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2015年2月15日 (日)

ピケティ・21世紀の資本

Eテレの「ピケティのパリ白熱教室」は先週金曜日で終わりました。「21世紀の資本」の要点をまとめた感じの放送でした。元の本も読んでいますが(まだ4分の3くらいまで)、そちらではもっといろいろ詳しく論証したりしているところを詳しい論証はおいておいて、結論を述べている印象でした。

資本の収益率は常に経済成長率を上回る、すなわちほっておけば不平等はどんどん拡大すること、相続財産がますます重要性をまし、一方で教育機会も不平等であり、能力や努力ではなく親の世代の財力が子どもの一生を決める。こんな社会がいつまでも続くのか?社会の不満はどんどんつのり、不満を移民などにすり替える差別排外主義が民主主義にとってかわるのではないか?民主主義を続けるつもりがあるなら今具体的に富裕層に対する課税強化をするべきではないか?テレビの方は差別排外主義にあまり焦点を当てていない感じでした。不平等の拡大という彼の主張を前面に出していて。


私のピケティへの疑問は資本家たちが民主主義を続ける気があると楽観する根拠は何なのか?資本家たちこそが安倍政権の民主主義否定、橋下維新的な差別排外主義の支持者なのではないか?所得上位10%の利益のためになることがマスメディアを支配し、下位90%の多くを動員しているではないか。それは日本でだけ特徴的なことなのか?資本家たちに民主主義を求めるのでなく、下位90%、下位50%が主導権を取ることを求めるなら、もっと明確に資本主義に対する疑問を正面に据えるべきではないのか?差別排外主義しか行く末のない資本主義か、労働者民主主義か、そういう選択肢を示すべきだったのではないか?


もっともピケティ自身はフランスの社会党のブレーンをしていたことがあるそうで社会民主主義にも近いのかなとも思います。ピケティが18歳のころにソ連型社会主義は崩壊しており、彼がマルクス主義にシンパシーを持つことはなかったそうです。共産党宣言は良く書けていると評価していますが、資本論には疑問があるとも言っています。多くの人が共産主義の必然性を信じていたことを考えるべきとも言っていますが、彼自身が共産主義に惹かれたことはないというのが、私の世代と彼とを分けるものなのかもしれません。

私自身、共産主義という言葉がイメージさせるソ連型社会主義・・・それはスターリン主義なのですが・・・とは別の社会ではなければならないと思います。反スターリン主義の諸党派が、結局スターリン主義に転落したことを思えば、それはそんなに簡単なことではないと思います。共産主義諸党派が、反スターリン主義諸党派を含めてとっている民主主義に対する蔑視ともいうべき態度が、根本的に間違えた根拠なのではないか?日本の社会民主主義もどこまで民主的かという疑問もあります。社会主義協会派は社会民主主義ではなく共産主義なのかもしれませんが、彼らにはひどい目に遭ったし。

ピケティに話を戻せば、社会がこのままではひどいことになるという事実を、具体的に論証しきったことは大いに評価できます。革命的と言ってもよい業績と思います。批判するにせよ「21世紀の資本」は読むに値すると思います。これから資本主義について論じる人は、この書を避けることはできない。読んでから批判せよ。

なお参考書として、「東洋経済」の特集は参考になりました。とくに彼の本には直接出てこない日本についての不平等の資料は参考になりました。「現代思想」の特集は本をある程度読んだ後で読み返すと面白いことが書いている。一番最初にこれを読んで、本そのものを読んでみないと分からないと思わせたものでした。「週刊ダイヤモンド」の特集は、メイン企画の池上彰のインタビューが池上が本を読んでいないことが露骨にわかり、ゴミでした。

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