« 緊急院内集会第3弾 | トップページ | オキュパイ大飯から1年、再稼働はさせない!東京集会 »

2013年4月20日 (土)

最大10%もの生活保護費切り下げは許せません

生活保護費が8月から大幅に切り下げられようとしています。生活扶助費を3年間で総額670億円削減します。削減幅は平均6.5%であり、世帯により最大10%となります。受給額が減る世帯は96%におよびます。単身者で約7千円、夫婦と子供2人の世帯では約2万円もの大幅切り下げです。同時に、「就労支援の強化、医療費扶助の適正化、扶養義務の強化」など制度の見直しによって450億円、合計1120億円という大幅削減です。
生活保護費が切り下げられると連動して、最低賃金が下がり、住民税の非課税世帯の基準額、就学援助の基準額、介護保険料など多くの低所得者への減免額が下げられ負担増になります。最低賃金が下がれば、一般の賃金相場にも影響することは想像に難くありません。自民党が選挙公約に掲げた生活保護費10%カットを実現するために、低所得者に襲いかかってきているのです。自公政権は低所得者を敵視することで選挙の票を稼ごうとしています。
マスコミを使った世論誘導では、生活保護の不正な受給が多いから適正化するだけのように言われていますが、それは真っ赤な嘘です。不正受給は金額ベースで全体の0.5%に過ぎません。その中には高校生がアルバイトをして申告を忘れていたといった、不注意や制度を知らなかったケースが多数含まれています。兵庫県小野市では「生活保護受給者がパチンコをしているのを見つけた市民は通報しなければならない」という密告条例が制定されました。一般市民に対し、生活保護受給者はパチンコをして遊んでいるという一面的メッセージを発信するものです。パチンコをするのも「不正受給」と幅を広め市民を差別的に扇動しているのです。しかし、市に寄せられたのは反対意見より賛成意見の方が多く、キャンペーンの浸透度を表しています。
でたらめな政府の計算
ところが、専門家が調べたところ、扶助費切り下げの根拠となる数値がきわめて恣意的に高く計算されたものであることが明らかとなりました。政府は、切り下げの大きな理由は、デフレで物価が4.8%も下がっていることだと言います。しかし、最近のデフレと言われているものの実体は、電化製品やパソコンなどのぜいたく品が大きく値崩れしていることです。生活必需品である食料費などは値上がりしており、光熱費は高騰しています。食費や光熱費の値上がりにもかかわらず、電化製品・パソコンの値下がり幅が極端に大きいため、消費者物価指数(CPI)全体を引き下げているのです。電化製品の値下がり幅はデフレ4.8%と言われる内の4.1%です。
「生活扶助相当CPI」はでたらめ
厚労省は一般のCPIではなく、「生活扶助相当CPI」というものを使って計算しています。「生活扶助相当CPI」を計算するにあたって、一般のCPIから生活保護では生活扶助費に含まれない品目(家賃など)を、除いて計算しています。その結果、大きく値下がりしている電化製品やパソコンなどがより大きく影響する計算式になっています。除外品目自体がいい加減なものだそうです。「生活扶助相当CPI」では、消費支出全体に占める電気製品の割合(ウェイト)が不当に高く出ています。具体的には、一般CPIでは2.7%のところ、「生活扶助CPI」では4.2%にもなってしまっています。そのために電化製品などの値下がりの影響を「生活扶助相当CPI」ではより大きく受けることになりました。これは全く実態に反したことです。年収100万円の人が毎年4万2千円も電化製品を買っている計算になりますが、そんなはずがないからです。
下位20%の所得の人を基準にすると
所得の下位20%の階層の人が電化製品などを購入する割合(ウェイト)を、食料費などの購入する品目ごとに細かく消費者物価指数(CPI)と対比させて計算し、それを基に「下位20%のCPI」を弾き出しました。すると、各年の「下位20%のCPI」の変化率は、2004―2011で、-1.86%、2004―2012で、-1.67%、2008―2011(厚労省採用)でも、-2.81%、2008-2012では、-2.62%となり、厚労省の言う4.8%下落などという数字ではありません。厚労省は恣意的にとくに物価の高かった2008年度ととくに物価が安かった2011年度を比較しています。しかし、それでも2%の差があります。前回の生活扶助費切り下げの2004年度との比較では3%以上の差があるのです。
したがって①下位20%の階層に属する世帯の消費実態でさえ、厚生労働省が示した数値とは大きな乖離がある。②現時点で厚生労働省が公表している4.8%の物価下落という数値を根拠に生活扶助基準を切り下げることはできない。③かりに、これを強行するようなことがあれば、裁判でも指摘されている厚生労働大臣の裁量を著しく逸脱している典型的な実例となり、違法である。④今回の生活扶助基準切り下げは、したがって、撤回しなければならない。⑤保護世帯の数値を計算するのであれば、下位20%の数値にもとづくのでも不十分なのであって、厚労省が隠しもつ保護世帯の消費実態を調査した「社会保障生計調査」の結果を公表したうえで、厚生労働省の見解を出す責務があります。
生活保護受給者のアンケートの結果
さらに、メーリングリストなどを通じて短期間でしたがアンケート調査を行い、175人の回答を基に、より正確な「生活扶助相当CPI」の基になる数値をはじき出しました。「生活扶助相当CPI」に含まれている電気製品21品目について、生活保護を利用し始めてから現在までの間に何をいくらで購入したかを聞きました。多くの人が「購入したことがない」と答えているものがほとんどでした。例えば、ビデオカメラ99.4%、洗濯乾燥機98.3%、カメラ96.6%、デスクトップパソコン97.7%、ノートパソコン94.3%などです。これらはいずれも、物価下落率がきわめて高くCPIの低下に影響を与えている品目です。ほとんどの人が買ったことのない品目の値下がりを理由にして、生活扶助費が下げられようとしている実態が明らかになりました。
アンケートで、今年3月の生活扶助費を書いた138人の生活扶助費×受給月数を合計し、その中に占める電気製品21品目の購入費総額の割合(≒ウェイト)を計算してみると0.56%でした。また、一人一人のウェイトを同じように計算してみると、平均で0.82%でした。地デジ化でテレビを購入した人が多いにもかかわらず、この低さです。厚労省が計算した「生活扶助相当CPI」における電化製品のウェイトの4.2%は、生活保護利用者の実態とかけ離れています。
厚労省が隠し持つデータ
厚生労働省は、「社会保障生計調査」という被保護世帯の家計簿を調査したデータを持っています。これを使えば消費実態は明らかになるはずです。国会で民主党の長妻議員は「生活保護世帯千軒の消費支出を細かく調べた資料の1年分を厚労省は持っている」ことを明らかにし、それに基づいて「生活扶助相当CPI」を出すように求めました。田村厚労大臣や公明党の桝屋副大臣は言を左右にして拒否しています。厚労省が隠すのは、出せば都合が悪いからです。
私自身がこの数年で、電化製品と言っても、地デジ移行時にテレビを買わざるを得なかった他ではカメラしか買っていません。パソコンは2世代前の「ウインドウズヴィスタ」のままです。毎年4万2千円も電化製品を買っている低所得者などほとんどいません。なのに、でたらめな計算で扶助費が下げられようとしている不条理を許すことはできません。

|

« 緊急院内集会第3弾 | トップページ | オキュパイ大飯から1年、再稼働はさせない!東京集会 »

-多事争論-」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517951/57209678

この記事へのトラックバック一覧です: 最大10%もの生活保護費切り下げは許せません:

« 緊急院内集会第3弾 | トップページ | オキュパイ大飯から1年、再稼働はさせない!東京集会 »