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2013年8月 2日 (金)

「審査請求で不満示そう」 生活保護費引き下げで市民団体 

2013年8月1日(中日新聞)

 生活保護世帯の日常生活費に当たる生活扶助の基準額が八月から引き下げられたことに反対している市民団体などが、行政不服審査法に基づく審査請求を自治体に申し立てる運動を開始した。一万を超す請求件数が目標。請求が棄却されたときには訴訟に持ち込む方針で、千件以上の提訴を目指している。

◆棄却されれば提訴も
 札幌市北区の三十代の女性は「私たちの生活を壊さないでほしい」「子どもたちに貧困を受け継がせたくない」といった思いから、審査請求の当事者になることを決意した。

 八歳、三歳の二人の子どもと母の四人暮らし。幼い子どもを育てているため十分に働けず、収入が少なく、不足分を生活扶助費で賄っている。

 この家族構成だと同区では、母子加算や児童養育加算を含めた生活扶助基準は、七月には約二十二万二千円だったが、八月からは約二十一万六千円になる。

 政府は二〇一四年四月、一五年四月にも生活扶助基準を切り下げる予定で、切り下げ案がそのまま認められると、この女性の生活扶助基準は一五年四月には約二十万四千円まで下がる。今年七月までに比べると、約一万八千円ものカットだ。

 女性は「子どもが熱を出すと仕事を早退して保育園まで迎えに行かねばなりません。満足に働けないのです。これ以上何を節約すればいいのでしょうか」と訴える。

 女性は生活保護受給者らを支援する「北区生活と健康を守る会」に通って生活保護制度などを学んだ。「当事者である私たちが声を出していかないと、さらに制度が改悪されてしまいかねない」と考えたという。

 同会の上部団体である北海道生活と健康を守る会連合会は「北海道だけで審査請求が一千件になるようにしたい」と意気込む。

 各地の弁護団、生活と健康を守る会、貧困問題に取り組む市民団体などが受給者らに呼び掛けて取りまとめ、九月中下旬に一斉に審査請求を申し立てる見通しだ。

 こうした団体間の連絡調整を担当する「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」も七月に設立された。代表の尾藤広喜弁護士(京都弁護士会)は「前例のない基準切り下げには前例のないインパクトのある対抗策が必要だと多くの団体の認識が一致した」と説明する。

 審査請求運動を通じて、受給世帯の厳しい生活実態や切り下げ手続きの問題点などを訴えていく。政府は基準切り下げの主な要因を「物価下落への連動」としたが、これについては「根拠の指標が疑わしい」(尾藤弁護士)と主張している。

 国民の最低生活ラインのようになっている生活保護基準の切り下げは、最低賃金や就学援助、住民税非課税基準など他の制度への影響も大きい。このため、貧困に関連する問題に取り組むさまざまな市民運動とも連携していく方針だ。

 生活扶助基準切り下げの取り消しを求める訴訟は、審査請求をして棄却された場合にしか提訴できない。運動団体側は「審査請求する人の一割ぐらいは提訴するのではないか」と見込んでいる。

 同ネットは、各地の市民団体などの協力を得て六、七の両日の午前十時から午後八時まで「生活保護基準引き下げにNO!全国一斉ホットライン」を実施。法律家や受給者を支援する人たちが、基準切り下げや審査請求などに関する質問に答える。受け付け電話番号はフリーダイヤル(0120)193518。

(白井康彦)

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