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2017年2月27日 (月)

相模原事件を利用した精神しょうがい者差別を許すな

「自己愛性パーソナリティ障害」は犯罪の原因ではない

 

 2月20日、しょうがい者19人を殺害し、27人に傷を負わせた相模原事件の容疑者Uは「自己愛性パーソナリティ障害」と鑑定されたと報じられました。病名が変わるのは6回目であり、精神医療の低水準さが表れています。

 A医師の意見

「自己愛性バーソナリティー障害ですか。それは、妄想や気分障害が観察されず、薬物の影響が消えると思われる期間を過ぎても、本人の主張や在り方に変化が見られなかったということですね。周囲が思う以上に本人の自己評価が高く、そのため、自分は不当な評価を受けているとの不満を抱きやすい人になります。そう言ってしまえば、それが障害なのかと思ってしまいます。Uのように自分は選ばれた人間で敢えて思いに基づいて行動に出る場合があり、迷惑が周囲に及んでしまいます。だから、優生思想を持つかというと、それは別ものです。中に自己愛に地位が重なって、社会的な地位と権力がともなってしまう場合があります。(A首相やT大統領のように。)自己愛傾向の強い人が社会で幅を効かすようになると厄介な人になります。私はアメリカ流になんでも障害としてしまって何か治療の対象と思わすよりは、そういう傾向のある人くらいの表現のほうが、誤解を広げずに済むのでないかと常々思っています。日本語で人格障害と訳すと、その人個人の問題というニュアンスになり、原語personal disorderの、周囲との関係の中で表面化のしてくるその人の行動パターンの問題というのとは、少し違って来るように感じています。」

今回の事件の場合、「自己愛性パーソナリティ障害」と起こした事件の因果関係は何も立証されていません。犯行動機である差別思想をなぜ持ったのかは説明されていません。そこの立証がないと、「『自己愛性パーソナリティ障害』を治せれば事件は防げた」という論証にはなりませんが、そのような立証をしようとはしません。「なんか『精神病者』がやった事件らしい」という雰囲気だけ煽られています。

「自己愛性パーソナリティ障害」の診断基準は「別表」の通りです。悪名高いDSMです。有名な指揮者のカラヤンがこれに該当するそうです。成功して社会的名声を受ける人も多いそうです。優生思想を持つこととは結び付きません。「自己愛性パーソナリティ障害」者は、「普通の人」ですし、それで悩んでいる人以外は治療の対象とはしないそうです。

「自己愛性パーソナリティ障害」と鑑定すること自体が、犯罪の時は理性を失っていなかったから完全責任能力があるという結論にもっていくものです。事件と精神しょうがいは関係ないが、何らかの病名はつけたかったということです。

 

 

以下(別表)

診断基準

自己愛性人格障害

 アメリカ精神医学会 DSM-IV

 

 誇大性(空想または行動における)、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期に始まり、種々の状況で明らかになる。

以下のうち5つ(またはそれ以上)で示される。

 

○自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績やオ能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。

○限りない成功、権力、才気、美しき、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。

○自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達に(または施設で)しか理解されない、または関係があるべきだ、と信じている。

○過剰な賞賛を求める。

○特権意識つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する。

○対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。

○共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。

○しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。

○尊大で傲慢な行勤 または態度。

 

別表終わり。

 

精神保健福祉法改悪

 

事件の原因は精神しょうがいではないと鑑定されているにもかかわらず、相模原事件を口実にした精神保健福祉法の改悪が何の議論もなく国会を通過しそうです。精神医療=措置入院を「犯罪防止」に使うという今回の精福法改悪、しかも警察をかませるというやり方は、精神医療の根本的在り方にかかわる大改悪です。精福法は「建前」上も社会防衛が目的ということになるからです。「精神医療は本人のための治療を施すものだ」としてきたのが精福法です。医療観察法でさえ建前上は「本人のために医療を施す」とされています。それが今回の改悪では「犯罪予防に精神医療を使う」と明示されているのです。建前上も「社会防衛のために人権を侵害することが『精神医療』の目的だ」と言うに等しいのです。

 

精神医療が警察の手先に

 

「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書」(17年2月8日)では、「都道府県や市町村、警察、精神科医療関係者が地域で定期的に協議する場を設置することにより、相互理解を図っていくことが必要」と警察と精神医療の相互浸透が公然と謳われています。計画を作成するための「調整会議」では警察の介入は公然とは謳われていないものの、参加者の「等」に含意されており、否定されてはいません。「精神医療は警察の手先になる」と公然と宣言されたに等しいのです。

「あり方検討会」に提出された「精福法改正案の概要」では「二度と同様の事件が発生しないよう、法整備を行う」と措置入院=精神医療の目的を犯罪防止に転換すると明記されています。さらに行政が「患者の措置入院中から、通院先の医療機関等と協議の上、退院後支援計画を作成する」とされています。退院後も監視を続けるための計画を作ることは強制であり患者は拒否できません。計画に従うか否かは患者が判断しますが、拒否すれば退院を認められないかもしれないし、退院後に医療を受けられないおそれがあるから、簡単に拒否することはできず実質的な強制です。さらに自治体間の情報共有は強制的に行われ本人は拒否できません。

私たちは議論を興し、精福法改悪を止めねばなりません。

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