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2012年1月 9日 (月)

富裕者優遇税制(中日新聞)

<集めて分ける 社会保障と税> 所得税富裕なほど有利


2012年1月5日

 社会保障と税の一体改革で、政府・与党は昨年末に税制改革案をまとめ、消費税増税の方針を打ち出した。しかし、消費者団体などは、証券優遇税制や所得税率の低減など「富裕層に有利な税制を見直すのが先決」と指摘。改革案に盛り込まれた富裕層増税策にも「不十分な内容」と不満を示す。 (白井康彦)

 「大金持ちを甘やかすのはやめろ」。昨年八月、こんなタイトルの寄稿が米国の新聞に載った。寄稿したのは、世界的大富豪である米国の投資家ウォーレン・バフェット氏。大多数の国民の生活が厳しさを増す中、自分を含め富裕層への増税の必要性を訴えたのだ。
 その後、米国では経済格差の是正を訴える大規模なデモがニューヨークのウォール街などで行われ、オバマ政権も富裕層増税に動き始めた。

     ◇
 国内でも経済格差は広がっている。この二十数年、国際競争力や市場活力を重視する経済団体などの声を受け、国は富裕層に所得税はじめ税制面で優遇策をとってきた。その一方、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」は、一九八五年以降上がり続け、二〇〇九年は過去最悪の16%に。
 大富豪に恩恵が大きいのが証券優遇税制だ。株式の配当や株式売買の譲渡益などは、他の所得とは別扱いにできる。このときの税率は所得税7%、住民税3%の合計10%。本来は20%だが、〇三年に始まった証券優遇税制で10%に下げられ、適用期限が来ても延長されてきた。

 現在、通常の所得にかかる所得税の最高税率は40%。だが、富裕層は金融資産からの所得が多いため、この優遇税制によって大富豪の税負担率は低くなっていた。
 財務省が政府税制調査会に提出した「〇八年分の申告納税者の所得税負担率」によると、通常所得と有価証券関係などとの合計所得にかかる所得税の割合(所得税負担率)は、八百万~一千万円の階層は10・6%、五千万~一億円は28・3%と最高になる。
 ところが、これを上回る階層は負担率が下がり、五十億~百億円の大富豪は13・5%。この階層は、所得の中で株式などの譲渡所得の割合が約90%と極めて高いため、所得税の負担率が低くなっている。
 改革案には、証券優遇税制の一三年末廃止が明記された。

     ◇
 所得税率の低減も富裕層へのメリットが大きかった。
 所得税の税率は、課税所得が多くなるにつれて高くなる累進税率だ。一九八六年は、税率が異なる課税所得の階層が十五に細かく刻まれ、所得が八千万円を超える部分は最高税率の70%が課税された。その後、段階的に累進税率が低減され、今は階層の刻みは六で、所得千八百万円超は一律40%に。
 財務省のデータによると、税率40%の階層は対象納税者数が約三十万人で、税収は約一兆四千億円。税率を1%上げると約三百六十億円の増収という。税率を10%上げると、単純計算では三千六百億円の増収だ。

 しかし、改革案では「課税所得五千万円超の税率を一五年から45%にする」という変更にとどまった。この最高税率の適用対象は約三万人にとどまる。
 消費者団体などには「この程度の上げ方では、高額所得者の負担も増やすというポーズだけ」といった批判の声がある。

 所得税は、累進税率を高めれば、富裕層の負担が増して格差縮小につながる。格差問題に詳しい柴田武男・聖学院大教授は「中間所得層を廃れさせないようにするため、所得税の累進税率を強化して、所得再配分機能を発揮させねば」と強調している。

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