえも崩してしまう、という事態です。ここを突き崩す運動を展開したいと思います。09年前半にビラや申し入れ書など多くの印刷を行いそれらの印刷代がいまだに個人の持ち出しとなったまま、返せていない状況があります。
 怒りネットの財政は、みなさんのカンパによって成り立っています。どうぞ、よろしくお願いします。

●郵便振込口座番号 00180-8-721588
●口座名称     怒っているぞ!障害者きりすて全国ネットワ-ク

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コメント

昔、共産党は良く、軍事費を削減し、福祉に回せと、言ったり、表を示したりした。このことをもっと言うべきだよ。

投稿: 姉さんは赤旗 | 2010年2月 7日 (日) 09時38分

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ホームヘルパーとは、老衰や心身の障害等の理由により日常生活を営むのに支障のある高齢者や障害者の家庭を訪ね、身体の介護や家事サービスを提供する人のことをいいます。 [続きを読む]

受信: 2010年2月 6日 (土) 15時49分

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