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2017年7月19日 (水)

ひょうせいれん声明 7/19

精神保健福祉法改悪案参院通過を弾劾し廃案を求める声明

 

         2017年7月19日兵庫県精神障害者連絡会・フレンズ

 

精神保健福祉法改悪案は5月17日の参院本会議で自・公・維新・無所属の賛成、民進・共産・社民(自由)の反対で可決し衆院に送られました。修正案が賛成多数で可決しました。修正の内容は、警察が入る「精神障害者支援地域協議会」を措置入院だけでなく医療保護入院に拡大する等という実質改悪の内容です。措置入院は都道府県知事・政令指定都市市長の同意による強制入院で数千人が対象なのに比して、医療保護入院は親族や市町村長の同意による強制入院で対象者は十数万人になります。しかし、実現可能性が疑われる法案です。政府は措置入院を対象とした場合で専門職200人の増員が必要だとしていました。医療保護まで対象とするなら単純計算で専門職3千人~4千人の増員が必要になる計算です。今の福祉切り捨て予算の中でそのようなことが現実的とは思えません。増員なき福祉切り捨てになることは明白です。

法案は衆院では審議入りせずに継続審議となりました。私たちはあくまで廃案を求めます。

 

自見はなこ議員の差別暴言

 

5月11日の参院厚労委員会での審議の時の、日本医師会の組織内候補である自民党の自見はなこ議員の発言は驚くべきものでした。「監督されているという妄想は病気の症状だ」という、多くの精神しょうがい者にとって大きな衝撃を受けた差別暴言でした。

自見議員は、「議論に出ておりましたような、監督されているんじゃないかというような妄想もこれも一つの病気の症状でありますので、ここは一貫してみんなでサポートしているんだというメッセージを送っていただきたいと切に願っております」と発言しました。

これは、「監督されていると思うのは妄想だ」という以外の意味には採れません。精神しょうがい者が何を言おうが、何を叫ぼうが、みんな「妄想だ」と切って捨て、無意味化する、それが精神保健福祉法改悪を推し進める側の論理なのです。

「みんなでサポートしているというメッセージを送る」というのも精神しょうがい者は地域自立生活の主体ではなく、「福祉をしてあげる」だけの客体だという決め付けですから、駄目です。

精神しょうがい者を管理と監督の対象としか考えていない政府答弁を繰り返される中で出たのがこの発言です。「善意」を振りかざして人間を否定するというこの法案の本質を最もよく表しているのです。

 

パターナリズム批判

 

自見はなこ議員は差別発言をしたのみならず、改悪案は『措置入院時に精神医療審査会の審査を義務付ける良い制度改革だ』と言っています。精神医療審査会というのは、不当な強制入院を監視し是正する第三者機関というふれこみでつくられたものです。しかし、実際にその委員を務めるある弁護士は、審査会の内情は、極めて事務的に判子を押すだけの強制入院追認機関に過ぎないと実態を暴露しています。3時間に150通の書類に目を通し、事務局は承認の判子を押せと圧力をかける。おかしいと思い不承認と書けばその理由をただ働きで書くことを要求されたそうです。自見はなこ議員に顕著な「パターナリスティックな制約」こそが今回の改悪案の中身なのです。「パターナリスティックな制約」とは、「国家が個人の利益を保護するために課す、自己決定権に関する制約を意味する表現。特に、未成年が喫煙や飲酒を行うなどの、『自己加害』と見なされる行動に対する制約を指すことが多い。」(実用日本語表現辞典より)

 

パターナリズムとインフォームド・コンセント

 

パターナリズムは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉することです。日本語では家父長主義、父権主義と訳されます。

パターリズムの立場の人は「インフォームド・コンセントなど幻想だ」と主張します。また日本精神科救急学会ガイドライン(2015年版)では、「自発的入院と非自発的入院の分水嶺はインフォームド・コンセントが成立するか否かだ」としています。精神しょうがいの状態の人には事理を分別できない人がいるという前提に立っています。

しかし、一旦落ち着いた状態の時に話して分からない人はいないのです。障害者権利条約12条に提示されている、誰もが精神的「能力」と無関係に法的能力を持つことの確認、すなわち精神しょうがい者にはインフォームド・コンセントが成立しない場合があるという前提から考えるのではなく、誰に対してもインフォームド・コンセントを保障しなければならないという前提に立つべきなのです。

3月24日に行われた院内集会で内田博文九州大学教授は次のように発言しました。『警察と医療機関や福祉機関では行動規範が異なる。警察は対象者に不信で接し、医療機関や福祉機関などの本来の指導理念は信頼であり正反対である。支援策としては逆効果であり、対象者を監視する社会を作り出す。』

この発言は、法案の本質を突いていると思います。改悪案に特徴的なパターナリズムは、インフォームド・コンセントの原則に反し、支援にならないばかりか、国家による強制や監視社会をもたらします。

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