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2012年10月19日 (金)

怒りネット通信52号

怒りネット通信
52号
2012年10月22年発行

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10月31日行動に集まろう!

 全国の障害者団体、個人の皆さん。
 今年6月、多くの反対の声にもかかわらず「障害者総合支援法」が成立しました。「自立支援法」の廃止の約束は反故にされ、政府の下に設置された総合福祉部会が精魂を傾けてまとめあげた「骨格提言」はほとんど反映されませんでした。
 その結果、「総合支援法」とは、実質的には今年4月から施行された「自立支援法改定法」(「つなぎ法」)が延長されたものと言わざるを得ません。1割まで利用料を徴収できる内容であり、医療モデルである「障害程度区分」は「障害支援区分」としてますます「介護給付」のための絶対的な尺度とされようとしています。ケアマネージメントの導入などにより介護保険制度にますます近づけられ、地域間格差については元の「自立支援法」よりも拡大する内容となっています。難病者への制度の適用についても、一部の難病に限ろうとしており、決して「谷間の解消」とはなっていません。

 また、「総合支援法」には3年後の見直しがうたわれています。私たちは、見直しは今すぐ行なうべきであると考えていますが、3年後の見直しを良いものにするためにも途切れることなく運動を続け、声をあげ続けることがとても大切なことではないかと思うのです。その原点は何よりも、「自立支援法」体制への障害者一人一人の怒りを基盤とすべきです。
 「自立支援法」成立以降私たち障害者とその仲間は、悪法に屈することなく「自立支援法」廃止を求めてさまざまな活動を続けてきました。とりわけ、「自立支援法」成立の日である毎年10月31日を中心に1万人を超える人たちが抗議の声を上げ続けてきました。こうした闘いが利用料負担の大幅な減免をはじめいくつかの改善をせざるをえないところに政府を追い詰め、ついには「自立支援法」の廃止を政府に確約させるところまで頑張り抜いたのです。

 今私たちがなすべきことは、この確約への裏切りを許すことなく、「骨格提言」の実現をとことん迫っていくことだと思います。そして、消費税増税法案と共に成立した「社会保障制度改革推進法」にも明記されている、生活保護をはじめとする社会保障制度の全面改悪と闘うことだと思います。
 こんなおり、極めて残念なことに、今年は10月の日比谷集会が行われないということを知りました。私たち怒りネットは、「自立支援法は廃止となり、新たな法律ができた」という政府の詭弁を許さないためにも、10月31日に行動を行うこととしました。
 「総合支援法」はあくまでも認められないこと、「骨格提言」をきちんと盛り込んだ法律を作ること、生活保護を始めとする社会保障の後退を許さないことを訴えて、以下のとおり政府・厚労省への申し入れ行動を行ないたいと思います。
団体、個人を問わずそれぞれの思いを申し入れ書に託してご参加いただくようお願いします。
             
集合:10月31日、午後1時、日比谷公園霞門 

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声明 生活保護の扶養義務に異議       

以下の声明は怒りネットが5月に出したものです。その後、生活保護をめぐり自民党、橋下維新の会などの保護費切り下げ、食費の現物支給化などの攻撃が激しくなっています。8月10日に成立した「社会保障制度改革推進法」では、その附則に生活保護基準の切り下げなどを明記しています。8月17日、政府は「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定しました。主に稼働年齢の人の保護費を狙い撃ちにし、障害者と分断を図り、全体の削減につなげようとするものでした。その中で厚労省は9月28日に、「生活支援戦略・厚労省案」を出し、保護費の削減のほか、扶養制度の強化を打ち出しています。すなわち、扶養義務のある親族が扶養できない場合、その理由を述べることを義務付けるものです。現在は、扶養できないことを申告すればよいものを、その理由まで述べさせることで、心理的圧迫で扶養義務をより強化することを狙った改悪です。
5月の声明が危惧したことが現実化しようとしています。今こそ、生活保護制度の改悪に反対しなければなりません。


●声明
生活保護の扶養義務に異議あり
2012.5.31

 産経新聞(5月26日)によると、「小宮山洋子厚生労働相は25日、人気お笑いコンビJのKさんの母親が生活保護を受給していた問題に絡み、生活保護受給者の親族が受給者を扶養できない場合、親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を課す生活保護法改正を検討する考えを示した。」「小宮山厚労相は同日午後の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会でもKさんの問題に触れ、「扶養義務者は責任を果たしてほしい」と述べ、余裕があるのに扶養を拒む場合は積極的に家庭裁判所へ調停を申し立てる考えを示した。小宮山厚労相は生活保護費の支給水準引き下げを検討する考えも表明。生活保護の受給開始後、親族が扶養可能と判明した場合は積極的に返還を求める意向も示した。」とあります。
 昔は親族に扶養の義務があったそうです。私たち障害者にとって、家族はたびたび抑圧者としてあらわれました。親による障害者殺しは昔のことではありません。家族によって障害児施設に放り込まれたり、養護学校を強制されたり、精神病院に強制入院させられた人も少なくはありません。すべての家族が悪いわけではないですが、抑圧に無自覚な家族が多いのも真実です。障害者はその抑圧をはねのけるのが地域自立生活の第一歩ではなかったでしょうか。地域で暮らしたいと言った時に、家族とはぶつからなかった人の方が少数派です。「親族の扶養義務」とは、生活の根本を家族に握られることであり、再び抑圧の下に引きずり込まれることです。
 私たちにとって家族制度とは悩ましい抑圧的な響きのある言葉です。扶養義務という名の鎖に再び繋がれることを拒否します。

 マスコミでは不正受給が増えているという報道があります。もしそうなら、今の制度で不正を把握できているということを意味しています。かえって、制度を変える必要はないということを示しているのではないでしょうか。
 この「扶養困難の証明義務化」が制度化されると、申請手続きのどこかで、行政が親族の経済状況を「査定」して「あなたが面倒を見れるだろう」と圧力をかけることになるということでしょう。証明しなければいけないのが親族の側だとすると、行政がそれを認めなければ生活保護は出ないで、その親族が経済的に当事者の面倒を見ざるをえなくなるのでしょう。
 その親族が自立生活に理解がある人間であればまだいいですが、そうでない場合にその親族はどのように動くか。当然、負担になることを押し付けられるわけですから、一番手っ取り早く「施設に入れてしまえ」という発想が出てくるのではないでしょうか?さらに、その親族が勝手に成年後見人をつけて強制的に本人を施設に入れることも考えられます。

 K氏の場合は、有名になる前から受けていた保護が問題にされています。この問題で大騒ぎしている片山さつき議員は、自民党の「生活保護プロジェクトチーム」の一員です。このプロジェクトは、生活保護給付水準を10%削減する方針を打ち出しています。そのための生贄としてK氏をやり玉に挙げているのです。小宮山も自民党の生保10%削減に歩み寄っています。私たちがここで踏ん張らないととんでもないことになります。
 このような貧乏人いじめの政府のやり方の対極に、富裕者課税論があります。
この数十年間、富裕者に対する減税が年間20兆円単位で行われ、貧者に対する増税が進められてきました。また全産業で企業の内部留保という形でため込んだお金は約429兆円(08年度)です。国家予算の一般会計は約90兆円ですからいかに大きな額かということです。金持ち優遇の税制の上に、国家予算も金持ち優遇です。在日米軍のために支出している「思いやり予算は」5年間で1兆円。それどころか世界の軍事費は年間140兆円です。死の商人を太らせているだけの金です。
金が溜め込まれているところから徴収すれば消費税などいらないし、「社会保障と税の一体改革」という名の大衆収奪などいらないのです。不正は良くないが、わずかな不正受給に目くじら立てて10%削減を迫る前にやるべきことがあるだろう。
私たちは小宮山厚労相や野田首相の猛省を求めるものです。

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声明
社会保障制度改革推進法成立を弾劾する
2012年9月6日

社会保障制度改革推進法案が、本年8月10日、参院本会議で民主・国民新党・自民・公明の与野党各党の賛成多数(194票)により可決、成立した(反対は、国民の生活、みんな、共産、社民、改革、みどり、大地、無所属43票)。
 「怒っているぞ!障害者きりすて!全国ネットワーク」(「怒りネット」)は、これを弾劾する。同法は、一言でいって、社会保障制度解体推進法である。同法はいう。「社会保障制度改革は」「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと」(第二条一号)、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本」(同条三号)とする、「社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること」(同条四号)、「医療保険制度については、・・(略)・・、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ること」(第六条2号)、「保健医療サービス及び福祉サービス(以下「介護サービス」という。)の範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図る」(第7条)、どれをとっても、社会保障・福祉に対する国や自治体の責任を今以上に投げ捨てようとするものに他ならない。
 特に見過ごせないのは、第2条に「家族相互」という文言が入ったことである。
介護保険成立はすでに社会保障・福祉の公的責任の解体ではあった。しかし、「介護の社会化」が建前であった。即ち、高齢者問題は、家族でのみ担えるものでなく社会全体で担うものという考えで作られたはずである。しかし、今回、「家族相互」とい文言が入り、再び「家族」の役割が強調されたのである。しかも、それが政策提言とかそういったものでなく、法の文言となったことは極めて重大である。障害を持つものは、家族からさえ、疎外・抑圧されている現状がある。私たちにとって家族からの自立こそが求められているのである。

 同法は、以上を基調に、社会保障・福祉を限りなく自己責任原則に追いやろうとしている。
第1に、保険制度を基本とするということである。
社会保険制度とは、保険料の支払いと引き換えに給付を受けるということを基本とすることは言うまでもない。即ち、社会保障・福祉を売りかいすることが基本的在り方である。同法第2条3項は、「国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」としている。極々一部にしか「国及び地方公共団体の負担」は充てないとしか私たちには読めない。厚労省は一貫して、障害者福祉を介護保険に統合しようとしてきた。障害者自立支援法一部改正及び今回の障害者総合支援法の成立は、介護保険統合への布石である。
今回の社会保障制度改革推進法成立により、その危険性がいっそう高まったと私たちは強く認識する。

第2に、「国及び地方公共団体の負担」の主要な財源を消費税とすることである。
消費税が所得に対する逆進性をもつものであることは言うまでもない。貧しきものがより負担するということが社会保障・福祉といえるであろうか? 
 そもそも、社会福祉・保障は、市場原理では多くの民衆が生きていけない、そうした中、労働者・民衆の長い闘いの中で、国や資本化に社会保証の拡充を強制してきたのである。
 社会保障・福祉は、所得や収入が増えるほど支払う税率も高くなるという累進課税をもって所得の再分配を行うことでしか成り立たないのである。社会保障・福祉は、本来、国家等行政が、その財源を持って行なうものである。財源の中心は税であることは言うまでもない。税の制度が、所得に対して累進税をもたず、富める者も貧しきものも同じ税率、あるいは消費税のように所得の多寡と対応しないものであれば、それは結局、それぞれが自己負担しているのとなんら異ならない。
同法は、第一条で、「所得税法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第十三号)附則第百四条の規定の趣旨を踏まえて」と言っているが、同附則でさえ「個人所得課税については、格差の是正及び所得再配分機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げる」、あるいは「資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討する」としているのである。即ち、格差の是正・所得再分配の必要性に触れているのである。しかしながら、社会保障制度改革推進法はこの点に何ら触れていない。
 「負担と給付の適正化」とは何であろうか? 「給付と負担の適正化」とは、所得税、法人税等に所得の再分配機能を担わせず、「給付と負担の不公平感」なる仮像を生み出し、民衆の中に分断を持ち込み、社会保障・福祉を解体しようとするもの以外のなにものでもない。

 第3に、医療保険給付の対象となる療養や、介護保険の保健医療・福祉「サービス」の範囲の「適正化」である。
はたして、現在、医療、介護、障害者福祉、生活保護などあらゆる社会保障・福祉で給付が十分すぎると感じる人がどれだけいるのだろうか?
障害者に関すれば、全国の障害者とその関係者が闘ってきた障害者自立支援法撤廃運動がその答えを十二分に示している。「適正化」というならば、更なる給付の拡大・充実こそが求められているのである。
 さらに、私たちが看過できないのは、同法が、「患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること。」(第六条3号)と述べていることである。脳死臓器移植法、そして法案提出が画策されている「尊厳死法案」と重ね合わせれば、これらの動きと連動している危惧を感じる。
第4に、同法が、「不正受給」を取り上げて、生活保護の縮小・切り捨てを行うこと宣言していることである。これを法として規定していることは極めて重大である。生活保護費が近年増大したのは「不正受給」の問題ではないことは明らかである。失業と貧困の蔓延が原因である。政府は、国際競争力強化の下、派遣をはじめとする不安定雇用を蔓延させ、資本強化のリストラを後押してきた。また、規制緩和の名のもとに、中小独立自営業者の生業を破壊してきた。その責任をごまかし、生活保護の切り捨てをもってするなど断じて許されない。
私たちの多くの仲間たちは、生活保護によりなんとか日々の生活を送っている。
現在の生活保護受給者へのバッシング、監視体制の強化は、私たちの仲間の尊厳を深く傷つけ、生きる術さえ奪うものである。私たちは満腔の怒りをもってこれを弾劾する。

第5に、国民会議なるものの設置である。以上のような社会保障・福祉の解体を、内閣総理大臣が任命する一部のものでしゃにむに推進しようとしていることである。しかも、この「国民会議」のメンバーには国会議員を含むというのである。
国会議員は国会で論議できるのでありこのような委員に入れるのはナンセンス極まりない。同会議の目的からいって、社会保障・福祉解体を推し進める政党の議員が任命されるのは明白である。
第6に、同法が、国及び地方公共団体の財政悪化の原因を、社会保障制度にかかわる負担のみにしていることである(第一条)。ここでも、重ねて言うが、それが政府見解とかではなく法として規定されたことは極めて重大である。
財政悪化は、無駄な公共事業や防衛費の拡大、他方での法人税や高所得者に対する減税がおもな原因であることは明らかである。そもそも、憲法にあるように、戦後、日本はいわゆる「福祉国家」を目指したのであり、したがって、社会保障・福祉・医療に一番財源が充てられることは前提である。この前提の上で、財政運営はなされるべきが当然である。まさに、政府の失策を社会保障・福祉に押し付け、これを解体しようとする、ためにする文言でしかない。

 同法は、私たち障害を持った者の生活と命を脅かすものであり断じてこれを認めることはできない。さらに、同法は、障害者のみでなくすべての民衆の生存権を脅かすものであることは確実である。
 この法律の具体化に向けて、「社会保障制度改革国民会議」の1年間の審議が開始されようとしている。生活保護法の改悪は、それに先んじて実行されようとしている。「障害者」や貧困者のいのちと生活を守るためにわたしたちは全力を挙げて闘うことをここに声明する。                    
          

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コメント

怒りネット通信の送付をいただいておりますが、転居いたしましたので、送付を停止してください。
次の住民の方からご連絡をいただきました。
よろしくお願いいたします。

東京都文京区西片1-17-1-1303
西片医療福祉研究会
山田美代子

投稿: | 2012年10月22日 (月) 21時37分

社会保障生活保護削減国民会議反対!
小沢一郎「国民の生活が第一」に期待します

投稿: 独眼竜正宗扶亜院 | 2012年11月 5日 (月) 17時05分

だから、社会保障制度改革国民会議のメンバーに自民党を入れるのは、反対する。

投稿: 匿名 | 2012年11月 5日 (月) 22時50分

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