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2021年8月23日 (月)

障害者の解放の具体的方法

僕たちは障害者の解放の具体的方法は「骨格提言」の完全実現にあると考えています。
骨格提言は120ページ以上ある文書です。「はじめに」の要約を部会長の佐藤久夫の論文から引用し、以下文書そのものの文言から引用します。長文ですが。

3ページ
はじめに

『月刊ノーマライゼーション障害者の福祉2011年11月号』佐藤久夫(部会長・日本社会事業大学)
『障害者総合福祉法の骨格提言の背景と特徴』より抜粋
「障害者総合福祉法」の目指すもの
「骨格提言」は「はじめに」で、新法が目指す6点を掲げている。「1」は障害者権利条約が求める最大の課題であり、「2」、「3」、「4」はわが国の障害者福祉が積み残してきた歴史的汚点である。「5」は医学モデルをベースとした画一的事務的福祉からの転換であり、「6」はそれらを実現するための財源確保である。これら6点は国際化ともいえる。権利条約の誠実な実行であり、すでに先進国で実現している水準の追求であるからである。
1.障害のない市民との平等と公平
障害者と非障害者とを比べると大きな生活の格差がある。どこで暮らすか、自由に外出できるか、雇用の可能性はどうか、等々。地域で平等に暮らし社会参加するために必要な福祉の支援を受ける権利を保障するのがこの法律である。
2.谷間や空白の解消
障害者手帳所持者に限らず、すべての障害者を対象とする。また通勤や通学の介護が、福祉制度にも雇用制度にも教育制度にも用意されていないなどの「制度の空白」もなくす。
3.格差の是正
市町村間のサービス格差をなくす。そのために、どの地域でも共通して必要とされる支援は国や都道府県の「負担事業」とし、さらに長時間介護の市町村負担部分を軽減するなどを提言している。
4.放置できない社会問題の解決
「社会的入院」や長期施設入所の解消を目指す。そのために「地域基盤整備10ヵ年戦略」で地域の受け入れ態勢を整え、本人の希望に沿った地域移行プログラムを実行する。
5.本人のニーズにあった支援サービス
障害程度区分をなくし、市町村の支援ガイドラインを使っての個別ニーズ評価と協議調整方式で支給決定する。本人の意思決定を尊重した相談支援と権利擁護制度でこのプロセスを支える。
6.安定した予算の確保
OECD諸国の平均並みの障害福祉予算を目指す。財源確保についての国民理解が得られるよう努力する。

以下骨格提言より引用。
■ 改革への新しい一歩として
わが国の障害者福祉もすでに長い歴史を有しておりますが、障害者を同じ人格を有する人と捉えるよりも、保護が必要な無力な存在、社会のお荷物、治安の対象とすべき危険な存在などと受けとめる考え方が依然として根強く残っています。
わが国の社会が、障害の有無にかかわらず、個人として尊重され、真の意味で社会の一員として暮らせる共生社会に至るには、まだまだ遠い道のりであるかもしれません。
そのような中で総合福祉部会に参集した私たちは、障害者本人をはじめ、障害者に関わる様々な立場から、違いを認めあいながらも、それでも共通する思いをここにまとめました。ここに示された改革の完成には時間を要するかも知れません。協議・調整による支給決定や就労系事業等、試行事業の必要な事項もあります。
また、本骨格提言に基づく法の策定、実施にあたっては、さらに市町村及び都道府県をはじめとする幅広い関係者の意見を踏まえることが必要です。
私たちのこうした思いが、国民や世論の理解と共感を得て、それが政治を突き動かし、障害者一人ひとりが自身の存在の価値を実感し、様々な人と共に支えあいながら生きていくことの喜びを分かち合える社会への一歩になることを信じて、ここに骨格提言をまとめました。今、新法への一歩を踏み出すことが必要です。
平成23(2011)年8月30日
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会

12ページ
【表題】地域で自立した生活を営む基本的権利
【結論】
○ 地域で自立した生活を営む権利として、以下の諸権利を障害者総合福祉法において確認すべきである。
1. 障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
2. 障害者は、必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される旨の規定。
3. 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
4. 障害者は、自ら選択する言語(手話等の非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定。
5. 障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される旨の規定。
6. 以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない旨の規定。
7. 国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う旨の規定。

16ページ
【表題】介護保険との関係
【結論】
○ 障害者総合福祉法は、障害者が等しく基本的人権を享有する個人として、障害の種別と程度に関わりなく日常生活及び社会生活において障害者のニーズに基づく必要な支援を保障するものであり、介護保険法とはおのずと法の目的や性格を異にするものである。この違いを踏まえ、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきである。
○ 介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができるものとする。
45ページ
【表題】「地域移行」の法定化
【結論】
○ 「地域移行」とは、住まいを施設や病院から、単に元の家庭に戻すことではなく、障害者個々人が市民として、自ら選んだ住まいで安心して、自分らしい暮らしを実現することを意味する。
○ すべての障害者は、地域で暮らす権利を有し、障害の程度や状況、支援の量等に関わらず、地域移行の対象となる。
○ 国が、社会的入院、社会的入所を早急に解消するために「地域移行」を促進することを法に明記する。
○ 国は、重点的な予算配分措置を伴った政策として、地域移行プログラムと地域定着支援を法定施策として策定し、実施する。

111ページ
【表題】雇用の質を確保するための法改正
【結論】
○ 量だけでなく質としての雇用を確保するため、障害者雇用促進法を改正し、障害者権利条約第 27 条[労働及び雇用]で求められる労働への権利、障害に基づく差別(合理的配慮の提供の拒否を含む)の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための規定を設ける。障害者雇用促進法にこれらの規定を設けることが困難な場合には、それに代わる新法(労働法)で規定する。

121ページ
おわりに
ある社会が
その構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合
それは弱くもろい社会である
これは、昭和54(1979)年に国連総会で決議された国際障害者年行動計画の一文です。この歴史的課題の解決がなされないまま30余年を経た今、日本では、社会保障・社会福祉をはじめとする制度のほころびが各方面から指摘され「無縁社会」と称されるまでになっています。
「推進会議」と「総合福祉部会」は、「障害の有無にかかわらず国民が分け隔てられることのない共生社会」の実現とそのための制度改革を目指しています。それは、とりもなおさず、「弱くもろい社会」から、一人ひとりの存在が心より大切にされ、誰もが排除されることなく社会的に包摂される、本当に豊かな社会づくりに寄与するものであると確信しています。

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