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2021年8月

2021年8月30日 (月)

沖縄の精神科病院でのトリアージ問題

8/30 13時~14時沖縄の障害者・家族団体などによるオンライン記者会見が行われた。
趣旨は沖縄県の専門家会議がコロナ拡大にともなって「トリアージ」指針を議論することを確認したことを受けて、「命の選別」に反対するものだ。
沖縄差別、障害者差別、精神障害者差別、高齢者差別の複合したクラスターが起きているなかで「トリアージ」が議論されること自体危険極まりない。うるま記念病院ではワクチンを一回でも摂取した人が1割程度というなかで精神科病院の構造は事実上のトリアージが行なわれているようなものだ。差別の上の差別という現実を僕たち本土の障害者はどう考えるべきかという問題意識を持ちながら記者会見を聞いた。

以下新聞記事
「命の選択」の指針を議論へ 県の専門家会議が強い危機感 コロナ拡大で医療崩壊の沖縄
2021年8月24日 07:17沖縄タイムス
 沖縄県の新型コロナウイルス対策を議論する23日の専門家会議は、県内が医療崩壊の域にあるとの共通認識の下、患者の治療の優先順位を判断する「トリアージ」の指針を議論する方針を確認した。感染拡大で医療資源が不足する中、現場の医師ら個人に「命の選択」に関わる判断が委ねられる現状に強い危機感が示された。

記者会見を聞いての個人的感想。
明らかになったこと。
・うるま記念病院で亡くなった69人の多くを転院させなかったこと自体がトリアージだ。(転院したのは170人以上の感染者全体のたった20人。)
・知的障害者のワクチン接種は優先される。しかし断った人は多い。副反応が怖くて家族が断る。家族の意思で打つか打たないかが決まる。これは虐待だが説得は難しい。行政の責任で啓発をして欲しい。
・精神科病院の窓は10センチしか開かないところが多い。逃亡防止の観点で閉じ込めている。その上スタッフは少ない。(精神科特例。)窓を開けたらいいのだがしない。デルタ株はエアロゾル感染の疑いが強いから、余計にウイルスを培養するようなものだ。精神科病院に入院させ続けることは感染拡大をもたらす。事実上のトリアージがすでに行なわれている。
以上が明らかになったことだ。
沖縄の精神障害者の家族会のTさんは、戦前からの歴史的な差別、戦後米軍占領下におかれ精神障害者は座敷牢に閉じこめければならなかったという歴史的な差別の問題。第二次世界大戦で日本本国で唯一悲惨な地上戦が戦われ、精神障害になる人が多かったという政治的な本土からの差別の問題が、今回の事態の背後にはあると強調した。今回の沖縄でのクラスターの多発という現実を、僕ら本土の人間は沖縄差別への歴史的な加担を反省的にとらえることの上で見なければならない。障害者だからと言って免れることのできない歴史的な差別への加担という立ち位置だ。
今度の10/31大フォーラムでは沖縄の方が発言する予定だ。僕らはこの立ち位置を踏まえ、どうやって歴史的な差別という関係を乗り越えられるのかを考えるきっかけにしたい。
多くのみなさんのご参加をお願いいたします。

2021年8月26日 (木)

大フォーラム・兵庫障害フォーラムのチラシができました

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2021年8月23日 (月)

障害者の解放の具体的方法

僕たちは障害者の解放の具体的方法は「骨格提言」の完全実現にあると考えています。
骨格提言は120ページ以上ある文書です。「はじめに」の要約を部会長の佐藤久夫の論文から引用し、以下文書そのものの文言から引用します。長文ですが。

3ページ
はじめに

『月刊ノーマライゼーション障害者の福祉2011年11月号』佐藤久夫(部会長・日本社会事業大学)
『障害者総合福祉法の骨格提言の背景と特徴』より抜粋
「障害者総合福祉法」の目指すもの
「骨格提言」は「はじめに」で、新法が目指す6点を掲げている。「1」は障害者権利条約が求める最大の課題であり、「2」、「3」、「4」はわが国の障害者福祉が積み残してきた歴史的汚点である。「5」は医学モデルをベースとした画一的事務的福祉からの転換であり、「6」はそれらを実現するための財源確保である。これら6点は国際化ともいえる。権利条約の誠実な実行であり、すでに先進国で実現している水準の追求であるからである。
1.障害のない市民との平等と公平
障害者と非障害者とを比べると大きな生活の格差がある。どこで暮らすか、自由に外出できるか、雇用の可能性はどうか、等々。地域で平等に暮らし社会参加するために必要な福祉の支援を受ける権利を保障するのがこの法律である。
2.谷間や空白の解消
障害者手帳所持者に限らず、すべての障害者を対象とする。また通勤や通学の介護が、福祉制度にも雇用制度にも教育制度にも用意されていないなどの「制度の空白」もなくす。
3.格差の是正
市町村間のサービス格差をなくす。そのために、どの地域でも共通して必要とされる支援は国や都道府県の「負担事業」とし、さらに長時間介護の市町村負担部分を軽減するなどを提言している。
4.放置できない社会問題の解決
「社会的入院」や長期施設入所の解消を目指す。そのために「地域基盤整備10ヵ年戦略」で地域の受け入れ態勢を整え、本人の希望に沿った地域移行プログラムを実行する。
5.本人のニーズにあった支援サービス
障害程度区分をなくし、市町村の支援ガイドラインを使っての個別ニーズ評価と協議調整方式で支給決定する。本人の意思決定を尊重した相談支援と権利擁護制度でこのプロセスを支える。
6.安定した予算の確保
OECD諸国の平均並みの障害福祉予算を目指す。財源確保についての国民理解が得られるよう努力する。

以下骨格提言より引用。
■ 改革への新しい一歩として
わが国の障害者福祉もすでに長い歴史を有しておりますが、障害者を同じ人格を有する人と捉えるよりも、保護が必要な無力な存在、社会のお荷物、治安の対象とすべき危険な存在などと受けとめる考え方が依然として根強く残っています。
わが国の社会が、障害の有無にかかわらず、個人として尊重され、真の意味で社会の一員として暮らせる共生社会に至るには、まだまだ遠い道のりであるかもしれません。
そのような中で総合福祉部会に参集した私たちは、障害者本人をはじめ、障害者に関わる様々な立場から、違いを認めあいながらも、それでも共通する思いをここにまとめました。ここに示された改革の完成には時間を要するかも知れません。協議・調整による支給決定や就労系事業等、試行事業の必要な事項もあります。
また、本骨格提言に基づく法の策定、実施にあたっては、さらに市町村及び都道府県をはじめとする幅広い関係者の意見を踏まえることが必要です。
私たちのこうした思いが、国民や世論の理解と共感を得て、それが政治を突き動かし、障害者一人ひとりが自身の存在の価値を実感し、様々な人と共に支えあいながら生きていくことの喜びを分かち合える社会への一歩になることを信じて、ここに骨格提言をまとめました。今、新法への一歩を踏み出すことが必要です。
平成23(2011)年8月30日
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会

12ページ
【表題】地域で自立した生活を営む基本的権利
【結論】
○ 地域で自立した生活を営む権利として、以下の諸権利を障害者総合福祉法において確認すべきである。
1. 障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
2. 障害者は、必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される旨の規定。
3. 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
4. 障害者は、自ら選択する言語(手話等の非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定。
5. 障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される旨の規定。
6. 以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない旨の規定。
7. 国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う旨の規定。

16ページ
【表題】介護保険との関係
【結論】
○ 障害者総合福祉法は、障害者が等しく基本的人権を享有する個人として、障害の種別と程度に関わりなく日常生活及び社会生活において障害者のニーズに基づく必要な支援を保障するものであり、介護保険法とはおのずと法の目的や性格を異にするものである。この違いを踏まえ、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきである。
○ 介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができるものとする。
45ページ
【表題】「地域移行」の法定化
【結論】
○ 「地域移行」とは、住まいを施設や病院から、単に元の家庭に戻すことではなく、障害者個々人が市民として、自ら選んだ住まいで安心して、自分らしい暮らしを実現することを意味する。
○ すべての障害者は、地域で暮らす権利を有し、障害の程度や状況、支援の量等に関わらず、地域移行の対象となる。
○ 国が、社会的入院、社会的入所を早急に解消するために「地域移行」を促進することを法に明記する。
○ 国は、重点的な予算配分措置を伴った政策として、地域移行プログラムと地域定着支援を法定施策として策定し、実施する。

111ページ
【表題】雇用の質を確保するための法改正
【結論】
○ 量だけでなく質としての雇用を確保するため、障害者雇用促進法を改正し、障害者権利条約第 27 条[労働及び雇用]で求められる労働への権利、障害に基づく差別(合理的配慮の提供の拒否を含む)の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための規定を設ける。障害者雇用促進法にこれらの規定を設けることが困難な場合には、それに代わる新法(労働法)で規定する。

121ページ
おわりに
ある社会が
その構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合
それは弱くもろい社会である
これは、昭和54(1979)年に国連総会で決議された国際障害者年行動計画の一文です。この歴史的課題の解決がなされないまま30余年を経た今、日本では、社会保障・社会福祉をはじめとする制度のほころびが各方面から指摘され「無縁社会」と称されるまでになっています。
「推進会議」と「総合福祉部会」は、「障害の有無にかかわらず国民が分け隔てられることのない共生社会」の実現とそのための制度改革を目指しています。それは、とりもなおさず、「弱くもろい社会」から、一人ひとりの存在が心より大切にされ、誰もが排除されることなく社会的に包摂される、本当に豊かな社会づくりに寄与するものであると確信しています。

2021年8月21日 (土)

沖縄の精神科病院でクラスター

二重三重の差別の下に置かれた沖縄の精神障害者

沖縄の精神科病院のうるま記念病院で大規模クラスターが発生した。入院者270人のうち173人がコロナに感染した。69人が亡くなった。17日の時点で転院できたのはわずか20人。入院者のうち1回でもワクチン接種ができているのはわずか1割にすぎない。精神障害は基礎疾患でありワクチン接種は優先されるはずだった。同じ精神科病院でも兵庫県立光風では、希望者はワクチンを接種するという張り紙がしてある。これは病院の責任なのか、沖縄全体でワクチンが不足しているのか分からない。死ななくていいはずの人が亡くなったことはたしかだ。
沖縄への植民地的差別の上に精神科病院特有の差別が重なっていることは間違いない。精神科病院の窓は構造は違えどどこでも10センチくらいしか開かない。密閉空間に、パーテーションもなく大部屋にざこ寝に詰めこまれている病院も少なくない。個室は監禁部屋である保護室しかないところが多い。一度感染が始まれば次々感染は広がった。密閉ゆえの必然だ。
沖縄への差別とは、薩摩藩による侵略に始まる歴史的差別は別として、第二次世界大戦後日本支配層や裕仁天皇から切り捨てられて、アメリカ占領下に置かれたことだ。1972年の本土復帰まで日本国憲法も日本の法律も適用されなかった。戦前から続いた法律と占領政策のために、沖縄では精神障害者を自宅で監置部屋に閉じ込めなければならなかった。座敷牢だ。1972年までそれが続いた。
沖縄の精神障害者は二重三重の差別の下に置かれてきた。今回のうるま記念病院で亡くなった64人がその犠牲者であることはまちがいない。
今後、ワクチン接種がされていなかったのが誰の責任なのかは解明していく。精神科病院の劣悪な環境を正すことは退院促進と共に、僕らの運動の課題としたい。

2021年8月 2日 (月)

神出病院事件についての神戸市への申入れと神戸市の回答

7/12に神戸市に出した申入れに対する神戸市の回答がありましたので共有します。回答はPDFファイルですがデータを取り出しました。以下申入れ書、回答の順です。申入れのうち法律の条文は略しました。また昨日みなさんとも共有したNHKETV特集についてのメールも送っていたところ、再放送についての情報を課内で共有してくれたとのことです。悪徳病院をつぶしたいという精神障害者の気持ちが少しでも共有できればいいなと思っています。また、生活保護の適用を除外したことでつぶれた病院の情報もいただいており、おって神戸市にも伝えるつもりです。

神出病院事件につき神戸市への申入れ書
神戸市健康局保健所保健課 精神保健福祉係様

2021年7月12日
兵庫県精神障害者連絡会

いつもの精神障害者のために、ご活動いただきありがとうございます。
 神出病院事件につき、神戸市の取り組みに参考となればと思い、私たちの意見をお伝えさせていただきます。

 いま神戸市は、神出病院の前回の虐待事件に対して、「改善命令」を出しています。今年5/20の新たな虐待について、警察の調べを待って、改善命令不履行ということで、処分をするという流れになっていると伺っています。根拠法令は「精神保健福祉法第三八条の七」(注1)と伺っています。
 この取り組みは、厳しく適用するようによろしくお願いいたします。
 その上で、私たちのお願いです。
 いままで、精神科病院での悪質な虐待は繰り返されています。そのなかには、行政によって取り潰されたところもあります。大阪の大和川病院がその例です。
 その時に適用されたのは「精神保健福祉法」ではありませんでした。医療健康保険の適用が外されたことが大きな影響を持ったようです。
 研究者である、杉本章さんの書かれた『増補改訂版〕障害者はどう生きてきたか―戦前・戦後障害者運動史』によれば、大和川病院が潰されたことには、大阪府の認可取り消しがあったようです。(注2)
 この場合の適用法令は「医療法」(注3)になると思われ、処分権者は兵庫県なのかもしれません。政令指定都市にその権限が委譲されるものなのかは、法に詳しくないので分かりません。もし、兵庫県の権限であるならば、県市の連携を図っていただきたいです。
 私たちは、このように考えています。神出病院が存続し続けることだけは我慢がなりません。一日も早く患者が救い出されることを願っています。私たちの意見が神戸市の取り組みの参考になれば幸せです。
 よろしくお願いいたします。
((注1)および(注3)は法律の条文のため略
(注2)
 杉本章さんの書かれた『〔増補改訂版〕障害者はどう生きてきたか―戦前・戦後障害者運動史』によれば、大和川病院がつぶれたことについて、次のように記載されています。一部を抜粋します。
「調べが進むにつれて、大和川病院をはじめ安田系三病院の実態が次々と明らかになっていきました。病室は真冬でもほとんど暖房せず、夏は患者が金を出し合って扇風機を買い暑さを凌ぐという有り様でした。病院の実質的な経営者である安田基隆病院長の権力は絶大で、その指示・命令のもとで、投薬の処方や注射の指示も病名ごとのマニュアルにしたがって看護婦に担当医名で書かせたり、無資格のヘルパーが鼻腔栄養チューブの挿入や酸素吸入を行ったりしていました。入院患者が死亡しても医師がいないために看護士が白衣を着て医師を装って脈を取ったり、死亡診断書や処方箋を看護婦が作成することなども日常的に行われていました。病院が提出した資料によっても、三病院合わせて医師・看護婦とも基準の約三分の一しかいませんでした(基準では医師は三一名必要なところを勤務者数は一三名、看護婦は一九四名に対して六〇名)。・・・・・
 事件が発覚してから四年後の九七(平成九)年四月、大阪労働基準局が三病院の強制捜査を行いました。理由は、患者の死亡を理由に職員から「罰金」を徴収したり退職した看護婦に免許証を返さず、賃金を不払いにした労働基準法違反の疑いでした。ついで大阪府警特捜部が安田院長らを詐欺罪で逮捕・起訴し、同年十月には大阪府が医療法人北錦会の設立認可を取り消し、三病院は廃院となりました。」

回答

神健保保第4173 号
令和3 年 8 月 2 日
兵庫県精神障害者連絡会様
神戸市健康局保健所保健課精神保健福祉担当課長

申入れへの回答について

平素より本市の精神保健福祉行政の推進にご理解とご協力を頂き厚く御礼申し上げます。令和 3 年 7 月 12 日付にて頂いた申入れについて下記のとおり回答致します。

医療法人財団兵庫錦秀会神出病院(以下「神出病院」)につきまして、令和 2 年の事案発覚 後、同年 8 月に改善命令を発出し継続して改善を指導してまいりました。その最中である令和 3 年 5 月 20 日に発生した今回の事案につきましては、本市としても大変残念であります。今後、 調査を継続し 一層の指導監督に努めてまいります 。
なお、一連の神出病院に対する調査では、医療法に違反するような人員の不足、診療報酬の不正請求等の事案は確認されていません。今後、そのような違反 の疑いが 確認され た場合 に は関係 機関、 部署との連携をはかり 然るべく措置を講じることとしています 。

担当
神戸市健康局保健所保健課 精神保健福祉担当(担当者名)

2021年8月 1日 (日)

ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」

ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」再放送8/5(木)午前0:00~午前1:00

 

 精神障害者のおかれている悲惨すぎる状況に、怒りを越えて悔しさを感じている。19世紀から20世紀初頭のロシアの革命家たち、ナロードニキのテロリストに似た感情だ。
 悲惨な状況については番組を見てほしい。一例をあげれば、NHKと専門家に調べで、精神科病院でコロナクラスターの発生は145病院、感染者は分かっているだけで4600人。厚生労働省もきちんとしたデータをもたない。調べる必要も感じていないのだろう。コロナ患者が出た部屋に南京錠をかけて閉じ込め、精神障害者はつぎつぎ感染と死の順番をまつしかなかったなど。おおよそ、人間としてはあつかわれていなかったのだ。
 精神障害者がどんな悲惨な状況におかれていようとも、日本精神科病院の会長である山崎學は「精神科病院は社会の秩序を担保している。医療だけでなく保安まで全部やっている。ことわったら困るのは警察と保健所だ」と開き直った。
 東京都立松沢病院院長の斉藤正彦は「退院させるときの抵抗勢力は社会だ」「病院が倒産して社会が受け入れる素地がない。(悪徳病院が)日本の精神医療の標準。こんなんじゃだめだと言っている余裕があるか。病院がつぶれたら患者はもっと悪い病院に行く。ベストではなくてベターしかない」という。日本の精神科病院をリードする松沢に院長にして、解決策は見いだせないというのだ。
 NHKから悪徳病院への指導を聞かれた東京都は指導の詳細の回答を拒否し「病院の運営に支障がある」と回答した。といつもこいつも○○○○したろうかという感情しか浮かばない。
 1960年に「日本の精神科病院の経営者は牧畜業者」(日本医師会会長・武見太郎)と言われた状況を60年以上たっても改善させようとしている「指導者」がまったくこの日本には存在しないのだ。微々たる力しかない精神障害当事者がわずかばかりの抵抗をして状況を少しでもいい方向に向けようとしているが、精神障害者運動のなかからも、法律をくわしく知ることで自分だけの社会的地位を高めることしか考えていない連中も生まれている。
 それでも、ナロードニキの気持ちを思い出すことにしよう。「あきらめなければいつかは勝てる」。すべての社会革命がそうであるように。

 

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