« 階級社会と「精神病者」解放3、戦争と「精神病」【3】 | トップページ | 階級社会と「精神病者」解放4、階級闘争と「病者」解放の内的関連性【2】 »

2014年1月27日 (月)

階級社会と「精神病者」解放4、階級闘争と「病者」解放の内的関連性【1】

人間解放の全体の動き、すなわち≪階級闘争≫と、「病者」解放の諸潮流の関係性はどうだったか。
高度成長期、疎外体と言えどスターリン主義圏を背景にした政党諸運動の存在は大きかった。吉田おさみ氏らの初期の「病者」解放運動家もまたこれらの影響下にあったのではないか。吉田おさみ氏は1931年生まれ。1984年に亡くなった。諸運動がそうであったように、「病者」解放運動も階級闘争との呼吸があり、限界性をはらみつつも発展していった時代だった。限界性とは、吉田氏は労働運動に連帯を呼びかけつつ、連帯の中身を作り出し得なかったことだ。
そのなかから≪階級的「病者」解放運動≫の潮流が生まれている。

この、吉田氏の時代は多かれ少なかれ階級闘争と離れたところでは「病者」解放を論じられない時代だったのではないか。当時の全共闘運動は社会全体を動かす現象だったからだし、全共闘を否定する共産党系や社会党系の運動にしろ、ソ連などの社会主義圏の存在が前提になって大きな影響力を保ちえたのである。精神科医の全共闘というべき、関西におけるプシ共闘、東京の東大赤レンガという共闘団体も小さからぬ存在だった。全共闘運動が、資本家側の攻撃とスターリン主義化した運動側の影響力によって衰退し、ソ連圏の崩壊によって社会主義への期待が大きく削がれるなかで社共もまた衰退していく。社会党の崩壊はそのエポックである。
全共闘の衰退は資本家側の攻撃を見据えられなかった運動側の弱さとともに、にも拘らず覇権を握ろうとする党派のスターリン主義が、反スターリン主義を是とした全共闘の学生らの拒絶感をもたらしたことにもあろう。党派運動的には核になる部分が残れば、いずれ運動は爆発的に拡大するというようなところがあったように思う。主流的党派の中で、「党内民主主義は運動を辞める自由によって保障されている」と言われるなかで、民主主義を行使する人が多数出たのは皮肉でも何でもない。

吉田氏の「狂気の肯定」は、彼の死後も多くの者に形を変えつつ引き継がれ、今日の「病者」解放運動の源流の一つをなしている。当時からの「病者」解放運動の流れは吉田氏自身によって紹介されているが、今日までそのままの形で引き続くものは少ない。その中で「虹の会」と呼ばれた階級的な立場を肯定する「病者」解放運動の流れがある。吉田氏とは違うところも少なくないが、「病者」をあるがままに差別から解放するという根本の思想では、当時の流れを引いていると言って間違いではない。

|

« 階級社会と「精神病者」解放3、戦争と「精神病」【3】 | トップページ | 階級社会と「精神病者」解放4、階級闘争と「病者」解放の内的関連性【2】 »

-多事争論-」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517951/59018804

この記事へのトラックバック一覧です: 階級社会と「精神病者」解放4、階級闘争と「病者」解放の内的関連性【1】:

« 階級社会と「精神病者」解放3、戦争と「精神病」【3】 | トップページ | 階級社会と「精神病者」解放4、階級闘争と「病者」解放の内的関連性【2】 »