陽(ひ)のあたる家―生活保護に支えられて
2013年12月12日 毎日新聞 東京夕刊
生活保護:漫画本に 女性誌に連載、反響大きく 「偏見と誤解なくしたい」
生活保護をテーマにした漫画「陽(ひ)のあたる家―生活保護に支えられて」の単行本が16日、秋田書店から出版される。漫画家のさいきまこさん(52)が、生活保護を受けることになった家族の葛藤を描いた。生活保護を正面から取り上げた漫画は珍しく、さいきさんは「『特別な人』でなく誰もが安心して暮らせるための制度と知って」と訴える。
作品は女性向け雑誌「フォアミセス」8~10月号で連載。夫婦と子2人の4人家族が、夫の病気と失業で困窮し、周囲の支援を受けて生活保護にたどり着く。それぞれ親戚や住民、学校の友人からさげすまれながらも、「生活保護は恥」との葛藤を乗り越える――。こんなあらすじだ。「生活保護を誤解していた」「身につまされる思いがした」。同誌編集部によると、嫁姑(しゅうとめ)や家族関係を巡る作品が多い同誌にあって、異例ともいえる100通を超える感想が寄せられたという。作品を執筆するきっかけは昨春、芸能人が生活保護を受けている母親への扶養義務を果たしていないと批判された問題だった。さいきさんは長男と2人暮らしのシングルマザー。「このまま『生活保護バッシング』がまん延し、さらに老後に生活保護を受けざるを得なくなったら、息子がたたかれることになる」。誤解を解こうと決意した。6日には、臨時国会で改正生活保護法と生活困窮者自立支援法が成立した。改正法は扶養義務を強く打ち出し、両法を通じて「就労による自立」が強調されている。「『楽したいやつが受けたがる』『働かないやつには受けさせるな』という生活保護への誤解がさらに強まりかねない。そうじゃない、と声を上げたい」。さいきさんは言う。作品を監修した生活保護問題対策全国会議の小久保哲郎弁護士は「生活保護を正面からテーマにした作品はおそらく初めて。生活保護などけしからん、と思う方こそ、ぜひ読んでほしい」と呼び掛けている。A5判168ページ。735円。
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