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2010年6月 6日 (日)

障害者自立支援法の一部を改正する法案についての整理

 この間の「障害者自立支援法」改定案の浮上について、改めて整理したいと思います。そのことによって、改めて問題点を明らかにしたいと思います。古賀典夫


●「自立支援法」改定案をめぐる経過

 4月27日、自民党と公明党が「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案」(衆第17号、以下、自民・公明案)を議員立法として国会に提出しました。これは、昨年の通常国会に提出されていた当時の政府(自民党と公明党)の案と同じようなものです。ただし、多少の手直しがされており、この点については、後で述べます。

 しかし、多くの人たちは「自立支援法」の廃止を掲げる現在の与党が多数を占めている限り、この自民・公明案が国会を通過することなどありえない、と思っていたのではないでしょうか。わたし自身がそうです。これまでの国会の慣習からして、議員立法は、政府提出案の後回しにされてしまうということもあります。
事実、厚生労働委員会には多くの政府提出案が提出されていました。

 ところが、5月24日になって、寝耳に水のニュースが飛び込んできます。この日付の「障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース」は次のように伝えています。

 「たいへん驚く政治の動きです。
自民・公明が4月27日に提出した「障害者自立支援法改正案」に対して、与党民主党が国会対策上、表面的な手直しをして、同調するという動きが急展開しています。」

 そして、めざす会と弁護団は緊急声明を発しています。
 このニュースでは、26日の衆議院厚生労働委員会で取り上げられる可能性が高い、と伝えています。とりあえずは、26日には取り上げられなかったのですが、28日の衆院厚労委員会で審議・採決が行われてしまったのです。
 
 わたしたちは、この動きへの対処に出遅れていました。しかし、27日に「新臓器移植法」をめぐる問題で、国会を回る中で、その深刻さを実感します。
 27日に判ったことは、以下のようなことです。
 28日の厚労委員会で、75分審議して、採決を行う。 この28日には、与党案も提出される。質疑の段階では、自民・公明案と共に、与党案も審議する。そして、質疑が終わった段階で、両案を取り下げる。そして、この2案の調整を行ったという形で、厚生労働委員長案を改めて、厚労委員会に提出して、審議はなくそのまま採決する。

 こんな筋書きだけでなく、この厚生労働委員長提案の文面も、すでに27日の段階で作られていたようです。

 以下、それぞれの案の特徴を法律名とその第1条の違いで、検討してみます。

 自民・公明案は、その第1条から、「自立自立支援法」のどこを変えるかについて述べています。
 与党案は、まず法律の名称が違います。「障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」(衆第23号)。
 与党案はその第1条で次のように述べています。
 
 「第一条 この法律は、平成二十五年八月までに障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において、障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関係法律の整備について定めるものとする。」

 この条文の中の「平成二十五年八月までに」という文言は、社民党の阿部事務所の話によれば、阿部さんがかなり強く主張して入れさせた、とのことでした。

 厚生労働委員長提案の法案名は、次のとおりです。
 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」
 そして、第1条は次のようになっています。

 「第一条 この法律は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において、障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関係法律の整備について定めるものとする。」

 与党案と厚労委員長提案との間には、決定的な違いがあります。委員長提案には、「障害者自立支援法の廃止を含め」と「平成二十五年八月までに」という言葉が消されているのです。
 こんな決定的な違いがあるにもかかわらず、民主党は賛成しました。自民・公明ももちろんです。社民党は反対に回りました。共産党は反対です。
 
 27日に、わたしたちが民主党の議員事務所を回った範囲でも、法改訂には反対で、総合福祉法ができるまで予算措置でやっていけば良い、と言っていた議員もいました。

 5月28日は、日米共同声明が発表され、普天間基地移設は辺野古沖の埋め立て、と正式に打ち出された日です。これを閣議で拒否した福島みずほさんが罷免されました。このことは、報道されたことですが、その裏で、「障害者」に対する裏切りが行われていたのです。

 この民主党の裏切りデーに、抗議する「「障害者」関係者が傍聴も含め300人結集した、とめざす会のニュースは伝えています。

●衆議院から参議院へ

  衆議院の本会議については、31日にかけられました。この日の本会議には、自民党と公明党がいくつかの不信任決議案を出しており、また、中国の首相の訪問に伴うレセプションなどがあり、「自立支援法」改定案が採決されたのは、夜中の11時過ぎでした。質疑は全くなしです。

 怒りネットは、この日から正式に行動を開始しました。そこで判った事実もひどいものです。

 ここでも民衆の常識からすると不可解なことが進んでいました。
 まだ衆議院本会議で採決もされていないのに、翌日6月1日の参議院の厚生労働委員会にはこの「自立支援法」改定案がかけられることになっていたのです。
しかも、25分の質疑で採決する筋書きまで作られていました。
 厚生労働委員会は、10時から開かれ、「自立支援法」は、12時40分から25分質疑を行い、採決する、というものです。

 実際には、12時前後には質疑に入っていました。提案者として、民主党の園田議員が答弁していましたが、共産党の小池議員の質問については、ほとんど意味不明な回答をするしかありませんでした。
 ここでも、共産党と社民党が反対に回っただけで、可決されてしまいました。

 そして、翌日(6月2日)の参議院本会議で採決されることになっていました。
わずか10分の本会議で、いくつかの法案の採決がよていされており、その中の1つとして、質疑もなく採決される予定だったのです。
 ところが、2日朝の鳩山の総理大臣辞任によって、この本会議が流れます。その結果、いまだに「自立支援法」改定案が成立していないということなのです。

 31日には、わたしたちのビラまき以外に、難病関係の団体が多くの署名を携えて、議員への働きかけを行っています。わたしたちと顔をあわせて、「わたしたちも同じです。頑張りましょう」、「これから議員へ働きかけにいくところです」などと言葉を掛け合いました。
 6月1日は、わたしたちとめざす会が行動しており、100人が集まりました。
 翌日には、200人が集まったそうです。

 ●8日の行動に結集しましょう

 参議院会館が、どの階のフロアーも、「障害者」関係者で埋め尽くされるような状況を作っていくことだと思います。
 ぜひ、皆さんの結集をお願いします。


 

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