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2014年2月12日 (水)

「脱法」水際作戦横行 生活保護法 見直しに便乗

2014年2月4日 東京新聞

 生活保護費の抑制を目的とする改正生活保護法が昨年末に成立したのと前後し、全国の自治体で申請を拒む「水際作戦」が強化されている。扶養は保護受給の要件ではないのに、あたかも要件であるかのような説明が横行。「法改正後も実態は変わらない」という厚生労働省の説明は早くも空証文となっている。 (上坂修子)
 改正法は一部を除き七月に実施される。自治体が扶養を断る扶養義務者に説明を求めたり、扶養義務者の収入や資産の状況に関し、勤務先などに調査することを可能にする。ただし、あくまで調査ができるだけで、扶養義務者が援助を断ってもこれまで通り、生活保護は受給できる。
 にもかかわらず、改正法の審議中に、全国の約三分の一に当たる四百三十六の福祉事務所が、申請の際に「扶養義務を果たさないと生活保護は受けられない」という誤った書面を扶養義務者に送っていたことが分かった。厚労省は該当する自治体に表現を改めるよう通知を出した。
 改正法成立直後には、大阪市が受給者を扶養する義務がある親族に援助を求める場合の金額の「目安」を公表。母子家庭に子ども(十四歳以下)の父親が援助する場合、年収六百万円なら最大月八万円。まず親族に受給者がいる市職員に援助するよう求め、七月以降は一般市民も対象にする。
 大阪市福祉局は「あくまで目安。強制ではない」と主張している。しかし、改正法成立や昨年八月から始まった生活保護費の切り下げなど、安倍政権の「生活保護バッシング」に便乗した感はぬぐえない。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は「非常に脱法的だ。『基準』にすると法律に抵触するので『目安』として数字を出し、扶養義務者にプレッシャーをかける。姑息(こそく)な手段だ」と批判する。
 若者の生活相談などを行っているNPO法人「POSSE」が二〇一一年から三年間で受け付けた二百九十九件の生活保護申請に関する相談のうち、明確に違法と判断できるケースが全体の四分の一に当たる七十七件あったという。

 都内に住む五十代の男性は十年ほど前に胃がんになり、働けなくなった。何度も拒まれたが昨年三月、申請にこぎ着けた。だが、福祉事務所から長年会っていない兄に扶養できるか照会すると迫られた。男性は父親の遺産相続で兄と争っていた。住んでいた家が兄の名義で「何かあったら追い出される」と不安に思っていると説明したものの、取り合ってもらえないため申請を取り下げた。

 厚労省通知は「適当でない」と認められる場合は照会を差し控えるよう指導している。吉永純花園大教授(公的扶助論)は「国会での改正論議を踏まえ、付帯決議で確認された『扶養義務の履行は要件ではない。申請権は侵害してはならない』などの点を自治体は自ら点検し、しっかり法にのっとった運用をしなければならない」と話している。

<改正生活保護法> 昨年12月に成立。保護の申請時に、本人の資産や収入などを記した申請書と所定の書類の提出を義務付けるなど手続きを厳しくし、不正受給対策として罰金の上限を30万円から100万円に引き上げた。厚生労働省によると、全国の生活保護受給者は昨年10月時点で216万4338人と過去最多。

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