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2013年9月

2013年9月30日 (月)

生活保護費引き下げを許さず、怒りネットの厚労省交渉

 9月25日午後、国会議員会館内にて、怒りネットの厚生労働省交渉が行われた。5月8日に続き2回目の交渉だ。怒りネットは約20人。「知的障害者」団体の方も参加した。厚労省側は保護課基準係の2人と、保護課調査係の合わせて3人。2時間の交渉だった。

 「学問的裏付けは無い」

 あらかじめ怒りネット側が提出していた質問書に、厚労省が答えるところから質疑が始まった。焦点になっている生活扶助相当CPI(消費者物価指数)について、その根拠、正当性を問いただすのに対して、厚労省は「総務省がこう言った」という逃げの答弁を繰り返す。しかし、思わず核心点を言ってしまう。総務省の正統な統計では、2008年から2011年の物価下落は2.35%なのに、保護費引き下げの根拠となった厚労省独自の特異的計算では、4.78%になってしまっている点についての言い訳が妙だ。

 厚労省曰く。「算出した理由としましては、できる限り最新の消費実態を反映させるため。学問的裏付けというものは、どこかの大学の何かの学問的裏付けというものがあるわけではない。基準部会(保護費の額を検討する審議会)でも議論していない。総務省としても物価の見方はいろいろある、様々な考え方がある(と言っている)。作る時に総務省に相談したとかでなく、総務省から聞いたところによると、物価というものはいろいろなやり方がある。それぞれの政策判断に基づいて、それぞれの省庁で判断されるべきものと考えていますという話を聞いている。」

 これでは政府統計にはいろいろな数字のものが有るから、総務省のものも厚労省のものも、どれ一つとっても信頼性はないと言っているのに等しい。さすがに、厚労省が正しく総務省が間違っているとは言えないものだから、全部いい加減な数字だという話にしてしまった。

また、政策判断=政治判断で数字はどうにでも操作していいと言っており、自民党が10%下げろと言ったことに従うという政治判断に合わせて、都合のいい数字を選択したことを自己暴露した。

ふつう統計では過去の基準年でそれ以降の年を見るのに、厚労省が未来を基準年としたから、実際とはかけ離れた結果が出てしまったのだ。こんなやり方はどこの大学でも教えないから、「学問的裏付けは無い」と答えざるを得なかった。

憲法違反・法律違反

 「基準部会」の報告から計算すると90億円の削減幅なのに対し、その7.4倍の開きがある670億円を削減するのは恣意的であり、厚労省が勝手にこれだけ下げるという風にできるのかと問うのに対して。

 厚労省「最高裁判例でも厚生労働大臣の裁量だという判例がある。」しかし、どの判例かは「思い出せない」と実にいい加減なことを言う。90億円という報告に対して、80億や100億円という幅ならば、裁量の範囲だろうが、7.4倍というのは、最高裁判例が想定したものではありえない。

基準部会の考え方である、所得の下位10%の階層(第1十分位という)の消費と生活保護世帯を比較した上に、さらに物価の下落分580億円を加えると言うのは、おかしいだろうと問うと厚労省は何も言えなかった。明らかにおかしいからだ。

捕捉率32%

その基準部会報告もおかしなところがある。第1十分位には、本来生活保護を受けるべき収入の人が多く、生活保護以下の収入の人で、実際に生活保護を受けている人の割合はわずかに2割とも言われている。これを捕捉率という。

 厚労省は、「ナショナルミニマム研究会というところの資料として、生活保護未満の世帯数の推計についてという資料があった。04年全国消費実態調査で87%、07年、国民生活基礎調査で32%。正確な捕捉率は出せないというのが政府の統一見解である。」と言う。

 政府が少なめに見積もったところでも、13%~68%の生活保護以下の収入の人がいるのだ。一般世帯の方が保護世帯より10%以上消費が少ない場合があると言うが、それならば、本来保護を受けるべき人たちが受けられていないと見るべきではないか?ところがそれを、保護費を引き下げる根拠としてしまう感性がおかしいのだ。

実態を見よ

生活保護の実態を見てもらいたい。100万円の収入の人が5千円減るのではない。8万円の人が5千円削られるのだ。食うや食わずの人から引くのだ。厚労省の生活扶助相当CPIの計算では、生活保護の人は電化製品を毎年4.2%も購入していることになる。ウエイト(全購入品目に対する個別品目の割合)の設定がおかしいからだ。しかし厚労省は「適切にやっている」と言う。厚労省は二言目には専門家がやっているから正しいという。「当事者のヒアリングは行っていない」というのだ。一体どこを向いて仕事をしているのか明らかだ。

 「税金で賄われている制度なので、国民全般の信頼を得る制度であるように基準を確保し、不正受給対策をして適切に行っていきたい。」と、わずか0.5%に過ぎない不正受給のために全体の引き下げを正当化するのだ。

 厚労省自身が生活保護世帯の細かな支出を調べた「社会保障生計調査」というものがある。これを生かせば実態が分かるはずだ。どう生かすつもりか問うと、厚労省は「生計調査の取り方として、まんべんなく調査世帯を選定しているので、生活保護世帯特有の、例えば、高齢者が多いとか都市部に多いとかを反映できている状況ではないから、基準見直しには使っていない。」と言う。それでは、調査のための多額の税金は無駄に使っているだけではないか。

また、「何も意図的に基準額を何%下げましょうというものが有って、それに見合う数字を出すというわけではない。」「10%下げるということで10%下げているわけではない。」と繰り返した。逆のことを独白する形で、思わず本音を自己暴露してしまった。本当は自民党に言われて意図的に基準額を10%近く下げたのだ。政策目標に合わせて数字を作ったのだ。

再々交渉を

 この日の話で、厚労省の口から政府統計が信用できない物だと語られた。厚労省は生活保護世帯に実態をなんら踏まえず、把握もしていない。今後、生計調査や生活実態を含めて、改めて厚労省に迫っていきたい。政府の骨太方針で、母子加算、障害加算が減額、見直しされるということも出ている。秋からの国会では生活保護法が改悪され、扶養義務の強化がいよいよ現実化しようとしている。再々度の交渉で迫って行こう。

 7671件・1万人以上の不服審査を訴えた受給者とともに、違憲訴訟を準備し支援していこう。

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2013年9月20日 (金)

生活保護費引き下げに反対する一斉審査請求7671件

 9月17日、「生活保護基準引き下げにNO!全国訴訟ネット」(訴訟ネット)と「全国生活と健康を守る会連合会」(全生連)などが呼びかけてきた、生活保護費引き下げへの行政不服審査の一斉請求が山場を迎えた。この日、東京では厚労省で、大阪では日赤会館で記者会見が行われ、全国各地で一斉に自治体の長に対して提出行動があった。この日までに提出または提出が決まったのは訴訟ネット関係が1130件、全生連関係が6541件、合わせて7671件となった。これは世帯数なので人数に直すともっと多い。1万人に達しているのではないかと発表された。また、提出期限は9月下旬までなのでそれまでにまだ提出が見込まれる。
過去の審査請求は、老齢加算の減額に反対して出された2009年の1086件が最高だ。いかに今回の引き下げがひどいものであり反対する人が多いかということだ。生活保護費が平均6.5%、最高10%、総額670億円も引き下げられるという、生活保護始まって以来最大の改悪だ。今年8月1日、来年4月、再来年4月の3回に分けて1年半の間に引き下げが行われる。母子世帯等では月2万円も引き下げられる。死ねということか。
 今回の審査請求は行政への不服審査請求。棄却されたら違憲・違法を問う行政訴訟に訴えることが準備されている。


削減後の生活実態

 引き下げによって食費や電気代を削らないといけなくなったという声が多い。「生活保護になって痩せたがもっと厳しくなる」「クーラーを使えなくなって熱射病になった」という声。新聞代などの教養・娯楽費は真っ先に削られていくが、もう削りようがないという声も多い。母子家庭など人数が多い世帯ほど多く削られるので、「子どもには我慢をさせてきたが、塾や食事を我慢させないといけなくなった」という声もある。
「障害者」世帯では、車椅子で動ける家の家賃が高いこと、24時間介助などの長時間介助の必要な人だと、介助者が休むスペースが必要なため、家賃扶助(大阪などで4万2千円)を超えた高い家賃の家を借りざるを得ない。それは生活扶助費に食い込んでいるのに、それをさらに下げられたらどう生活すればいいのか。「精神障害者」の場合、生活苦が新たなストレス・抑圧要因となって症状を悪化させるおそれがある。ひどい場合は自殺念慮が生じるおそれもある。実際に生活苦を悲観した自殺は多い。

憲法を守らせるということ

 生活保護を受けている人は、他のどんな方法でも生きていけなくなった人だ。行政用語で他法他施策というが、貯金も保険もすべて取り崩して丸裸にならないと生活保護は受けられない。生活保護世帯の多くには、憲法が保障する最低限の健康で文化的生活など既に存在しないが、それでも生きていくには憲法のこの条文に頼らざるを得ない。食費を削る以外に削るところがない生活のどこが健康で文化的生活だ。飢え死にする人を出してはいけないというのは人類の共通の理念だろう。しかし、この日本では餓死する人が後を絶たない。憲法など存在しないかのような状況が既に存在する。
 今回の引き下げは、じわじわと飢え死にする人が出るような引き下げだ。憲法を守らせることはどうしても必要だし、健康で文化的生活は労働者人民の力で実現し、最低限守らせないといけないことだ。餓死者が出るようなことは、人間として許してはならないことではないか

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2013年9月18日 (水)

生活保護不服審査請求 7671世帯

生活保護費に引き下げに対して取り組まれている一斉不服審査請求は、9月17日、約7600世帯、1万人の請求となった。内「全国生活と健康を守る会」(全生連)が85%を占め、その他の支援団体・法律家・個人などが15%を占める。怒りネット関西関係では9世帯11人が請求を出し、遅れて請求を出した人、まだこれから請求する人もいる。請求は通知を受け取った次の日から60日以内なので、26日ぐらいまでに各都道府県知事に着くようにする必要がある。まだ間に合うので、これから請求しようという人は急いで下さい。
7600世帯・1万人という数は今までの審査請求に比しても突出して多く、今回の引き下げがいかにひどいものであるかを示している。我慢の限界を超えているのだ。怒りネットに寄せられた中にも「生活保護になって痩せたが、これからもっと食費を削らないといけない」「(障害のある母子世帯で)今までも子供に我慢させてきた。塾や食べ盛りの子供に最低限親としてしてやりたいことも出来なくなる」「新聞代を削らないといけなくなった。選挙の公約も分からなくなる」といった声がある。
他のところでも、食費や電気代を削らないといけなくなったという声は多い。
自治体はこれらの悲痛な叫びを聞く耳を持つのか、政府のすることには逆らわないのか。審査請求がだめでも行政訴訟がある。
弱い者虐めの安倍政権は、民衆が我慢の限界を超えたらどうなるかを思い知るがいい。
 
 
以下報道
生活保護費減額、不服申し立て7671件 支援団体集計
朝日2013.9.18
 8月に実施された生活保護費の減額をめぐり、行政への不服申し立てが9月末に少なくとも7671件に達する見通しとなった。全国の受給者に申し立てを呼びかけていた「全国生活と健康を守る会連合会」(全生連)などの支援団体が17日、集計結果を明らかにした。棄却されれば、来年春に減額取り消しを求める集団訴訟を起こす方針だ。
 生活保護の支給額に不服がある場合、受給者は通知を受けた翌日から60日以内に都道府県に審査を請求できる。全生連などは「減額は憲法が保障する生存権を侵す」として、7月から全国の受給者に手続きを呼びかけた。
 生活保護の審査請求は、これまで年間1千件余りが最多。今回は約7倍に達する見通しだ。手続きは世帯単位で行うため、全生連などは「受給者の数では1万人を超える」とみている。
 全生連などは17日に東京都内で記者会見し、「物言えぬ立場に押し込められてきた当事者が、前例のない規模で不服の声をあげたことは、今回の引き下げに正義がないことを示している」との声明を出した。会見に同席した受給者の田澤賢一さん(72)=東京都墨田区=は「クーラーは止め、生活費もままならない」と窮状を訴えた。
 一方、田村憲久厚生労働相は同日の会見で「適切な対応をしていると思っている」と述べるにとどめた。
 生活保護の減額は、安倍政権が物価下落などを理由に決定。今年8月と来年4月、2015年4月の3段階で引き下げ、子どもがいる世帯などで最大10%の減額となる。

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2013年9月15日 (日)

厚労省交渉

厚労省交渉は9月25日に決まりました、午後2時から衆院第1議院会館の第2会議室です。
同、午後1時に第2委員会室に集まってください。打ち合わせを行います。
生活保護費引き下げの問題がテーマで、質問書を出しているのでそれへの回答を求め、それに対する質疑が主な内容です。
前回5月8日には扶養の問題を中心に行い、扶助費のことは積み残していたので、今回はそのことが中心です。審査請求が17日提出ですので、それを受けた形となります。障害者の実態に即した扶助費引き下げで生きていけなくなる実態を訴えていきたいところです。生活扶助相当CPIのおかしさも追及します。
ぜひ多くの皆さんのご参加を呼び掛けます。

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