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2014年5月27日 (火)

東京新聞より

5月19日 東京新聞 朝刊

 こちら特報部 精神障害者 転換型施設の推進案浮上(上)

 
精神科病棟→アパートに改修 患者共生 名ばかり

 
精神障害者の医療方針をめぐる議論で、精神科病院の病棟をアパートなどに改修する「病棟転換型居住系施設」(転換型施設)を推進しようという提案が問題視されている。障害者を入院・隔離する旧来のあり方から、地域生活中心に移すという精神医療の世界的な流れに逆行する恐れがあるためだ。「患者を手放したくないという病院側の思惑が背景にある」という指摘も出されている。

 財源話は先行…すでに衆院通過

 「町の中で一般の市民たちと一緒に暮らすことが地域移行。病棟をアパートなどに変える転換型施設では結局、患者は病院から抜け出せない」。精神障害者の自助団体・全国「精神病」者集団の山本真理さんは明確に問題点を指摘する。障害者を病院に隔離せず地域社会で治療する考え方は、欧米諸国では一九六〇年代ごろから広まった。日本ははるかに立ち遅れていたが、厚生労働省は二〇〇四年九月、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を取りまとめ、地域生活の重視を打ち出した。そうした流れの中、昨年十月の厚労省の検討会で、一部の委員から「転換型施設」という方策が提案された。既存の精神科病院の病棟を介護施設や自立訓練施設、グループホーム、アパートに改修するという。「要は病院の敷地内で、精神障害者を移動させて『退院おめでとう。ここがあなたの生活する地域だ』ということに等しい。これのいったいどこが、地域移行なのか」(山本さん)
 反発は当事者や医師らを中心に広がり、同年十一月には「病棟転換型居住系施設について考える会」が結成された。発起人の長谷川利夫・杏林大教授(精神医療)は「障害者が各人の意思で居住地を選択できると定めた障害者権利条約、障害者基本法に違反する恐れがある」と懸念する。転換型施設を提案した委員は検討会で、障害者が最終的に病院で死ぬことと病院敷地内の自分の部屋で死ぬことには大きな違いがあると発言した。だが、長谷川教授は「何も違わない。障害者の面倒を見る側の論理でしか物事を考えられない。今回の問題を象徴した言葉だ」と批判する。
 検討会は六月に意見をまとめる方針だが、財源の話はすでに進んでいる。医療や介護サービスの提供のための新たな財政支援制度として約九百億円の基金をつくるという流れで、この一部が転換型施設の実現に充てられる可能性が濃い。財源は消費税増税の増収分。この「地域医療・介護総合確保推進」法案は今国会に提出されており、すでに衆院を通過している。厚労省精神・障害保健課の担当者は「法案と転換型施設は別の論議。ただ、結果として転換型施設の実現に基金を活用するかもしれない」とあいまいに説明する。長谷川教授は「厚労省では、すでに転換型施設を進める考えが決まっているのでは」と案じる。山本さんは「消費税で精神科病院の経営を支援することになるので、国民の理解も得られない」と批判する。

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