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2014年2月10日 (月)

窓口追い返し増 懸念

2014年1月27日 東京新聞 朝刊

 こちら特報部 生活保護法改正 現場に寒風(下) 窓口追い返し増 懸念 「過剰な運用 注視を」 不正受給 一部なのに

 生活保護を受けている人は過去最多の状態にある。受給者は昨年十月現在で、全人口の約1・6%、約二百十六万四千人(百五十九万五千世帯)。厚生労働省が今月八日に発表した。〇八年のリーマン・ショック以降、受給者が急増し、減った時期もあるが、じわじわ増え続ける。一三年度の保護費の総額は約三・八兆円と見込まれる。
 増え続ける生活保護に対し、昨年十二月、改正生活保護法が成立した。一九五〇年の施行後、本格的な改正は初めてのことだ。注目点は二つだ。福祉事務所は必要があれば、扶養義務のある親族に対し扶養できない理由の報告を求めることができるようになった。特別な事情がない限り、申請時に収入や資産を示す書類を提出しなければならなくなった。改正前は、受給後でも認められていた。小久保弁護士は「厚労省は従来通りの運用をすると説明しているが、法改正を口実に、水際作戦が増える恐れがある」と指摘する。そして、警察の家宅捜索が「水際作戦」を強化しかねない。警察は生活保護に直接関わらないが、暴力団組員らの不正受給防止のため、警察OBを福祉事務所が雇用するケースが増えており、福祉事務所との結びつきは強まっている。確かに、不正受給の摘発は今年に入ってからも目につく。兵庫県警は十五日、交通事故の保険金収入を隠していた男を不正受給の疑いで逮捕した。岐阜県警は二十三日、アパートの契約書類を偽造して不正受給をした容疑で、京都市の男らを逮捕した。厚労省によると、一一年度の不正受給は約三万五千五百件、約百七十三億円。多いとはいえ、不正受給は受給者全世帯の2・4%、保護費総額では0・5%にすぎない。一部が大きく取り上げられ、全体の問題にされているのが実情だ。静岡大の笹沼弘志教授(憲法学)は「受給世帯で子どもが内緒でアルバイトをしても不正受給として扱われる。警察が発表する悪質なケースが知られ、利用者全体の問題にされてしまっている。本当に生活に困っている人が生活保護を受けられない状況が問題なのだが」と指摘する。生活保護そのものが問題視されることに危機感を抱く。「今は豊かな人も、いつ貧しい境遇に陥るか誰にも分からない。憲法で保障された生存権を支えるのが生活保護だ。たたきやすい弱者をたたき続けるのが、良い社会だろうか」と疑問視する。「親族に言えない、頼れないから生活保護が必要なのに」という困窮者の声が支援団体には寄せられている。改正法の審議で、参院厚生労働委員会は「家族の扶養は前提条件ではないと明確にし、家族関係を悪化させないように」と付帯決議をしたが、生活状況を隠していた親族に福祉事務所から連絡が入れば、人間関係は悪くなりかねない。昨年末は、特定秘密保護法が大きな問題となり、世間の注目を集めないまま改正生活保護法は成立した。小久保弁護士は「もっと注目を集めてもよい内容の法改正だった」と残念がる。改正法の施行は大半が七月からだ。家賃に相当する「住宅扶助」を下げる方向での議論も厚労省の審議会で続いている。小久保弁護士は「生活保護の運用状況を注視していく」と話し、生活保護問題対策全国会議として厚労省に対し、水際作戦を禁じる省令制定など、行きすぎのないように求め続けていくという。

 デスクメモ

 「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(民法八七七条)。だが、自分の家族で手いっぱいの人が多いだろう。兄弟姉妹の家族まで丸抱えで面倒をみられる人はそういない。生活の困窮は近しい人ほど知られたくないものだ。改正生活保護法は、そんな心理につけ込んでいるようにみえる。

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