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2010年7月

2010年7月29日 (木)

心神喪失等医療観察法の廃止を求め200人

 7月25日日曜日午後、京都府部落解放センターで、「『ともに地域で暮らしたい』心神喪失者等医療観察法に反対する全国の集いin京都」が開かれ、全国各地から約200人が参加した。観察法なくす会など4団体の主催だ。この全国集会は、関西の「精神障害者」や精神医療従事者が中心になって準備を進めてきた。会場の手配からチラシの手配、参加の呼びかけなど「精神障害者」が担った部分は大きい。呼びかけに呼応して全国各地から「精神障害者」や労働者などが参加。当初予想を大きく上回る参加者数となった。


集会は「精神障害者」による寸劇やライブをはさみ、「精神障害者」や精神科医・医療労働者や弁護士などが発言した。発言は、「再犯予測という予測不可能な要件で、無期限に拘束できる制度だ」「重大な犯罪をした人が対象といいながら全治5日の傷害事件も対象となっている」「『精神障害者』は危険で何をするか分からない者だという偏見を煽り、差別を助長している」「最近では推進派は保安処分で悪いかと開き直っている」「日弁連が一部の部会の意見だけで、反対派から賛成派になってしまった」などあった。


 保安処分病棟に反対する有志連絡会からは18人が参加、代表の発言では、「観察法のもとでの自殺者が判明しているだけで14人に上り、推進側が『重厚な医療を施すから保安処分ではない』などと言っているのは全くの虚構だ。最初の入院患者の自殺事件について、病院と厚労省の責任を追及してきた。最近、観察法病棟に収容されていた人から有志連に連絡があり、2年間の入院中に苦しさから自殺未遂を繰り返したこと、退院しても最長5年間監視の下に置かれている苦しさを訴えられ、その聞き取りを一冊のパンフレットにまとめた。また、この集会は極めて幅の広い結集で行われている。法の廃止のためには好き嫌いではない共闘が必要だ」と訴えた。パンフレット「保安病棟からの生還~人生を返せ~心神喪失等医療観察法病棟収容者は語る」などは68冊販売された。

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2010年7月26日 (月)

医療観察法廃止求め集会

精神障害者 自由回復を

 心神喪失医療観察法に反対する全国集会者「ともに地域で暮らしたい」が25日、京都市北区の府部落解放センターで開かれた。精神障害者や医療関係者が「再犯予測という不確実な根拠で自由を奪われるのはおかしい」と廃止を訴えた。

 同法は殺人などの重大事件を起こし、心神喪失を理由に不起訴や無罪になった人に対し、裁判所が強制的に入院・通院をさせる。施行5年の見直し時期を迎え、医療関係者らが廃止に向けて開いた。

 集会には約200人が参加し「精神障害者への差別を助長するだけ」「退院に向けた関係調整が不十分で、医療機関も転々と変わり、治療が寸断される」「法の適用を受けた14人が自殺した」などと述べた。精神障害者によるバンド演奏や詩の朗読もあった。

【 2010年07月25日 22時10分 】京都新聞

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2010年7月24日 (土)

パンフレット・保安病棟からの生還

新しいパンフレットが出来上がりました。ぜひ御購読ください。保安処分に関心のある方なら読んで損はさせないと思います。

以下本文

パンフレット「保安病棟からの生還~人生を返せ~心神喪失等医療観察法病棟収容者は語る」のご購読をお願いします。
一冊400円(送料込み)

この度、「保安処分病棟に反対する有志連絡会」は上記冊子を作成しました。
保安病棟に収容されていた方からの聞き取りをまとめたもの

今年(2010年)の1月末に、事務局に一つのメールが入りました。「私はB病院の医療観察法病棟に入院していた者です。退院して3カ月になります。実際に入院していて、あの病棟は地獄でした。あの地獄に耐えられず、一度はリストカットで自殺未遂、もう一度はタバコの灰がらの水の呑みほし自殺できずに生き残ってしまいました。」という書き出しでした。早速本人に会いに行きました。そこで聞いた話は衝撃的なものでした。ただならぬ事にそれを冊子にまとめて出来るだけ多くの人に知ってもらおうということになり、3日間に分けて6時間くらいの聞き取りを行ない、まとめたのが本書です。

百の想像よりも一つの事実。とにかく本書を読んでいただきたい

 観察法は重大な事件を起こした「精神障害者」を保安病棟に収容する法律だといいます。しかし、この事件でもたんこぶを作った程度の全治2週間の傷害でした。示談が成立しており、また、事件直後に措置入院となり2ヶ月入院していました。退院し普通に暮らしているときに裁判所から呼び出しがかかりました。観察法の鑑定入院ということになり、人さらい同然に強制入院。中庭にも出られない隔離病棟で3ヶ月鑑定入院。強制入院が決定されて、A病院へ。途中でBに移されました。

 そのBが地獄でした。Bは看護師の質が悪かった。何かというと嫌がらせをされました。決定的には薬が合わなくなったことです。薬を飲むと頭が締め付けられるように痛くなってガマンができない。薬がおかしいと訴えるが対処してくれない。病室で七転八倒していた。その苦しさから逃れようと、自殺を繰り返し、病院が発見してだけでも二度の自殺未遂を行ないました。看護師はそれに対して「自殺するのも地元に帰るのもあなたの選択だ」と冷たく言い放ったのです。

 いまは退院していても何時戻されるか分からないという恐怖に支配されています。

保安処分による自殺者14人

 観察法での自殺者は14人に上る。こんなに多くの犠牲者を出している制度が患者にとって良いものであるはずがない。一日も早い廃止を求める。

冊子目 次

1.事件に至る経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  5
2.医療観察法の手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  5
3.3ヶ月の鑑定入院 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  7
4.入院処分へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  8
5.最初のB病院 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
6.C病院へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
7.最初の自殺未遂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
8.何度も自殺未遂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
9.医療観察法病棟での「治療」プログラム ・・・・ 22
10.「評価項目」で管理される ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
11.退院して、通院処遇に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
12.通院でも監視 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
13.あの2年間を返して欲しい ・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
14.「社会復帰」って何なのか ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

発行:保安処分病棟に反対する有志連絡会
郵便振替:00960―1―140519(加入者名)共生舎

郵送でのご注文は、上記郵便振替口座に一冊に付き400円を入金して下さい。

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2010年7月22日 (木)

毎日新聞社説

毎日新聞
社説:「ねじれ」でどうする 自立支援法が試金石だ
 野党と何らかの妥協をしなければ何も通らない状況になった民主党にとって、旧政権の政策のうち「廃止」を宣言したものをどうするかは難問だ。たとえば、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法である。いずれも廃止後の新制度について現在検討されているが、もとは民主から仕掛けた対決案件だけに自民や公明がすんなり同調するとは思えない。

 今後の展開を占う先行事例として自立支援法改正案が挙げられる。新制度が制定されるのは順調にいっても数年後、施行はさらに先であることを考えると、少しでも現行制度を改善しておくことは大事だ。麻生政権のころ国会提出された自立支援法改正案には、発達障害を法の対象に加える、グループホームの家賃補助、相談支援事業の法定化など重要な内容が盛り込まれていた。当時は民主が議論に応じず廃案となったが、私たちはこれらの改善点をとりあえず実現させてはどうかと提案した。実際、先の通常国会で自公が再び改正案を提出し、民主も協議に応じた。その結果、新制度までの「つなぎ」として議員立法で成立させることで合意し、衆院では可決された。

 ところが、障害者らが中心となって新制度を検討している内閣府の障がい者制度改革推進会議を支持する人々から「説明もなく頭越しに制度改正するのはおかしい」などの批判が起こり、民主党内でも反対の声が強まった。動揺する議員が続出し、参院での採決をめぐってもめていたさなかに国会が閉幕したため改正案はまた廃案になった。

 Nothingaboutus,withoutus(私たちのことを私たち抜きで決めるな)をスローガンに新制度に取り組む人たちが反対するのは分かる。その一方で障害者の地域生活を支えるのに有効な制度改正がまたしても流され、落胆の声が各地で聞かれるのも事実だ。利害が複雑に絡み合った案件では、立場も思想も違う人々の納得を取り付けるのは容易ではない。関係者や党内に対する調整能力を欠いては、政治主導も看板倒れに終わることをこの一件は物語っている。

 「つなぎ」法案ですらこれでは、さらに難易度の高い医療や年金改革はどうなるのか。後期高齢者医療制度は10年もかかって検討されてきたが、実際に施行されると高齢者から不満が噴出した超難問である。財源不足に直面しながら現行制度をさらに良いものに改革するには、これまで以上に周到な与野党協議が必要なのは言うまでもない。その前段階として、民主党内での議論の積み重ねや合意形成は大丈夫なのか。そこが心配だ。

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2010年7月20日 (火)

■声明 ★新臓器移植法施行に反対します!

★新臓器移植法施行は、命のきりすてを拡大する道

 わたしたち障害者は、昨年の通常国会における臓器移植法の改悪に反対してきました。人の死を前提とした臓器移植が推し進められるならば、臓器の摘出対象を拡大するために、命の切捨てが推し進められるからです。それは、社会の優生思想をますます強めていく結果になるからです。

 新臓器移植法は、臓器の摘出対象を15歳未満の子供に拡大しました。国会審議においては、「長期脳死」といわれる状態について、あるいは、こうした状態の研究に基づき国際的に高まってきた「脳死状態」とは人の死ではないとの議論について、まともに議論されることもないままでした。

 その後、厚生労働省では、新臓器移植法の施行に向けた審議が厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会で行われてきましたが、その中で新たに危険な方向が現れてきました。

 こうした中で、わたしたちは改めて新臓器移植法の施行に反対することを表明します。

●「脳死」概念の拡大は許されない

  4月5日の第32回の臓器移植委員会において、厚生労働科学特別研究事業として行われた「小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究」が公表されました。そこでは次のような驚くべき見解が示されました。

 「"長期脳死"について小児では頻度が高く、期間も長いとされている。しかし、適切な診断根拠に基づぐ"長期脳死"とされたいずれの例でも、脳死判定後での人工呼吸器からの離脱や意識の回復は認められておらず、結局は脳死状態が持続し心停止にいたっている。"長期脳死"の存在は、「臓器提供を前提とした脳死判定」そのものに影響を与えるものではない」

  この見解は、脳死臨調の「脳死」概念を拡大するものです。 脳死臨調の答申では、「人工呼吸器を付けていても多くの場合数日の内に心停止に至る。これが脳死であ」るとしていたではありませんか。

 2007年10月12日付けの『毎日新聞』によれば、522病院を対象にした調査で、60人の「長期脳死状態」とされる子供たちがいると報道しています。そこでは、「脳死状態」と診断されてから10年5ヶ月の子供もいるとしています。

 また、脳死臨調の見解では、「脳死状態」とは「身体各部に対する統合機能が不可逆的に失われた」状態であるとしています。ところが「長期脳死」とされた人々は、汗をかき体温調節を行い、消化吸収し排尿・排便を行い、免疫力もあります。身体が統合された状態であることは全く明らかです。

 「長期脳死」の人々の存在は、人類にとって、「脳死」概念を問い直すことを要求していると思います。「脳死」を人の死とした脳死臨調の見解も当然問い直されるべきであります。
 ところがそれとは正反対に、「長期脳死」とされた人も臓器摘出対象として死んだものと取り扱おうとする見解を、臓器移植委員会も容認し、小児の「脳死判定基準」が作られているのです。

 
●心停止後の移植用臓器の種類拡大は「尊厳死・安楽死」導入につながる

 心停止後に移植用に使える臓器は、これまで、腎臓、膵臓、眼球とされてきました。ところが、臓器移植委員会の「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班」の審議の中では、この臓器の種類を拡大すべきではないか、との発言が行われています。そして、新たなドナーカードでは、心停止後の臓器を限定していないように取れるものとなっています。

 厚労省の臓器移植対策室の見解では、ドナーカードと共に配るリーフレットで、心停止後に使用する臓器は、これまでどおりに限定している、とのことです。しかし、この運用が変わることをわたしたちは懸念します。

 アメリカなどでは、心停止後に、心臓や肝臓の移植を行っています。その場合には、人工呼吸器を必要とする患者からそれをはずし、心停止を待って75秒や2分後などに、臓器を摘出しています。つまり「尊厳死・安楽死」移植なのです。こうした摘出対象には、ALSなどの障害者もその対象となっています。

 これまでの心停止後の移植についても、ドナーに対して、心停止前から臓器保存のための処置を血管を切り開いて行い、心停止後0分で4dCの貫流液を注入するなど、問題の多い行為が行われてきました。さらに、移植用の臓器の種類を増やそうとするならば、今度は「尊厳死・安楽死」を導入しなければならなくなります。

 
●「脳死」を一般的な人の死とする動きが始まっている

 民主党の桜井充議員を中心に、臓器移植とはかかわりなく、「脳死状態」の人から声明維持装置をはずして死に至らしめるための法律づくりが検討されています。

 桜井議員は、新臓器移植法が、「脳死は人の死」とする考えを前提とするようになったことを踏まえた、としています。これは、1997年法が臓器移植の場合にだけ「脳死」を人の死としていたのに対して、新臓器移植法が臓器移植の場合だけという限定をはずすような改悪を行ったことによるものと思われます。

 わたしたちが恐れていた動きが起こっているのです。


 以上述べてきたように、新臓器移植法は、「脳死」概念を拡大し、「脳死」と判定された子供たちから臓器を摘出するものであり、また、この施行に伴いさまざまな命のきりすての動きを誘発していると言わざるを得ません。

 わたしたちの仲間にも透析を受けている人や内臓に病気を抱えた人がいます。こうした仲間は、人の死を期待する人生を拒否する、と述べています。

 内臓に病気のある人々の医療や福祉を充実させなければならないのは当然です。しかし、その医療は移植以外の方法を発展させるべきだし、移植に慎重だった日本はそうした医療をはぐくんできたはずです。

 わたしたち人類は、人の死を前提とした臓器移植を止めるべきであり、それに伴って作り出された「脳死」を人の死とすることを止めるべきです。

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2010年7月12日 (月)

民主党敗北は歓迎すべき しかし現下の危機

障害者を苦しめる政策を準備していた民主党が選挙で敗北したのは歓迎すべきこと。障害者にとっては打倒すべき存在でしかない民主党政権が敗北したのは大変結構。代わりに勝ったのが自民党でありみんなの党というのは、情けない現実。社民と共産という左翼政党の惨状を反映したものでしかない。これだけの情勢がありながら小さな違いにこだわって、大局を見失った左翼諸党の敗北はあるべくしてあるというしかない。沖縄で自民党に勝つ、という一点で共闘できない左翼、新社会党と社民党の暗闘、投票ということにこだわってきた左翼政党が、人民に総結集を呼びかけられない現実。沖縄では、左翼候補に対して、共産党が対立候補を立てて、左翼の総得票では自民党候補に勝っているのに、左翼が分裂しているから自民候補に負けてしまった。共産党のセクト主義利己主義が左翼敗北の原因だ。社民党内では新社会党系と社民党系で派閥同士の内輪の喧嘩で、まったく盛り上がらない。

直接行動にこだわってきた左翼にとっては結集点は三里塚。小なりといえど国家権力を相手に負けない闘い。三里塚では国家権力相手に40年間勝ってきた。いまだに空港を完成させていない。

障害者は障害者の闘いに人民総結集を呼びかけること。医療観察法に自立支援法、いずれも撤廃の闘いをたたきつけよう。民主党の敗北によって自立支援法廃止の約束はより不透明になった。自民公明が勝ったのだから自立支援法廃止は遠のいた。民主党政権との廃止の約束はストレートには貫徹できない。民主党政権自体が約束を守るつもりがあるのかどうかも不確かなのだ。民主党と自公は自立支援法を延長することで利害が一致している。民主党の地域主権改革は社会保障解体だ。そこではすべての保守は利害が一致している。

我々は左翼勢力の再建をもかけて、三里塚、障害者の闘いを構築していこう。人民の直接行動で安保・沖縄体制の現実をくつがえす闘いを構築しよう。地道な人民総結集のための地を這う闘いを続けよう。地道な地域日常闘争と政治闘争の掛け算で左翼の再建を実現していこう。それが現下の危機を突破する唯一の方法だ。

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2010年7月 9日 (金)

障害者は地域主権改革に反対しよう

障害者福祉政策の「規制緩和」による社会保障費大幅削減
             
地域主権戦略会議との対決。

この問題は、私たちの対応が立ち遅れている内に、どんどんと既成事実化されています。閣議決定された「地域主権戦略大綱」はこの2~3年の間に実施すべきことを提起しており、11年度からはその根幹を成す一括交付金化などが始まります。いったい何が始まっているのでしょうか。

昨年12月14日、内閣府に「地域主権戦略会議」が設置されました。

国は国防や外交、教育の根幹だけを握り、地方自治体に教育・福祉の大きな権限と予算を譲渡する大改革といわれています。廃藩置県以来の改革だと言います。明治維新以来の改革といいながら、明治維新の封建制からの脱却といった、明確な展望を示せる者はいません。民主主義的改革と打ち出されています。確かに大きな変化が生じることに疑いはありません。しかし、羽仁五郎の「都市の論理」における「都市は自由にする」という提起に比しても、真の地方自治でもないし、中身が一切説明されていないのも特徴です。何が変わるのか、会議のメンバーとその発言から推測するしかありません。

会議のメンバーの一人である大阪府知事の橋下は、在日朝鮮人や北朝鮮をヤクザ・暴力団だと言って公然と差別し、朝鮮高校を府の補助の対象外とするなどと、まるで右翼団体、「在日特権を許さない市民の会」=在特会かと見間違うほどです。テレビ映りのいいように振舞うオポチュニスト(ご都合主義者)で、おおよそ民主主義改革とは縁もゆかりもない人物です。橋下が自らが民主主義とはかけ離れた手法を用いながら地方分権を叫んでいるのは、自らにより大きな権力を要求しているだけです。自治体の長や議員により大きな権力を与えるのが「地域主権改革」であり、真の地方分権でも民主主義改革でもありません。このような人物によって行なわれる改革が障害者の利益にならないことは誰でも分かります。

また、メンバーの平野博文(内閣官房長官・当時)は「中央集権の統治機構は非常に高コスト。自立した国、地方、国民であって欲しい。国と地方自治体が最低限しなければならない部分は何か。国民の自立を前提として施策を打っていく。」と第一回会議で発言しています。「国民の自立」というのは、「自助・共助・公助」という考え方で、「自助」を中心にするという意味です。「国民は政府や行政の世話にならず、一人で勝手に生きて行け」と言いたいのです。

国から地方自治体に支給される予算の8割は社会保障と教育予算です。政府の狙いはこれを削減することにあるのであって、決して民主主義の推進や、福祉の増進などではありません。国の2007度予算の社会保障関係費はは21兆4,769億円(前年度比5,352億円増、伸び率2.6%)であり、国の一般歳出の45.74%を占めています。小泉改革で毎年2200億円の社会保障予算が削られたのですが、菅政権もそれを上回る改悪をしようとしているのです。

小泉政権の「三位一体の改革」は、地方にいくつかの権限を譲渡し、財源も渡すといううたい文句でした。しかし、実際には地方に譲渡する財源は、補助金、交付金を大幅にカットしたものでした。「地方分権改革」はそれを巨大な規模で行なうものです。単純に「三位一体の改革」的なものを拡大するのではなく、従来の思想・体制の変革という大きな規模で行なう社会保障の文字通りの解体です。改革の規模ではやはり明治維新以来の大改革なのです。それを新自由主義の思想で行なうのです。自民党政権でもなしえなかった、憲法の下での戦後民主主義的なもの、価値観を解体し、剥き出しの資本主義の弱肉強食の論理に置き換える「大改革」です。

真の地方自治ではなく

沖縄県民が新たな基地建設に反対し、名護市市長選で明確に市民の基地反対の意志が示されたにもかかわらず、名護市辺野古沖に新基地を建設しようとしている民主党政権が「地方の自治」などという言葉をもてあそぶことは、いったい何を意味するのでしょうか。
現実の地方自治体は民主的とばかりはいえません。

私の住んでいる尼崎市は、都市部ですが自治体の実体は地域ボスの集合体です。似たような地方は少なからず存在するのではないでしょうか。土建屋ボスを中心にした地域支配のところも多いと思います。それは改めなければならない現実です。しかし、そういう地域ボス支配に依存しているのが、いまの日本の資本主義支配のありようではないでしょうか。真の地方自治は、そのような社会支配のひっくり返しとしてしか実現できないでしょう。
地方自治体の民主化という明確なビジョンのない地方任せは、真の地方自治、民主主義をもたらすものではありません。地域ボスにより大きな権力を与えるだけです。大阪府の橋下知事が進めたいのは巨大な独裁権力をもった首長です。橋下の主張する会議の結論は、それを全国に拡大するということしか意味しません。

地域主権戦略大綱

「地域主権戦略大綱」が10年6月22日に閣議決定されました。

「地域主権改革」の定義は、「日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことが出来る様にするための改革」だとされています。「国民の自立」という謳い文句が福祉切りすての合言葉です。「自分で勝手に生きていってくれ」という要求であり、「福祉に頼るな」ということでもあります。

また、「おのずと地方公共団体間で行政サービスに差異が生じてくるものであり、地方公共団体の首長や議会の議員を選ぶ住民の判断と責任は極めて重大になる。」として、福祉削減の責任を住民に転嫁しています。障害者などのマイノリティの利益が守られるかどうかも地域住民の意思に従うということであり、国による保障という考え方は捨てられています。これでは「障がい者制度改革推進会議」でいくら良い議論を積み重ねても、実行のための手段を持たないという空疎なものとなるしかありません。障害者福祉に地域間格差は広がるし、福祉予算はより縮小再生産されていきます。

施設などの設置基準を規制緩和して自治体の勝手にさせることと、国の地方自治体への財源保障である「ひも付き補助金」をなくし、使途を定めない「一括交付金」化するということを柱としています。自治体の自由裁量権を増やして国と自治体を対等な立場の新たなパートナーとするといううたい文句です。

規制緩和

まず「国民の自立」の名のもとに、また、「地域間格差は国民の責任」の名のもとに福祉予算を削減していく。それに抵抗するものは、地域ボスの支配によって、「村八分」にあわせていく。それが地域主権改革の実体ではないでしょうか。

「大綱」の中では、都道府県議員選挙に小選挙区制を検討し、「道州制」についての検討も射程に入れていくとしています。

小泉改革は民間に対する規制緩和で資本主義の危機の犠牲を労働者人民に押し付けました。それは貧困を拡大し、大きな貧富の格差を生みました。ワーキングプアといわれる社会層を作り出しました。その規制緩和を、今度は国と地方自治体の間で行おうというのです。巨額の財政危機からの「財政再建」という労働者や障害者には何の責任もないことを、その犠牲によって成し遂げようという規制緩和です。財政が破綻しているのは、巨大な公共事業や巨額の銀行救済などの資本家救済策を重ねてきた結果によるものであって、労働者や障害者が責められる筋のものではありません。いかなる改革でも巨額の財政赤字を解消することはできないのであって、犠牲のみを障害者や労働者に強いていく規制緩和です。

地域主権推進法案は、「鳩山政権の一丁目一番地」と位置づけられており、菅政権になっても所信表明の中で述べられています。

「一括交付金の対象・括り方」

一括交付金の対象として、横軸に大きく社会保障、義務教育、その他と分け、縦軸に経常と投資と分けて、経常の中をさらに三つに分けて、現金給付として生活保護、子ども手当て・・・、保険として高齢者医療、国保、介護・・・、サービスとして障害者福祉、母子保健・・・とし、投資として医療施設、保育所・・・としています。

それらを「一括交付金の対象の整理」をします。「一括交付金の括り方」として、縦軸を経常と投資に分けて、横軸を大まかな政策分野別に、○○分野、△△分野、□□分野と括るとされています。この分野別に交付金を一括して自治体に渡します。この○○分野というブロックは省庁の壁を越えて括る、ともされています。

生活保護や障害者福祉や介護保険が一括交付金の対象とされ、それらがいくつかの分野として一括でくくられるというイメージのようです。何と何を一括分野とするのかはここには書かれていませんが、障害者福祉と介護保険との統合の問題も再浮上するかもしれません。大阪市のように独自の生活保護切りすて策を提案しているところもすでに存在しています。

労働者派遣法の轍を踏んではならない

社会保障・義務教育関係のうち「基本的に全国画一的な保険・現金給付や地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な負担金・補助金」は一括交付金の対象外だといいます。生活保護は始めは対象とならないように読めます。しかし、労働者派遣法でも、最初はもっともらしい事を言って対象を極めて限定して、労働者の利益になるといううたい文句で制定しましたが、一度できてしまうと対象をどんどん拡大して、製造業の日雇いまでも対象を無制限に拡大していったのです。それが生きて行けない労働者群を生み出したのです。その轍を踏んではならないと思います。約2兆円の(社会保障費の約10%)生活保護費だけが聖域とは考えにくいです。

生活保護という国家による生存権保障の要の予算が、自治体の好きなように使える一括交付金化するということであれば、憲法25条(生存権保障)の実質的な改悪です。

大綱から少し長く引用します。

「一括交付金の対象範囲
(1)基本的考え方
・    一括交付金化する「ひも付き補助金」の対象範囲は最大限広く取る。
・    補助金、交付金等を保険・現金給付、サービス給付、投資に整理し、地方の自由裁量拡大に寄与するものを対象とする。
(2)対象範囲の整理方針
・    社会保障義務教育関係―――「社会保障。義務教育関係」については、国として確実な実施を保障する観点から、必要な施策の実施が確保される仕組みを検討するとともに、基本的に、全国画一的な保険・現金給付に対するものや地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な負担金・補助金等は、一括交付金の対象外とする。
・    その他―保険・現金給付に対するもののほか、一括交付金の対象としないものは最小限に限定する。具体的には、災害復旧、国家補償的性格のもの、地方税の代替的性格のもの、国庫委託金、特定財源が国費の原資であるもの等に限定する。
・    一括交付金化の対象外となる補助金、交付金等についても、できる限り使途の拡大や手続の簡素化に努める。
(3)実施手順
投資に係る補助金・交付金の一括交付金化は平成23年度以降段階的に実施する。経常に係る補助金・交付金等の一括交付金化は平成24年度以降段階的に実施する。これにあわせて、経常(サービス)に係る国庫負担金の扱いについて検討する。」
その他「括り方については各府省の枠にとらわれず使われるようできる限り大きいブロックに括る。ブロックごとに使途を自由にする。国は、一括交付金化の実施状況を点検し、PDCAサイクルを通じて制度の評価・改善を図る。」などとされています。

障害者は犠牲に

マスコミはこの「点検」、PDCAサイクルを理由に、「国が関与し続ける」という批判をしています。(PDCAサイクルとはPlan(計画)Do(実施・実行)Check(点検・評価)Act(処置・改善)をいいます。)マスコミは「地域主権改革」を推進する立場から、あれが足りないこれが足りないという批判をしているのです。

「障害者」福祉政策は明示に一括交付金の対象とされています。障害者福祉を削るという場合、「障がい者制度改革推進会議」とそこでの議論はじゃまものとなります。最近の推進会議無視の「障害者自立支援法の一部改正案」は、この路線のもとで行なわれたものと言ってよいでしょう。厚労省の山井政務官は「一部改正案」は議員立法だから政府が口を出せないと言っています。そんなことが通用するなら推進会議で何を議論しても議員立法の方が優先するということになってしまいます。

分断と蹴落としあい

一括交付金化で、たとえば障害者福祉のどこに重点をおくかは自治体の自由になります。「身体」「知的」「精神」の各障害間で分断が行なわれて、予算の分捕りあいに落とし込まれるかもしれません。より少なくなったパイのなかで、競争と蹴落とし合いが始まるかもしれません。しかもブロックはより大きく括られているから、障害者予算と他の予算が一つのブロックとなっていて、障害者予算は削られる一方といったことも起きてきます。巨額の財政赤字を抱える自治体では、赤字解消が優先されることになるでしょう。

法制定の行程表が明らかにされています。「地域主権一括法案」、地方自治法の一部改訂、「国と地方の協議の場法案」は、参議院先議だったので、4月28日に参議院を通過していて継続審議とされており、来年の通常国会には本格法案が出されてきます。また、一括交付金化は11年度から順次始まります。

真の改革とは

必要なのは労働者や障害者が自由に生きていくための施策であり、その実現のための民主主義の制度です。地方自治体もまた労働者民衆の手に取り戻すことが必要なのであって、「地域主権改革」のように地方自治体の長や議会議員の権力を大きくするだけの規制緩和では民主主義は育ちません。橋下が推進するような「地域主権改革」は、まったく民主主義とは反対方向を向いた独裁権力を地方に作ることを意味します。地方自治体首長の任命制さえも要求されているのです。

必要なのは労働者や障害者が自由に生きていくための福祉であり、その入れ物としての民主主義です。それを実現する国家であり、地方自治体です。障害者もまた、国と地方自治体の真の改革のために闘わねばなりません。民主主義は弱者、少数者を守る機能を持たせなければ、ドイツでナチスが、イタリアでファシストが選挙で選ばれて政権についたその轍を踏むことになってしまいます。民主主義イコール多数決ではないのです。その民主主義を作ることは労働者の責任であり同時に少数者の側の責任です。障害者自らが国政や地方自治に口を出し、手を出し、関与し、政策決定に加わっていくことが真の民主主義なのです。障害者が街頭デモや集会をするのにはそういう意味合いがあるのです。

「地域主権改革」は、逆立ちした、障害者に犠牲を押し付けるだけの規制緩和です。絶対に反対です。

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2010年7月 8日 (木)

地方の時代 丁寧に具体化を進めよ

地方の時代 丁寧に具体化を進めよ

7月7日(水) 信濃毎日新聞

 国が持っている財源と権限を地方自治体へ渡し、特色ある地域づくりに自由に取り組めるようにする。民主党が地域主権と言い、自民党が地方分権と呼ぶ改革の目的である。

 実現すれば、中央集権的な行政の仕組みが大きく変わる。自治体が長年求めてきた姿になる。政府には、丁寧に具体化を進める姿勢が求められる。

 菅直人政権は、参院選の公示直前に「地域主権戦略大綱」をまとめた。要点は(1)補助金を廃止し、自治体が自由に使える一括交付金にする(2)国の出先機関を廃止・縮小する(3)自治体の事務を縛っているルールを見直す(4)都道府県の権限を市町村に移す-の四つだ。

 廃止する補助金の中身をはじめ、具体化はこれからになる。選挙対策のため、急ごしらえになった面は否めない。

 注視したいのは補助金の廃止だ。本年度は21兆円あるけれど、社会保障や教育分野の占める割合が大きい。生活保護費や義務教育費といった必要不可欠な経費を交付金に変えても、自治体の裁量は広がらない。自治体に渡す財源の総額を削ってはならない。

 思い出すのは、小泉政権が進めた、国・地方行財政の「三位一体改革」だ。2004年度からの3年間で、補助金4兆円と地方交付税5兆円を削りながら、自治体に移した税源は3兆円だけだった。

 長野県内をはじめ自治体の財政は悪化した。財政の見通しが立たず、合併せざるを得ない町村も多かった。改革が二の舞いになることは許されない。

 分権化は財政力の弱い町村への配慮が大事になる。一括交付金ができても、配分の仕方によっては、かえって財政の悪化を招きかねない。小さい自治体を支える制度設計が欠かせない。

 都道府県から町村に権限を移すにしても、職員態勢など受け皿の充実を図らなければ絵に描いたもちになる。町村の一部事務を都道府県が担ったり、市町村間で事務を分担したりといった、町村の態勢を補う仕組みを探る必要がある。小規模な町村の多い長野県には、積極的に提案してほしい。

 政府はまず、国と地方の協議の場を早急に設けるべきだ。地方の声をよく聞き、綿密に制度をつくっていく準備作業が重要になる。

 各党の参院選マニフェスト(政権公約)をみると、具体策は異なるものの、自治体の財政や権限を強化する方針はおおむね一致している。党派を超え、建設的に議論を深めてもらいたい。

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2010年7月 7日 (水)

社会保障・税番号

福祉新聞2487(7/5)号より
■社会保障・税番号
■「米国型」など3案示す 政府検討会が中間まとめ


 政府は6月29日、社会保障と税共通の番号制度に関する検討会(会長=菅直人・首相)を首相官邸で開き、番号制度に関する中間まとめを公表した。番号制度で一元管理する対象分野については、税務のみの「ドイツ型」、税務と社会保障中心の「米国型」、税務と社会保障に加え、幅広い行政サービスに活用する「スウェーデン型」の3案を示した。導入までに必要な期間はいずれも3~4年程度を想定している。


 菅首相は検討会で「強い社会保障を実現するには、社会保障と税の番号制度の導入も不可欠だ。年内をめどに一定の結論を出したい」と述べた。政府は今後意見を公募した上で年内に最終案を決定し、2011年の通常国会で関連法案提出を目指す。


 番号制度を巡る論点は「利用範囲をどうするか」「制度設計をどうするか」「個人情報保護をどう徹底するか」の3点だ。


 これまでの検討では利用範囲について「米国型」を採用し、制度設計については住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を活用して新番号を割り振る案が有力視されている。その場合、導入コストは4000~6100億円程度と試算した。


 「米国型」は所得に応じた年金給付の導入や高額医療・高額介護合算制度の改善などが可能になる「現金給付利用案」と、年金手帳や保険証を1枚にすることや医療・介護サービス情報の利用が可能となる「情報サービス利用案」に分けることができる。


 全国民に割り当てる番号の選択肢としては、①基礎年金番号②住基ネットの住民票コード③住基ネットを活用した新たな番号──の3案を示した。住基ネットを活用した新たな番号であれば投資コストを抑えられ、プライバシー保護の問題も避けられるという。


 個人情報管理の手法については、税や社会保障など各分野の番号を統一して管理する方法と、分野ごとに分散管理する方法を提案。前者は管理が容易である半面、情報漏れが起きた場合の被害が甚大だが、後者は被害が小さいとした。


 政府は今後、個人情報保護のための第三者機関を政府外に設置すること、法令により目的外利用の厳密な禁止・罰則などの規制を強化することなどを検討し、プライバシー保護を徹底したい考えだ。


 番号制度は国民全員に番号を付与し、所得などの個人情報を管理するもの。低所得者ほど負担感が増す消費増税の逆進性対策として、政府・民主党がこれまで主張してきた「給付付き税額控除」の導入にも同制度は不可欠とされる。
 


検討会は「真に手を差し伸べるべき人への社会保障を充実させ、国民負担を公正にすること」を狙いとして今年2月に発足。政府が国民を管理するためのものではなく、国民にとってメリットのある番号制度とする考えを示した。

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2010年7月 3日 (土)

一括交付金、2011年度から 社会保障補助負担金も対象

 政府は22日の閣議で、今後2〜3年の地域主権改革の方向性を示す「地域主権戦略大綱」を決定した。各府省縦割りの国庫補助負担金に代わり、地方自治体が自由に市とを決められる一括交付金を2011年度から段階的に創設することなどを盛り込んだ。社会保障関係も全国画一的な保険・現金給付や義務的な補助負担金以外は、一括交付金の対象とする方針を明記した。

◆地域主権戦略大綱を閣議決定

 大綱は、地域主権戦略会議(議長=菅直人・首相)が21日の会合でまとめたもの。「住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねる」ことを基本に据え、当面講ずべき措置や今後2〜3年の取り組み方針を示した。

 国が地方自治体の仕事を縛る「義務付け・枠付け」については、①施設・公物設置・管理基準②協議・同意・許可・認可・承認③計画等の策定・手続き──にかかる308項目・528条項の見直しを明記市、そのための一括法案を11年の通常国会に提出する。厚生労働省関係では、社会福祉法第65条2項に定める福祉施設の設備・運営基準など38項目・80条項の義務付け・枠付けを見直す。

 基礎自治体(市町村)への権限移譲については、59項目・207条項の見直しを明記。11年の通常国会に一括法案を提出する。厚労省関係では、未熟児の訪問指導や身体・知的障害者相談員への委託による相談対応・援助など20項目・81条項を権限移譲する。

 国の出先機関は「原則廃止」の考え方に沿って、各機関の事務・権限の仕分けを実施。結果を踏まえ権限移譲の工程やスケジュールを定めた「アクション・プラン」を年内に策定する。

 ひも付き補助金の一括交付金化については「各府省の枠にとらわれずに使えるようにし、できる限り大きなブロック(政策分野)で括る」という基本的考え方に基づき、社会保障、教育などの政策分野ごとに自由に使えるようにする方針を明記。社会保障関係の補助負担金についても、全国画一的な保険・現金給付に対するものや、地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的なものを除き、一括交付金化する。

 また、一括交付金化の実施手順としては、11年度から段階的に実施。11年度は施設整備の補助金を対象とし、12年度には福祉サービスなどにかかる経常的な補助金を交付金化する。

 大綱ではこのほか、国と地方の役割分担を踏まえて国と地方の税財源の配分の在り方を見直すこと、地方自治法を抜本的に見直すことなども盛り込んだ。

 地域主権改革を巡っては、障害者団体などから市町村間でサービスに格差が生じることを懸念する声があるが、大綱では「改革が進行すれば自ずと差異が生じるものであり、首長や議員を選ぶ住民の判断と責任はきわめて重要になる」などとし、サービスを低下させない住民自身の選択と責任が必要との考えを示した。

 なお大綱の閣議決定は、鳩山内閣総辞職による政治空白と参議院選挙の日程を考慮し、参院選後に先送りされる見込みだったが、原口一博・総務大臣の強い意向を受け、急きょ21日に取りまとめられた。

 策定を先送りすると、各府省の予算要求と関連する一括交付金の11年度導入に支障が生じたり、義務付け・枠付けの見直しで必要になる地方自治体の条例改正作業にも影響を与えたりする恐れがあり、途方6団体などが早期の策定を求めていた。

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