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2014年1月17日 (金)

家族支援の新しい試み

2014年1月9日 東京新聞 朝刊

 英国流「家族支援」目指す 精神疾患の再発抑止に効果 専門チーム訪問、対処法助言

 精神障害者の家族を支える英国式の訪問支援を日本に導入しようと、精神障害者家族の全国組織、全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)が動き始めている。三月には、英国の専門家を招き、その支援法を学ぶ講演会を東京と京都で開く。
 昨春、英国バーミンガム市の家族支援を視察した、みんなねっと副理事長の木全義治さん(愛知県精神障害者家族会連合会会長)は「精神疾患の問題を本人と家族に押しつけず、社会で支える意思を感じた」と話す。英国は介護者支援が盛ん。患者と同列に家族が支援の対象になることが日本との大きな違い。日本の訪問看護などは原則、本人の支援が第一。家族の支援は本人の療養環境を整えるため行われることが多い。みんなねっとによると、バーミンガム市では、専門医らの判断で、メリデン・ファミリー・プログラムという研修機関で学んだ社会支援の専門職や看護師などの多職種チームが精神障害者の家庭を訪問する。チームは家族一人一人に「生活で困っていること」を聞き、その解決に取り組む。再発の兆候が出た際の対処法に不安があれば、対処法を一緒に考えたり、治療の見通しに不安があれば、一般的な治療の流れを説明したり、本人の服薬拒否があれば、自発的に服薬できるように指導したり。病気のために、あつれきが生じる家族も多い。そうした家族のために家族会議を開き、お互いの思いが伝わるように手助けをする。支援によって、家族や本人が、困った状況を自分たちで解決する力をつけていく。それでも解決しない状況には、さらにチームが関わり、困難の解消を手助けする。重い症状の人には、家族支援とは別のチームが関わる。英国の調査では、医師のカウンセリングを受けている患者で、家族支援を受けない人の九カ月後の再発率が44%なのに対し、受けた人では6%と激減。さらに月一回のペースで家族支援を受け続けた人の二年後の再発率が17%と、引き続き低率に抑えられたのに対し、支援を受けなかった人は83%が再発した。「支援の効果は高い。個々の家族に対する訪問支援を日本でも」と、みんなねっとの良田かおり理事は語る。
      ◇
 一方、日本では、家族支援が十分でないという。みんなねっとが全国の家族会員約四千五百人を対象に二〇〇九年に実施した調査では、患者の病状悪化時に、65%の人が恐怖心が強まり、59%が精神状態や身体の不調が生じた。患者の症状が出てから、家族が信頼できる専門家に相談できる体制ができるまでに、相当な時間がかかっていることも調査で明らかになっている。みんなねっとは、三月五日には京都市、七日に東京都内で、英国から研修機関の所長らを招き、家族支援をテーマに講演会を開く。その後、三年かけ英国から支援技術を学び、一七年には、支援者の支援技術を身に付けるための研修会を自前で開きたいという。将来は家族支援の制度化も国に求める。

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