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2011年10月23日 (日)

10月12日の怒りネットの厚労省交渉・質問と回答

質問項目のうち精神障害者に関するところ
[Ⅵ]精神医療と人権
 総合福祉部会は、精神保健福祉法や医療観察法で精神医療が規定されていることに、人権上問題がある、と指摘していますが、これについて2月コメントの中で貴省は次のように述べています(p33)。
 「○ 現行の精神保健福祉法等においては、指定医による診察や入院措置等についての本人への書面告知、入院患者の病状等に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三者機関である精神医療審査会による審査を義務づけるなど、精神障害者の人権確保に配慮した規定を設けています。」
 この点について質問します。
(精神障害者についての厚労省コメントだけでは、厚労省の考えが明らかにならないため、質問の範囲を広げて質問した。回答は文書によるものと、口頭によるものがあるの。口頭によるもので文書にはないものはテープ起こしをし「」で括った。)
(回答者は、厚生労働省精神障害保健課精神医療係係長高橋氏、医療観察法医療体制推進室羽島係長。)
質問 内科や外科では、一人ひとりの入院患者はカーテンで仕切られたベッドを利用していますが、精神科では大部屋に雑魚寝の場合が多くみられます。また精神科で個室と言うと保護室になってしまいますが、そこの環境は到底一人でゆっくり休むと言うものではありません。これらの設置基準は法律や規則などでどのように定められているのですか。
回答。「資料として紙で渡してあるが、医療法上と通知2本で定めている。医療法では精神に限っていないが、病床の床面積の基準が定められていて、精神病室については精神疾患の特性に踏まえた適切な医療の提供及び患者の保護のために必要な方法を講ずることという記載がある。病室の構造は要約すると鉄格子等必ずつけるという取り扱いは止めてくれということです。建築基準の改正通知が出ていて、病室はベッド式、和式を問わず生活場所としての雰囲気を出すことが必要であると定められている。面積、建物の構造上、窓の採光、通風機能の面を定めている。
大部屋に雑魚寝という指摘だが、確かにそういう病院はあると認識しています。毎年全国の精神科病院に対して都道府県が監査を必ず1回入ることになっていて、それに加えて厚生労働本省の方で、全部の病院とは言いませんが、いくつかの病院には直接入っていて雑魚寝の場合もあったということで報告が上がってきている。患者のプライバシー等あるので、間仕切りを設けるよう指導をさせていただいている。」
(文書回答)医療法施行規則で病室の床面積が定められている(*詳細な数値などを示している)(*保護室の設置基準についての資料あり。)
質問 任意入院の患者数と、その中で閉鎖処遇を受けている患者数を示してください。また、措置入院の患者数とその中で閉鎖処遇を受けている患者数、及び、医療保護入院の患者数とその中で閉鎖処遇を受けている患者数も示してください。
回答。平成20年の630調査(6月30日の調査なのでこう呼ぶ)で、任意入院患者数 184573人 うち開放処遇を制限:33674人(約18%)
 措置入院患者数1803人 うち終日閉鎖1701人(約94%)
再質問。630調査で任意入院の全閉鎖、夜間閉鎖をあわせると約17万人という数値があるが、この違いは何か?
回答。630調査の2の精神科病院在院患者の状況というところの表で見ている。(630調査の違うページで違う数値が出ている。どういう数値の違いなのか不明であった。)
質問 貴省の把握している精神病院における社会的入院と判断される人の数を示してください。
回答。(文書回答)社会的入院数(受け入れ条件が整えば退院可能)、平成20年度619千人(入院患者の20.2%)(患者調査)(619百人の間違いと思われる)※患者調査における「退院可能精神障害者数」は医療機関の主観によるものであるところから、目標値とするには適当でなく、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書(平成21年9月24日)(別紙抜粋)においても、「別の客観的な指標」が必要である旨が提言されている。
再質問。以前言われた数値から1万人も減っているのはなぜか?
回答。「これは下に小さな字で書かせていただいたんですが、結局受け入れ条件が整えば退院可能という判断がですね、医療機関の主観によっておりまして、その都度の630の時に多少変動があるということで、さっぴきで退院した、地域定着したひとが何人いるかという事ではなくなっている。調査のとり方がそうなっているということでございます。
問い。退院した数は2819人ということですね。
回答。そうですね。」
質問 また、現行の精神障害者地域移行・地域定着支援事業で、地域に定着した人の数を示してください。地域に定着できたとする判断の根拠と、どのような住まい(グループホーム、一般住宅など)かの内訳も示してください。
回答。精神障害者地域移行・地域定着支援事業で地域に定着した人数は、(平成15~21年度まで(7年間)で)2819人である。(別紙あり。平成15~17年度まではモデル事業、平成18~19年度までは精神障害者退院促進支援事業として実施。平成20~21年度については、精神障害者地域移行支援特別対策事業として実施。)
平成21年度内に地域移行(退院)時の居住先。「支援に関わらず確保されていた自宅」25.5%、「退院に際し新たに契約した借家」24.8%、「共同生活援助(グループホーム)」20.3%、他には、共同生活介護(ケアホーム)、精神障害者福祉ホームなど。
質問 精神医療審査会について、ここ5年の患者側の申し立て数、審査にかけられた数、申し立てから審査結果が出るまでに要した日数(最長と平均)を示してください。
回答。(5年分の回答があるが平成21年のみ記載する)
○退院請求 請求件数2909、審査件数2091、審査の結果適当とした件数2016、審査の結果不適当とした件数62。(2.1%)
○処遇改善請求 請求件数384、審査件数265、審査の結果適当とした件数251、審査の結果不適当とした件数12(3.1%)
○請求受理から結果通知までの平均日数 32.5 
請求受理から結果通知までの最長日数87。
質問 心神喪失等医療観察法について、以下のデータを示してください。法施行後から現在までの法の対象となった患者の自殺数、自殺未遂者数、死因の不明な患者数、死因の不明な理由(いずれも入院と通院を分けて)
回答。入院者で自殺4人、病死2人、死因不明者はいない。
「通院処遇の方につきましては法律自体が法務省との共管の法律になりまして、通院処遇の方は保護観察所で社会復帰調整官の方が対象者をケアしていくという形をとっておりまして、厚労省では詳細な数値というものを承知していないという状況でございます。」
質問 観察法で現在入院中の人の詳細な在院日数(例えば、月数ごとの人数など)
回答。平成17年7月15日の法施行以来平成20年7月31日までで、退院者608人、平均在院日数574日。(平成22年10月の国会報告による)
平成20年の630調査で在院日数1年から5年のものは118人。5年以上のものはいない(法施行5年であり当たり前だが)。
質問 単科の精神病院をなくしたイタリアの実践について、貴省の見解を示してください。
回答。「厚生労働省として諸外国の制度に対する見解はない。担当者としての見解を述べさせていただく。イタリアの場合は日本と。東邦大の水野先生が研究されているようで、それを読んでいるのだが、日本とに違いはやはりありまして、確かに精神科病院、イタリアの場合強制的というか、ゼロに持って行った。単科の病院については。そういう場合に、日本でも7万人も退院できない方がいる中で、急に7万人も入れる病院を無くしてしまうということになりますと、それだけの受け入れする地域がなければ成り立たないということがある。イタリアの場合、地域間の格差等により、宿舎、退院先がないままストリートピープルになってしまったという悲しい状況もあるので。諸外国の状況といえども精神科病院の病床数を減らすという意味でイタリアの実践を病床数を考える上で、重要な要素となるので検討していきたい。現在、保護者制度の検討会をしていて、そこでもイタリアに限らず、諸外国の例を紹介しながら議論を進めて行きたいと思っている。」


総評 社会的入院7万人(6万人と言うが)を退院させる時に、受け入れ先がない中で病院をなくすとストリートピープルになると言うが、地域の受け入れ先を作らないのは厚労省そのものである。7年間の制度による、社会的入院からの退院者数2819人、21年度で、うち公的な受け入れ先50%?自宅25%、新規アパート25%という数値を前にして、良くこんなことがいえるなと思うのは当然である。
ただ、厚労省は2819人という回答をしているが、本省以外で自治体独自の退院支援の取り組みが大阪府で行われている。大阪府以外については不知だがこの数がカウントされていない回答である。大阪府の事業でも2千数百人と大勢に影響を与えるものではないが府下の社会的入院は解消したといっているようである。
   イタリアでも、バザリア改革を快く思わない病院当局者が、受け入れ先の確保をしないままに患者を放り出したということはあるようだ。それを盾にして、イタリアでもストリートピープルが生まれたと、バザリア改革にけち付けするのはいかがなものか。
   任意入院で185千人中、17万人が全閉鎖、夜間閉鎖の病棟にいる。
改善しているというがいまだに雑魚寝の病室もある。原則開放の個室でないと安心して眠れないと思うがそれには程遠いのが現状である。
厚労省の言う第3者機関では、退院・処遇改善の請求もほとんど通らない(2.1%、3.1%)のが現状である。総合福祉部会の挙げる第三者機関の必要性がかえって証明されている。「精神障害者」の実感とかけ離れた数値である。
   これでは精神障害者の人権が守られているとは到底言えない。
   総合福祉部会の骨格提言にあるように、OECD平均値並みの予算をつけて、退院促進の公的施設、民間住宅の確保を進めるべきである。精神科医療に今でも1兆5千億円が使われていると言う数値も聞かれる中で、使途が間違っているのだ。
7万人もの人権が不当に侵害されている中、精神障害者福祉等言ったところで大嘘としか言いようがない。直ちに地域の受け入れ先を作って退院させるべきだ。
厚労省の官僚が挙げた、東邦大の水野氏の書いた(編集した)本を研究対象として読み始めている。水野氏はイタリアへの留学経験がある。官僚の言ったイタリアについての研究ではなく、病院・診療所で待っているのではなく、地域に出て行って診療を行うことについての本。東京の「みなとネット21」、福島県の「ささがわプロジェクト」を肯定的に取り上げている。「みなとネット21」は東京港区で「精神障害者」の地域生活をサポートするNPO。「ささがわプロジェクト」は既存の精神病院を解散して地域生活に繋げた例。関西では京都の高木俊介医師らの「ACT-K」が有名だが、水野氏の研究の対象外。
「病」者集団が言う、厚労省の行う「アウトリーチ」批判は、保険医療では本人同意のない医療は出来ないところ、予算をつけて本人同意抜きの強制医療を行うことを批判したもの。このような「地域の施設化」をどのように回避しながら、「精神障害者」の地域自立生活をサポートするのか?患者会の役割は?兵庫県の実施しているピアサポート電話をどのようにそこに繋げるのか?といった問題意識でさらに研究していきたい。
「地域の施設化」とは病院・診療所を出て地域医療を進める上で、地域が巨大な施設に転化することを糾すもの。強制権限を持った「アウトリーチ」ではだめということなど。医療機関などに見つからずに地域生活をしている「病者」を探し出して強制医療を行うことは、保健所や、差別的な地域住民の通報により介入し強制入院に繋げることになる。厚労省が実施している「アウトリーチ」ではそうなる。
厚労省の「アウトリーチ」試行は3県(奈良など)で実施されているようだが、詳細については今後、質問していきたい。奈良では専任の職員は2名しか配置されず、医師等は病院等と兼務している状態。予算の問題でそうなっている。

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