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2014年3月21日 (金)

最低生活保障は多くの民衆の課題【2】

餓死者

 このような貧困問題の実態は餓死者数にも表れている。厚労省の「人口動態調査2012」によれば「栄養失調」「栄養欠乏」「食糧の不足」が死因とされる者の数は2011年で2053人にのぼる。実際には餓死でも、直接の死因が心筋梗塞や他の疾病とされた人の数を含めればもっと膨大になる。日雇い労働者やホームレスで餓死、凍死者は多いが、差別感情がそれらの問題を表面化させていない。大きな問題なのだ。

水際作戦・スティグマ

なぜ死に至ってしまうのか?なぜそれまでに生活保障を受けられなかったのか?複数の理由が考えられるが、生活保護を受けられなかった理由は、水際作戦や様々なスティグマの存在が考えられる。
水際作戦とは、低所得者が生活保護の窓口に行った時に、ケースワーカーが様々な難癖をつけて追い返してしまうやり方だ。申請用紙も渡さずに追い返す例が多く存在する。ケースワーカーの実務をするには公的資格が必要だが、資格がないにも関わらずケースワーカーの実務をしているケースも多く、最近では警察官OBのワーカーも多い。また一人の受け持ちが100人以上と多いことも新たな仕事を増やしたくないという心理を生む原因となっている。
スティグマというのは心理的な社会的障壁のことだ。他者や社会集団によって個人に押付けられた負のレッテルを意味し、元々の意味は「烙印」だ。福祉制度の利用がスティグマとされる。恥や後ろめたさといった考え方や、「国の世話にはなりたくない」といった考え方が含まれる。スティグマが生活保護利用の妨げになっているケースは数多く存在する。それは本人の問題でもあるが、社会が作っていしまった障壁と考えるべきだろう。マスコミが不正受給を大きく報道することも、スティグマを生む。不正受給は全体の0.5%に過ぎないのに、過大に報道されている。それで形成された世論は大きなスティグマだ。貧困世帯が保護世帯を非難することが多いのはこれらのマスメディアの報道によるものだが、低所得者対策を狭めて、結局自分の首を絞める結果となる。

日本の扶助費の低さ

それが日本の生活保護の利用率の低さにも表れている。捕捉率も低いが利用率(人口に対する生活扶助を受けている人の割合)も低い。日本の利用率は1.6%。スウェーデンは4.5%、ドイツは9.7%、フランスは5.7%、イギリスは9.27%である。
結果として日本の扶助費の総額も低い。各国の公的扶助費のGDPに占める割合は日本は0.6%だが、オーストラリア5.6%、イギリス5.0%、フランス4.1%、カナダ3.6%、ドイツ3.3%、アメリカ1.2%であり、OECD平均は2.0%である。福祉という意味では血も涙もない自由主義国家アメリカのさらに半分に過ぎないのだ。

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