« 雁屋哲がんばれ | トップページ | 審査請求一斉提出-大阪 »

2014年5月15日 (木)

税金や保険料の滞納 生活保護費 差し押さえ示唆

東京新聞 5/15

 生活が苦しい人を支援している団体や法律家らが「地方税や国民健康保険料を滞納している生活苦の人に対して自治体が過酷な取り立てをするケースが目立つ」と訴えている。きちんと納税する人との公平性の観点もあり、微妙な問題だ。自治体が生活保護の受給者に差し押さえの可能性をちらつかせた事例をもとに考えてみた。 (白井康彦)
 前橋市に住む男性(65)は大工だったが病気で働けなくなり、二〇一二年から生活保護を受けている。市長名の催告書を手にしたのは昨年八月。固定資産税や市民税などの滞納分とその利息分の合計約二百十一万円の全額の納付を求める内容だった。
 「期日厳守」「納付または連絡がない場合は、財産の差し押さえを執行」などと厳しい文字が並んでおり、男性は動揺。市収納課の職員と話し合い、初回の分納金の六千円を納めた。男性の生活保護の受給額は、家賃に当たる部分と生活費に当たる部分の合計で月十万円余り。毎月六千円を納めると、生活は成り立ちにくい。
 生活保護法は生活保護費の差し押さえを禁じている。生存権にもとづく最低生活費であるからだ。これを根拠にして支援に乗り出したのが、司法書士で「反貧困ネットワークぐんま」の代表も務める仲道宗弘さん。「(男性は)催告書の文言を見て生活保護費が差し押さえられると誤信した。違法性が強い文書だ」と強調する。男性は市に六千円の返還と滞納処分の停止を求めた。
 結局、男性は分納を続ける必要はなくなった。ただ、市は六千円の返還には応じていない。「自主的に支払ってもらったのであり、還付する法的根拠がない」(収納課)という論理だ。
 自治体は生活保護費の差し押さえをしてはならないが、滞納者と相談して自主的に納付してもらう道はある。市は「催告書は自主的な納付を促す狙いだったが誤解を与えたので、生活保護受給者に送るものについては、差し押さえの文言を外す修正をした」(同)と説明する。
 静岡県掛川市では生活保護受給者に「差押予告通知」の文書が送られていたことが明るみに。国民健康保険料などを滞納していた二人に送られた赤い封筒の中には、ピンク色のチラシも入っていた。「このままだと あなたの給料が!家が!車が!差押になります。今すぐ納付を!!」と大きな文字が躍る。
 受給者らを支援する「掛川生活と健康を守る会」の幹部らは「生活保護費は差し押さえ禁止なのだから、脅迫じみた督促はおかしい」と訴えるが、市納税課は「生活保護受給者でも、こちら側からの連絡に反応していただいていない人などには通知は送ることがある。話を聞いたり調査をしたりして財産がないことが分かれば、差し押さえはしない」と説明する。
 自治体は生活保護費を差し押さえてはならないが、「差し押さえの示唆」は他の自治体でも行われているようだ。
 生活保護費や児童手当などの差し押さえ禁止財産が振り込まれた預金口座を、自治体がすぐに差し押さえていいかどうかも、グレーゾーン状態だった。「預金になったのだから禁止財産でなくなった」といった理屈で差し押さえる自治体が多かった。
 この問題では鳥取県が児童手当が入金された預金口座を差し押さえた事例で、広島高裁が昨年十一月、「預金になった後も差し押さえ禁止財産の性質を受け継いでおり、県の処分は違法」という趣旨の判決を出した。これを受けて鳥取県は、滞納整理マニュアルを改訂。「申し出によって禁止財産を差し押さえたことが分かった場合は、解除または取り消す」といった項目を織り込んだ。
 各地の自治体の債権管理担当者らは「広島高裁判決の影響は大きい」と話している。

|

« 雁屋哲がんばれ | トップページ | 審査請求一斉提出-大阪 »

-報道-」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517951/59647175

この記事へのトラックバック一覧です: 税金や保険料の滞納 生活保護費 差し押さえ示唆:

« 雁屋哲がんばれ | トップページ | 審査請求一斉提出-大阪 »