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2012年11月

2012年11月27日 (火)

3%福祉 精神保健福祉法改定と医療観察法

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11月24日、心神喪失等医療観察法の廃止を求める全国集会があり上京していました。65人の参加でした。怒りネットからは6人が参加しました。
いろいろと刺激的な集会でした。「精神保健福祉法改正の動向と医療観察法の行方」という池原弁護士の講演が面白かったです。
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精神保健福祉法が改定され、保護者規定がなくなるそうです。その結果、医療保護入院の保護者同意がなくなるのですが、措置入院よりも強制入院させやすい新制度になるそうです。医者一人の診断で1年間の強制入院ができるのだと。措置入院が医師二人の診断がそろった時という規定なのに対し、簡単に強制入院させることができるようになります。その根拠は入院の必要があると医者が診断し、自発的に入院する意思がない場合、本人に判断能力がないと見なされると。「入院の必要があるという事実を認識できない」というのです。一般科では入院するかどうかは個人の判断に任せられています。例えば癌だと診断され、医者は入院を勧めても本人は入院しない選択をするというのは良くあることです。精神科だと本人に判断能力がないとされてしまう。しかしこれは障害者権利条約に反しており、権利条約を批准した場合矛盾が生じます。権利条約では「判断能力」は誰にでも備わっているというのが基本的考え方です。権利条約に制約されない領域を確保しておこうという思惑が働いているのではないかということでした。今の保護者規定は精神病の本人には判断能力がないとみなす制度です。精神科にかかると保護者をつけないといけない規定です。精神科のカルテには保護者欄があり、記入しないといけない決まりになっています。大反対なので、私はカルテの保護者欄は空白にしています。家族会も「家族によって強制入院させられた」ということで家族関係が壊れるという理由で、医療保護入院の保護者規定に反対していました。その保護者規定がなくなるのなら歓迎すべきですが、結局、精神障害者は自分のことを決められない人間であるという規定が強められることになります。これでは、改正ではなく改悪です。精神科訪問医療も厚労省側からの位置づけが与えられています。アクトやアウトリーチが強制通院制度の拡大のために位置付けられているのだそうです。予測不可能なものを問題が起きる前に介入するという考え方が採用されています。地域に強制通院の網がかぶせられようとしています。
 池原さんの話はさらに根本的問題として①強制力に依拠する医療を脱却できない結果、患者を説得する技能が著しく劣化している。任意入院をさせるためには患者を説得しないといけないのですが、医者が強制入院に慣れてしまい、そういう基礎的な能力を失っている。②治療の主座に入院が置かれる構造を脱却できない。③3%福祉ともいうべき極度の医療への傾斜を脱却しない。医療予算と福祉予算の比較で福祉予算は3%しかない。地域生活には福祉が大きな位置を占めるにもかかわらず予算がつかない。地域の貧困さを上塗りするように福祉予算がさらに削られていく。④予測と予防を飯のタネにする政・官・医の利権構造を脱却しない。業界トライアングルが出来上がっている。この癒着構造のところにしか予算がつかないが、予算の役割は大きい、という点を挙げました。
 池原さんはさらに、障害者権利条約の特徴を次のように述べました。権利条約は、人間(「障害者」)はあるがままに尊重されるべきだとしている。今まで散々、悪い体、悪い精神とされ矯正の対象とされてきた。リハビリ・治療は自分の体を自分で改善することだ。価値観の転換が必要だ。自己決定権を踏みにじる精神科の医療介入には、差別的価値観が根底にある。ダメな体、ダメな精神として否定する価値観で介入する。精神医療で治せるのかという根本を問わないといけない。就労支援でも社会が変わらないと仕事はできない場合が多い。精神医療で「精神病者」の問題を解決できるのか。
集会ではその他に大杉弁護士の話があり、私はJR西日本の差別問題を報告しました。また京都の仲間が、生活保護の問題を報告し、東京の仲間が障害者雇用促進法で雇用しながら仕事ができないとして解雇しようとしている大手コンビニチェーンの問題を報告しました。

これらの発言から、3%福祉という福祉の貧困さ、地域自立生活に対して医療ができることは限られているにもかかわらず、福祉に予算がついていない結果、企業の好きなように「精神障害者」を解雇するのが当たり前になっていること、生き死を握っている生活保護行政の悪質化が激しいことが浮き彫りになりました。政・官・医の利権構造を壊さないと、「精神病者」に生きる場はない。

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2012年11月23日 (金)

自民党の選挙公約

自民党の選挙公約のコピーです。

10%切り下げ、「障害者」を働けるとみなした人と、働けないとみなした人に分断することなどが書かれています。「障害者」を一律に2分することなどできないはずです。条件が整えば働ける人も条件がないために働けないとされたり、実際には条件が整わないと働けない人が働けるとされたりすることが起きます。この2分法は医学モデルを前提としています。社会モデルはこの面からも葬り去られるのでしょうか。外形的には分かりにくい「精神障害者」が働けるとみなされる可能性は極めて高いのではないでしょうか。逆に廃疾者といった概念が復活する可能性もあります。

「障害者」が働けるかどうかというのは条件次第です。作業所の人をなめきった低賃金はどうなるのでしょうか。もっとも作業所は訓練であり労働ではないということになっています。自民党がそう言うならば、作業所を労働の場と認め、公的資金で最低賃金を保障せよ。

成功報酬というものもありますが保護を切ると成功という誘導がされるのでしょうか。

「奴らを通すな」

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2012年11月20日 (火)

生活保護 現物支給も 自民が法改正案

 自民党の生活保護プロジェクトチーム(世耕弘成座長)がまとめた生活保護法改正案の骨子が十九日、判明した。生活保護受給者への食費などで、自治体が現金給付か現物給付かを選択できる制度の導入が柱。ジェネリック医薬品(後発薬)の原則使用も医師に求める。二十日の会合に提示する。

 生活保護は医療扶助(医療費)などを除き原則、現金で給付。しかし、保護費を搾取する貧困ビジネスが社会問題となっており、現物給付活用を盛り込んだ。

 対象は、食費や衣服代に充てる生活扶助など。具体的には受給者に現金の代わりに食品と交換できるクーポン券を配ったり、電子マネーなどの形で生活費を支給し、使途を限定したりすることを検討。食品などを直接配るわけではないが、使途を限定したクーポン券などは現物給付の一種とされる。

 また、医学的な事情がある場合を除き、後発薬の原則使用を医師に求めることや、過剰診療の抑制策を盛り込んだ。医療扶助の自己負担導入は見送った。生活保護制度の見直しは、衆院選の争点の一つ。

記事は以上。

10%削減はどうなったのでしょうかね。この中身が削減案なのかそれは別にあるのか。現物支給で、市場にも生活保護と分かり、肩身の狭い思いをさせて、支給抑制になることを狙っているのでしょう。自民党や維新は貧乏人の敵です。

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2012年11月19日 (月)

日弁連 生活保護問題で市民集会

転載

年末の予算編成に向けて生活保護基準引き下げの動きが本格化していましたが、解散・総選挙で年を越しそうです。
しかし、総選挙の結果次第では、今まで以上に生活保護に厳しい攻撃が加えられそうです。

日弁連は、下記市民集会を開催します。

時期的には、思いもよらない衆院選の公示日と重なってしまいました。
しかし、生活保護削減の問題は、社会保障の行く末をどうするかという、総選挙の争点にもかかわる重要な問題です。
そういう認識をマスコミや候補者の皆さんにも持って頂くためにも、是非多数ご参加して会場を満杯にしてください!

また、厚生労働省の「生活支援戦略」案のうち、特に問題の多い、後半の生活保護改革の部分についての日弁連意見書が発表されました。
ご活用ください。


●12/4「生活保護基準引き下げ反対市民大集会」

http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/121204_2.html
上記ページに,集会のチラシ及びユーストリーム配信URL(内容未定)掲載

12月4日(火)18時~20時30分
於:東京・星陵会館

第1部 基調報告
 生活保護制度をめぐる状況 尾藤廣喜(日弁連貧困問題対策本部副本部長)
 生活保護基準のあり方   布川日佐史(静岡大学教授)

第2部 リレートーク
 進行 稲葉剛(自立生活サポートセンター・もやい)
     雨宮処凛(作家)
◎住江憲勇(全国保険医団体連合会)◎朝日健二(朝日訴訟の会)◎赤石千衣子(しんぐるまざあず・ふぉーらむ)
◎白鳥勲(さいたま教育文化研究所)◎佐々木早苗(自治体職員)◎中下大樹(真宗大谷派僧侶)
◎山川幸生(東京災害支援ネット)◎三輪佳子(フリーライター)◎日笠方彦(自立生活センターねりま)
◎家平悟(障全協) ほかの方々(敬称略)


●「生活支援戦略」のうち生活保護制度改革に関する意見書
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/121115_4.html

当該意見書は,11月15日付けの理事会で承認され,翌日16日に厚生労働大臣宛てに郵送執行いたしました。

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2012年11月16日 (金)

生活保護費切り下げの動きと対する行動の提起

★生活保護基準切り下げの動きとそれへの闘い

●10月22日、財政制度等審議会は22日、分科会で社会保障予算を議論。生活保護は給付適正化を進める必要があるとの認識を共有。適正運用が必要な現状を示す一例として、生活保護の利用状況が都道府県でばらつきがある点や、デフレで所得が下がる実体経済の状況を給付水準に反映できていないといった点を議論した。

●10月23日、財務省は23日、来年度予算編成で生活保護の給付水準を引き下げる方向で見直す方針を固め、厚労省と調整に入った。医療機関の窓口で医療費の一部を一旦自己負担する制度の導入や、生活費や住居費の減額などを提案。ただ厚労省などは生活弱者の負担増に繋がると強く反発しており、調整は難航しそうだ。

●10月23日、三井辨雄厚生労働相は23日の記者会見で、生活保護受給者に医療費の一部自己負担を求めることについて「受診を抑制してしまう恐れがある」と述べ、否定的な考えを示した。
三井辨雄厚生労働相は23日の記者会見で、生活保護受給者に医療費の一部自己負担を求めることについて「受診を抑制してしまう恐れがある」と述べ、否定的な考えを示した。生活保護受給者の医療費は現在、全額公費負担となっている。

 医療費を抑制するため安価なジェネリック医薬品(後発薬)を受給者に積極的に使ってもらうことに対しては「一般の医療でも義務化されていないのに生活保護の受給者だけに義務づけるのは難しい」と指摘した。三井氏は「社会保障審議会などの議論を踏まえ、就労支援や不正受給対策に必要な見直しを検討したい」とも話し、制度自体の見直しは必要との認識を示した。 


●11月1日、民主党の厚生労働部門会議で、各WTの人事が決まる。生活保護WTの事務局長に長尾敬議員(大阪14区)がつく。
 「生活保護を「入りにくく、出やすい」制度とするべきである。もしも、「入りやすく、出やすい」制度改正を行えば、確実に日本人の心が腐っていく。」
(長尾氏のブログ)

●11月6日、日弁連主催、シンポジウム「99%を貧困にする政治~生活保護基準引下げで人々の暮らしは良くなるのか?
 この2ヶ月が勝負という認識

●7日、「困っちゃう人々の会」の首相官邸前行動

●11月12日毎日新聞
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<生活保護制度>厚労省の見直し案、特別部会の部会長が異論

毎日新聞 11月12日(月)20時56分配信

 宮本太郎北海道大大学院教授は12日、国会内で開かれた民主党の会合で、生活保護制度の見直しに関する厚生労働省素案が受給申請者の親族に扶養できない理由の説明を義務づけていることについて「官僚制の管理機能強化が本当に必要か。効果があるのか」と述べ、異論を唱えた。宮本氏は見直し案を議論し、年内に成案をまとめる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の部会長を務めている。

 宮本氏は、同省素案が生活保護受給者に健康管理の徹底を義務づけている点にも「生活への介入で、あえて書き込む必要があるのか」と疑問を示した。さらに財務省を、生活保護見直しを財政削減の観点から進めているとして批判した。生活保護を巡る管理強化については、受給者の支 援団体も「申請をためらわせ、結果的に必要な人が受給できなくなる恐れがある」と懸念している。【遠藤拓】
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●11月5日
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岡田副総理:生活保護も検討対象に 新事業仕分け

毎日新聞 2012年11月05日 20時23分(最終更新 11月05日 22時19分)

 岡田克也副総理は5日、政府の行政刷新会議が16~18日に実施する「新仕分け」で、生活保費の不正受給問題を取り上げる方針を決めた。自民党や日本維新の会はこの問題を重視しており、民主党政権としても積極的な対応をアピールすることで、次期衆院選での争点化や政権への「ばらまき」批判を回避する狙いとみられる。

 岡田氏は5日、生活保護費受給者が東京都内で最も多い足立区を視察。区役所で職員から現状の説明を受け、若者の就労支援施設も訪れた。岡田氏は視察後、記者団に「本当に必要な人がきちんと保護されることを大前提に、自立を妨げる仕組みや必要性の薄いものがあれば見直していく」と述べ、新仕分けで制度改革の必要性も含めて検討する考えを示した。【影山哲也】
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●『キャリアイレブン』
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在宅充実や医療扶助テーマに「新仕分け」- 刷新会議、来年度予算に反映

 政府の行政刷新会議は16日から、「新仕分け」を行う。在宅医療の充実など「日本再生戦略」関連の事業や、東日本大震災の復興関連事業、生活保護受給者の医療扶助などの社会保障分野の取り組みについて、民間の有識者らが効果や効率性を検証し、来年度予算編成に反映させる方針だ。

政府の行政刷新会議は16日から、「新仕分け」を行う。在宅医療の充実など「日本再生戦略」関連の事業や、東日本大震災の復興関連事業、生活保護受給者の医療扶助などの社会保障分野の取り組みについて、民間の有識者らが効果や効率性を検証し、来年度予算編成に反映させる方針だ。仕分けの対象には、厚生労働省が来年度予算編成で、日本再生戦略の重点分野に関する事業として要求している「在宅医療の充実強化」(事業費23億円)や、国立高度専門医療研究センターの機能を活用した「橋渡し研究などの推進」(43億円)、今年度から事業化している「臨床研究中核病院の整備」(54億円)などが挙がっている。
また、生活保護受給者の医療扶助などの保護費負担金や市販品類似薬の医療給付費も俎上に上がる。三井辨雄厚労相は9日の閣議後の記者会見で、新仕分けを通して、生活保護が必要な人を取りこぼさずに、不正受給対策や医療扶助の適正化を図る方針を説明する意向を示した。

【佐藤貴彦】
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●11月17日、事業仕分け2日目
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17日土曜の午前中に事業仕分けで生活保護が約3時間にわたってやり玉に挙がる予定です。

テーマは
・生活扶助・住宅扶助
・医療扶助
・ジェネリック
となっていて、「特別参加者」として誰かが出て話す予定のようです。

場所は、霞ヶ関の内閣府が入っている合同庁舎4号館。
報道陣以外には非公開だがユーチューブで同時配信される予定とのこと。
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●切り下げ反対行動

(以下は、大阪での署名と宣伝)
・11月15日(木)17時30分~18時30分@淀屋橋
・11月21日(水)17時30分~18時30分@京橋(JRと京阪の間あた
り)
・11月27日(火)17時30分~18時30分@梅田(阪神百貨店前あたり)
・12月1日(土)13時~15時@なんば(高島屋とマルイの間あたり)

・12月4日18時~東京・星陵会館で市民大集会

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2012年11月12日 (月)

マルクス主義的「障害者」解放論の構築へ向けて(試論の掲載)

(KG氏の試論であるが、ここで掲載する。意見を寄せていただけるとありがたい。)
馬渕浩二「世界はなぜマルクス化するのか。資本主義と生命」を読んで
「能力」と「労働」のマルクス主義的見方について

理論なくして運動はないが、試論として次のようなことを提起したい。

馬渕浩二の「世界はなぜマルクス化するのか。資本主義と生命」を読んで、「障害者」解放運動にとって示唆に富む内容だった。
馬渕の主張の部分は「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」というコミュニズム原則を直ちに実行すべきだというところにある。媒介にすべき革命論はその中身から行間を読むということだろうか、具体的には書かれていない。旧来のマルクス主義とは違うところで、マルクスの思想の有効性を論じている。「旧来のマルクス主義」とは馬渕はスターリン以降のソ連圏とその影響下にあるいわゆる社会主義陣営、日本共産党とおそらく社民党を想定しているが、われわれがその例外とは言い切れない。われわれの反スターリン主義は果たして「旧来のマルクス主義」と決別しきれていただろうか。

旧来のマルクス主義では「能力に応じて働き、労働に応じて受け取る」のが第一段階とされていた。資本家による搾取をなくしただけで、能力の差については、我慢すべきこととされているようだ。マルクスは極めて初期の段階を想定していたようであるが、スターリン以降は「普遍化」されている。これは、能力とは何かに踏み込まない考え方と言わねばばらない。旧来のマルクス主義では共産主義の高次段階になってはじめて「必要に応じてうけ取る」原則が適用できると、実際にはそれは「彼方化」されてしまっていた。

馬渕は「能力も社会的・共同的に形作られるものであり、個人の所有すべきものではない」と論じ、共同的に作られた「能力」を個人の所有と考える「労働に応じて受け取る」社会は矛盾していると論じている。能力というものは個人が単独で獲得してきたものではなく、社会の共同の働きが個人の中に蓄積されたものであろう。であるならばその果実は社会に還元すべきものではないのか。

現代資本主義社会においてさえ「労働に応じて受け取る」のではなく、「労働」しないで生きている人たちはたくさんいる。子供や老人や「障害者」がそうだ。女性の多くもそうだろうか。それは家族的紐帯のもとにあるか、公的費用によって生きている。馬渕は「労働」しないで生きていくことを権利として認める必要があると言う。いまでは憲法25条でかろうじて命をつないでいるようなあり方をやめて、誰でも「必要に応じて受け取る」社会がマルクスの考えであると。

この辺で「障害者」解放運動論ができてくる。「障害」とは手が不自由とか足が不自由とかいう医学的欠如にあるのではない。社会の側に「障害」を受容する装置がないことが障害の実体だ。「精神障害者」についても症状や薬の影響に障害の実体があるのではない。「障害者」の持っている能力を生かす社会の受け皿がないことが障害の実体・実物なのだ。「障害者」の持っている能力を生かす社会の側の受け皿があれば、障害は苦にはならないし、障害として意識することもないからだ。電動車いすを操れる「障害者」にとって、電動で行ける空間では「障害」は苦にならない。一方で段差やトイレの不備などがあると「障害」は苦そのものとなる。よく水を飲む人が多い「精神障害者」にとってはトイレのない空間は「来るな」と拒絶されているように感じる。

ところで人の能力は共同的に作られたものなのだから、「障害者」の能力も社会的・共同的に規定されたものだと捉え返すことができる。「障害者」が要求する「バリアフリー」などのことは「必要に応じて受け取る」原則にかなったことではないか。「障害者」が「労働」せずに「必要に応じて受け取った」としてもそれはマルクスの言うコミュニズム原則にかなったことだ。将来社会では「労働」の概念もまた違うものとなるだろう。旧来のマルクス主義で「労働」というのは今でいう賃金労働に限定されるのであり、協働的社会における「労働」のことではない。協働的社会では、「障害者」の労働は今よりもずいぶんと幅の広い捉え方がされるであろう。今でもイタリアでは、「精神障害者」の労働が一般賃金が保障される協同組合においてなされている。日本の箕面市の「障害者」作業所における賃金は行政の補填もあって、一般の最低賃金に近いと言われている。日本では「障害者」作業所の賃金は年間で数万円しかないのが一般的である。

だから、馬渕はさらに、「賃労働」によらない社会とのかかわりが存在すると言う。家事労働もここに入っていただろうか。家族のかかわりはここに入る。資本主義の下でも賃労働以外にも社会とのかかわりがあるということだ。「労働」に至上の価値を置く旧来のマルクス主義ではなかった考え方が提示されている。「障害者」の活動(社会活動のみならず・生命活動も)も社会とのかかわりあいだ。それは決して無意味なものではない。「労働」(限定された「労働」)によらない社会との関わりが積極的に確認されることで、「障害者」が無意味に生きているのではないと、社会に必要とされているのだと確認することができるようになる。この確認は重要なことだ。協働的社会においても労働しているとは言えない「障害者」も社会が必要としているのだ。われわれは、松田勲同志の存在と闘いからも、それを確認できるのではないか。「障害者」が社会から必要とされていないとしたら、その社会が貧困なのだ。

総じて、マルクスの考えに沿った形で「障害者」解放運動論を組み立てていくことが可能になった感じがしている。以前はマルクス主義は現状分析の手段としての有効性はあっても、解放そのものはきわめて漠然と将来の共産主義社会に差別はないという原則を述べることだったように思う。(筆者の誤解かもしれないが)。「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」コミュニズム原則を適用する、能力についての考え方が提示されたことによって、可能になった深まりがある。
馬渕の提示しているのはもちろんそれにとどまるものではない。ご一読をお勧めする。
(KG)

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2012年11月10日 (土)

なくそう! 差別と拘禁の医療観察法!11・24全国集会

■日時:11月24日(土)13時開場~17時
■場所:南部労政会館(03-3495  4915)
■交通:JR 大崎駅  新東口より徒歩3分
□講演:「精神保健福祉法見直しは医療観察法に何をもたらすか」
池原毅和さん(弁護士)
□お話:医療観察法被処遇の経験


法務省・厚生労働省は本年7月、医療観察法に関する『施行の状況についての検討結果』を発表しました。それは、法の破綻を隠蔽した10 年11月26日付『国会報告』と同様、自殺問題に一切触れないまま医療観察制度が「有効に機能している」、早急に法を「改正すべきものとまでは認められない」と結論づけています。更に「いくつかの課題も指摘されている」ので法の「より適切な運用を図るため」「引き続き必要な取組を進めていく」とするなど、政省令によって事実上の法改悪をも狙ってもいます。私たちはこのような欺瞞的な『検討結果』をとうてい認めることはできません。
更に厚生労働省は、医療観察法破綻を隠蔽したまま、精神保健福祉法の見直し案を来年の通常国会に上程しようとしています。見直しの方向は、保護者制度の廃止、医療費負担は本人、指定医1 名だけの判断で強制入院、入院期間は原則1 年に、などとしています。この精神保健福祉法見直しは保護者関連規定が20数カ所ある医療観察法にも影響します。
当事者中心の障がい者制度改革推進会議は、障害者権利条約批准に向け、10 年6月に改革の基本的方向性を提起しました。しかし政府は、障害者自立支援法廃止の約束を反故にした総合支援法強行採決に見られるように、その骨抜きを狙い、障害者差別禁止法制定に関しても同様な姿勢を強めています。そのうえ生活保護受給者バッシングをはじめとする差別助長・切り捨て・再犯防止強化策で、精神障害者はいま生存権さえ奪われようとしています。断じて許すわけにはいきません。
私たちは『国会報告』以来、その欺瞞性を暴きながら医療観察法廃止運動の強化にむけ様々な闘いに取り組んできました。幾重にも精神障害者切り捨て攻撃がかけられている今、私たちに何が問われているのか、共に考えながら廃止運動の更なる強化を目指していきたいと思います。ご参加を訴えます。

共同呼び掛け
□心神喪失者等医療観察法をなくす会 □国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会 □NPO 大阪精神医療人権センター □心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク
東京都板橋区板橋2-44-10-203 オフィス桑気付
Tel:090-9240-9716
Fax:03-3961-0212 E-mail:kyodou-owner@egroups.co.jp

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2012年11月 2日 (金)

10/31厚労省申し入れ速報

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10・31怒りネットは厚労省申し入れを闘いました。車いすの障害者、視覚障害者、「精神障害者」、市民など70人以上が集まりました。11時30分から厚労省前でビラまき街宣を行いました。(写真上)

厚労省の役人のビラの受け取りはよいです。交代でマイクを握り怒りの丈をぶつけました。

この日の行動は、自立支援法の継続法である総合支援法の廃止を求め、自立支援法の成立した日にちに行いました。

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毎年この日に行われていた、1万人集会は今年はありません。いろいろと事情はあるようですが、はっきり言えば日和見です。この日に集まったのはそういう事情を超えても今声を挙げるべきだという障害者です。(写真二番目は事前の打ち合わせ)

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写真3番目は申し入れる怒りネットを代表して視覚障害者。点字を読みながらマイクでしゃべっています。

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写真4番目は怒りネット関西と兵庫県精神障害者連絡会を代表して。「精神障害者」にとっても総合支援法はとんでもない法律です。また生活保護の切り下げは障害者が生きていけない状態を作り出します。

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写真5番目は新潟の障害者。自立生活が脅かされている状況を糺しました。

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写真6番目は全国「精神病」者集団のYさん。会議にかける時間がなかったということで個人としての申し入れです。「精神障害医者」の具体的な問題を提案しました。Yさんは骨格提言をまとめた障害者制度改革推進会議総合福祉部会の一員です。総合福祉部会のメンバーが申し入れを行わないといけないくらい、総合福祉法はひどいということだと思います。


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写真7番目はピープルファーストの代表です。あの55人の会議はなんだったのかと糺しました。この方も総合福祉部会のメンバーです。怒りを込めて問いただしましたが厚労省が答えることはありませんでした。

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写真8番目は申し入れを終わりシュプレヒコールを挙げている障害者。

この日は申し入れだけでしたが、近日中に厚労省の回答を求める団体交渉を計画します。その時には皆さんご参加ください。

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