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2014年1月24日 (金)

階級社会と「精神病者」解放3、戦争と「精神病」【2】

これらは遺伝説を否定する意味ある統計であろう。「精神病は精神医学によってのみ解明できる」という考え方の傲慢さを示し、否定するものでもある。
戦争という極限的疎外が「精神病」の原因になっているという事実は、社会的関係性≒階級性としての精神病という本質を証明するものではないだろうか。今日の社会的関係性がまず第一に社会的疎外であり、疎外とは階級性の別名であるという点において。
戦争は別の手段による政治の延長であるという。階級諸関係の延長であるということだ。その苛烈さは言うを待たず、単純延長ではないとはいえ、社会的諸関係が精神病の発病の実体をなすことをこの経験は示している。精神病が遺伝であるのなら、このような変化は現れない。また精神病が頭の中だけで起きる変化に基づいているのだとしても、このような変化は説明できない。この事実を説明できるのは、外的変化が精神病の少なくとも一因になっているということであり、外的変化とは社会的関係性を表していることである。たしかにこのことからは、外的変化が原因のすべてとは言えない。同じ経験をしても発病する人と発病しない人がいるのも事実であるからだ。しかしそのことは、社会的諸関係が発病の原因であるという事実を否定するものではない。他の要素が、本人の感受性の問題なのかということは漠然と浮かぶが、断定することはできない。本人の考え方や心的脆弱性に原因を求めることにも明確な根拠は示されていない。むしろ、その方向を追求するのはあまり意味が無いように思える。それは社会的関係性を無罪化する試みのように見えるからだ。
多くは社会的関係性、すなわち階級的諸関係に起因するが家族的なものを含む、長期の抑圧を発病の原因と考えるのが自然だろう。家族は社会の全矛盾を背負うものであり、社会の縮図でもある。矛盾と抑圧は人生の最初には家族関係としてあらわれる。家族という共同体の中で、本来備わっていたはずの共同性は破壊されており、家族的寛容と家父長的抑圧を特徴とする疎外関係が取って代わっているからだ。
このように、社会的諸関係による長期の抑圧に発病の原因があると捉えることで、価値観を挟むとすれば、有罪性は「病者」にあるのではなく社会の側にあるということもまた証明されるのではないか。戦争が発病の大きな契機になっているという事実は、有罪性が結果としての「病者」の側ではなく、原因である戦争の方にあるということの、決定的な証明になっているのではないか。

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コメント

高見さま、前回のコメント変換ミス多くて申し訳ない。
直せないので、しかたなくfacebookに編集して、読んでもらっています。そちらも参照してください。
よろしくお願いします。

投稿: TY | 2014年1月25日 (土) 00時48分

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