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2016年2月

2016年2月26日 (金)

障害者総合支援法の「改正案」批判

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の・一

部を改正する法律案

 

 障害者が自らの望む地域生活を営むことができるよう、「生活」と「就労」に対す

る支援の一層の充実や高齢障害者による介護保険サービスの円滑な利用を促進するた

めの見直しを行うとともに、障害児支援のニーズの多様化にきめ細かく対応するため

の支援の拡充を図るほか、、サービスの質の確保・向上を図るための環境整備等を行

う。

 

概要

 

1.障害者の望む地域生活の支援

 

(1)障害者が自らの望む地域生活を営むことができるよう、障害福祉サービスを新設

・拡充

 

・共同生活援助を利用していた者等を対象に、定期的な巡回訪問や随時の対応により

、円滑な地域生活に向けた相談・助言等を行う「自立生活援助」を新設

・就業に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所・家族との連絡調整等の支援を

行う「就労定着支援」を新設

・重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能とする

 

(2)一定の高齢障害者に対し介護保険サービスの利用者負担を軽減できる仕組みを整

 

65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢

障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、

一般高齢者との公平性や障害の状況等を踏まえ、当該介護保険サービスの利用者負担

を障害福祉制度により軽減(償還)できる仕組み

 

2.障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応

 

(1)障害児の状況に応じて発達支援をきめ細かに提供できるよう、障害児支援を拡充

 

・重度の障害等により外出が著しく困難な障害児の居宅を訪問して発達支援を提供す

るサービスを新設

 

・保育所等訪問支援の対象を乳児院・児童養護施設に拡大

 

・自治体において障害児福祉計画を策定

 

(2)医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう医療・保健・福祉等の

連携を促進

 

 

3.サービスの質の確保・向上に向けた環境整備

 

(1)補装具費について、成長に伴い短期間で取り替える必要のある障害児の場合等に

貸与の活用も可能とする

 

(2)都道府県がサービス事業所の事業内容等の情報を公表する制度を設けるなど、所

要の規定を整備する

 

施行期日(予定) 平成3041

(22)については公布の日)

 

総選挙前には、あまり対立するような法案を作らない、ということもあるのかもしれません。しかし、「骨格提言」を踏みにじって、亡き者にする内容であることは明らかです。

●「障害福祉サービスを新設・拡充」ということについて

3点あげているわけです。

 その一つは、「・共同生活援助を利用していた者等を対象に、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相談・助言等を行う「自立生活援助」を新設」というものです。

 ’障害福祉サービス’とは、総合支援法の第五条第1項に書かれているものです。法文を引用すると、次のとおりです。
 
「この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援及び共同生活援助をいい・・・・」

 この中に、「自立生活援助」というものを書き込むということのように読めます。
 また、「就労定着支援」も書き込むのでしょうか。

 そして、「重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能とする」とあるのですが、条文の定義もいじることになるのかもしれません。

●介護保険の利用料軽減をどう考えるか

この介護保険利用料の軽減措置は、公明党が求めていたものです。
法案概要の記載によると、いったん介護保険の利用料を払って、そのあとに、償還払いを受ける仕組みを考えているようです。こうすれば、介護保険法はいじらなくてもよくなるわけですが、総合支援法には、どのように盛り込むのでしょうか。それとも、手当のような制度にするのでしょうか。
 
このようにすれば、65歳(特定疾病の場合は40歳)で、介護保険制度にスムーズに移らせる結果になることは確かでしょう。介護保険との統合に向かっての地ならしと考えるべきでしょう。
後でも論じますが、この法律は、2018年4月施行です。その過程では、介護保険法の改悪があります。2割負担を一般化するものです。要介護1・2の人も、直接の介護保険サービスからは外します。政府の立てているプランをそのまま進められた場合、こうした法改悪を経て、障害者の福祉制度から介護保険の利用料軽減を行う制度が始まるのです。
つまり、いったんは2割を払ってからの償還払いとなります。
しかも、償還される金額は、「一般高齢者との公平性や障害の状況等を踏まえ」るという条件付きであり、どの程度が償還されるのか、疑問です。

また、介助時間数が大幅に減るという問題には言及がありません。これで介護保険に移行させるのであれば大きな問題です。

●「障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応」について

この部分は、児童福祉法の改定となるのでしょう。
「重度の障害児」の家を「訪問して発達支援を提供するサービス」とは、理学療法士などに行わせるようなニュアンスに感じます。
そうした子供や家族が必要なことは、ヘルパーの派遣なのだろうと思うのですがそうではないようです。
 
●施行期日について

2018年4月ですが、総合支援法関係事業所への報酬改定が行われ、また、利用者負担を軽減している経過措置の期限となっている2018年3月31日の後だ、ということです。
 また、この間に政令や省令も変えることが考えられます。
家事援助については、省令を変えれば、’地域生活支援事業’に突っ込むことができます。しかも、法律の条文をいじらないとすれば、’地域生活支援事業’の第3項である自治体の任意事業に突っ込むことになってしまうでしょう。
利用料も、政・省令をいじれば、1割までは取れるわけです。
家事援助についても、省令を変えれば、’地域生活支援事業’に突っ込むことができます。その場合、’地域生活支援事業’の必須事業は法律の条文に書き込まれています(第七十七条第1項)。そのため、法律の条文をいじらないとすると、第3項の任意事業に突っ込むこととなり、ますます不安定なものになります。
グループホームの支援区分による対象者限定についても、法律の条文をいじらなくても、省令の変更でできるようです。
これら一連の省令改悪と闘うのは、情報収集とそれに対応する行動が求められ、かなり大変なものとなると思います。パブリックコメントに出されてくるものとは思いますが。
こうした観点からすると、2018年まで、切れ目のない闘いが必要となります。
4月21日の陣形は、今後の闘いを継続・発展させるための基盤となるものだと思います。

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2016年2月22日 (月)

生保裁判

19日の大阪生活保護裁判の報告

傍聴希望者は100人を上回り抽選となりました。私は傍聴券を譲ってもらいました。

裁判では、原告二人からの意見陳述があり、真面目に生きてきたが老後に年金がなかったりして生活保護に頼らざるを得なかった。保護費引き下げにより、食費を削り栄養失調で倒れたりした。肌着は何年も買っていない、冷暖房は最小限しか使っていない、外出を制限せざるを得なくなり生活の張りが無くなったなどと語られました。命のセイフティーネットを守るため、多くの人のために原告になろうと思ったと、裁判官に訴えました。

弁護士からは、相手側主張への反論の弁論要旨がパワーポイントを使って述べられました。今保護費を決めるために使われている「水準均衡方式」では専門家による検証が不可欠とされている。生保利用者はストックがないため引き下げは大きな影響があるとされており、引き下げの硬直性があるとされている。今回の引き下げは専門家による検証に反して一握りの厚労省の役人が勝手に決めた。物価を考慮することは基準部会で議論されていない、むしろ物価考慮に否定的だった。平成19年検証で引き下げるべきだったのに下げなかったから今回の引き下げをしたという国側主張に対し、基準部会の全委員の意見書が出ており、引き下げに慎重であるべきだとされているのであり、引き下げの理由にならない、と明確に述べられました。

その後報告集会が行われ、参加者の質問に対して弁護士から、「水準均衡方式」は一般世帯との均衡を図るというもので、だから専門家による検証が不可欠とされているのに、今回の引き下げは専門家の意見に反して厚労省の一部の役人だけで決めており、裁判でも勝てる中身があると述べられました。

しつこいようですが、これは国策を問う裁判です。国策裁判では裁判の中身と判決が一致しません。いくら中身で勝っても、判決で勝てるとは限らないのです、もちろん中身で勝っていることが必須条件なので弁護士の役割は大きいです。しかしそれだけでは勝てないのです。国策を問う国民的運動がなければ勝てません。運動が不可欠なのが国策裁判です。憲法25条大運動を創り上げ、判決で勝つことを目指しましょう。

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2016年2月15日 (月)

ともに生きる№8

ともに生きる№8が印刷できてきました。

540ページ(本文34ページ)。領価200円です。160214tomoiki8001


ひょうせいれん機関紙フレンズ読者の方には郵送します。フレンズ読者でなくて読みたいという方には郵送しますので住所・名前をメール下さい。

内容は下記の通りです。

 

精神病とは何かについての一考察

まえがき

本稿は、2015年9月に行なった三里塚闘争勝利尼崎・伊丹実行委員会でのお話を元に、私の経験を深堀して精神病とは何か、その解放の道は何かを考えたものです。その時のレジュメを元に文章化しましたが、展開は新しいもので、しゃべった通りではありません。

あくまで私の経験に基づくものです。できるだけ普遍化できることを扱ったつもりですが、そうでないことも含んでいると思います。また、私の関わった特定の政治党派のことに深く触れていて、なじみのない人には取っ付きにくいと思います。「私の精神病の歴史」を振り返るには避けて通れないことなので、ご容赦願うしかありません。なお政治党派の内情暴露を目的にしたものではないことをお断りしておきます。

読者の皆さんのご意見、ご批判によってより深めていくことができれば幸いです。

 

目次(詳細版)

Ⅰ、人はなぜ精神病になるのか/

精神病で何が起きるか/環境的要素が影響/イラク帰還兵のケース/精神病とは何なのか/陰性症状/心の中の凝(こ)り/うつ状態/心の「破壊」/病名が付いた病歴―うつ病という診断―統合失調症/今の主治医との出会い/「イスクラ冠元顆粒」との出会い/職場のいじめ――働けなくなった理由/「郵政マル生」/「三里塚オンリー主義」/労災職業病闘争/不眠症からうつ状態に/解雇撤回闘争/不眠症・うつ状態と統合失調症の関係/古くからの病歴と全共闘・ベ平連への参加/革共同との出会い/最悪の地区反戦/「党」生活と究極の疎外/「自由からの逃走」=マインドコントロール/職業病との関係/私自身の官僚化/マインドコントロールから抜け出す//

Ⅱ、「病者」解放の論理/

「病者」であるがままの解放/「精神病を悪だとする価値観」について/精神医学で解放されるか/日本の精神医療史/心神喪失者等医療観察法/「病棟転換型居住系施設」/岩倉村の経験/下町での「病者」の包容/障がい者の闘いの中で/三里塚コミューン/開き直り/生きている間にしたいこと――共感過多症

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2016年2月 6日 (土)

4日のガイドライン検討会

4日の障害年金の地域差ガイドライン検討会に出された資料が下記にアップされました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111491.html

その中に、今認定を受けている人は当分の間等級非該当にはしないとあります。

一安心と共に、結局どこかを削るのだろうから、新規認定が厳しくなるのかなと思ったりします。

委員への働きかけがどれほどの効果があったか、何とも評価できませんが、一定の効果はあった結果でしょう。あきらめて何もしないでいるよりは良かったのではないかと思います。ありがとうございました。

以下、資料。

⑤既に障害年金の認定を受けている方への対応

○ ガイドライン施行時において障害基礎年金及び障害厚生年金を受給中の方に対して、ガイドラインを最初に適用して等級判定を行うのは、受給者が額改定請求をした場合を除いて、ガイドライン実施後に初めて到来する再認定時とする。(既に決定されている次回再認定の時期(1~5年)を繰り上げて、ガイドラインを適用した再認定を行うことはしない。)

○ ガイドライン施行時において障害基礎年金及び障害厚生年金を受給していた方の再認定にあたっては、ガイドライン実施前の認定も障害認定基準及び認定医の医学的知見に基づき認定されたものであること等を踏まえ、受給者の障害の状態が従前と変わらない場合(注)については、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする。

(注) 基本は診断書(障害状態確認届)における「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定の平均」を目安とするが、最終的には診断書等の全体の情報で総合判断する。

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2016年2月 4日 (木)

反貧困の新たな運動

130日、大阪市内で税制のシンポジウムがありました。生活保護、年金、医療、介護、奨学金、保育と社会保障の切り捨ての対象になっているテーマからの報告がありました。各10分という短いものだったので、それぞれ核心部だけでしたが重要な提起だったと思います。

シンポの後半は税制に関することでした。講演では、経済を拡大することで社会保障費を捻出するという発想ではなく、税制を変えることでそれは可能だということ。中間層をいかに獲得するかというような話だったと思います。私が慣れ親しんでいる、資本家階級を打倒することで解決するという発想とは全く違う発想だったので、消化するのに時間がかかりました。

主催者の提起では、レジュメにはあって発言では省かれたところに富裕者課税などもあり、今の資本主義社会を前提として、いかに貧困層のために社会を作るか、それは可能なのかという問題意識だと思いました。

4時間に及ぶ集会でしたが途中だれることもなく、最後まで集中することができました。私は資本家を打倒することを考えますから、意見の違いはあると思います。しかし違いは違いとしたうえでいかに一致点を見出すことはできると思いました。

 

昨年10284000人集会から反貧困運動の新たな潮流を形成しようという試みが始まっています。まだ始まったばかりの運動です。1028130に見るように共産党が加わっていますが、共産主義とかマルクス主義とかとは違う思想的な背景を持った運動です、130の講演者は近代経済学(ケインジアン)だと名乗っていました。

それをどう見るか。左翼ではないからと拒否し潰れたらいいと思うのでしょうか。左翼に獲得すべきだと思うのでしょうか。私は違うと思います。左翼ではない運動ですが、反貧困運動が潮流になることを歓迎するというのが私の立場です。共産党は積極的に参加していますが何を考えているのかは分かりません。反貧困運動をしている共産党系の人たちは好感の持てる人たちですが。左翼はどう考えるのでしょうか。われわれに左翼でない運動を育てるという度量が要求されているのではないでしょうか。「オール沖縄」とはそういうことではなかったかと思います。反貧困運動が育つこと、左翼でもなければマルクス主義でもない運動を、「左翼やマルクス主義に獲得する」という立場では無しに、(それなら革共同全国協です)、関わるという度量を持てるかどうか。

度量と言うより、いかなる社会を作ろうとするのかというテーマでもあります。民衆の自然発生性を許容できるか否か。自然発生性は共産主義に収斂されてこそ意義があるという狭量な立場に立つのか。かつてのわれわれはそうでした。

私はそうではないと考えます。左翼でもなく、マルクス主義に発展するわけでもない運動を育てるという立場に立ちたいと思います。ケインジアン=近代経済学のまま、共産主義社会の一員になるという立場を想定しうるからです。思想は左翼でもなくマルクス主義でもないが、共産主義社会を構成する、共産主義社会を実現するための、構成者の一人となることを想定しうるからです。

パリ・コミューンを見よ。マルクス主義者、共産主義者がいったい何人いたでしょうか。ロシア革命の左翼エスエルとさえ両立しえなかった狭量さとの対比でも。

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