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2014年7月12日 (土)

速報12号抜粋

生活をするのは普通の場所がいい
STOP! 精神科病棟転換型居住系施設!!
6.26緊急集会
速報
第12号(2014年7月12日)
発行:病棟転換型居住系施設について考える会

7月1日 第4回 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会報告
歯切れの悪い検討会の幕切れ 反対の声を押し切っての取りまとめ文書

 2014年7月1日(火) 第4回 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会が、厚生労働省専用第14会議室において開催された。傍聴者も多数詰めかけ、議論の行方を見守った。18時に開始した検討会だが、間に長い休憩が挟まり、22時ころに閉会となった。
 結論は、地域への移行を大前提にし、病床を削減することを明記しつつ、病棟転換型居住系施設を容認となった。試行事業の実施も盛り込まれた。当事者2名、家族1名は、最後まで病棟転換型居住系施設の反対を表明し、障害者権利条約違反であるという意見もあり、決して反対の声は少なくなかった。
 ここでは、構成員の発言の一部を紹介し、検討会の報告とする。また、この取りまとめ文書についての当会の緊急声明を掲載する。

傍聴レポート

当事者・家族の声
 当事者の澤田優美子構成員は、敷地内に居住の場を作ることは日本の恥。最後の取りまとめ案に対しても人権侵害であると厳しく指摘した。同じく当事者として参加している広田和子構成員も終始居住系施設反対の意見を述べ、取りまとめ文書にも当事者が反対の意見であることを明記することを強く求めた。また、前回の検討会で病床転換型居住系施設には反対であると明確に意思表明をしたみんなねっとの良田かおり構成員は、改めて病床転換型施設に反対の意を明らかにし、一方で医療・福祉のシステムの検討を早急に行うことを求めた。

居住系施設は凍結すべき 葛藤の上容認 危険な施策……
 全国精神保健福祉センター長会の田邉等構成員は、「地域移行を進める病院とそうでない病院があり、居住系施設への転換は、後者の病院の延命策になることを危惧する。新たな二重の不幸が懸念される、現時点では転換はペンディング、いったん凍結すべき」と発言した。
 千葉県精神科医療センターの平田豊明構成員は、「20万人の長期入院者を生み出した要因は、国の政策の誤り、民間精神科病院への安上り政策―これに対しては国は謝罪するべきである」としたうえで、「病棟を居住の場にすることについて激しく葛藤する」としつつ、「例外的に認める」とした。
 民間精神科病院の院長として、愛媛で病床削減を進めてきた長野敏弘構成員は、「病床を50床まで減らしてきて、全員が地域で暮らせる」とし、居住施設のリスクに触れながらも居住施設を認める発言を行った。全国自治体病院協議会の中島豊爾構成員は、平成6年の改革ビジョン後病床がほとんど減っていない現状に触れ、「危険な施策だが腹をくくった。国として病床がなぜ減らなかったのか謝罪すべき」と意見を述べた。
 一方、千葉潜構成員は、「空いた病棟の維持費は一病棟100万以上。改修して黒字にならなければ解体してしまったほうがいい」としつつも、「選択肢として病床転換した居住施設の選択肢は残すべき」と発言。また、「病床転換よりも減反政策のようにベッドを減らした場合にお金を上げるほうがよい」といった発言もあった。
 日本看護協会の中板育美構成員は、「基本は反対。取りまとめが後半の病棟転換に詳しく、誘導する報告書という感じで違和感」と指摘。また、全国保健所長会の倉橋俊至構成員は、「居住の場としての転換施設は望ましくない」としつつも、「病床転換を認めるとしても、経過的措置であるとか、時間的・空間的条件を明示し、時限の移行措置として認めるべき」とした。

病棟転換型居住系施設は障害者権利条約、憲法に抵触
 全国精神障害者地域生活支援協議会の伊澤雄一構成員は、「病床を減らすということは大歓迎、転換はありだが、居住はダメ。障害者権利条約、憲法に抵触する」と厳しく指摘し、そして、全国各地で「院内の居住施設はだめ」という声が上がっていることを紹介した。

傍聴を終えて
 さまざまな立場の人たちの発言を紹介したが、居住系施設への転換を容認した人のなかにも、悩みつつ病床転換を認め、腹をくくらないと結論を出せないなどの発言があったことが印象的だった。また、この国の長期入院を生んだ精神科医療政策について、国は謝罪すべきという意見が2人の構成員から出たことを国はもっと重く受け止めるべきであろう。
 当日示された取りまとめ文書にも気になる点は多々ある。例えば、病床削減を明記したことは今回の大きなポイントであったが、結局精神病床の適正な数の明記はなく、「不必要になる病床を削減する」期限も明記されなかった。また、伊澤構成員がたびたび指摘してきたように末尾に『検討する』『検討を行う』が多用されており、この後の検討は誰がどのように行うのか、不明のままだ。合わせて、試行事業の実施が明記されたことも気がかりだ。試行事業で居住系施設を実質化してしまうことが危惧される。
 そして、言うまでもなく障害者権利条約軽視、無視の施策であることを改めて指摘しておきたい。これは、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という世界の潮流を無視した動きでもあるのだ。
(文責 増田 一世)

緊急声明

 厚生労働省で昨年来開かれてきた「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」(「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」から改称)は、2014年7月1日、精神科病院への患者の囲い込みを続ける、きわめて深刻な人権侵害であるという強い意見を圧殺し、ついに病棟を転換し居住施設にすることを容認する具体的な方策を取りまとめた。
 今回検討会でまとめられた具体的な方策が病床削減を実現するものとする考え方は、まったくの誤りである。病棟を転換し「病床を削減した」などということは絶対に許されてはならない。提案された病棟転換施設が精神科病院へ患者の囲い込みを継続させ、障害者権利条約、例えば第19条“自立した生活及び地域社会への包容”、特に同条(a)“特定の生活施設で生活する義務を負わないこと”等々数多くの条項に違反するものであることは明白である。当会では、本年5月20日の議員会館で院内集会、6月26日には日比谷野音にて3,200人の障害当事者や家族、現場の関係者を中心とする参加者と共に緊急集会を開催し、病棟転換に反対する緊急アピールを採択して厚生労働省に申し入れを行ってきた。しかしながら、構成員の大半が医師やサービス提供者で占められた検討会において病棟転換を容認する「具体的方策」なるものの取りまとめは強行された。私たちは、このことに対し厳重に抗議する。
 検討会取りまとめの文書では「障害者権利条約に基づく精神障害者の権利擁護の観点も踏まえ」、「不必要になった建物設備等の居住の場として活用」することが記載された。そもそも「障害者権利条約に基づいて病棟を転換する」ことなど論理上有り得ないことであり、「病棟を居住の場にすること」はあってはならない。権利条約はそのようなことを求めていない。私たちは国際社会から一層の非難を重ねることになる人権侵害の道を歩み始めるこの政策について断固として中止を求める。
 それはいかなる条件付けを行おうとも歩み出してはいけないものであると確信する。
 また「検討会取りまとめ文書」で提案された試行事業について「この事業を自治体と連携して試行的に実施し運用状況を検証すべき」と記載されたが、試行事業そのものも実施すべきではない。
 なによりも、このような精神障害当事者に関る重要施策が、25人の構成員のうち精神障害者2人、家族1人、一方で医師は半数以上の13人という偏った構成の検討会において決定がなされたことについて、その正当性につき重大な疑義が生じている。今後、国や自治体において障害者施策を検討する委員会等においては、少なくとも半数以上を当事者・家族委員とし、当事者・家族の意見が反映されるよう強く求める。
 私たちは、引き続き、わが国の大多数の良識ある普通の人々と共同し、過剰な病床を抱える精神科病院の延命と福祉の名を借りた新たな隔離施設をつくり出そうとする本事業が撤回されるまで行動を続けることを決意する。
 
2014年7月3日

病棟転換型居住系施設について考える会

《連絡先》長谷川利夫(杏林大学保健学部作業療法学科教授)
〒192-8508 東京都八王子市宮下町476 杏林大学 保健学部 精神障害作業療法学研究室内 TEL.042-691-0011(内線4534)〔携帯電話〕090-4616-5521  E-mail  stopbttk@yahoo.co.jp
http://blog.goo.ne.jp/tenkansisetu

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