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2018年5月10日 (木)

Fさんとの意見交換会報告(短縮版)

国立精神・神経医療研究センター研究部長・Fさんとの意見交換会報告  2018429フレンズ

 

これは、2018429日に行ったフレンズと国立精神・神経医療研究センター、地域・司法精神医療研究部長・Fさんとの意見交換会の報告です。録音を起こしたものですが、Fさんに確認をとることはしていませんので文責等は編集者にあります。★が質問。○がFさんです。 (フレンズ・髙見元博)

 

★私たち「フレンズ」は昨年出された精神保健福祉法「改正」案に反対してきました。精神医療が治安目的に変わってしまうことへの危機感からです。この「改正」案は前国会で廃案になり、今国会にも出てこないことになっています。真偽のほどは分かりませんが、新聞報道では同じ内容の「改正」案が今後出てくることはないように書かれています。

○私も再三厚労省に問い合わせるが、ガイドラインを作る関係で法案が今後どうなるかは重要。厚労省からは「調整中としか言えない」と言われている。内容についても同じで歯切れが悪い。

★その中で、本年3月27日に厚生労働省は、現行法制で出来ることのガイドラインであるとして、措置入院に関するものと、措置入院後の支援に関する2つのガイドラインを出しました。

★ガイドラインの法的な位置づけについて

「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」については、「この通知は~技術的な助言であることを申し添えます。」と記載されています。「措置入院の運用に関するガイドライン」においては、「本通知は~処理基準であることを申し添えます。」と記載されています。地方自治法の条文の意味がよく分かりません。「助言」「処理基準」と言いますが、これは自治体に対して何らかの強制力があるものなのでしょうか?

○強制力はないからそれに副(そ)わないからといって罰則はない。参照して全国基準として踏まえて検討してくださいというもの。最大公約数的な基準を示すもの。参照して自治体ごとのガイドラインを作るための参考資料というもの。

助言――こうした方がいいですよ。絶対やらないといけないものでないがお勧め。

処理基準――これが標準ですよというメルクマール。精神保健福祉法詳解という条文解釈の載った分厚い本があるがそれを補完するもの。

★助言というのは弱い感じだけど、処理基準は脅しですよね。指定医の資格剥奪のような圧力のかけ方という国の技がある。

○今回のガイドラインはこれに従わなかったらという強制力はないが、自治体に対する指導ではある。どこまで守るべきかは厚労省にはその都度話をしていて強制力はないと。現行否定はしない、現状追認は良くない、そこのせめぎ合いは難しい。今のマンパワーでは回らない。ガイドラインを作った研究班で、自治体からの意見を聞く窓口を作って厚労省に返し、自治体にも返していく。Q&Aを作る。厚労省の公式見解で回答いただくようにお願いしている。これは急いでいる。

○東京は例外的になる。これは東京ではできないと言われている。東京の意見を取り入れていたら地方では通用しない。都会モデルは良くない。東京は措置の4分の1を占めるから無視できないけど、東京は特殊過ぎる。

○以前からやっていたところにヒヤリングをした。所沢市、岡山市など。運用に関して精神衛生法以来60年、措置は変っていない。地方に任されてきた。標準を示し、絶対的にではない方針を示したから、必ず不具合が生じるから、課題を地方から吸い上げ、早い段階で改善するプロセスがないと破綻する。

地域でちゃんと支援した方がいい方は居て、あるものは提供できるようにする。いらないお世話という人はいる。団体よりピアの方たちから意見を聞いた。

★市交渉で警察は入れないと約束しているがガイドラインが出たことで守られないのではないかと危惧する。

○「会議」には警察は本人が了解すれば入ることが出来る。本人が希望するときには排除しない。そういうケースは時々ある。通常想定できない。例外。

★ガイドラインでは警察を「協議の場」に入れることになっていますが、措置権者は自治体の長であり、措置診察を行うのは精神科指定医です。それらは独立して権限を行使しなくてはならないはずです。ではなぜ、何を警察と協議する必要があるのですか。困難事例、移送等といった例示されていることは全国統一した決め事にしておけばいいのであり、自治体ごとの、医療関係者などが入った協議の場で決める必然性が感じられません。

 日弁連が法改正の「代表者会議」、今回は「協議の場」に相当するものですが、に警察を入れることに関連して、警察と医療関係者保健所などが「顔の見える関係になり情報提供を断りにくくなる」という趣旨のことを言われています。

 警察の中でも公安警察が、特定の患者の情報をよこせと精神科医に迫り、何十分も恫喝を加え続けたということがあります。精神科医は医者の守秘義務を盾にして拒否したのですが、恫喝にはかなり参ったそうです。この事例のように公安警察を相手にした場合まったく「善意」を期待することはできないのです。ガイドラインでは、警察の「悪意」を想定しているようには読めません。

 植樹祭などで天皇が来県するときには、警察は(公安警察の指示の下ですが)精神しょうがい者に対する弾圧を加えます。精神病院には「危険な者が外出しないように」という圧力をかけます。地域の精神しょうがい者は監視されます。

 全体として、ガイドラインは、警察に対して「善意」を期待しすぎていると思います。生活安全課にせよ警察の仕事は人を疑うことです。医療者や保健所とは行動原理が違うのです。警察に付け入るスキを与えてはならないというくらいに、警戒心を持って接するべきだと思っています。

○現行法では会議に関わった人間は情報を出さないと書いてある。改正法にも書いてある。病院ごとに守秘義務とは何か徹底するしかない。

★医師・看護では守秘義務が法的に課され期待できるが事務系では期待できない。

○行政職員は警察から言われた場合のガードは弱いですね。

★警察から精神科病院にも患者の名簿を出せと言って来ている。

○現時点でも圧力はかかっていて、ガイドラインでお墨付きを与えるという危惧ですね。警察を入れるか入れないかは本人の意向。本人と支援チームの全員が同意しないと警察は入れない。研究班で、警察の入るメリットはあるがデメリットもあるのでどうガードするかは話題になった。公安警察までも想定していないが警察には訳の分かってくれない人はいる。この公安警察の動きは前時代的で現代でこんなことがあるのかと。制度を作る時は性悪説を考えないといけない。精神医療は搾取の歴史ですから。

○国レベルだと全自治体が入って地域差、文化、資源、慣習の差が反映されない。県ごとにやらないと。県で何をやるかは、警察官通報がやたら多い。本来のケースではないものが多い。医療側と乖離している。協議することで警察官通報が減った自治体がある。困難事例は児相が関わったり、移送に関しては自治体ごとに運用差がある。移送して措置ではなかった場合、その場その場の判断でやっている。そこを決めたい。一回決めたらそれっきりでなく、人が変わるのでその度に確認していくことが必要。理想論だと言われてしまうが「顔の見える関係」だからと言って本人の了解をとらずに情報を流していいものではない。職業倫理にもとることだ。危険性は確かに増すだろう。医療者も人間なので気を許すことは無いとは言い切れないけど、やってはいけないことです。協議の場は生活安全課を想定している。協議の場には県レベルの人が出てくる。県警と県の医療課を想定している。群馬県では警察と協議しているが個々のケースではない。

★協議の場でも具体的ケースは検討する。仮名でなっていても、個別の事例は上がってくる。それは誰かと問われて答えるという懸念がある。

○ご懸念は分かる。しちゃいけないとは言っているがそこが危うい。

★実際に新聞沙汰になった事件で、警察がこの地区に住んでいる精神しょうがい者は誰かリストを出せとチェックを入れてきた例がある。事件が険しくなると警察は情報を全て取ろうとする。洗いざらい出せと言って来る。それで警察対応する病院の事務系が看護部に圧力をかけて情報を出せと迫った例がある。

○いつの時代の話ですかということですよね。そこは全国レベルで協議に持ち込むことが出来る。上がった問題点を厚労省と警察庁で協議することになる。警察庁を巻き込めたのは第一歩です。各県警と警察庁の温度差、地域差もある。あげてもらってから改善していくという方向性を考えるしかない。

○警察官通報は措置通報の7割を占めている。警察とは関わらざるを得ない。警察を排除するとかえって良くない。善意を期待しすぎていると言われれば、その通り、善意を期待しています。悪意が入り込んだときは問題点としてあげていく。どこまでが警察の仕事でどこまでが自治体の仕事かを意識合わせをする。警察にいかにメンタルヘルスを分かってもらうかは各国共通の問題。バンクーバーでは警察をアウトリーチに入れている。メンタルヘルスを分かっている警察を増やす。出来るだけ短いスパンでガイドラインは改正する。問題点を挙げて欲しい。

【天皇植樹祭の時、警察が外出させるなと言って来て】

○それで外出しなかったんですか。

★医師には圧力はなかったので、うちの病院ではそういうことはなかった。病院の事務方に文書ではなく電話で外出させるなと言って来た。

○大問題ですよね。信じられないけど。精神科病院で信じられない処遇をしているところもあるから。だからこそ警察を警戒することは分かる。警察には精神しょうがいのことを分かった上で適切な対応をして欲しい。権力を持っているからこそ話をして精神しょうがい者を危険視している誤った認識をどの地方でも。

○悪意の病院と悪意の警察が結託したら恐ろしい話ですけど。現代でも起こりうる。相模原事件があって法改正というのはないだろう、違うということはある。契機として措置を見てみたら自治体格差があったという問題が出てきた。法改正で措置の実効性を変えるより、支援をきっちりしようということだった。

○あまりに再入院率が高い。1年間で40%が再入院しているのはおかしい。地域で入院ではなく住み慣れたところで医療を受けられることが一番の狙い。今入院に財源がシフトされていて、外来があまりにも手うすくて、地域医療従事者も数は増えたけど財源は少ない。入院シフトを地域シフトにしていきたい。

○警察がなぜあれほどクローズアップされたのか、私は理解できない。警察官通報のところを警察と協議しましょうとあるけど、退院後支援で警察が関わるというのは想定していない。それはオプションであって本筋ではない。それが一番最初に出てくるのは違うだろうと。警察が入るというところがやたらとクローズアップされてしまい、非常に心外だ。グレーゾーン事例は検討途中ですし、警察が入らないといけないのはどういう場面で、どう運用していくかは次の話なんです。ガイドラインにも書いていない。病院だけが治療の場ではないので、そのあと地域で支援しましょうというのは当たり前。それができていない日本で地域もちゃんとしましょうよと意識付けるのが、今回のガイドラインの一番の狙い。研究班の中では、運用はともかく、退院後支援で警察をどうするという話は出ていない。

地域の資源を付けていく。交付税は付けたけど交付税の使い道は自治体が決めるから、それを精神保健に付けようと自治体に思ってもらわないといけない。入院の診療報酬を外来に振り分けてもらいたい。小さいけど積み重ねで外来に手厚くしていきたい。入院はいらないとは思わないが今ほどはいらない。その方がセルフケアできるか、金銭管理できるか、家族、地域から聞くことが必要。

○国会で警察がうんぬんかんぬんとやられちゃったので、ガイドラインにも一行それが本人の同意とか取らなくてはならないとか入れざるを得ない。それだけなんですよ。変な国会答弁が無ければ入らなかったかもしれないが、国会で約束したことはガイドラインにも書いて下さいというお約束で警察のことが入った。

★精神しょうがい者は自立能力がないということか。

○ガイドラインに余計なおせっかいはやめようと書いている。支援をしないといけない人は一定割合いる。精神しょうがい者がすべからく濃厚なサービスが必要とは思わない。

★埼玉県の試行事業についてご存知のことがあればお教えください。

○埼玉県は通知に合わせてガイドラインを作った。直接は関知していない。情報は知っている。所沢市には診療で入っているので、そこを通じても知っている。

★警察との関係で、教育・研修が必要だと思うが。

○研修はやっていくつもりです。全国レベルでは県警2人ずつだけなので浸透しない。各地で研修会をやって行かないといけない。

★三田の事件。両親が理解していない。地域が理解し一体になってやって欲しい。目に見えないしょうがい、変わった行動をとることへの理解が必要。

○地域の人が当たり前と分かったうえでないと理解進まない。両親が相談しようという選択肢、相談したら偏見にさらされると心配する。そこは本質だと思う。

退院して一定期間支援が必要なのに無くて調子悪くなると地域の偏見につながる。接する機会がないと分からない。地域には色んな人がいるという風にならないと。

★日本の精神病院は多いのか。

○非常に多い。歴史的なことがありすぐに改善できない。医療経営の面でも工夫して上手くやっているところもある。医療経済的に外来シフト、地域支援に金が使われないといけない。

★精神医療の財源の95%は入院に使われているというが。

○今はもうちょっとですが極端ですよ。

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