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2014年2月21日 (金)

階級社会と「精神病者」解放 5、精神医療の帝国主義的再編【1】

a、今日の「精神病者」が暮らす社会の特徴はどのようなものか。

障がい者制度改革推進会議の下でまとめられた骨格提言とは裏腹に、2012年の税と社会保障の一体改革大綱で福祉解体の方向性が出された。大綱では露骨に、国の借金を増やすと金利が上がり国債がパンクするから、社会保障を考えることが必要だと言っている。国家財政の破綻を防ぐという論建てから社会保障を論じている。
12年3月30日閣議決定された工程表に基づいて、年金引下げ、生活保護基準の引き下げ、医療、介護など福祉削減は、いわば計画通りに進められている。
大綱に基づき12年8月社会保障制度改革推進法が制定された。その中で、家族相互、国民相互の助け合いの必要性が強調されている。自民党・公明党政権時代になると、自助を基本に共助・すなわち保険制度で補完する。公の助け・公助は例外的にしかしないと言っている。日本の社会保障は圧倒的に家族に依存している。介護保険が典型。子育てもそうだ。
法に基づき作られた社会保障制度改革国民会議報告ではさらに、「「1970 年代モデル」の社会保障から、「21 世紀(2025 年)日本モデル」の制度へ改革することが喫緊の課題」とされ、「日本の社会保障は、社会保険方式が基本。日本の社会保険には多くの公費が投入されているが、公費の投入は低所得者の負担軽減等に充てるべき」とされている。国が住民の生活を税金で保障するという社会保障の基本的在り方を止めてしまい、国民相互の助け合い、すなわち保険方式に全てをゆだねるとしている。これは既に社会保障とは呼べない代物だ。

b、経団連成長戦略

2010年の日本経団連の「豊かで活力ある国民生活を目指して~経団連 成長戦略 2010~ (2010年4月13日)」で露骨に語られているように、「税と社会保障の一体改革」には財政再建という目的があり、1000兆円におよぶ国の累積赤字を解消することが目的なのだ。いかにして社会保障を解体しながら税を上げるのかが財界の問題意識だ。「『将来の所得保障、病気や老いへの備えは、まずは自助努力が基本となるが、自助努力では賄いきれないリスクは公的な保険(共助)で対応し、保険原理を超えたリスクへの対応や世代間扶助については、国庫負担あるいは公費(公助)により対応する』ことを原則とすべきである。」とある。この文書では消費税は10%後半から20%台にすべきだとされている。
自民党改憲草案では、家族・国民相互の助け合いが強調されている一方で、人権は国家あっての人権と極めて後退した表現となっている。
これらに共通するのはもはや国家が生存権を保障することができないほど危機を深め、生存権保障という責任を放棄し、家族・国民に丸投げにする有様だ。生活保護という最後のセイフティネットさえ維持できなくなっているのが実態なのだ。

c、プログラム法案

 社会保障制度改革国民会議報告を利用して作られたプログラム法案(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案)が成立した。そこには「公助」という言葉は跡形もない。自助努力の強調のみが目立つ。「自助・自立のための環境整備」に社会保障を切り縮めている。社会保障制度の全面解体と考えてもおかしくない。なぜなら、そうなれば自助努力で生きる以外になくなるからだ。
医療法人・社会福祉法人の機能分化・連携を推し進めると言う。そのために法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正をする。そのような制度を進めるには金融機関との連携が不可欠であり、そのためには医療や介護の営利化を進める以外にはなくなる。

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