« JR西日本障害女性のレイプ事件報道 | トップページ | もんじゅを廃炉に全国集会 »

2011年12月 1日 (木)

医療観察法廃止!全国集会開かれる

「安心安全」と人権



「実態を隠した国会報告は許さない!「共同声明」で新たな運動を広げよう!医療観察法廃止!全国集会」が東京・南部労政会館で開かれ72人の参加のもと、熱心な議論が交わされた。


基調報告は、障がい者制度改革推進会議のメンバーで、全国「精神病」者集団の関口明彦さんがおこなった。「観察法は(日本が批准しようとしている)障害者権利条約の理念の示す方向性と逆行している。人権と倫理の基準の問題だ。『疑わしきは罰せず』の原則がある。社会の在り方として、自分の安全・安心のためには、多少の悪には目をつぶる、多少の人には泣いてもらうという論理が働いている。」観察法では、「精神障害者」はもしかしたら犯罪をするかもしれないし、しないかもしれないけど(擬陽性という)、隔離しておく方が安全・安心だという論理で収容されるのだが、「人権の重要性を社会がいかに判断するのかという倫理の問題だ。」「医療従事者でも観察法を知らない人は多い。弁護士や他の運動領域の人にも知らせ、分かり合っていくことが重要だ。共同声明運動で各分野の運動体に働きかけて『運動』にしていこう。」


1111271


 精神科医の高木俊介さんが特別報告を行った。精神病院のあり方全般の根本的な批判がなされた。なかでも、今ホットなアウトリーチ(訪問医療)に関するところを報告する。「厚労省に『精神医療構想会議』が設置され自殺とアウトリーチをどうするかを議論してきた。家族会がアウトリーチを求めた。」(アウトリーチとは医者や医療従事者が病院や診療所で患者を待っているのではなく、積極的に地域に出て行って、地域で暮らす「精神障害者」の治療をおこなうこと。「精神障害者」の地域自立生活が進む面と、裏を返して「地域が巨大な施設と化する」ことになってしまう恐れもある。)「『検討会』が設けられ、地域医療の名の元にアウトリーチだけが始まった。4月から試行事業として始まった。地域での、入院を前提としないケアを研究しようということで始まったが、日本精神病院協会がそれに反発して、精神病院がほとんどをおこなう事業にしてしまった結果、入院前提の事業になってしまった。日精協とズブズブに結びついた厚労省精神保健課の課長通達一つでひっくり返ってしまった。」


1111272


観察法は「障害者権利条約」に反する


 東(ひがし)俊裕さん(障がい者制度改革推進会議室長、元国連障害者権利条約特別委日本代表顧問、弁護士)が講演を行った。「推進会議の第6回で精神医療について議論した。『医療観察法による強制入院、精神保健福祉法による措置入院は、国連原則に反し、障害者権利条約は国連原則より厳しい基準をとっている。』『可能性を根拠にした処分である(保安処分)』『憲法違反のおそれがあり、権利条約に反する』などの多数の問題があるという意見があった。問題無しとする委員は一人もいなかった。推進会議の第1次意見の中で『精神障害者』に対する強制入院制度である医療観察法、精神保健福祉法による強制入院の問題を立てて本人の同意をとらない入院は検討すべき問題があり見直すべきであるとした。それを受けた閣議決定で、強制入院・強制医療介入について制度のあり方を検討し、平成24年12月までに結論を出すことになった。第2次意見でも『自らの選択による医療』『精福法・観察法廃止を含む抜本見直し』を書いた。しかし第2次意見をベースにした障害者基本法改正では『精神障害者』に特化した改訂をできなかった。障害者基本法改正では「障害者」の定義を『医療モデルから社会モデルへ』変えた。『医療モデル』では、障害があるために大変な思いをする人がいるから、その人たちの福祉増進をすることであったが、改正法は、社会的障壁によって大変な思いがあるから、どんな重度の『障害者』であっても、社会の中で分け隔てられることなく共生できるという社会を作ろうとする。保護の対象から権利の主体へ変えた。」「基本法はこの方向性に反するものは問題ありとする。これからは、基本法で定められた、今後の障害者制度の実施を監視する『障害者政策委員会』が重要になる。確かに今までドラスチックな改革はないが今後も議論していこう。」


1111273


 フロアから、全国「精神病」者集団の山本さんが「アウトリーチについて厚労省本郷課長補佐は『周囲が困った時に介入する、強制的に押しかける』と言っている」と、地域の施設化に繋がるのではないかという趣旨で糾したのに対し、高木さんは「アウトリーチをやる以上は精神病院を閉鎖しろと言っている」と返した。日精協のつまみ食いのいいとこ取りを許さぬ、地域自立生活に繋がる地域医療が求められるものではないかと思った。


3つの方針


 指定発言が何人かからあった。弁護士で医療観察法をなくす会の事務局長の池原さんからは、「法制定から8年数か月がたった今、法をどうしても廃止するという決意・熱情が圧され気味ではないか?今後の方針を3つ提起する。①共同声明を昨年1年間議論してきたがまとまらなかった。文言ではなく、働きかけ、運動の相互作用を考える。関連する団体、医療関係者、障害者、反貧困運動関係者などに学習会を出前する。②議員勉強会を開き人数を増やしていく。③推進会議の成果物に反することをなぜするのかと省庁に迫っていく。成果物を使いこなす」と提起された。


1111274


 弁護士の大杉さんからは「刑の一部実刑法案か出ている。一種の保安処分だ」と。


 精神科医の岡田靖雄さんからは「改正障害者基本法で『精神障害者の防犯』が言われている。全体を読めば『精神障害者』が被害にあわないようにすると読めるが、この言葉だけを読むと『精神障害者』による事件を防ぐとしか読めない。日本の中に『精神障害者』と犯罪を結びつける偏見はまだまだ残っている。曖昧な言葉は偏見の基礎になる。」と。


1111275


 その他に、北海道から、精神科医の金杉さんから、観察法で収容されている当事者の家族から発言があった。


「精神障害者」と犯罪


 討論では、「10・12に怒りネットの厚生労働省交渉を行った。総合福祉法に制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言の中身を書き込ませるための交渉だった。『精神障害者』に関して、いまだに大部屋に雑魚寝のところがある。厚労省は『見つけたら指導している』というが見つかるほどまだあるということだ。任意入院で閉鎖処遇されている人が3万人以上いる。社会的入院7万6千人を解消すると言ってから8~9年経つが、厚労省の退院支援事業で退院した人は2800人くらいしかいない。こういう状況にもかかわらず、精神医療審査会で退院や処遇改善が認められたのは申請者の2~3%に過ぎない。明らかな差別がある。差別が罷り通る原因として『精神障害者』と犯罪を結びつける人が多いことがある。『健常者』が自分たちの安全・安心のために『精神障害者』は遠ざけて置け、隔離しておけと差別を容認している。この差別は国家・マスコミが作り出した、『精神障害者』は犯罪を犯しやすいというデマに根拠があり、なくすことのできるものだ。実際には『精神障害者』の犯罪率、再犯率は『健常者』よりもかなり低い。障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会の議論では、差別法である観察法はなくさなければならないとなる。厚労省に実施を迫って行こう。地道な運動の力で差別をなくしていこう」と発言があった。


 その他にも「精神障害者」などから「『精神障害者』は犯罪の加害者ではなく被害者になる方が多い」などの発言があった。


 全体を通して問題の鮮明化が図られた。医療観察法を許す社会の中では、アウトリーチも地域の施設化になってしまう。日精協が厚労省を通じて精神医療を支配している全体状況を突破しないと、いくら善意でアウトリーチをやろうとしても体制に飲み込まれてしまう場合もある。「精神障害者」の地域自立生活を実現するためには、犯罪と「精神障害者」をことさらに結びつけ、「健常者」の安全・安心のためには「精神障害者」を人間として扱わなくても良いという考え方をなくさないといけない。厚労省の弱点は、正面からは「精神障害者」を差別しても良い、「精神障害者」の人権を守らなくてもいいとは言えないことだ。地域での様々な運動体との共闘を追求し観察法を廃止し、「精神障害者」差別を糾していこう。

|

« JR西日本障害女性のレイプ事件報道 | トップページ | もんじゅを廃炉に全国集会 »

-闘いは進む-」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517951/53378128

この記事へのトラックバック一覧です: 医療観察法廃止!全国集会開かれる:

» 障害者手帳がやっと届いたが驚く [脳挫傷による見えない障害と闘いながら・・・]
厳しき大学時代を通し、建設業界で数多くの現場監督をしてきたが、逃げ出したくなる気持ちになった事が多かった。もし私の様な障害を抱えてる方は、障害者雇用での求職や障害年金への足がかりにもなり、自治体により様々だが、手当てが継続して支給されたり、公共機関が割引になるなどのメリットがあるのでお勧めする。申請方法は第一に、市区町村の担当課で必要書類一式をもらうからなので動いていただきたい。私の建設業界は不況だが障害者雇用促進法により希望する建設業界での職場も決まると思っている。... [続きを読む]

受信: 2011年12月22日 (木) 15時53分

« JR西日本障害女性のレイプ事件報道 | トップページ | もんじゅを廃炉に全国集会 »