« 三里塚関西集会のご案内 | トップページ | 神出病院事件神戸市回答一問一答 »

2020年3月16日 (月)

神出病院事件につき、ひょうせいれんの意見と質問

拡散希望

神出病院事件(精神科病院における患者虐待事件)につき神戸市保健福祉局保健所調整課に下記文書を提出いたしました。これからより良い解決に向けて、みなさんとともに進んでいきたいと思います。ご助力よろしくお願いいたします。

ひょうせいれんの意見及び質問
2020年3月16日
神戸市保健福祉局保健所調整課担当課長殿

兵庫県精神障害者連絡会
兵庫県尼崎市共生舎
TEL
Eメール:gen1951@nifty.com
 
私たちは兵庫県下の精神障害当事者で組織する『兵庫県精神障害者連絡会』と申します。私たちは20年以上にわたって兵庫県下で精神障害者の人権確立と福祉向上のために活動してきました。(神戸市には障害者団体として登録してあります。)

ひょうせいれんメンバーからの意見
・私は新聞などで大きく報じられた神出病院における看護師たちによる入院患者への虐待事件につき憂慮しています。被害を受けた当事者やそれを伝え聞く精神障害の入院患者の思いはいかばかりか、思いいたすほかありません。人間性の否定という点では相模原事件(障害者19人殺害)や、国による強制不妊手術(優生保護法)をさえ想起させます。人間としての尊厳の完全なる否定であるからです。
・私は、神出病院に入院する全ての患者、少なくとも被害者患者は介護者を付けて地域移行するべきではないかと考えています。虐待を受けた病院に留まり置くというほど残酷なことはありません。
・被害患者として把握されていなくとも、被害は何らかの形で全ての患者が受けていたのではないかと思われます。全患者の介護者を付けての地域移行以外の出口はないものと考えます。
・精一杯譲っても、全患者の他病院への転院は最低限の条件です。
・報道によれば被害精神障害者はもっといるとも言われており、被害実態の解明は不可欠です。すでに事件後、神戸市は調査に入っていますが、昨年11月に調査に入り事件を発見できなかったわけですから、精神障害者当事者を含めた第三者性のある態勢で事件を解明し、対応を図るべきだと考えますがいかがでしょうか。
・私たち精神障害者にすれば、日本の精神科病院が1984年の宇都宮病院事件(注)の虐待状況と何ら変わりがないこと、そもそも精神障害者の人権が否定されている日本の状況の中で、起きるべくして起きた事件というほかありません。そもそも、強制入院制度は精神障害者に自己決定権を認めないものであり差別です。
・神出病院では精神保健福祉法が守られていなかったのではないかと疑われます。精神保健福祉法は強制入院制度を定めた隔離収容法であり容認できませんが、その前身の「精神保健法」は宇都宮病院事件を契機に作られたという経緯があります。しかし、この法では虐待事件が防げないことが明らかになりました。現に防げなかった以上、それは制度に欠陥があるのです。どこに欠陥があるのかを解明しないと、同様の事件の再発は防げません。
・(家族から)息子が他の精神科病院に入院している。息子も同じようなことをされているのではないかと心配です。
・夜勤帯だから把握できなかったと病院は言っているようですが、夜勤帯も病院の管理下にあることには変わりがありません。言い訳にもならない言い分だと思います。
・<出口はない>――看護師や医師などの医療の質が急に変わるわけではないから。病院の中だけで考えたら<出口はない>。
・「全人間に告ぐ」。他人を辱めて喜ぶような歓声を異常だと思え。幼児虐待、学校・職場・地域などでのいじめもすべて同質と思います。もし、「病者だから構わない」と言うならば言語道断。ハッキリとする。それを差別という。
・被害者が告発できていないのはなぜか。医師に言えないのか。そもそも診察はあるのか。面会者にも言えなかったのか。面会を促す働きかけをしているのか。
・本気で「病者」差別を乗り越えたいと思うならば、自身の過ちの反省だけでなく、社会にある障害者差別事件の被害者側の支える会的なものに参加して、被害者の「立場」を深考してもらいたい。例えば、国による優生手術の被害者を支える「優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会」への参加。
・今回の発覚は氷山の一角でしょう。他のスタッフは本当に、虐待を知らなかったのでしょうか? 執行猶予なんてとんでもない。実刑くらうよう願います。

質問したいこと
 以上のような意見を集約して、神戸市保健福祉局保健所調整課課長にお尋ねします。
① 事件発覚の原因となったのは女性への暴行事件だと言われていますが、この女性は神出病院の患者ですか。
② 神出病院の精神保健福祉法違反はどこにあったとお考えですか。
③ 神戸市の立ち入り調査(昨年11月とそれ以前の)によっても虐待事件が発見されなかったことは、精神保健福祉法に欠陥がある事を意味していますが、どこに欠陥があったとお考えですか。
④ どのような欠陥か、どのようにすればその欠陥は補えるか、いかがお考えですか。
⑤ 夜勤帯の事件だから病院管理が認識しなかったと病院側は言っているようですが、そのことは事件が発見されなかったという理由たりえません。夜勤帯だから事件が発覚しなかったというのは嘘です。被害患者が精神科医に掛かった時に全く相談もしなかったとは信じ難いからですし、他の看護師には相談しなかったということも信じ難いことです。医者が握り潰したか、管理者が握り潰したか。どちらかです。一体どこが握り潰し、神戸市が監査に入った時に報告しなかったのかを明確にして下さい。
⑥ 被害患者は「精神医療審査会」には訴えましたか。
⑦ 訴えた場合、それはどういう経過をたどりましたか。
⑧ 訴えなかった場合、精神医療審査会に訴えられることは告知されていましたか。
⑨ 事実上、夜勤帯が「治外法権」になっていた理由をきちんと解明して下さい。
⑩ 病院の実態についてお尋ねします。勤務医は何人で非常勤医は何人ですか。非常勤医はどこから来ていたのですか。無資格医はいませんでしたか。看護師は何人ですか。その内、非常勤看護師は何人ですか。また、法の定めは守られていましたか。
⑪ 加害看護師は正職員ですか、非常勤ですか。神出病院に勤続何年ですか(それぞれ)。事件後、病院からはどのような処罰を受けましたか。
⑫ 入院患者は何人いましたか。
⑬ 被害患者はその後も在院しているのですか。
⑭ 神出病院は健康保険法上の不正をしていませんでしたか。場合によっては健康保険指定を廃止するべきと考えますが、保健所担当課長のお考えはいかがですか。
⑮ このことを反省して、他の病院でも同じことが起きていないか、きちんと調査してください。その場合、神出病院で見抜けなかったことの反省の上で見抜ける方法を取ってください。
⑯ 3月5日(木)付け神戸新聞記事にある「同課は『病院側と日程を調整し、週内にも臨時の実地指導を行いたい』としている。」の「実地指導」はどんなものだったのでしょうか。何が判明しましたか。行った指導とはどんな指導でしたか。どんな成果があったのでしょうか。
⑰ 匿名性を担保して、病院の職員(看護以外も)全員に聞き取り調査をすべきです。ほかに類似のことがないか、可能な範囲で患者にも聞き取りをすべきです。そして、患者自身が希望すれば、「ひょうせいれん」のような当事者団体のメンバーへの相談も行えるようにすべきと思います。また、電話やメールで相談できる「いじめ相談窓口」のようなものを、精神医療審査会と管轄する保健所に開設し、関与する機関が積極的な情報収集ができるようにするべきと思います。神戸市担当者はいかがお考えですか。

上記の質問に1週間以内にお答えください。回答はEメールか郵送による文書にてお願いいたします。

以上。


(注)【宇都宮病院事件】(資料)
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年8月号より
時代を読む10
宇都宮病院事件から精神保健法の誕生

1984(昭和59)年3月、栃木県宇都宮市にある精神科病院、医療法人「報徳会宇都宮病院」における患者リンチ事件が新聞報道され、病院スタッフによる患者への暴行、無資格者の医療行為や不必要な入院などが明らかにされました。
1984年8月、国連人権小委員会において国際法上の問題として日本政府は非難され、また、1985(昭和60)年5月には国際法律家委員会(ICJ)が、わが国の精神科医療の実態を調査するために訪れるなど、宇都宮病院事件は国際問題へと発展していきました。その結果、国連差別防止・少数者保護小委員会(第38回会議・ジュネーブ)において、日本代表は、精神障害者の人権保護を改善することを明言しました。
1987(昭和62)年、精神衛生法は精神保健法と改正されました。宇都宮病院事件における精神障害者への重大な人権侵害が、大きな問題となって法改正に至ったことから、改正の主な内容は次の通り、人権に配慮するものでした。
1.精神障害者本人の同意に基づく任意入院制度の創設
2.入院時における書面による権利等の告知制度の創設
3.入院の必要性や処遇の妥当性を審査する精神医療審査会制度の創設
4.精神科病院に対する厚生大臣(当時)等による報告徴収、改善命令に関する規定
5.精神障害者の社会復帰の促進を図るために精神障害者社会復帰施設に関する規定
中でも任意入院が初めて規定されたのが、たった23年前ということが驚くべきことではないでしょうか。現在では、入院の6割以上が任意入院であり、当たり前の入院形態になっていますが、精神保健法以前の時代には、入院形態は同意入院(現在の医療保護入院)と措置入院、仮入院しかなく、精神障害者が自ら精神科病院への入院を希望したとしても、それを受け入れる形態がなかったのです。
わが国の精神保健福祉の歴史は、さまざまな事件を契機として変わってきましたが、宇都宮病院事件は、その後の施策を変える大きな事件であったと言えるのではないでしょうか。
(伊東秀幸 田園調布学園大学教授)


(資料)以下新聞報道

裸にして放水、監禁… 患者虐待で看護師ら6人逮捕
2020/03/04 21:46神戸新聞
 統合失調症などがある複数の入院患者を虐待したとして、兵庫県警捜査1課と同県警神戸西署は4日、監禁や準強制わいせつなどの疑いで、神戸市西区神出町、「神出病院」の元看護助手の男(27)=神戸市西区=ら6人を逮捕した。柵付きのベッドを逆さにし、あおむけの患者を20分間閉じ込めるなどしていた。虐待は1年以上あったとみられ、同課が実態解明を進める。
 他に逮捕されたのは、いずれも同病院の看護師、26~41歳の男5人で、全員容疑を認めているという。
 元看護助手と26歳、33歳の看護師の男の逮捕容疑は2018年10月31日未明、63歳と61歳の男性患者の体を押さえ、無理やり互いにキスをさせた疑い。
 19年9月20日夜には元看護助手と34歳、41歳の看護師がトイレで男性患者(79)を裸にし、椅子に座らせて顔にホースで放水したほか、同25日夜には元看護助手と34歳、33歳の看護師が男性患者(63)を床に寝かせ、落下防止用の柵が付いたベッドを逆さに覆いかぶせて閉じ込めた疑いがある。
 同課によると、3件とも関わったとされる元看護助手は「患者のリアクションが面白かった」などと話しているという。元看護助手は昨年12月、若い女性への強制わいせつ容疑で逮捕された。捜査の過程で、患者を虐待する様子を収めた複数の動画がスマートフォンから見つかり、他の5人が浮上。動画は他にもあり、同課はさらに被害者がいるとみて調べる。

神戸新聞NEXT
患者家族ら「許せない」 神戸・神出病院の虐待事件 幹部ら気づけず…院長が謝罪コメント
神戸新聞NEXT/神戸新聞社
2020/03/05 05:55
 入院患者を虐待したとして看護師ら6人が逮捕された神出病院(神戸市西区)は4日午後、佐伯正一事務部長が報道陣の取材に応じた。詳細が把握できていないため会見は開かないといい「今後二度とこのようなことが起きないよう全力を尽くす」などとする大沢次郎院長のコメントを出した。
 佐伯事務部長によると、6人は仲が良く、勤務態度で問題は確認されなかったという。事件が繰り返された夜間勤務帯も人員は基準を満たしていたが、昨年12月に県警から連絡を受けるまで誰も虐待行為に気づけなかったとしている。
 神出病院を管轄する神戸市保健所調整課は1月末に同病院から連絡を受けた。2月3日に病院幹部にヒアリングを実施したが、この時点でも病院幹部は全容を把握していなかった。
 一方、昨年11月、看護師の配置や施設環境を確認した実地指導では、特に問題はなかった。同課は「病院側と日程を調整し、週内にも臨時の実地指導を行いたい」としている。

■患者家族ら「許せない」
 統合失調症や認知症などの患者を虐待したとして「神出病院」(神戸市西区)の看護師ら6人が4日、兵庫県警に逮捕された。精神科病院の医療関係者が患者を暴行する事件は全国で後を絶たないが、6人が関与するケースは極めてまれ。医療現場や患者家族らにも動揺が広がっている。
 県内では2018年、加東市の精神科病院の看護師が患者を平手打ちしていたことが発覚。全国でも15年に千葉市の精神科病院で、准看護師が患者の頭を蹴る事件があった。
 ただ、こうしたケースの加害者は1、2人が大半で、今回のように6人もの逮捕者が出るのは異例だ。
 「許せない」。事件に加古川市の女性(36)は怒りで語気を強めた。昨年亡くなった祖父は認知症のため、最期の2年間を神出病院に入院して過ごしたという。「祖父も被害にあっていたのかもしれないと思うと…」と涙ぐんだ。
 精神科がある県内の病院関係者は「ありえない事件。人として信じられない行為」と驚く。勤務先では暴力防止のため研修を開いたり、学会に職員を派遣したりしている。ただ、そもそも取り組みの主眼は患者からの暴力をいかに防ぐかで「今回のような事件は想定していない」という。
 神出病院の虐待はいずれも勤務人数が少ない夜間に起きた。県警は、閉鎖的な職場環境が虐待の温床になった可能性もあるとみて動機の解明を進める。

|

« 三里塚関西集会のご案内 | トップページ | 神出病院事件神戸市回答一問一答 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 三里塚関西集会のご案内 | トップページ | 神出病院事件神戸市回答一問一答 »