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2016年8月 6日 (土)

ひょうせいれんの声明

相模原事件についての声明

私たちは優生思想による殺害を許さない

私たちは「精神病者」を保安処分から守るために闘う

 

2016年8月

兵庫県精神障害者連絡会

 

事件で亡くなった方々の御冥福をお祈りし、傷ついた方たちの回復を願う。

事件についての情報は警察等によって小出しにされており、十分に解明されていない。その中で「精神病者」が追い詰められた気持ちになっている状況を何としても打開したい。

事件は差別される者を狙った「優生思想」の確信犯による許し難い凶行だ。追随犯が「精神病者」を狙うかもしれない。それにも拘らず政権や、東京新聞等を除くマスメディアの多くは措置入院制度の強化に話をすり替え、連日、池田小事件を連想させる「「措置入院患者」=「精神病者」は危険」という差別キャンペーンだ。措置入院制度の保安処分的強化に利用しようとしている。このようなヘイトの確信犯が生まれた背景には、維新の会の議員が当選し、改憲派が衆参両院で3分の2を超え、東京都知事に右翼の小池が当選するという社会全体の右傾化があるのではないか。政府関係者からは殺害の動機になった優生思想への怒りの声は一言も聞こえてこない。「歪んだ考えに基づくテロリズム」に対する怒りの表明も一切ない。石原慎太郎は東京知事時代に知的しょうがい者に対して「この人達に人格はあるのかね」と、財務大臣の麻生太郎は「ナチスの手口に学んだらどうか」「政府のお金で(高額医療を)やってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」と発言。「安楽死」を進める連中と全く同じ思想なのだ。

 

事実経過と事件の特徴

 7月26日午前2時ごろ、相模原市の神奈川県立津久井やまゆり園に侵入したU(26歳・男性)が刃物を使い、入所者の知的などの「重複障害者」で「意思疎通できない」とみなした男女を19人殺害、26人に重軽傷を負わせた。施設職員を結束バンドで縛り、2人がケガをした。職員は刃物では傷つけられていない。

 Uは2012年から2016年2月まで同施設で働いていた元職員。「障害者は安楽死させなければならない」などと主張し同施設を退職していた。

 Uはノルウェーで、2011年7月22日政府庁舎を爆破し、また社会主義者を銃撃して77人を殺害したナチス信奉者のタイプの思想的確信犯であると思われる。

 計画的に準備し、計画通りに犯行を行っている。いかに大量に殺すかを計算している。深夜2時という寝静まった時間帯の犯行、結束バンドで職員を縛る、ハンマーやナイフ・刃物を5本用意するという準備周到さと計画性。しかも、2月の衆院議長宛て文書でその計画を明らかにしている。4月に知人をしょうがい者殺害の共犯となるように誘っている。

 「意思疎通できない重複障害者は安楽死をさせなければならない」という思想的確信のもと犯行を行った。その施設の職員であった時期にも入所者への暴行を繰り返していた。施設職員であった時に衆院議長に「障害者を安楽死させる法律を作れ」という文書を渡した。施設で「障害者は安楽死」と発言し、「ヒトラーと同じ思想だ」と批判され、退職させられた。

 「心神喪失」と診断されれば2年で自由になれると思っていた。(衆院議長宛て文書)

 このような大量殺人が可能になった背景には、しょうがい者が地域社会の中で暮らせず施設に集められていたという事情もある。

 それにも拘らず、警察は精神医療で対応しようとした。精神医療の保安処分的利用である。2月18日、衆院議長あて手紙の一件で、「他害のおそれあり」として、北里大学東病院に緊急措置入院(医師1人による診断で72時間拘禁できる)させた。入院後の尿検査で大麻反応が出たので、措置入院(医師2人の診断により期間の定めのない拘禁ができる)とし「大麻精神病」「妄想性障害」等という病名をつけた。しかし、Uの計画性や犯行の準備性は「精神病」による犯行とは結び付かない。「心神喪失」状態下での犯行ではない。Uは知人にこの強制入院(13日間)のことを「いやあきつかったっす」「医者を騙して出た」と語っている。

 3月2日、大麻反応が消えたことと、「反省の言葉があった」ことで措置は解除された。Uはその後2回同病院に通院したが、3回目の予約には来なかった。相模原市は市外の親と同居すると聞いて、保健所、警察、同施設等には退院を知らせなかった。

 精神病ではない者を精神医療で解決しようとした根本的・本質的無理さから、精神保健福祉法を保安処分的に使うことは破綻した。

 

政府はどう動こうとしているのか

  「事件を受け、厚生労働省は27日、~「措置入院」の制度や運用について、見直しを検討する方針を固めた。厚労省は容疑者の入院後、関係機関の情報共有や連携が十分だったか検証した上で、有識者検討会などをつくることも視野に入れている。塩崎恭久厚労相は27日、事件現場を視察後、措置入院を巡る対応について「警察、自治体、施設の連携が適切だったか、検証しなければいけない」と指摘した。」(共同通信 7.28)

「安倍晋三首相は28日、~事件に関する関係閣僚会議を官邸で開き、事件の真相究明や施設の安全対策強化、措置入院後のフォローアップを早急に実施するよう指示した。 首相は会議で~塩崎恭久厚生労働相、河野太郎国家公安委員長らに「さまざまな観点から必要な対策を早急に検討し、できるところから速やかに実行に移していくように」と指示した。厚労省などは今後、施設の安全対策や精神疾患によって「自傷他害の恐れ」がある場合、本人や家族の意思にかかわらず強制的に入院させる「措置入院」のあり方などを見直す。河野氏は会議後、記者団に「措置入院などのあり方を厚労省中心にしっかり再検討する必要がある。警察もしっかりとそれに対応をしていきたい」と語った。」(サンケイ7.28)

 

精神科医に意見を求めた

 A医師の意見

「妄想性障害」は「統合失調症性のものと、パーソナリティ、性格性のものがある。今回のケースは統合失調症とは思えない。パーソナリティ性のものは薬は効かず副作用ばかり出る。精神科医は対応するが「反省」があれば治療を止めるのは当たり前。今回のケースは、もともと措置入院にしたことに無理があったのではないか。反省したら出すのは当然。」

 B医師の意見

「「狂信者」と精神しょうがい者を混同しないことが必要だ。彼の行動をしょうがいを持つ仲間の行動のように感じてしまう傾向は否定しておく必要がある。今の時点では、薬物の力を借りて「狂信」を実行に移したとんでもない奴に過ぎない。」

「彼が「日本国のために」と言って事件を起こしているので、国は彼の「狂信」を明確に否定するメッセージを発しておく必要があるのでないか。臨時国会の冒頭で超党派的に、しょうがい者の生きる権利を擁護することを明確にする声明を議決していいのではないか。」

 C医師の意見

「「しょうがい者は死んだ方が良い」という社会にある差別意識・優生思想を実行に移したということで許し難い事件だ。同時に、犯した犯行で「精神しょうがい者を取り締まれ」という攻撃も、精神しょうがい者に対する締め付けが、池田小事件の時のように行なわれていることもしょうがい者に対する攻撃だ。措置後の取り締まりを強化する方向に向いているのは危険だ。」

 

しょうがい者には2つの問題が投げかけられている

 「安楽死」を実行し大量殺人する人物が日本でも現れた。ナチス・ヒトラー以来のこと。「ビューティフルジャパン」という思想は国粋主義者であることを匂わせている。「革命家」を自称しているが、体系的な思想を持ったファシストであるかどうかは情報がない。日本で計画されている「尊厳死」・「安楽死」法制化の先取りだ。欧米では「安楽死」法がすでに実施されているところがある。「在特会」等差別思想で被差別民衆を「殺す」と言っている連中は他にもおり、追随犯が現れる可能性がある。反「安楽死」「尊厳死」運動、反優生思想を強めないといけない。

 計画的確信犯を精福法で対応しようとして破綻したことをどう見るか。政権は精福法を保安処分法として強化しようとしている。東京新聞等一部を除き、NHK、朝日社説など大部分のマスメディアは、措置入院後の警察の介入を制度化すべきという論調だ。精福法の改悪による警察との連携強化、措置解除後も監視と管理を強化するという方向に世論を誘導しようとしている。しかし、池田小事件を口実にして、事件を起こした「精神病者」に適切な治療を施すと称して作られた「心神喪失者等医療観察法」は、何らの治療的効果をあげることもなく、多くの自殺者と長期入院者を生みだし、収容者に不必要な苦痛を与える保安処分法として運用されている。思想的確信犯を「治療する」ことなど不可能なのだが、精神医療を「思想改造」に使おうというのだろうか。

また、今の精神医療の現場には、「措置入院後の対応の強化」が可能な余力があるだろうか。年間数千人の措置解除後の対応の強化など今の体制では不可能だ。結局は、精福法を保安処分体制、犯罪予防に特化させる方向に大きく転換するのではないか。ますます地域自立生活に使われる予算が削られて、「精神病者」にとっては隔離・収容・抹殺の攻撃が強められることになる。今でさえ地域自立生活に使われる予算と、隔離・収容に使われる予算の割合は5対95だ。しかも、「医療観察法」には他の精神医療全般に比して異常に高額な予算が配分されている。

私たちは優生思想にも保安処分にも反対する。私たちは徹底的にしょうがい者、「精神病者」に寄り添い、優生思想による襲撃と保安処分から守り抜く。8月31日(水)16時~18時、厚労省前行動が提起されている。全国各地で共に闘おう。

 

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