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2014年5月28日 (水)

中日新聞より―昨日の続き

医療費を減らし患者丸抱え 国と病院は勘定ずく 

精神科病院の業界団体「日本精神科病院協会」が入っているビル=東京都港区で

 転換型施設をめぐる議論には前触れがある。全国の精神科病院でつくる業界団体「日本精神科病院協会」(日精協)は12年5月、転換型施設と同じように病棟を別施設に変える「介護精神型老人保健施設」の設置を提案していた。

 同年末の自民党の総合政策集でも、同じ言葉が登場する。「介護精神型老人保健施設等により、精神科医療福祉の効率化と質の向上を図る」とある。ちなみに日精協の「日本精神科病院政治連盟」は同年、安倍首相の政治資金管理団体に350万円、現厚労相の田村憲久議員のそれには30万円を献金している。

 日精協の担当者は、取材に対し、「献金と今回の転換型施設の議論は無関係」と前置きした上で、「施設の転換にもさまざまな形がある。患者を縛らない自由度の高い内容であれば、問題ではないという考え方もある」と語っている。

 一方、障害者の地域生活を30年以上サポートするたかぎクリニック(京都市)の高木俊介院長は「転換型施設論議の根本には、日精協が提案した介護精神型老人保健施設がある。政治家に話を通していたのではないか」と疑う。

 「国は医療費も病床数も減らしたい。大手病院は経営の面から患者を手放したくない。病棟の改修であれば双方が丸く収まる」

 日本の精神科病床は約34万4千床と、世界中にある185万床の約5分の1が集まる。大半が民間病院で、医療体制を変えにくい一因となっている。

 入院患者は約32万人で、1年以上の入院は約20万人。平均入院期間が20日前後の欧米諸国と比べて、異様に長い。治療の必要がないのに病院にとどめられる「社会的入院」も少なくないとみられている。

 これには日本の精神医療の特異な歴史が関係している。かつては自宅で隔離する「私宅監置」が中心で、敗戦時の病床数は全国で約4千床。1950年に強制入院や費用の国庫負担を盛り込んだ「精神衛生法」が制定され、民間病院が増加した。64年には、統合失調症の青年がライシャワー・アメリカ大使を刺傷する事件が起き、強制入院を支持する風潮が強まった。

 58年に通知として出された「精神科特例」も大きく影響する。一般病院より医師や看護師の配置基準を下げる内容で、病院数の拡大を促すとともに、医療の質の低下を招いた。

 宇都宮市の民間病院で患者2人が看護職員らからリンチを受け、殺された「宇都宮病院事件」(83年)など、著しい人権侵害事件も起きてきた。長谷川教授によると、01年には大阪府内の病院で、患者が約10年間、長さ2メートルの腰ひもで窓枠につながれていた事態が発覚している。

精神障害者の地域移行を支える「こらーる・たいとう」のミーティング。お互いの近況などを話し合う=東京都墨田区で

 厚労省の方針から10年たっても、地域移行はなかなか進んでいない。障害のある当事者たちの自助団体でNPO法人の「こらーる・たいとう」(東京都)は、04年から地域移行の支援に取り組んでいる。

 定期的に共有スペースに集まって「今度旅行に行く」「最近寝られない」という近況報告をしたり、病院訪問、地域との交流などを積極的に実施している。

 加藤真規子代表は「入院中心の医療では、人間関係が病院の中だけで完結してしまう。障害者本人たちのためにはならない」と話すが、こういった活動はまだ限定的でしかない。

 前出の高木院長は強調する。「精神科医療に本来、医者はいらないと思う。長くやってきた経験から分かる。生活をサポートしてくれる人がいれば十分。病院への隔離はもうやめて、精神医療と福祉の改革に踏み切らないといけない」

デスクメモ

 集団的自衛権の行使容認や労働法制の骨抜きなど大テーマが続く。少数者の人権侵害などかき消されそうになるが、彼らへの長い迫害が社会にまん延してきたようにも見える。そもそも戦争もブラック企業も、人を人ではなく、機械扱いして成り立つからだ。考える会は20日昼、衆院第2会館で集会を開く。(牧)

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