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2014年10月 2日 (木)

生活保護基準部会委員の方に

私たちしょうがい者は、生活扶助費の引き下げに続き住宅扶助を引き下げようとする政府の動きに対して強い危機感を抱いております。

 以下の文章では、しょうがい者にとっての住宅扶助の重要性、また現状においてさえそれがいかに少ない金額であるかなどを記述しております。これをぜひお読みいただき、私たちの声を直接聞く機会を作っていただくようお願いいたします。

■しょうがい者にとっての、生活保護の住宅扶助額について

 しょうがい者が、健常者と同じく隔離されず地域社会で暮らしたいという希望や、それを保障すべきという流れは、世界規模で起きています。2006年には、その流れの象徴として、国際連合ではしょうがい者の権利条約が採択されました。これを引き受け、日本においても2014年1月20日にこの権利条約を批准しました。つまり日本国内においても、しょうがい者の地域生活を認め、保証する事を推進する宣言をしたのです。

 しかしこの日本においては、特に重度のしょうがい者は就労が難しく、障害年金があっても金額が少なく、地域生活を送る場合には生活保護を受けざるをえません。

 この地域生活を支える要の一つは、生活保護の中の住宅扶助額です。この金額が貧弱だと、重度のしょうがい者の地域生活が成り立ちません。これは切実な問題です。地域における重度しょうがい者の生存権の問題です。

 これらの問題の実例を紹介します。重度しょうがい者の多くの人達(身体・知的・精神・等を含む)は24時間介助ヘルパーが必要です。ここでは重度身体しょうがい者の実例を挙げます。

 重度身体しょうがい者の多くは、24時間介助ヘルパーが必要なので、当然ヘルパーは泊まり介助も行う事になります。つまり、重度身体しょうがい者の地域生活は、介助ヘルパーも泊まりこむ事ができる住宅が求められます。

 そして室内は車椅子で動きやすい広さのスペースが必要です。また、車いすへの移乗のために寝床はベッドが必要となり、そのためのスペースも必要となります。

 車いすの使用に耐える床も必要となります。特に、電動車いすを使用する場合には、かなりの重さが床にかかることとなります。

 更に、重度身体しょうがい者はヘルパーが集まりやすい駅の近くに住む事が望まれます。しょうがい当事者が女性の場合は同性介助ヘルパーが原則なので、夜間の場合の女性ヘルパーの安全の為にも、しょうがい当事者の住まいは駅の近くが望まれます。したがって、重度しょうがい者の地域生活における住宅保障は、ヘルパーの泊まれる場所などや上述した必要なスペースを考えると、二間以上ある事、加えて交通の便のよい駅などに近い事、それらの条件が切実に望まれます。

 ところが、生活保護の中の住宅の扶助額は都内などの1級地-1においては、家賃は毎月69800円が限度額です。以上の条件でアパート物件を探すと、この金額ではとても足りません。  もしも、現状よりも住宅扶助額が下げられるならば、重度しょうがい者達の地域生活は成り立ちません。今現在69800円という住宅扶助額ではとても足りないので、生活扶助のお金を、住宅費用に回すという自助努力を強いられています。この現実は公表は迷いますが、実際は10万円の家賃のアパートでも、正式な契約書に家賃は毎月69800円と書かされます。これが現実です。

 公営住宅に車椅子用住宅は存在しますが、絶対数が少なく抽選入居でなかなか入れません。都営住宅の場合、車椅子用世帯向きと単身者向き車椅子用住宅が存在しますが、後者の場合さらに絶対数が圧倒的に少なく宝くじ並みの当選率です。都営住宅だけかもしれませんが、生活保護者向きの都営住宅の場合、駅などから遠方に建てられており、介助ヘルパーの交通手段も不便です。そうなると、一般の民間アパートを重度しょうがい者は選んでしまうことになります。そして、活用する公的制度は、現状においては生活保護となります。地域生活において、居を構える時に、この保護費の中の住宅扶助が大きな支えとなります。

 問題点を整理します。重度身体しょうがい者の地域生活は、24時間介助ヘルパーがいなければ生きていけません。従って、ヘルパーの寝床、車いすで動けるスペース、ベッドのスペースも含めて、居室は2間必要です。そして、車いすの使用に耐える床が必要です。ヘルパーの来やすい駅などから近いアパートも、必要条件です。

 以上の生活を成り立たせるには、現状の69800円ではとても、足りません。生活保護の一般の世帯向きの住宅扶助額は、同じ地域では53700円です。その1.3倍の69800円が、しょうがい者だと認められます。従って、しょうがい者は優遇されていると思われるかもしれません。しかし、それは机上論です。この机上論は、しょうがいしゃの地域生活の現実を知らない者が断定しているとしか思えません。家賃保証中心主義(家賃準拠追随型)から脱却し、地域生活保障主義(居住水準保障型)へと住宅扶助は発想を転換すべきです。

 住宅扶助を減らす事は、多くのしょうがい者の地域生活を根こそぎ奪う事になり、世界的な、国連のしょうがい者の権利条約の大きな流れにも歯止めをかけてしまうという、極めて規模の大きな問題です。住宅扶助額は減らさないで下さい。むしろ増額を求めます

 今回7~8月に行われた調査では、車いすの世帯の調査も行われたようです。しかしそれは、前述のような現実のしょうがい者の地域生活の実態を反映していません。その大きな原因は、基準部会の中に、しょうがい当事者が参加していない事です。障がい者施策を決める時の原則は「私たち抜きに私たちのことを決めるな」です。そこで委員の方々に直接私たちの声を聞いていただきたいのです。怒りネットとしては、是非その機会を持っていただきたいと思っております。フォーマルなものでなくていいので、お一人でも私たちの声を聞いてくださるなら、みんな集まります。ぜひ障がい者に寄り添った施策にしていただくために、私たち障がい者の声を直接 聞いてください。

委員の方々の、再考を強く望みます。

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