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2013年10月

2013年10月27日 (日)

生活保護増額も検討 厚労相、消費税8%で

2013年10月21日 共同通信
 
 田村憲久厚生労働相は21日の衆院予算委員会で、来年4月の消費税率5%から8%への引き上げに合わせて、生活保護費の基準額増額も含め検討する考えを示した。「消費税増税を決断し、物価全体も上がりつつある。消費も伸びつつある。その点を勘案し、適切な金額、水準を予算編成過程で決めたい」と述べた。公明党の桝屋敬悟氏への答弁。
 基準額は消費動向や物価の見通しを踏まえ、見直されている。政府は3%の消費税を導入した1989年度は4・2%、税率を5%に引き上げた97年度は2・2%、いずれも増額改定していた。ただ、政府はこれとは別に生活保護費の予算を2015年度までに計6・5%減らす方針で、今年8月から既に1・5%分が減額されて支給が始まった。来年4月には、さらに2・5%分を引き下げる方向だったが、差し引きでプラス改定になる可能性が出てきた。

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2013年10月25日 (金)

所得格差、過去最大

2013年10月12日 毎日新聞 東京朝刊
 所得格差:過去最大に 社会保障での改善、最高--11年ジニ係数
 厚生労働省は11日、社会保障の給付が国民の所得に与える影響に関する所得再分配調査(2011年、3年に1度)の結果を公表した。1に近いほど所得格差が大きいことを示す「ジニ係数」は、給付前の当初所得で平均0・5536。前回08年調査(0・5318)より0・0218ポイント悪化して過去最大を更新し、格差の拡大を裏付けた。一方、年金など社会保障給付後の係数は0・3791と前回(0・3758)より0・0033ポイント悪化したが、社会保障による改善度は31・5%で過去最高だった。
 「自助努力」で得た当初所得のジニ係数は、1984年以降上昇し続けている。厚労省は主な原因を高齢化の進展とみている。これに対し、税と社会保険料を差し引き、年金、恩給、医療などの給付を反映させた後の所得(再分配所得)の係数は、ほぼ横ばいで推移している。2011年調査は07年の所得を基に推計しており、1世帯あたりの平均当初所得は前回比9・1%減の404万7000円。一方、再分配所得は6・2%減の486万円だった。当初所得のジニ係数を世帯主の年代別にみると、65歳以上は全世帯で平均の0・5536を超え、75歳以上は0・8109と全世代を通じて最も格差が大きい。ただし、再分配所得でみると75歳以上も0・4146に下がる。厚労省は年金受給世帯の増加が原因と分析し、「当初所得こそ格差は拡大傾向にあるが、社会保障が機能して給付後の再分配所得の格差は拡大していない」と説明している。とはいえ、経済協力開発機構(OECD)基準のデータでは、00年代後半の日本のジニ係数はOECD加盟34カ国中、格差の大きい方から11番目。千葉県の年金生活者の男性(77)は「暮らし向きはじりじりと悪くなっている」と話す。「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士は「非正規雇用労働の広がりで労働分配率が減り、利益は企業の内部留保や株主への配当に移転した。ジニ係数が悪くなるのは当たり前だ。改善には高額所得者への課税を強化し再分配を進めるべきだが、現実は全くそうなっていない」と指摘している。調査は11年7~8月、岩手、宮城、福島の東日本大震災被災3県を除く44都道府県から無作為抽出した世帯を調べ、5021世帯から有効回答を得た。
 □ことば  ◇ジニ係数
 0~1の間で所得の均等度を示す指標。1に近いほど格差が大きいことを示す。全国民の所得が等しいなら「0」、1人の国民がすべての所得を独占している状況なら「1」となる。

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2013年10月23日 (水)

病床削減を伴わない医療改革

大フォーラムは、骨格提言の完全実現を求めるものです。精神障害者に対する強制入院や生活保護費引き下げにも反対しています。

2012年税と社会保障の一体改革大綱で、医療については国の借金を増やすと利子が高くなり国債が大変なことになるから医療費を削減しないといけないと書かれています。その趣旨で入院中心から地域完結型へ移行しないといけないと。決して長期入院者の人権への配慮から退院促進という流れではありません。

それでも患者のためになるのなら構わないですが、地域医療が入院中心の精神医療体型に組み込まれる可能性の方が高いです。なぜなら病床削減を伴わない改革だからです。減らない病床の中で地域医療をリンクし、3割の今入院している患者を退院させると言いますから、地域から病院に送られる患者が増えることになりはしないか。そんな疑問があります。実際ACTでは15%が入院させられているというデータもあります。病床削減を伴わない地域完結型などあり得るのでしょうか。

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10・31大フォーラム生中継

10/31骨格提言の完全実現を求める大フォーラムの最新チラシです。当日の模様がネット生中継されます。アドレスは

http://www.ustream.tv/channel/shogairen

です。

「13.10.2310・31大フォーラムチラシ第1次_1022.doc」をダウンロード

関心はあるが遠くて行けないという方は是非ご覧ください。

また賛同はこれ以降も増えています。それを反映したチラシも追ってできるものと思います。賛同いただいた方々にお礼申し上げます。

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2013年10月20日 (日)

11・24医療観察法に反対する集会

医療観察法廃止!11・24全国集会 精神医療を治安の道具にするな

日時 11月24日(日)13時開場 13時15分から16時45分

場所 日本キリスト教会館 4階 会議室A、B
地図は以下
http://www.hoshien.or.jp/map/images/map130117.jpg
参加費 500円

講演 〈新型〉の収容主義を語る-心神喪失者等医療観察法

浅野詠子さん
1959年神奈川県生まれ。青山学院大学卒。奈良新聞記者を経て2008年からフリージャーナリスト。2012年、医療観察法の矛盾、人権問題を取材した『重装備病棟の矛盾-7年目の司法精神医療』で週刊金曜日ルポ大賞の佳作入選。再取材し、大幅に加筆した著書『〈新型〉収容主義』(仮題)を近く刊行予定。過去の新聞連載、著書、論考のテーマは精神科救急、情報公開、地域資源、地方自治など。奈良市民。

特別提起 太田順一郎さん 精神保健福祉法の改正に関する報告精神科医、岡山市こころの健康センター所長
リレートーク

○終了後、交流会を予定しています。

○全国から参加される当事者の方への交通費は1人上限5000円まで補助します。


医療観察法の05年7月施行から8年が経過しました。その実態は、入院期間が着実に長期化し5~7年も退院できない人がいる(ガイドラインでは1年6ヵ月)、36名の自殺者の実態が明らかにされていない、医療を終了しても4割の方が地域で安定した生活ができていない、等々。いかに法務・厚生労働省が「有効に機能している」と強調しようと、この法が当事者のための「医療」「社会復帰」ではなく予防拘禁法・治安対策の保安処分法であることを実証する現状にあります。しかしその「充実」が策動されています。

通常国会では精神保健福祉法が精神障害者の強制入院を強化するものとして改悪されました。また臨時国会では安倍政権による本格的な戦争と治安法のラッシュのなかで、精神病を列記する自動車運転致死傷特別法さらに生活保護法改悪等、精神障害者を社会から隔離・排除する制度の強化法案が上程されようとしています。

今回の集会では、医療観察法の矛盾・人権問題を取材してきた浅野詠子さんから実態を報告、精神保健福祉法「改正」の問題点を太田順一郎さんから提起していただきます。

医療観察法が精神保健福祉法に食い込む企てが進行しています。精神障害者差別・予防拘禁の医療観察法廃止にむけていま私たちに問われているのは何か。共に考えながら廃止運動の強化を目指していきたいと思います。集会への皆さんの参加を訴えます。



共同呼びかけ ○心神喪失者等医療観察法をなくす会

○国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会

○NPO大阪精神医療人権センター

○心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

東京都板橋区板橋2-44-10-203 オフィス桑気付
電話 090-9240-9716

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2013年10月17日 (木)

大生連への不当弾圧を許すな

私たちは、史上最大の生活保護基準引き下げに抵抗すべく「1万件審査請求運動」に取り組み、つい先般、1万件の目標を突破しました。
この運動に積極的に取り組んできた生活と健康を守る会の大阪と東京の上部団体にまで大阪府警の捜索がなされました。

生活困窮者の生活保護申請に同行し、事後的に当事者が不正受給をした場合、同行支援をした団体の事務所に被疑事実とは関係のない投げ網的な家宅捜索が許されることとなれば、申請同行という権利擁護活動が成り立ちません。

下記の共同声明を呼びかけますので、できる限り幅広い諸団体の連名をお願いいたします。
(事が事だけに個人の連名は今回は受け付けません。)

賛同いただける団体の方は、まずこのブログの連絡先にご連絡ください。

大阪府警察本部警備部の不当な家宅捜索に強く抗議する共同声明
<呼びかけ団体>
生活保護基準引き下げにNO!全国争訟ネット・生活保護問題対策全国会議・全国生活保護裁判連絡会
<賛同団体>
・・・・

 本年10月10日,生活保護の申請同行支援を積極的に行っている淀川生活と健康を守る会,その上部団体である全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連),さらにその上部団体である全国生活と健康を守る会連合会(全生連)が,いっせいに大阪府警察本部警備部によって家宅捜索を受けました。淀川生活と健康を守る会と大生連の家宅捜索は9月12日に続いて2回目です。 新聞各紙は被疑者女性A(1回目)とB(2回目)とも生活保護を申請した際に淀川生活と健康を守る会役員が同行したことが捜索の理由であると報道しています。

生活に困窮した方々が生活保護の申請に行くと,違法な理由で「相談扱い」で追い返す「水際作戦」が後を絶ちません。そのため,生活に困窮する方々の支援を行う市民団体の多くは,生活保護申請の同行支援を行っています。残念ながら,支援者が同行することで,憲法と生活保護法が保障している生活保護受給権がようやく実現されるというのが,今の日本の生活保護行政の実情なのです。
 不正受給は決して許されることではありません。しかし,支援団体が申請に同行した当事者が事後的に不正受給を行った場合,不正受給に全く関知していない支援団体やその上部団体の事務所も捜索されるということになれば,同様に生活困窮者支援を行っているに過ぎない市民団体の事務所もいつ捜索されることになるか分かりません。そうすると生活保護申請に同行するという正当な権利擁護活動自体が委縮し,抑制されることになります。
今回の捜索差押令状には,令状の差押対象物件として「全国生活と健康を守る会連合会,全大阪生活と健康を守る会連合会及び淀川生活と健康を守る会に関する活動方針,規約,規則,会員名簿,住所録,機関紙誌,名刺,会員証,写真その他組織実態,会費運用状況及び生活保護に関する取り組みなど明らかにする文書類及び物件」という,被疑事実とは全く関係のない記載があり,実際,被疑者の同行支援を行った淀川生健会だけでなく,その上部団体である大生連,さらには東京にある全生連事務所までも捜索の対象とされ,不正受給とは全く関係のない不服審査請求に関する集約表や大会決定集などが押収されたと言います。このように被疑事実と何ら関係のない場所と物件の捜索・押収を請求し,実行した大阪府警の行為は不当であるだけでなく違法です。そして,このように違法な令状を唯々諾々と許可した裁判所もまた,「捜査に対する司法的コントロール」という,その職責を果たしていないと言わざるを得ません。

折しも,本年8月,生活保護制度史上最大(平均6.5%,最大10%)の生活保護基準の引き下げが始まり,これに対する「1万件審査請求(不服申立)運動」が取り組まれています。約2カ月の短期間で目標を上回る1万191件の審査請求が提起されましたが,そのうち全生連は約9割の8997件を,その中でも大生連は全国最多の1608件を占めています。1回目の捜索がされた9月12日は全国的に一斉申立と記者会見が取り組まれた9月17日の直前であり,2回目の捜索がされた10月10日は1万件の目標達成の記者会見を行った10月11日,戦後最大の生活保護法「改正」案の国会審議が再開された10月15日の直前です。捜査を担っているのが不正受給事案を通常取り扱う所轄(淀川警察署)の知能犯担当ではなく,府警本部で公安事件を取り扱う警備部であることに照らしても,このようなタイミングで行われた捜索・押収には,国策として生活保護削減が行われている中,これに対する抵抗運動を威嚇し抑制しようという意図があると考えざるを得ません。

 このように違法・不当な家宅捜索は決して許されません。私たちは,大阪府警察本部警備部による不当かつ違法な家宅捜索に対して厳重に抗議の意思を表明します。

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2013年10月16日 (水)

生活保護の増額、厚労省が検討へ 消費増税受け

2013年10月5日 朝日新聞 東京朝刊
 来年4月からの消費増税で物価上昇が見込まれるのに対応して、厚生労働省は4日、生活保護費の引き上げを検討する方針を明らかにした。消費動向や物価の見通しを踏まえ、来年度予算を編成する12月までに具体的な幅などを固める。
 生活保護費のうち、生活費相当分として支給される「生活扶助」は、物価の影響を受ける個人消費の指標などに応じて見直すことになっている。消費税が導入された1989年には4・2%、税率が3%から5%に引き上げられた97年は2・2%の増額改定となった。今回の8%への増税について、厚労省は4日の社会保障審議会の部会で、「引き上げによる消費動向の影響を全体として勘案しながら検討していく」と説明した。

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2013年10月15日 (火)

生活保護2法案を閣議決定

2013年 10月 15日 10:27

 政府は15日、生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案を閣議決定した。
不正受給の罰則強化などで制度の引き締めを図りつつ、受給者らの自立を促す。
2法案は先の通常国会で衆院を通過したが、参院選前の与野党対立のあおりを受
け廃案となっていた。今回の法案は、通常国会での議員修正部分を反映したの
と、施行日を変更したほかは前回同様の内容だ。臨時国会での成立を目指す。生
活保護法改正案の施行は一部を除き来年7月。

【共同通信】

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2013年10月14日 (月)

生活保護:「住宅扶助」も見直し--厚労省方針

 

2013年10月5日 毎日新聞 東京朝刊
 厚生労働省は4日、生活保護の一つで家賃を実費支給する「住宅扶助」など三つの扶助や各種加算制度を見直す方針を、厚労相の諮問機関、社会保障審議会の生活保護基準部会に示した。生活保護は8月に生活費にあたる「生活扶助」の減額が始まったばかりだが、今回の見直しも全体では引き下げとなる見通し。主なものは来年度以降に実施する。
 今後見直すのは、住宅扶助に加え、仕事に必要な技能を習得するための「生業扶助」、生活扶助の一部で受給開始時の衣服費などをまかなう「一時扶助」など。同部会は消費実態に関する統計や自治体へのアンケートを分析し、支給水準を検討する。また、生活扶助の切り下げが受給者に及ぼす影響も議論する。
 生活保護を巡っては、自民党の意向を受け8月から生活扶助のカットが始まった。3年かけ670億円を削減する。96%の受給世帯で減額となり、削減幅は世帯によって最大1割に及ぶ。しかし、財務省は一層の給付カットを求めている。7月の生活保護受給者は約215万人、約158万世帯で、世帯数は過去最多を更新した。

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2013年10月11日 (金)

1万件超の審査請求

生活保護費引き下げに対する審査請求はついに1万件を超えました。(10月10日集計。)全国争訟ネット1194件、全生連(全国生活と健康を守る会連合会)8997件、合計10191件です。世帯数で1万を超えました。人数に直すとそれを超えていることは言うまでもありません。

これだけの人たちが異議申し立てを行ったのです。政府はその重みを踏まえ政策の見直しを行うべきです。安倍政権は弱い者いじめを止めるべきです。安倍政権は大企業だけを儲けさせる政策を直ちに止めるべきです。虐げられた人々の反撃が始まりました。1万人超の人々が立ち上がりました。そうでなくとも物価は上がっています。この時に保護費を引き下げる如何なる正当性もありません。保護費を直ちに引き上げろ。これが時の声です。

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2013年10月 7日 (月)

報道の視線

9月17日の7671件の一斉提出で報道を見ている限りでは潮目が変わりつつあることを感じます。関西ローカルですが6月14日の関西熱視線と9月20日の同番組では、生活保護世帯に対する視線がまるで違います。6月の物は敵意さえ感じるのに対し、9月の物は保護者に寄り添う視線があります。明らかに9・17を境に変わっています。

関西ローカルの話なので全国版ではどうかわかりませんが、今日7日と明日8日の20時からEテレで生活保護の特集の放送があります。どんな視線で報じられるか注目したいところです。

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2013年10月 4日 (金)

生活弱者の切り捨てに懸念

朝日新聞2013.10.2耕論

 ■生活弱者の切り捨てに懸念 自立生活サポートセンター「もやい」理事長・稲葉剛さん

 消費増税は社会保障を充実させるため。そう言いつつ、安倍政権は8月から、生活保護を利用できるかどうか判断する基準額を引き下げました。私たちのアンケートでは、生活保護世帯の約6割が食費や電気代を削ったと答え、高齢者のなかには夏のエアコンを使わず健康状態を悪化させた人もいます。物価上昇目標を設定し消費税も引き上げるのに、生活保護費や年金をカットするというのは、矛盾としか言いようがありません。

 私と貧困問題の出会いは1994年。東京都による新宿駅の路上生活者の強制立ち退きに衝撃を受け、支援活動に参加しました。

 以来、問題は確実に悪化してきました。たとえば90年代に野宿していた人のほとんどは、高度成長期に出稼ぎにきて日雇いで働き、バブル崩壊で仕事と住まいを失った50~60代でした。それが2000年代になると、若年層が目立つようになる。非正規雇用で収入がないので居場所を転々とする、ワーキングプアであるがゆえにハウジングプアな若者たちです。08年秋にリーマン・ショックが起き、暮れに日比谷公園に「派遣村」ができてようやく、貧困問題が可視化されるようになりました。

    *

 <理念なき妥協> 民主党政権の評価は難しいですが、貧困問題のふたを開けたのは確かです。所得が少なく生活が苦しい人たちの割合を示す「相対的貧困率」が初めて公表され、ナショナルミニマム(国が保障する生活最低水準)の議論も始まった。しかし、鳩山政権の退陣により貧困対策の機運はしぼみ、野田政権にいたっては消費増税に拘泥するあまり、税と社会保障の一体改革で理念なき妥協をしてしまった。

 自民党に政権が戻り、安倍晋三首相のもとで、いったん社会の問題として考えようとした貧困が、再び個人の問題に戻されようとしています。そもそも自民党の社会保障についての基本的な考えは、家族の支え合いがあり、企業による福祉があって、どうにもならない場合に国が助けるというもの。生活に困ったら、まず家族や地域で面倒をみて、となる。生活保護で扶養義務を強めようとする見直しは、その延長線上にあります。

 家族と企業におんぶに抱っこの社会保障は、高度成長期には有効だったかもしれません。しかし長引く不況で企業の余裕は消え、働き方も家族のあり方も変わった今では現実的でない。非正規雇用の割合が増え、将来的に低年金・無年金の高齢者が増えるのは必至なのに、最低保障年金を導入せずにどう乗り切るつもりでしょうか。

 安倍政権は社会の変化を踏まえ、「公助」のあり方を考えるべきです。消費増税で社会保障を充実するというかけ声だけでは、貧困層と政治の距離が遠のくばかりで、説得力がありません。

    *

 <景気で解決せず> アベノミクスには、デフレから抜け出せば増税による消費の冷え込みも乗り越え、すべての困難が解決するという意識が透けてみえます。それはありえません。「富める者が富めば、貧しい者にも富が浸透する」というトリクルダウンの理論が虚構なのは、小泉政権の景気拡張期に貧困が若年層まで広がり、90年代半ばから増えだした餓死者が03年、最悪の93人を記録した事実などでも明らかです。貧困から命を救うという観点からすれば、景気の動向よりも社会保障が機能しているかどうかのほうが、ずっと意味が大きいのです。

 反貧困の運動にとって、現在の政治状況は非常に厳しいと言わざるをえない。でも、だからこそ、やるべきは原点回帰。生活に困窮する当事者の声に耳を傾け、社会保障を切り捨てる動きに対し、現場から抵抗の声を上げるしかないと考えています。

 安倍首相は東京電力福島第一原発の汚染水を巡り、「状況はコントロールされている」と発言しました。現実とかけ離れているのに、あまり問題視されていない。国を信じてはいないが上手にだまされるならいい、という空気が日本に蔓延(まんえん)しているように思えてなりません。それは現実逃避です。消費税であれ、社会保障や労働政策であれ、政府はこう言うが、事実は違うと突きつける。一人ひとりが「私は困っている」という声を上げないと、社会はよくなりません。

 (聞き手・吉田貴文)

    *

 いなばつよし 69年生まれ。新宿の路上生活者支援に取り組み、01年、ホームレスの人の入居支援、生活困窮者の相談、孤立防止の交流事業を行う「もやい」を設立。

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2013年10月 3日 (木)

そこが聞きたい:保護費切り下げ審査請求 尾藤広喜氏

毎日新聞 2013年10月02日 東京朝刊

 ◇暴挙に前例ない憤り---弁護士、生活保護問題対策全国会議代表幹事・尾藤広喜氏
 8月からの生活保護費の切り下げ=1=を巡り、全国の受給者約1万人が自治体に不服を申し立てることになった。この活動に取り組む「生活保護問題対策全国会議」代表幹事で弁護士の尾藤広喜氏に聞いた。【聞き手・遠藤拓、写真・矢頭智剛】

---各地の受給者が集団で不服を申し立てる運動に、構想段階から関わってきました。

 今回の切り下げで、政府は生活保護の利用者の意見を聞いていません。当事者の意向を全く反映させないのは、生活保護を権利でなく、「お恵み」と考えているからではないか。だからこそ、まず当事者が声を上げる機会が必要と考え、審査請求=2=を呼びかけることにしました。6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)にもあるように、政府は生活保護の各種加算や扶助をさらに削減しようとしています。こうした動きにも歯止めをかけなければなりません。

-- 審査請求するのは46都道府県で9797人(世帯主ベース、9月27日時点)に上るそうですね。

 生活保護を受ける立場で請求に踏み切るにはかなりの覚悟が必要です。福祉事務所から嫌がらせを受けるのではと不安に思う人も多くいます。それでも、生活保護関連の審査請求で最多だった2009年度の1086件を大幅に上回ります。前例のない切り下げに、前例のない憤りが集まったということです。

-- 政府は切り下げの理由として、受給世帯の保護費が一般低所得者(収入が低い方から10%の世帯)の生活費を上回ることと、物価の下落を挙げました。

 厚生労働省が受給世帯と比較した層には、保護を受けられるのに「恥だ」などと考えて申請していない世帯も多く含まれています。受給世帯が上回るのも当然で、不当な手法だと思います。ただし、この一般低所得者並みへの切り下げによる保護費の削減は90億円に過ぎません。厚労省は、これでは「10%削減」を掲げた自民党の意向に沿わないと考えたのでしょう。それまで全く議論されていなかった物価下落を新たに持ち出しました。この削減額580億円をはじき出す際は、価格変動が激しく、受給世帯があまり使わないパソコンなど電化製品の価格下落を大きく反映させています。今回のような大幅な、なりふり構わない減額は過去に例がない。とんでもない暴挙です。

-- とはいえ世間の目は厳しく、「税金の無駄遣い」との声は政治家からも聞こえます。

 理由の一つは昨春から続く「生活保護バッシング」でしょう。芸能人が生活保護を受ける母親に扶養義務を果たさなかったと批判され、急速に風当たりが強まりました。

 最低賃金が低い地域ではフルタイムで働いても収入が生活保護以下という人がいますし、国民年金は満額でも生活保護を下回ります。税金でまかなわれる生活保護に対し、こうした人々の視線が厳しいのは確かですが、本来は賃金や年金の低さこそ問題。健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条の理念や、貧困は個人の責任でなく社会の構造から生じるという考え方が、十分に理解されていないのは残念です。

-- 審査請求が退けられて集団で行政訴訟を起こす場合、裁判費用はどうするのでしょう。

 生活が苦しい当事者に負担を求めるのは難しいでしょう。この裁判は年金や最低賃金の水準をこれ以上下げない、少しでも引き上げる方向につながるなどと訴え、広く市民からカンパを集めなければと思います。

-- 生活保護の切り下げは、他の制度にどう影響を及ぼしますか。

 例えば、経済的理由で学校に通うことが難しい家庭を支援する「就学援助」制度は、各自治体が生活保護の水準を参考に、対象世帯の収入の上限を算出します。今回の切り下げを踏まえた自治体の判断次第では、今まで制度を利用していたのに、来年度から援助を受けられなくなる家庭が出てくるかもしれません。

 来年度から住民税の非課税基準も下がる可能性があります。保育料や国民健康保険料、介護保険料を減免されていた人が新たに負担を求められることにもなるでしょう。

 影響が及ぶ可能性がある国の制度は計38と言われます。このままでは貧困層を支える種々の制度が切り縮められ、生活保護を受けずに歯を食いしばっているボーダーラインの人々にまで不利益が及びかねません。

-- 社会保障制度の変革の動向とも関係がありそうです。

 財政状況が厳しい中、政府は医療、年金、介護の各分野で給付抑制を進めようとしています。生活保護切り下げはその先取りです。民主党政権時に自公との3党合意で成立した社会保障制度改革推進法の付則は、生活保護の「給付水準の適正化」などを行うとしています。適正化とは切り下げという意味です。生活保護の縮減なくして、他制度の縮減はおぼつかないという発想です。

 生活保護はナショナルミニマム(国が全国民に保障する最低限度の生活水準)と直結した制度です。だから切り下げは当事者だけの問題ではなく、国民生活全般に影響します。

 ◇聞いて一言
 生活保護問題を巡る社会運動に取り組むことで知られるが、実は元厚生官僚。かつては生活保護行政を担当し、法曹界に転じた後も「社会を底支えする制度だから世の中の矛盾が見える」と力を注いできた。古巣と対峙(たいじ)しても、思い通りの結果となることは決して多くなかった。その尾藤さんが、今回の切り下げは「さすがにやりすぎです。厚生労働相の裁量権を逸脱している。裁判の勝ち目? ありますよ」と言い切った。いずれ最高裁の判断を仰ぐ時が来るだろう。今後も注視したい。

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 ■ことば

 ◇1 生活保護費切り下げ
 生活保護費のうち日常生活費にあたる生活扶助を減額すること。政府は今年8月と14年4月、15年4月の3段階で総額670億円、世帯別の平均で6.5%、最大10%を減額する方針を示している。削減率は各世帯の人員数や年齢構成、住む場所によって異なる。過去には2回、03年度(前年度比0.9%減)と04年度(同0.2%減)にも行われた。

 ◇2 審査請求
 行政不服審査法に基づき、行政の処分や権力行使に不服を申し立てる手続き。生活保護関連では、処分を知った翌日から60日以内に都道府県知事に申し立て、50日以内に裁決を受ける。審査請求が退けられれば、厚生労働相への再審査請求や、処分の取り消しを求める行政訴訟に移行できる。

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 ■人物略歴

 ◇びとう・ひろき
 1947年香川県生まれ。京都大法学部卒。旧厚生省勤務を経て75年に弁護士登録。現在、日弁連の貧困問題対策本部副本部長。

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2013年10月 2日 (水)

年金:10万人審査請求へ 減額取り消し求め

2013年9月23日 毎日新聞 東京朝刊

 

 10月から始まる「特例水準」の解消で年金が減額されるのは不当として、受給者らでつくる「全日本年金者組合」が、全国の厚生局(厚生支局含む)の社会保険審査官に減額取り消しを求める審査請求を12月以降、10万人規模で起こす方針を決めた。厚生労働省によると、年金関連の審査請求の数としては過去最多。

 国民年金や厚生年金などの年金額は物価変動に応じて毎年度見直されるが、現在の年金額は本来より高い水準(特例水準)になっている。国は2012年に成立した改正国民年金法に基づき、今年10月に1%、14年4月に1%、15年4月に0・5%と3段階で計2・5%を減額。厚労省の試算では、国民年金を満額受給する人で月約1700円、厚生年金の夫婦標準世帯では5900円程度の削減となる。これに対し、組合側は約11万2000人の加入者の大半となる10万人規模の集団で審査請求を起こす方針を決定。10月分が支給される12月以降、行政不服審査法などに基づき各地で申し立てる。組合の冨田浩康・中央執行委員長は「低年金の高齢者から年金をカットすれば、生存権の侵害だ。負担は仕送り増加などの形で子供世代にもはね返る」と訴える。請求が認められる公算は小さいとみられるが、請求が退けられれば厚労省の社会保険審査会に再審査請求を行い、集団での行政訴訟も検討する。同省によると、社会保険関連の審査請求は12年度の9723件がこれまでの最多。



解説:特例水準解消 審査請求、今後増加も 年金だけで生活、過半数

 10月から始まる「特例水準」の解消で年金が減額されるのは不当として、全日本年金者組合が組合員10万人規模で減額取り消しを求める審査請求を起こす方針を決めたが、審査請求に踏み切る受給者はさらに増える可能性がある。厚生労働省によると、国民年金だけを受給する年金生活者は2011年度時点で約810万人に上り、平均受給額は月約5万円。貯蓄や仕送りがない場合は生活保護を受給しているケースも少なくないからだ。

 そもそも特例水準は国が高齢者の生活に配慮した措置だ。前年度の物価が下落した00~02年度の3年間に、本来なら年金額を引き下げるところを特例的に年金額を据え置いた。しかし12年の国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の平均所得(約304万円)のうち公的年金・恩給(約210万円)は69・1%を占める。公的年金・恩給だけで生活している高齢者世帯も全体の56・8%に上る。こうした状況は、高齢者の生活に配慮して特例水準を採用した10年前(02年)の調査でもほぼ変わっていない。さらに特例水準が解消されれば、今後は物価の上昇局面で上昇率ほど年金額が伸びなくなる。年金財政の安定化を理由にした国の対応だが、受給者側から見れば、時宜にかなっているとは言い難い。国は15年10月から低所得の年金受給者に給付金を支給するが、高齢者の年金暮らしの多くは一層厳しくなりそうだ。

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