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2012年11月27日 (火)

3%福祉 精神保健福祉法改定と医療観察法

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11月24日、心神喪失等医療観察法の廃止を求める全国集会があり上京していました。65人の参加でした。怒りネットからは6人が参加しました。
いろいろと刺激的な集会でした。「精神保健福祉法改正の動向と医療観察法の行方」という池原弁護士の講演が面白かったです。
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精神保健福祉法が改定され、保護者規定がなくなるそうです。その結果、医療保護入院の保護者同意がなくなるのですが、措置入院よりも強制入院させやすい新制度になるそうです。医者一人の診断で1年間の強制入院ができるのだと。措置入院が医師二人の診断がそろった時という規定なのに対し、簡単に強制入院させることができるようになります。その根拠は入院の必要があると医者が診断し、自発的に入院する意思がない場合、本人に判断能力がないと見なされると。「入院の必要があるという事実を認識できない」というのです。一般科では入院するかどうかは個人の判断に任せられています。例えば癌だと診断され、医者は入院を勧めても本人は入院しない選択をするというのは良くあることです。精神科だと本人に判断能力がないとされてしまう。しかしこれは障害者権利条約に反しており、権利条約を批准した場合矛盾が生じます。権利条約では「判断能力」は誰にでも備わっているというのが基本的考え方です。権利条約に制約されない領域を確保しておこうという思惑が働いているのではないかということでした。今の保護者規定は精神病の本人には判断能力がないとみなす制度です。精神科にかかると保護者をつけないといけない規定です。精神科のカルテには保護者欄があり、記入しないといけない決まりになっています。大反対なので、私はカルテの保護者欄は空白にしています。家族会も「家族によって強制入院させられた」ということで家族関係が壊れるという理由で、医療保護入院の保護者規定に反対していました。その保護者規定がなくなるのなら歓迎すべきですが、結局、精神障害者は自分のことを決められない人間であるという規定が強められることになります。これでは、改正ではなく改悪です。精神科訪問医療も厚労省側からの位置づけが与えられています。アクトやアウトリーチが強制通院制度の拡大のために位置付けられているのだそうです。予測不可能なものを問題が起きる前に介入するという考え方が採用されています。地域に強制通院の網がかぶせられようとしています。
 池原さんの話はさらに根本的問題として①強制力に依拠する医療を脱却できない結果、患者を説得する技能が著しく劣化している。任意入院をさせるためには患者を説得しないといけないのですが、医者が強制入院に慣れてしまい、そういう基礎的な能力を失っている。②治療の主座に入院が置かれる構造を脱却できない。③3%福祉ともいうべき極度の医療への傾斜を脱却しない。医療予算と福祉予算の比較で福祉予算は3%しかない。地域生活には福祉が大きな位置を占めるにもかかわらず予算がつかない。地域の貧困さを上塗りするように福祉予算がさらに削られていく。④予測と予防を飯のタネにする政・官・医の利権構造を脱却しない。業界トライアングルが出来上がっている。この癒着構造のところにしか予算がつかないが、予算の役割は大きい、という点を挙げました。
 池原さんはさらに、障害者権利条約の特徴を次のように述べました。権利条約は、人間(「障害者」)はあるがままに尊重されるべきだとしている。今まで散々、悪い体、悪い精神とされ矯正の対象とされてきた。リハビリ・治療は自分の体を自分で改善することだ。価値観の転換が必要だ。自己決定権を踏みにじる精神科の医療介入には、差別的価値観が根底にある。ダメな体、ダメな精神として否定する価値観で介入する。精神医療で治せるのかという根本を問わないといけない。就労支援でも社会が変わらないと仕事はできない場合が多い。精神医療で「精神病者」の問題を解決できるのか。
集会ではその他に大杉弁護士の話があり、私はJR西日本の差別問題を報告しました。また京都の仲間が、生活保護の問題を報告し、東京の仲間が障害者雇用促進法で雇用しながら仕事ができないとして解雇しようとしている大手コンビニチェーンの問題を報告しました。

これらの発言から、3%福祉という福祉の貧困さ、地域自立生活に対して医療ができることは限られているにもかかわらず、福祉に予算がついていない結果、企業の好きなように「精神障害者」を解雇するのが当たり前になっていること、生き死を握っている生活保護行政の悪質化が激しいことが浮き彫りになりました。政・官・医の利権構造を壊さないと、「精神病者」に生きる場はない。

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