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2013年12月13日 (金)

11・24心神喪失等医療観察法廃止全国集会

精神障がい者差別の実相

医療観察法廃止!11・24全国集会、精神医療を治安の道具にするな!が都内で開かれ、集会には各地から63人が参加しました。観察法制定後、毎年2回の集会を積み重ねてきました。マンネリ化することなく新しい企画で行われますが、それだけ精神障がい者に対する差別が年々新たな攻撃として加えられているということです。今年は新たに道交法改悪、刑法改悪による危険運転致死傷罪、精神保健福祉法の精神病棟を丸ごと居住施設に転換することが検討会で出され現実化しようとしていることなどがあります。また精神保健福祉法改定で保護者制度がなくなったが医療保護入院制度は維持されました。
道交法では精神障がい者の免許取得(更新)に制限が加えられました。すでに免許交付の時に「過去に意識障害になったことはありますか」という質問がされます。刑法改悪による危険運転致死傷罪はてんかん、統合失調症の者が交通事故を起こすと懲役15年以下の刑罰を加えられるものです。事故は誰でも起こす可能性があるのですが精神障がい者だけは重罰を加えるというものです。精神障害者の事故率は一般よりも低いにも拘らず。病棟の居住施設への転換は入院患者が多すぎるという批判をかわしながら、病院経営にダメージを与えないというものです。かえって経営上の旨味があるものです。精神障がい者が病院敷地内から出ることなく一生を終えることにかわりはありません。精福法改訂では強制入院制度の改変が期待されましたが、かえって強制しやすいように変えられました。

集会ではフリージャーナリストの浅野詠子さんと岡山市こころの健康センター所長の太田順一郎さんの講演とフリートークがありました。

発言要旨

浅野さんの講演

 浅野さんは「新型の収容主義を語る―心神喪失者等医療観察法」と題し、観察法の矛盾と人権を語りました。
 法が出来て丸8年になる。「水平な医療」「最先端の精神医療」「新しい協働の制度」などの美名のもと新型の収容主義が行われている。一見第三者的に見える外部評価会議というものがあるが、監視が緩い。患者を犠牲にする新薬の使用によって、その薬を使用し続けなければならないがために、片道3時間の通院もある。しかしそれに対して評価会議は突っ込まない。
国立病院に観察法病棟ができるのが下請けだというのと違い、公選の知事の下で府県立の病院が観察法病棟を作るのは問題が多い。滋賀県では市民派といわれる知事が作っている。自治体の労働組合や政党が反対を忘れてしまった。
通院処遇で自殺が多い。通院28人、入院8人、計36人の自殺者を出している。自殺者を出しても法務省は文書にも記録しない。不作為の作為だ。(強制通院者は今までに1056人いる。自殺率は10万人単位で計算するので換算すると800人となる。日本の自殺率は25人。一般の精神病院の通院者では100人、入院では150人なので、観察法の800人は飛びぬけて多い。原因は急性期が終わると行なわれる認知行動療法と称した精神的虐待にある。)
付添人の弁護士が患者の味方をしない例もあった。本人が嫌がるものを家族と一緒になって入院させようとした。鑑定入院に矛盾が多い。急性期の2~3か月間拘禁され、必要な医療が受けられない。体調悪化で車椅子で審判に出た例。審判も鑑定をしている病院で行った。鑑定中に癌が見つかったが観察法病棟に送られた例。送られた観察法病棟で鑑定の誤りが分かる例。そういう場合でも、拘禁が漫然と続けられる。刑事裁判の控訴にあたる制度がない。不当逮捕が分かっても賠償の制度がない。等々、人権問題はいくらでもある。
「重大な他害行為」という冷たいレッテルと重装備の病棟というのが観察法。観察法は精神障がい者への偏見を強めるだけの制度だ。

太田さんの講演

精神保健福祉法(精福法)改訂と観察法の調査の報告
 保護者制度の廃止と医療保護入院の見直しが今回の法改訂の目玉だ。家族の高齢化で負担が大きくなっているから止めたいというのが厚労省の言うことだ。結果として、誰が入院させるのかはっきりしない制度になった。強制入院の公的性格ははっきりさせられなかった。家族は保護者ではなくなったが、強制入院の同意者として使われる。トラブルの元だった保護者同意と変わらない。保護者制度がなくなったのに家族同意が残った理由は、インフォームドコンセントのために家族に説明するとされるが、精神科医が一人で強制入院を決めるのは心配だから責任を薄められる制度として残された。精神医療審査会(患者が不服申し立てするための第三者機関)の見直しで精神保健福祉士(PSW)を入れるというわずかな改訂。本気でガラッと変える気はない。事務局が独立しておらず精神保健福祉センターにある。精神科医に頼りっきりで、常勤の事務員もいない。
医療観察法の調査を行った。24カ所の指定入院機関に調査し、20カ所から回答があった。退院申し立てをして却下されたケース16件、内不当という回答が5件。どう思うかという問いに「精神症状で無く退院先がないからダメということ」「当院での判断が判定機関で認められず」。再入院のケースでは、17件ありその内前回入院に誤り有りと答えたのが8件あった。どう思うかには、「地域のサポートに問題あり。」「通院医療機関に問題あり」とあった。

フリートーク

T 医療観察法はきれいな言葉、科学的な装いの下で重大な人権侵害が行われている。自殺の多さはその最たるものだ。民衆に暴露して行こう。生活保護の引き下げに対して10654件、約13000人の不服審査請求を行った。10・31大フォーラムを日和見主義を乗り越えて統一戦線で成功させ、300人の集会を行った。反動の攻撃は激しいが一つ一つ反撃して行こう。

N医師 道交法改定で精神障がい者に対して運転免許の制限が行われた。交通事故の被害者遺族に結び付けられた結果だ。刑法改定によって危険運転致死傷罪で精神障がい者は危険でないことを証明しないといけなくなった。精神障がい者が交通事故を起こす率は一般よりかなり低い。一般の人が事故を起こすように精神障がい者も事故を起こすことがあるだけだ。精神障がい者がスケープゴートになっている。被害者遺族を虚仮にしている。

T医師 うちの病院では歩けない人や他の病気のために退院できない人はいるが、歩けて退院の意志があれば退院させる。退院促進のためには組織がちゃんとしていないといけない。病床を3分の1位に減らさないと無理だが、それは国家政策の問題だ。自動車運転の新しい刑罰はひどい。被害者遺族が泣いて喜んでいることが報道されたが、陰でどれだけの精神障がい者がひどい思いをしているかは報道されない。雇用者が精神障がい者と分かっていて運転させたら罰せられる。病気であることを分かっていて治療をして薬を飲んでやったら引っかかる。おかしい。交通事故をなくするのは良いことのように言うが、良いことに悪いことが含まれている。

K お金がないからと、精神病院の生き残りの手当て、働いている人の職の手当のために病棟の居住施設への転換が進められようとしている。てんかんで交通事故を起こしたとマスコミが騒いだ2人の内、1人はてんかんが事故の原因かどうかはわからない。もう1人は一切治療も家族の説得も拒否していた人。治療を受けている人の事故率が高いわけではない。

ケアホームの所長 観察法の金の使い方は贅沢。外出訓練の付添いの2人が超一流ホテルに泊まる。当事者は自由になっても依存が激しい。観察法病棟のやり方が自立を阻んでいる。社会復帰調整官は本気で社会復帰を支援する気があるのか疑問。偉そうにするが、やるべき仕事をしていないのではないか。

Y 障がい者権利条約が批准される。条約委員会が条約解釈の見解を出した。後見人制度廃止、強制入院・強制医療廃止と言われるのは確か。批准2年後までに政府は報告を出さないといけないがそれに対する勧告が出る。業界は何としても強制入院制度を維持したいという姿勢だ。病棟の居住施設転換に反対する有志の声明を出した。賛同してほしい。

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