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2013年4月 6日 (土)

厚労省交渉のための参考資料として

厚労省交渉を4月半ばに設定しています。交渉では扶養義務の問題に大きなウェイトを置くと思います。障害者にとっての切実な問題であるからです。親族による扶養が義務となれば障害者の地域自立生活そのものが脅かされるからです。
以下は、扶助費引き下げという全体的な問題について、厚労省の見解を糺すためのまとめ書きです。扶助費引き下げの根拠となる数値がでたらめに計算されたものであり、論争に耐ええるものではないことが明らかとなりました。仮にこのまま施行され裁判になった時には十分に勝算のあることが明らかです。

「生活扶助相当CPI」

何人かの専門家が厚労省が示した「生活扶助相当CPI(消費者物価指数)」のおかしさを指摘しています。中日新聞の白井記者は、厚労省が一般のCPIではなく、「生活扶助相当CPI」というものを使っていることを暴露しました。また、これを計算するにあたって、一般のCPIから生活保護では扶助費に含まれない品目を(家賃など)、除いて計算していること。その結果、大きく値下がりしている電化製品やパソコンなどがより大きく影響する計算式になっていることを暴き出しました。除外品目自体がいい加減なものだそうです。
最近のデフレと言われているものの正体は、電化製品やパソコンなどが大きく値下がりしていることです。食費などはほとんど値下がりしておらず、光熱費は高騰しています。食費や光熱費の値上がりにもかかわらず、電化製品・パソコンの大きな値下がりがCPI全体を引き下げているのです。これが大きなポイントです。
そのように計算された「生活扶助相当CPI」では、消費支出全体に占める電気製品の割合(ウェイト)が不当に高く出ています。具体的には、一般CPIでは2.68%のところ、生活保護世帯は4.19%になってしまっています。これは全く実態に反したことです。そのために電化製品などの値下がりの影響を生活扶助相当CPIではより大きく受けることになりました。

下位20%の所得の人を基準に

さらに、池田さんという筑波女子大の方が細かい計算をしました。第1五分位(所得の下位20%の層)階級の電化製品などを購入するウェイトを細かい食費などの購入する品目ごとに消費者物価指数(CPI)と対比させて計算し、それを「生活扶助相当CPI」として計算しなおしたものです。すると、各年の「生活扶助相当CPI」は第1五分位階級のウエイトで計算した場合、2004年が102.1、2008年が103.1、2011年が100.2、2012年が100.4でした。変化率は、2004―2011で、-1.86%、2004―2012で、-1.67%、2008―2011(厚労省採用)でも、-2.81%、2008-2012では、-2.62%となり、厚労省の言う4.78%下落などという数字ではありません。
以上のことから、①第1五分位に属する世帯の消費実態でさえ、厚生労働省が示した数値とは大きな乖離がある。②したがって、まず、現時点で厚生労働省が公表している4.78%の物価下落という数値を根拠に生活扶助基準を引き下げることはできない。③かりに、これを強行するようなことがあれば、裁判でも指摘されている厚生労働大臣の裁量を著しく逸脱している典型的な実例となり、違法である。④今回の生活扶助基準引き下げは、したがって、撤回しなければならない。⑤かりに、今後も物価変動との関係で生活扶助基準を検討するのだとすれば、第1五分位の数値にもとづくのでも不十分なのであって、要保護世帯の消費実態を科学的・客観的な方法によって調査し、その結果を公表したうえで、厚生労働省の見解を出す責務がある。

生活保護受給者のアンケートの結果

次に、日本福祉大学の山田さんの報告です。メーリングリストなどを通じて短期間でしたがアンケート調査を行い、175人の回答を基に、より正確な生活扶助相当CPIの元になる数値をはじき出したものです。
175人の方にご回答いただきました。実質2週間ぐらいの短期間でこんなに集まりました。アンケートに協力した団体では、「自分は電化製品を購入していないから、アンケートに答える資格がない」と自己判断して回答しなかった方が多数おられるそうです。
都道府県別にみると、大阪府69人、愛知県62人、東京都16人、埼玉県9人、岐阜県9人、沖縄県2人、岩手県1人、千葉県1人、石川県1人、不明4人と、まさに全国から集まりました。
アンケートの結果報告を含めた記者会見も近づいてきましたので、いったんここで締め切りました。
「生活扶助相当CPI」に含まれている電気製品21品目について、生活保護を利用し始めてから現在までの間に何をいくらで購入したかを聞きました。多くの人が「購入したことがない」と答えているものがほとんどでした。例えば、ビデオカメラ99.4%、洗濯乾燥機98.3%、カメラ96.6%、デスクトップパソコン97.7%、ノートパソコン94.3%などです。これらはいずれも、物価下落率がきわめて高く物価指数全体の低下に影響を与えている品目です。ほとんどの人が買ったことのない品目の値下がりを理由にして、生活扶助費が下げられようとしている実態が明らかになりました。
今回のアンケートで、今年3月の生活扶助費を書いてくださった方は175人中138人でした。この138人の方の生活扶助費×受給月数を合計し、その中に占める電気製品21品目の購入費総額の割合(≒ウェイト)を計算してみると0.56%でした。また、一人一人のウェイトを同じように計算してみると、平均で0.82%でした。これは少々乱暴な計算なのですが、4.19%というのはあまりに生活保護利用者の実態を反映していません。
緊急に実施したアンケートということもあり調査方法に粗さがあるのですが、生活保護利用者の実際の消費実態をきちんと把握する必要性は提起できるのではないかと思います。厚生労働省は、社会保障生計調査という被保護世帯の家計簿を調査したデータを持っています。これを使えば消費実態は明らかになるはずです。
山田さんは以上のように報告されています。(編集者の責任でまとめています。)
低所得者ほど電化製品を買わないという実感を、アンケート調査という方法で客観化した功績があると思います。厚労省が持つ資料で、「有能な」官僚がきちんと計算すればもっと正確な数値が出るでしょう。生活扶助を年収になおして、100万円の年収の人が41900円も毎年電化製品を買っているというようなことがありうるはずがないのです。私自身この何年かで、この項目ではカメラしか買っておらず、パソコンはヴィスタのままです。毎年4万円も電化製品を買っている低所得者は少ないのに、大きく値下がりしている電化製品を基準にして扶助費が下げられようとしている不条理を厚労省につきつけていきたいと思います。

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